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農業機械関連ニュース

2025年9月10日発行

<業界短信-新製品9月>

1.三菱マヒンドラ農機が
  高速ディスクハローなど2025年下期新商品発表

2023年の発売以来、高速耕うん性能で高い評価を得て販売台数を伸ばしている高速ディスクハローKUSANAGIシリーズの追加機種として、上位クラス60~105馬力トラクター向けの「KUSANAGI Plus MDH2022」を8月に発売した。また、2025年下期新商品として、三菱コンバイン「XC217」「XC220」、三菱田植機「LD4」「LD6」「LD8」の3機種5型式を発表した。
 このうち、KUSANAGI Plus MDH2022は、2023年の発売以来、高速耕うん性能で高い評価を得て販売台数を伸ばしているKUSANAGIシリーズの追加機種として、上位クラス60~105馬力トラクター向け。作業幅の拡大に合わせてディスクの枚数を増やし、前後のディスクピッチを150mm拡大するなどの変更を加えた。
 主な特徴は、

  1. 高速で耕うん作業をする高効率作業機=作業幅2.2m、作業速度10~13km/時で一気に耕すことで、一般的なロータリー作業と比較して約4倍効率的な耕起作業が可能。PTO動力を使わないため、耕うん面積に対する消費燃料は約4分の1に削減
  2. 可変ウエートシステム(0~360kg)採用で柔らかい圃場でも硬い圃場でも安定した性能を発揮。本体フレームの上4カ所に最大360kgのウエートが搭載可能。トラクターの牽引力と好みの耕す深さに合わせてウエートの組み合わせを調整し、作業深さ0~150mmが可能
  3. 大径花形ディスクとトゥースローラーできれいな粗耕起が可能。2列の左右逆方向に向いた径560mmの花形ディスクローラが残渣や根っこ、甘藷のツルを確実に切断し、反転させた土をトゥースローラーがさらに粉砕、混和、鎮圧し、きれいな粗耕起ができる

-など。


 また、三菱コンバインの主な特徴は、

  1. ゆとりの作業を実現=大排気量、低燃費のE-TVCSクリーンディーゼルエンジンは、高出力で粘り強く、負荷のかかるボリュームのある作物や、湿田や倒伏作物の悪条件でも刈取り作業に余裕が生まれる。ロングこぎ胴とワイドサイズの揺動板は、高精度な脱こくと選別が行える
  2. 楽刈機能で煩わしい作業を省き、刈取り作業を「ラク」に「楽しく」=「楽刈ボタン」1つで、エンジン回転、脱こく・刈取りクラッチ、自動こぎ深さが一度に操作できる
  3. 操作性を追求した快適な運転席廻り=液晶パネルは、ひと目で作業状況がわかり安心して作業ができる

-など。


 4条乗用田植機「LD4」の主な特徴は、

  1. わかりやすくて簡単な操作と、小回りが利くコンパクトサイズが特徴で、自動機能が植付け作業をしっかりサポートし、煩雑な操作なしで快適に作業ができる
  2. 畦越え時の不安を解消する安心・安全装備も充実しており、作業の初めから終わりまで、初心者も安心して楽々

-など。

2.クボタがKSASに「みえるらべる」取得支援の新機能追加

営農支援システム「KSAS(Kubota Smart Agri System)」において、農林水産省が推進している農業生産者の環境負荷低減の取り組みを見える化するための「みえるらべる」の取得を支援する新機能を追加した、と発表した。「みえるらべる」取得をサポートする営農支援システムは、KSASが初めてとなる。取得を支援する新機能では、従来「みえるらべる」の取得に向けて、農業生産者が別途行わなければならなかった農作物の生産過程における温室効果ガス排出量と削減への貢献率の算定および農林水産省への報告を、KSASに記録された栽培データを用いることでKSAS上で一括してできるようになった。 対象作物は米で、KSAS会員であれば無料で利用できる。同社は、「みえるらべる」の普及を推進し農業における環境負荷低減を加速させるとともに、付加価値向上による農業生産者の収益性の向上に貢献していく、としている。
 追加された新たな機能の主な内容は、

  1. 生産段階における温室効果ガスの排出量及び吸収量、地域の慣行栽培と比較した削減への貢献率の算定
  2. 農林水産省への報告
  3. 農林水産省からの算定結果の受領
  4. みえるらべるの使用に必要な等級の取得
  5. 登録番号の受領

-となっている。

3.タカキタがコンビラップマシーン新発売

コンビラップマシーン「VCW1350N」(公道走行対応)を新発売した。梱包からラップまで1台で、高品質なサイレージを素早く作製する。ネット専用・ベルトタイプ芯巻き・ロールたておろし標準装備で、ベールの規格は直径120~130cm×幅118cm、適応トラクターは73.6~110.3kW(100~150PS)、作業能率は5~10分/10a。
 主な特徴は、

  1. 梱包とラッピングを同時に作業=梱包とラッピングを同時に行うため効率よくベールを作製することが可能、トラクター1台で作業できるため省力化にもつながる
  2. 芯巻きの可変径ロールベーラタイプ=ロールベーラ部は可変径の芯巻きタイプになっている。ベール成形には耐久性に優れた2本の幅広ベルトを採用しているため、芯づくりから安定した作業が行え、隙間からのこぼれも低減
  3. たておろし装置=たておろし装置によりベールはフィルムの厚い部分を下にして放出されるため破れを抑制できる。また、ベールグラブでつかみやすい向きとなるためスムーズに次工程の作業を行える
  4. 全自動モード=ネット巻きからラッピング、放出までを自動で行う全自動機能を搭載。ベール作製に必要な操作を削減し、より簡単に作業を行える
  5. コントロールボックス=コントロールボックスはタッチパネル式のカラー表示で見やすく、操作も簡単。ベール放出やチャンバーの開閉操作のほか、ベール径、ネット・ラップ巻き数、作製したベール数も表示

-など。

4.ササキコーポレーションが電動除雪機新型を発売

電動除雪機「オ・スーノ」の新製品ER-802DXを新発売した。同機は、みんなにちょうどいい電動除雪機を掲げて開発しており、家電感覚でパワフルに除雪できるという従来のオ・スーノの特徴はそのままに、さらなる使いやすさを追求して新たな機能を加えた。
 主な新しい特徴は、

  1. ハンドル高さの2段階調節機能。ハンドル両側のレバーを緩めるだけで簡単に高さを2段階調節できるようにし、ユーザーの体格や作業の内容に応じて最適な姿勢で作業できることから、身体的負担を大きく軽減する
  2. サイドプレートの跳ね上げ&取り外し機能。従来機も取り外し機能は備えており、これに跳ね上げ機能をプラスしたことで、雪寄せの場合はサイドプレートを跳ね上げるだけで準備ができ、作業中にサイドプレートを置き忘れたり紛失したりの心配がなくなった壁際の雪寄せの場合は、従来通りサイドプレートを取り外して作業することが可能で、いずれも工具なしの簡単作業

-など。


 また、従来機と共通の特徴は、

  1. バッテリー駆動のため住宅地でも時間や音を気にせず静かに作業
  2. モーターが足回りのクローラを直接駆動するため、コンパクトながらパワフルな除雪性能
  3. 始動はキースイッチをオンにするだけ。前・後進操作は走行レバー1本で簡単。スロースタート機能搭載で走行スタートの際はゆっくり動き出すため安心
  4. 前・後進レバーの位置で速度を無段階調整
  5. 同社だけの旋回アシストターン機構により手元のボタンを押すだけで簡単に方向転換
  6. ブレードの角度を左右に調整でき、雪を片側だけ寄せる雪寄せ除雪が可能
  7. ハンドルを折りたたむと高さはわずか53cmとコンパクト
  8. LEDライトを標準装備し、早朝、夕方の作業も快適

-などとなっている。

<業界短信9月>

1.農研機構の新しい安全性検査の初合格機に
 クボタ、井関農機、ヤンマー

農研機構は農業機械の新しい安全性検査制度に初めて合格したトラクター、コンバインの2機種39型式の農業機械を公表した。今回、農業機械の新しい安全性検査制度に基づく基準に初めて適合した農用トラクター(乗用型)35型式(クボタ、ヰセキ)、コンバイン(自脱型)4型式(ヤンマー)が、合格し公表された。
 今回公表された型式のトラクター(乗用型)には、新たな安全機能として、シートベルトの非装着を運転手に警報等で通知する「シートベルトリマインダー」や、離席すると動力取出軸への動力が遮断され、運転手が誤って作業機等に巻き込まれることを防ぐ「PTOインターロック」などが装備されている。今後、これらの安全性が高まった農業機械が普及することで、農作業事故の減少が期待される。トラクターは2027年より適用される基準に先行して適合し、コンバインは2025年基準に適合している。

2.JA全農が第49回通常総代会開催

都内のホテルで、第49回通常総代会を開き、令和6年度事業報告などを承認した。業務報告書によると、6年度の農機取扱高(実績)は1228億円で、前年比105%と増加した。共同購入コンバインの6年度実績は519台となった。総代会終了後、東京・大手町のJAビルで、桑田義文理事長、齊藤良樹専務、尾本秀樹専務(新任)が出席し、記者説明会が行われた。
 6年度の事業報告では、生産振興の取り組みとして、

  1. 生産性向上のため、デジタル技術を活用した効率的な営農栽培支援システムの普及や、コスト低減に向けた農薬の担い手直送規格の取り扱いを拡大
  2. 果樹の省力生産方式の普及に向けたモデル園地での実証や、水稲の新たな省力栽培技術の実証、国内研究機関と連携した高温耐性・多収性の水稲品種開発
  3. JA域を超えた広域米麦種子センターの整備や青果物の広域集出荷施設の安定稼働

-などを展開。

生産者の生産性向上やコスト低減など最適な生産に向けた提案としては、化成肥料の銘柄集約や集中購買の促進、農薬の担い手直送規格の取り扱い拡大、生産者が必要な機能を厳選した共同購入コンバインの提案活動。「担い手営農サポートシステム(NEサポシステム)」などを活用した担い手への出向く活動の強化、営農管理システム「Z-GIS」や営農栽培支援システム「ザルビオフィールドマネージャー」などスマート農業の普及拡大、需要や収益性をふまえた水田活用米穀などの作付け提案の実施などを実施した。

3.井関農機が青森で農業女子向け
 トラクターのメンテナンス講習と展示会ツアー

青森県十和田市のイオンスーパーセンター十和田で開催された「南部合同アグリジャパンフェスタ」で、ISEKI Japan東北カンパニー青森営業部が実施する農機展示会において、女性農業者限定展示会ツアーとトラクターのメンテナンス講習を実施した。これには、昨年10月に発足した組織横断の女性推進チーム「ISEKI Agrinno Ladies『さなえ倶楽部』」が参画し、参加した青森県内の女性農業者7名に、女性農業者限定展示会ツアーとトラクターのメンテナンス講習を行った。
 ISEKI Japan東北カンパニー青森営業部が実施する農機展示会において、女性農業者限定展示会ツアーとトラクターのメンテナンス講習を実施した。使用・展示機械はトラクター「しろプチ」と耕うん機。さなえ倶楽部メンバーの案内による展示会会場を回るツアーで、EGOバッテリー商品や農薬、肥料、最新トラクターを紹介。ツアー後は電動乗用芝刈機とCHCNAVを搭載したBFトラクターの試乗体験を行った。休憩後、農業女子コーナーにてさなえ倶楽部メンバーを講師にトラクター「しろプチ」を使ったメンテナンス講習を行った。最後に記念撮影を行い、農業女子のための農機展示会ツアーの意義をとどめた。参加者からは、「聞きたかったことを聞くことができ、楽しく和気あいあいと参加できて良かった」「肥料や薬剤のことを知れたり、ふだんは使用できない機械に試乗でき楽しかった」「今回のような女性だけのイベントに参加する機会がほとんどないのでとてもよかった」などの感想が寄せられた。

4.タカキタの新溶接工場が稼働開始

昨年から建設を進めてきた新溶接工場が1月に竣工、この4月から本格的に稼働を開始したと発表した。同社では「社内溶接の能力を30%以上引き上げることを目指す」とし、治具管理の効率化、生産現場のデジタル化をさらに推進する。投資額は約5億円。新工場は、製品の大型化に伴い組立ラインが手狭になってきたため、従来の組立ラインから溶接工程を分離し、専用の工場棟を建設した。また、製品の多品種少量生産かつ大型化に伴い溶接に必要な治具の数が増大し、その保管や管理が大きな課題となっていた。これらの課題を解決し、生産能力を向上させるため、新溶接工場を建設した。
 新工場の主な目的・特徴は、

  1. 溶接生産能力の強化=社内溶接の能力を30%以上引き上げることを目指す。とくに新品の溶接に関してはほぼ全て社内で溶接できるように。今後は外注依存度を下げ、自社での一貫体系を強化
  2. 治具管理の効率化=治具専用の倉庫を設け、約1000枚のパレットに載せられた治具を整理整頓し、どこにあるかをすぐに特定できるシステムを導入。これにより治具を探す時間が大幅に削減され、溶接作業に充てられる時間が増加
  3. デジタル化(DX)の推進=従来の紙の図面をすべてPDF化し、現場の作業員がタブレットで閲覧できるようにした

-など。

5.クボタが関西・大阪万博でアグリキッズサミット開催

大阪・関西万博のテーマウィークスタジオにおいて「クボタアグリキッズサミット2025」が開催された。12人の小学4~6年生が、未来の食と農業について今できることを「アグリキッズ・アクション宣言」として発表し、有識者たちと意見交換をするイベントで、同万博のテーマウィーク「学びと遊び」の一環として開催されたもの。ステージに登壇した12人は、全国から集まった100人の子どもたちの代表として発表を行い、88人はオンラインで参加した。
 このイベントに参加した100人は「『おいしいものを、安心して食べられる未来』を作るために、これから出会う仲間と一緒にチャレンジしてみたいこと」というアンケートへの回答に基づき、応募総数約800人から選ばれ、北海道で3日間の合宿などを行った。また、ステージにはパネラーとして日比絵里子氏(国際連合食糧農業機関駐日連絡事務所長)、野口伸氏(北海道大学大学院農学研究院長・教授)、中仙道怜氏(高校生Farmer)、小島よしお氏(お笑い芸人・野菜芸人)の4人が登壇した。
 子どもたちが発表した宣言は、「地元のものを食べて農家を応援する」や「農業の大切さや面白さを伝える動画を作る」など前向きなものから、農業をテーマにしたカルタや農作物を栽培するデジタルゲームを実際に作ったという創作的なものなど様々だった。イベントの後、取材に応じた小島よしお氏は「子どもたちの未来への展望、また知識と行動力に驚いた。今日の宣言を国会でも発表してほしい」と絶賛した。

6.クボタが2025年12月期第2四半期決算を発表

2025年12月期第2四半期(中間期)決算短信(IFRS=国際財務報告基準)を発表した。それによると当中間期(2025年1月1日~2025年6月30日)の売上高は前年同期比1247億円(7.9%)減少して1兆4549億円となった。国内売上高は機械部門、水・環境部門の増収により前年同期比266億円(8.7%)増の3323億円となった。海外は機械部門の減収により前年同期比1513億円(11.9%)減の1兆1226億円となった。また農機・エンジン部門の国内売上高は1578億円で198億円(14.4%)増となった。通期の連結業績予想は売上高2兆8800億円(前回発表予想(2025年4月13日発表)は3兆500億円)、営業利益2200億円(同2800億円)、親会社の所有者に帰属する当期利益1420億円(同1960億円)と下方修正した。 会見には花田晋吾代表取締役副社長執行役員機械事業本部長、鶴田慎哉エグゼクティブオフィサー(EO)農機国内本部長、横溝敏久農機国内企画推進部長、若園真理恵同マーケティング推進課長が出席した。決算概要の主な説明は次の通り。
 第2四半期の実績は売上高1兆4549億円、営業利益1430億円、親会社帰属純利益925億円。為替の影響を除くと売上高が1100億円、営業利益が477億円減収となっている。日本市場では前年同期比で売上げが188億円増加した。これは売上げに関して、米価上昇に伴い農機市場が好調に推移し、農家人口減少にもかかわらず数年ぶりに回復に転じ、製品を遅れなく供給することで昨年を大幅に上回る売上げを達成した。建機に関しても、建設工事や都市再開発向けの需要は工事の遅延で若干スローながら概ね順調に推移した
 -など。

7.ヤンマーホールディングスがYANMAR CAFE開店

東京・八重洲の複合施設「YANMAR TOKYO」1階のヤンマー米ギャラリー内に、クリエイティブディレクターの佐藤可士和氏がプロデュースしたカフェ「YANMAR CAFE」をグランドオープンした。日本酒アイスクリームやノンアルコールの甘酒などを販売し「HANASAKA(ハナサカ)」のもと、日本の食文化や農業の魅力・可能性を発信していく。
 YANMAR TOKYOは「人の可能性を信じ、人の挑戦を後押しする」という同社の価値観「HANASAKA(ハナサカ)」のもと、日本の食文化や農業の魅力・可能性を発信する拠点として、2023年1月に開業した。ヤンマー米ギャラリーでは、米づくりの歴史と現状を学び、未来の米づくりのあり方について考える体験型コンテンツを提供しており、これまでに延べ約19万人が来場している。今回オープンしたYANMAR CAFEはテイクアウト中心のカフェ。店内では、YANMAR TOKYO内の日本酒アイスクリーム専門店「SAKEICE Tokyo Shop」を運営する株式会社えだまめ(東京都渋谷区)が手掛ける日本酒アイスクリームに加え、産地や製法にこだわったノンアルコールの甘酒などを販売している。東京駅へのアクセスが良いので気軽に立ち寄れる。ゆったり過ごせるイートインスペースも設置した。ヤンマー米ギャラリーでは今後、米に関するオリジナルメニューの開発やイベント開催などを通じて、米の魅力を再発見できる新たな価値提供を目指す。

8.愛媛県から井関農機に感謝状

同社の砥部事業所(愛媛県伊予郡砥部町)が令和7年度献血運動推進協力団体などに対する愛媛県知事感謝状を受けたことを明らかにした。同事業所は、長きにわたり献血の啓発活動や継続の取り組みを推進しており、その功績が認められ表彰された。
 贈呈式は、同日、愛媛県庁で執り行われ、開発製造本部長の代理として総務部の松山総務グループ長が感謝状を受け取った。同事業所は、今回の表彰を励みに、引き続き献血等の社会貢献活動を行っていくと、改めて取り組みの継続意志を示した。

9.サタケのKOMECTがKSASと連携

ライスセンターや精米工場向け生産支援システム「KOMECT(コメクト)」がクボタの営農支援システム「KSAS」と機能連携した。「KOMECT」はライスセンターや精米工場などでDXを活用し、生産情報の収集・活用や生産性の向上、顧客の利益改善などを図る生産支援システム。「KSAS」は、クボタが提供する農業経営課題の解決をサポートするインターネットクラウドを利用した営農支援システムで、今回の連携により、KSASに登録済みの圃場データをKOMECTに取り込むことができるようになる。KOMECTの新規利用に当たって、KSASの利用者は圃場データの二重登録が不要となり、稲の生育や施肥の管理などのプレハーベストの工程から、乾燥や調製、計量などのポストハーベストの工程まで幅広い工程のデータを、1つの圃場データに効率的に集約できるようになる。
 クボタが提供するデータ連携ツール「KSAS API」を用いてKSASで管理されている圃場データをKOMECT側へ取り込むことができる。取り込む圃場データの項目は「圃場名」、「作付品種」、「地番」、「面積」の4項目。「KSAS API」が提供する情報を使用して、前記圃場データを生成しKOMECT側に取り込む。なお、KSAS APIの連携料金(税別)は1万2000円(1年間、毎年更新、KOMECT、KSASの利用料金は上記に含まれない)。サタケは、今後もKOMECTの導入推進を図り、ユーザーの利益改善や生産性の向上などに貢献していくとしている。

10.タカキタが2026年3月期第1四半期決算

2026年3月期第1四半期決算短信(2025年4月1日~2025年6月30日)を発表した。それによると、売上高は11億8100万円(前年同期比25.2%減)、営業利益は9300万円の損失、経常利益は7800万円の損失、四半期純利益は5600万円の損失となった。通期予想は売上高72億円(前期比2.7%増)、営業利益3億5000万円(同1.5%増)、経常利益3億8800万円(同2.9%減)、当期純利益2億5400万円(同55.2%減)と、4月30日に公表した予想を据え置いた。
 決算概要をみると、農業機械事業は、米価高騰による水田市場での需要が回復基調にある一方で、主力である畜産・酪農市場では、輸入飼料や肥料、燃料費の高止まりなどを背景として機械投資が低調に推移した。国内売上高は、有機肥料散布機の受注が堅調に推移したものの、国産飼料増産に寄与する牧草梱包作業機や細断型シリーズなどのエサづくり関連作業機の受注は低迷し、前年同期比で減収となった。海外についても、欧州および韓国市場における需要停滞が続いており、減収となった。以上により、農機事業全体の売上高は、前年同期比3億6900万円減少し10億8200万円(前年同期比25.4%減)となった。軸受事業においては、得意先からの受注減少により、売上高は前年同期比2800万円減少し9800万円(同22.6%減)となった。

11.JA全中の山野会長が来年3月に辞任意向

山野徹会長は定例会見で、来年3月をメドに会長職を辞任する意向を表明した。新Compass-JA事業の損失発生に端を発した諸課題への対応に一区切りがついた時点で辞任する考え。
 定例会見の要旨は次の通り。

  1. 15%の相互関税が我が国の農畜産物の対米輸出に与える影響について精査するとともに、輸出に取り組む産地や事業者への万全な対策の措置を引き続き求めていく
  2. 理事会において、JAグループとして「令和8年度農業関係予算に関する要請」を決定した。令和8年度予算概算要求において、農業構造転換集中対策を推進するため、農業関連予算総額の抜本的な拡大が必要であり働きかけを進めていく
  3. 全中が進めてきた新Compass-JA事業の損失発生に端を発した諸課題への対応について、職責を全うして難局を乗り切っていくことが、私に課された責任である。その対応について組織として決定する時点を一つの区切りとして会長の職を辞することを本会理事会JA中央会・全国機関会長会議で表明した。時期については、令和8年3月になる。「JA全中刷新プラン」の実践は、新しい会長に牽引していってもらうこととなるが、それまでの間は、職責を全うして難局を乗り切っていくことで、しっかりと全中会長としての責任を果たしていく

-など。

12.やまびこの芝刈機などが電動化促進事業に採択

子会社であるやまびこジャパンが販売するロボット芝刈機など電動農業機械3機種5型式が、令和7年度「農業機械の電動化促進事業」の補助対象機種として採択された。同事業は環境省および農林水産省が共同で推進する農業機械の電動化促進を目的とした補助制度。全国の農業現場における電動農業機械の導入を支援し、CO2排出削減や生産性向上に資するモデルケースの形成を目的としている。採択された対象機種は、ロボット芝刈機「TM-1000/TM-1050」、「TM-2000/TM-2050」、電動高所作業機「KCEB250/R」、電動作業機「KWE103」、「KWE104」の3機種5型式。ロボット芝刈機「TM-1000/TM-1050」、「TM-2000/TM-2050」は無人管理で昼夜問わずフルタイムでの稼働が可能。常に刈り続けることで芝を伸ばさず、刈り揃った状態を維持する。高所作業機「KCEB250/R」は走行クラッチが不要で軽快かつ滑らかな走行が可能な電動モデル。モーター駆動により作業音は非常に静か。早朝や住宅地付近でも周囲に配慮した作業が行える。電動作業機「KWE103」は棚下作業から運搬作業まで1台でこなす。春先の剪定、誘引作業から収穫まで座ったまま作業可能。シートを外せばコンテナ6個を運べる運搬台車としても使える。
 同社は「人と自然と未来をつなぐ」という企業理念のもと、自然環境や社会課題の解決に資する製品開発に注力してきた。今後も電動製品のラインアップ拡充を進め、農業現場の脱炭素化と作業効率向上に貢献していく。補助対象機種の登録事業者は同社販売子会社であるやまびこジャパン。

13.クボタが物流関係でロジスティックス大賞 社会性特別賞受賞

公益社団法人日本ロジスティクスシステム協会(JILS)が実施する「第42回ロジスティクス大賞」で、クボタがロジスティクス大賞社会性特別賞を受けた。同賞はロジスティクスで優れた実績をあげた企業・団体を表彰するもので、同協会が5日に発表。大賞には一般社団法人運輸デジタルビジネス協議会と格式会社traevoの「共同輸送データベースの普及によるフィジカルインターネットの実現に向けて」、準大賞はミスミグループ本社の「機械部品業界のサプライチェーン在庫可視化によるロジスティクス最適化」、技術革新特別賞は花王の「デジタルデータ・先端技術を活用した完全自動化倉庫実現によるドライバー・作業員不足への対応」が選ばれた。
 クボタは「複数民間企業連携による東京港オフピーク輸送トライアルプロジェクト」が評価された。同社が主導した同トライアルは、民間企業同士の連携により、輸送時間帯の平準化とドライバー負荷の軽減を実現する先駆的な取り組み。東京港の混雑を回避する夜間輸送や午前中搬出入へのシフトにより、待機時間の短縮・輸送効率の向上・温室効果ガス排出量の削減など、複数の効果を実証した。特に、荷主企業と物流企業の連携による制度・業務・意識面を含む多角的なアプローチは単なる実証に留まらず、持続可能な運用の実装可能性を見据えた枠組みとなっており、今後の継続実施や対象企業の拡大によって、社会的課題の解決に資するモデルとしての展開が期待される
 -と高く評価されている。

14.井関農機が2025年12月第2四半期決算を発表

2025年12月期第2四半期(中間期)決算短信を発表した。それによると、売上高は、前年同期比97億3400万円増加し、1008億6800万円(前年同期比10.7%増加)、うち国内は同109億7600万円増加の658億4000万円(同20.0%増加)、海外は同12億4200万円減少の350億2700万円(同3.4%減少)となった。利益面では営業利益は同21億4600万円増加の43億5600万円(同97.1%増加)、経常利益は同13億2200万円増加の37億9200万円(同53.6%増加)となり、大幅な増収増益となった。冨安司郎社長は「手応えのある業績を出すことができた。浮かれることなくプロジェクトZを完遂させることで、次の100年の礎をしっかり作ってまいりたい」と述べた。
 冨安社長は、国内が第1四半期に続いて大幅な増収になったことについて、

  1. 米価上昇による農家の購買意欲の高まりが続いたこと
  2. この7月から価格改定を行い、改定前に駆け込み需要が生じた
  3. 収支構造改革の柱とする作業機、部品、修理収入が堅調に増加
  4. 施設工事で大型物件の完工があった

-と指摘。一方、海外が12億円の減収になったことについては、欧州は為替影響で減少も、フランス堅調、イギリスPTC社(プレミアムターフケア社)連結化効果で現地通貨ベースでは続伸、北米は市場の弱含み継続により減収、アジアでは韓国、インドネシアで増収となった、海外売上高比率は34.7%
 -などとした。

プロジェクトZの進捗は、抜本的構造改革、すなわち生産拠点の再編や販売会社の統合など、主要施策については概ね計画通りに進んでいる。在庫圧縮については国内の売上げ増加により計画を上回る成果を上げている。一方で、開発の最適化による製品利益率の改善、および経費削減に一部遅れが見られるが、2025年はこの2項目についての計画通り利益の発現は果たしていける見込みとした。

15.やまびこが2025年12月期第2四半期決算を発表

2025年12月期第2四半期(中間期)の業績を公表した。それによると、売上高は前年中間期比5.7%増の912億8800万円、営業利益は同3.1%増の117億4300万円、経常利益は同14.9%減の107億8600万円となった。チェンソーや刈払機、防除機などの小型屋外作業機械は、国内は同4.3%増の77億2100万円、水田管理作業に使う防除機などの農業用管理機械の国内は同7.7%増の96億6300万円と、国内の農機は順調推移となった。
 売上高は国内、海外ともに伸長し、北米はホームセンター向けを中心に伸び、欧州市場でも新型ロボット芝刈機や小型屋外作業機械が好調で、海外売上高は同6.4%増の682億円となった。国内は米価格上昇を背景に農業従事者の購買意欲回復が継続、同3.4%増の230億円となった。他方、海外の一般産業用機械は、米国市場での関税政策に伴う先行き不透明感から現地レンタル会社の買い控えが生じ、主力の発電機を中心に販売が減少した。損益については、営業利益は販管費が増加したものの、生産台数増加により生産効率が改善した。一方、経常利益は米ドルが円高基調で推移したことから為替差損となった。連結業績予想については、「関税率などの不透明な部分もあるが、現時点で分かっている米国の関税政策に対しては価格対応や経費の追加削減により影響を最小限にしていく」とし、5月13日公表の業績予想から変更はない。

16.日本農業機械工業会が
 シートベルト装着義務トラクター識別ステッカーを制定

シートベルト装着が義務付けられた農耕トラクターを識別するためのステッカーを日農工規格として制定した。令和9年1月1日以降に製造されるトラクターに適用する。 国土交通省が6月17日に改正した道路運送車両の保安基準等により、令和9年以降に製造されるトラクターはシートベルト装備が義務付けられることとなった。それに伴い、同トラクターで公道を走行する場合は道路交通法に基づき、シートベルト着用が義務付けられる。これを踏まえて、日農工では、9年より前に製造されたトラクター(ベルト着用が義務付けられない)と、9年以降に製造されたトラクター(ベルト着用義務)を外観で識別できるようにするため、公道走行分科会で検討を行い、識別用のステッカーに関する日農工規格を7月31日付で制定した。
 ステッカーのデザインは、ISO7000-1702に規定されたシンボルと「座席ベルト着用義務車」の文字を組み合わせたものとし、横型または縦型のいずれかを選択して使用。ステッカーの地色は白色とし、枠線、シンボル及び文字の色は黒色とする。ステッカーの面積及び形状は、面積は3000平方mm以上、縦横比は横型が約0.25、縦型が約1.2を目安とする。また、貼付位置はボンネットの左右の側面に1枚ずつ貼付するものとする。ただし、ボンネットのいずれかの側面にコーナーポストマフラー、燃料給油台等が配置されていることにより同側面の貼付が困難な場合は、同側面の反対側に1枚のみを貼付できる。同規格は令和18年12月31日をもって効力を失うものとするが、19年以降もなおステッカーの貼付が必要と判断する場合には、有効期間を延長できるものとしている。

17.クボタがKSASで「べっぴんふぁーむ」への出品申請受付

営農支援システム「KSAS」を利用する農業生産者を対象に、同社がグループ社員向けなどに運営する農産物の産直サイト「クボタべっぴんふぁーむ」で農産物の出品申請の受付を開始した。KSAS会員向けのウェブサイト「KSAS Marketplace」から申し込みが可能で、農業生産者の販路拡大を後押しする。「クボタべっぴんふぁーむ」が利用できるのは同社グループおよび取引先企業の社員等。
 「クボタべっぴんふぁーむ」は、同社グループのユーザーの農産物の販路拡大を支援することを目的に、同社が運営する農産物の産直サイト。同サイトへの出品は、従来、同社の販売会社から紹介を受けた農業生産者に限定されていたが、KSASを利用している農業生産者の販路拡大のため、全国のKSAS利用者からの出品申請の受付を開始した。出品決定後はWebサイトでの商品ページの作成などを同社が無料で支援するため、農業生産者は費用などの負担なく、気軽に販路拡大に取り組むことができる。今後は、農林水産省の推進する「みえるらべる」を取得した米・米加工品など、KSASのデータを活用した付加価値のある農産物の取り扱いも拡大する予定。申請方法は、KSAS Marketplaceの「農産物販売サイト出品者募集」のページから申し込む。申請後、審査を経て出品が決定される。出品できる作物は米、野菜、果物、畜産物など(加工品を含む)。