●洪水の被害を受けた農業機械について
近年、豪雨災害による洪水の発生が増えてきており、農業機械にも被害が及ぶことが多くなってきました。一度泥水に浸かった機械の取扱いについて取りまとめましたので、被害にあわれた場合には、以下のような点に十分に留意して下さい。
1.泥水に浸かった農業機械は絶対にスイッチを入れない、水が引いたらバッテリーターミナルをはずす
泥水に浸かった農業機械(トラクター、田植機ではステップ以上、コンバインではシャーシフレーム以上、乾燥機では下部スクリュー以上が浸かった機械「以下同じ」)は、JA農機センター、農機販売整備業者等が点検する前には絶対にスイッチを入れないで下さい。
特に、バッテリーや電気配線の一部、電子制御装置や配線の一部、モーター部が水に浸かったことが懸念される場合は、電装品、電気配線がショートし易くなっており、漏電の危険があります。さらに、最悪の場合には火災につながることがあります。
水が引いて農業機械に接近できるようになったら、バッテリーのマイナス側ターミナルを外し、ターミナル及びコードの端子をビニールテープ等で巻いて下さい。以下HPに自動車の場合の参考図(国土交通省)がありますが、同様にして下さい。
http://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_fr09_000100.html
乾燥機の場合は電源のブレーカースイッチ等を切って下さい。
2.修理・整備による回復の可能性
物理的な変形があった場合はもちろんですが、泥水に浸かっただけであっても修理・整備による以前の状態への修復が難しいこともあります。水が引いたらなるべく早く乾燥させ、先ずは最寄りのJA農機センター、農機販売整備業者等に相談して下さい。
3.機体の損害が著しい場合の対応策
被害が甚大な場合や作業を目前に控えている場合は、修理に時間がかかることも想定されますので、早めに代替機やレンタル機、農作業受託事業者の手配などを行って下さい。
4.修理・整備の費用は少なくない場合もあります
修理・整備の費用ですが、交換する部品は外観上の問題箇所だけでなく、泥水が侵入した部品装置にも及んでいる可能性があるため、分解・洗浄・部品交換などの費用が嵩む場合もあります。
また、場合によってはしばらくは順調に稼働しても、再び不具合が発生することもあり、異常を感じたら早めの点検・整備を受けることをお勧めします。
5.不具合が発生しやすい個所と修理可能判断の目安
水に浸かった場合、エンジン各部やギアミッション、油圧制御装置や電子制御装置、ブレーキ、各種のベアリングやハーネス類、バーナーなどが損傷しているのではないかと考えられます。
外観上、問題がないと思われる場合でも、泥水などがブリーザーパイプやマフラーなどから流入し、サビの発生や精密部品の損傷を招いていることも懸念されます。
本会は、泥水に浸かったトラクター、田植機、コンバイン、乾燥機に想定される不具合個所と修理可能性について、個別に判断の目安を作成しました(下記機種をクリック)。ユーザーの皆様がJA農機センターや農機販売整備業者等へ修理・整備を依頼される際の参考として下さい。また、浸水被害を受けた農業機械の損傷状況写真を参考までに掲載しています。
一般社団法人 日本農業機械化協会