2024年11月11日発行
<業界短信-新製品11月>
- ヤンマーアグリが直進アシストトラクター「YT4Aシリーズ」発売
- 三菱マヒンドラ農機がコンパクトトラクター4型式発売
- 松山がウィングハローWRZ10シリーズを新発売
- スズテックがニラ調製機など新商品5機種発表
<業界短信11月>
- 丸山製作所が130周年記念キャンペーン開始
- 静岡製機が110周年キャンペーン第2弾
- 井関農機が農業女子プロジェクトの女性推進チーム発足
- 井関農機が第29回さなえ全国子ども図画コンクールの審査結果発表
- オーレックホールディングスが広川町と包括連携協定
- ヤンマーホールディングスがヤンマーパワーテクノロジーを分社化へ
- 2024年度グッドデザイン賞を業界からも多数受賞
- クボタの新テレビCMがオンエア
- 井関農機がJ-クレジットの収入試算を発表
- 松山が松山記念館第30回文化講演会を開催
- 日本農業機械工業会が機種別部会長を選任
- ヤンマーアグリが参画するキャベツ栽培自動化コンソーシアムが自動収穫の成果実演
- 金子農機が草の実トレンダーの特許登録
- 三菱マヒンドラ農機が役員人事を発表
- スズテックが「栃木県フロンティア企業」認証受ける
- JA全中が第30回JA全国大会を開催
- 令和6年度東北地方発明表彰で和同産業、ササキコーポレーションが受賞
- やまびこの米国子会社がグリーンビジネス賞受賞
<業界短信-新製品11月>
1.ヤンマーアグリが直進アシストトラクター「YT4Aシリーズ」発売
ICT技術を活用し、農作業の高効率化・高精度化を実現する直進アシスト仕様のトラクター「YT4Aシリーズ」3型式を発売。同機の発売により、YTトラクター全シリーズに「直進アシスト仕様」がラインアップされた。重作業機を余裕で持ち上げられて、牽引作業も高能率なのに小回りも利く」「水田にも畑にもちょうど良い車格」とプロ農家からの評価が高い「YT4シリーズ」に直進アシスト機能を搭載した。これにより、オペレータの作業負担を軽減するとともに、操作に不慣れな生産者でも高精度な直進作業を可能にした。
主な特徴は、
- 直進アシスト機能=D-GNSS方式の自動操舵システムを採用し、事前に基準線のA点・B点を登録することで、基準線と平行に正確な作業を行う。また、直進作業後の旋回時にハンドルを切るだけで、作業機が自動で上がり、直進アシスト機能も自動でOFF。旋回後に作業機昇降スイッチを下げるだけで直進アシスト機能も自動でONとなる連動機能で、オペレータはハンドル操作に集中できる。
- 直進の精度を極める「RTKアップグレードキット」(オプション)=RTKとは既知点からの補正観測情報をインターネット回線や無線を利用して、トラクター(移動局)に送信し、トラクターの位置をリアルタイムで測定する方法。RTK-GNSSでは、±2~3センチの精度で作業が行える。同キットを使用すれば、特に高精度な作業が求められる播種作業や畦塗り、畝立てに適した作業ができる。
- 作業幅、ラップ幅を設定し、効率アップ=作業幅やオーバーラップ幅を設定することで、未耕地が減り、重複部分を少なくすることができる。さらに1~2行程の畦飛ばしも迷わず等間隔で作業でき、余裕をもって圃場を荒らしにくい旋回ができる。
- エンジンは安定したパワーと粘りを発揮する高出力コモンレールエンジンを搭載=コモンレールエンジンは、ECU(エンジンコントロールユニット)の電子制御によって、最適なタイミングに最適な圧力で燃料を噴射。燃料を完全に燃焼する。エンジンと噴射ポンプのマッチングをはじめとした独自の技術で、ハイパワー、高トルク、低燃費化を実現した。
2.三菱マヒンドラ農機がコンパクトトラクター4型式発売
11月11日にフルモデルチェンジした新型コンパクトトラクター「XS18・20・23・25」を発売する。頼もしい作業性能と心地よい操作性を追求し、生まれ変わったコンパクトトラクター。細部にこだわり使いやすさに磨きをかけた各種装備、均平耕うんシステムを全モデルに標準装備。きれいな仕上がりとフィットする使いやすさで心地よい作業性を届ける。
主な特徴は、
- X(クロス)シリーズの新デザインでXシリーズの頼もしさを表現
- 三菱重工製1.318Lの3気筒パワフルエンジン搭載。馬力、排気量アップで踏破性が向上
- 身体に馴染んで心地よく、直観的に操作できるフィットするインテリアデザイン
- ジャイロセンサーを搭載し、本機が傾くスピードに応じてロータリの傾くスピードも自動制御できれいな仕上がり。だれでも、かんたん均平耕うんシステムを全モデルに標準装備
- 取り回しの良いコンパクト、小回り性能抜群で高い作業性を実現
- 各種情報を表示するパネルには見やすい液晶モニターを搭載し情報表示と設定操作がシンプルでわかりやすい
- シートベルトリマインダーなどの安全機能も備え安心・安全が充実、PTO安全装置機能も
-など。
3.松山がウィングハローWRZ10シリーズを新発売
好評のウィングハローWRZシリーズをモデルチェンジし、「ニプロウィングハローWRZ10シリーズ」として11月から新発売。対応馬力、作業幅ラインアップは現行モデルを引き継ぎ、30~60馬力で3.2、3.4、3.6、3.9及び4.2メートルの5種類を用意。同社では「オペレータが思った通りの代かきを実現し、効率よく作業を行うための新機能を詰め込んだ」としている。
主な特徴は、
- 新機能である「SOILPRESSURE」(均平板加圧)を搭載。砕土の良い土質の圃場や、横吐きを抑えて通過後の田面に水を乗せたい時は加圧をOFF、草や雑物が多い圃場や、砕土が悪い土質の圃場では加圧をONにし、圃場の状態に合わせて使い分けることができるので、様々な圃場条件に即時に対応できるオペレーションを実現
- 新型の「SOILSLIDER」を搭載。従来の配置と形状を改良し、雑物が絡まりにくく、タイヤ跡へとスムーズに土を流す。外側と内側を前後に配置し、内外が時間差で作用することで、それぞれが流した土が干渉することなくスムーズに流れる
- 直感的で使いやすいデザインの「ユニフィットリモコン」。ウィング部の開閉、VGレーキの開閉、土引きと代かきの切り替えなどの基本的な操作はもちろん、様々な新機能を盛り込んでいる
-など。
4.スズテックがニラ調製機など新商品5機種発表
本社で2024年新商品発表会を行い、1.ニラ調製機NT801、2.セルトレイ積上機STT400、3.セルトレイ播種機オプションとなる288穴-L組替えキット、4.高速苗箱供給機SNK801、5.軽量培土仕様のフレコンラックSFR1000K-の機能、特徴などを明らかにした。席上、鈴木社長は、米価格の上昇による農家の機械購買意欲の向上を期待しつつ、新たな要員配置を含めた積極的な営業活動で、年内勝負に向け全力でスタートダッシュに臨むと、来春需要の獲得に意欲を示した。
新商品の主な特徴は次の通り。
- ニラ調製機NT801=長尺ニラ(53cmまで)に対応し、調製後の葉先から落ちる現象を軽減。強化部品の搭載で結束機の耐久性がアップしたほか、結束後のニラを効率よく排出できるように排出コンベアに連続運転モードを追加、さらにニラ長さ目盛りの追加で調製後のニラの長さを把握できる-などの機能により、最大結束能力800束/時と、ニラの調製作業の省力化に貢献
- セルトレイ積上機STT400=覆土後のセルトレイを静かに積み重ねて、セルトレイの移動に従事する作業者の中腰姿勢の負担を大幅に軽減する製品。軽量コンパクト設計で、セルトレイ播種機の延長レールを取り外して連結でき、省スペースでの作業が可能。トレイストップセンサーを標準装備し、積上げセルトレイが満了時には自動停止する
- 288穴-L組替えキット=同播種機STH2009に適応するもので、同キットに組み替えることで288穴のセルトレイに播種することが可能に。専用のセル鎮圧ローラーが付属しており、確実にセルの中心に播種できる。特に長野県の産地要望に応えたもの
- 高速苗箱供給機SNK801=新形状のスパイラル機構により、従来機では対応できなかった箱離れの悪い育苗箱でも供給可能に。光電センサーの位置調節によって播種機への育苗箱供給タイミングを簡単に調節でき、200~800箱/時の播種機に対応。最大20箱のストックができ、余裕をもった作業を可能にする
- フレコンラックSFR1000K=ミニコンにセットすることでミニコンのホッパー部へフレコンバッグから軽量培土の供給を可能にするもの。軽量培土の安定した排出を行うため、すり鉢状の形状に変更、リング間口を広げ、また専用の滑りシートを付属しこれをラックホッパーの内側に貼り付けることでブリッジの発生を抑制、軽量培土がスムーズに排出される
-など。
<業界短信11月>
1.丸山製作所が130周年記念キャンペーン開始
「創業130周年記念キャンペーン」をスタートさせた。期間は来年9月30日までの1年間で、キャンペーンは3種類を用意している。
内容は次の通り。
- 背負動噴をはじめとするM-LINEシリーズの購入者全員に130周年を記念するオリジナルキャップをプレゼント(キャップは製品同梱)
- 期間中に大型ハイクリブームBSA-2000Cを成約したユーザーを対象に、温水洗浄機MKW813Hをプレゼント
- 高圧洗浄機130周年限定モデルMKW1210EC-130を1300台限定販売し、購入者に130周年記念オリジナルキャップをプレゼント
同社は創業130周年を記念するロゴマークを制定、併せて公表した。社員投票で決定したもので、ブランドカラーの黒と赤で伝統と革新を表現。円状に並ぶ葉は、食・水・環境の社会課題の解決による持続可能性を現した。同社の創業は1895(明治28)年。消火器の製造からスタートし、コア技術となるポンプ、エンジンを活かした防除機、刈払機などや工業用高圧ポンプ、洗浄機などの産業用機械、さらに近年はウルトラファインバブル製品などの開発を進め、社会課題の解決に力を入れている。
2.静岡製機が110周年キャンペーン第2弾
10月から12月27日までの間、同社循環型乾燥機TCZシリーズを購入し、設置・組み立てが完了したユーザーを対象とする「創業110周年記念・第2弾キャンペーン」を展開。不需要期における予約注文、早期出荷・組み立てを促進し、繁忙期業務の分散を狙って実施する。内容は、期間内に同シリーズ乾燥機を購入し、設置・組み立てが完了した農家ユーザーに、乾燥機の清掃にベストマッチのブロワーを進呈するというもの。確認方法は、納品組み立て完了時に記入する「保証書・据付・安全説明確認カード」を同社に提出した時点でカウントする。対象製品は、シズオカ循環型乾燥機TCZシリーズ(9~100石)。同シリーズは、乾燥機を長持ちさせる上で重要な掃除機能が充実している。
主な特徴は、
- 中段排風路(L30石~100石)=排風路が簡単に取り外せるため、乾燥機内部を掃除できる
- 上段傾斜板(S11~17)、上段側板傾斜(18石~M30石)=傾斜板が簡単に取り外せるため、乾燥機内部を掃除できる
- 流穀筒=残粒が溜まりやすい箇所は簡単に取り外し可能
- 昇降機下部=工具がなくても簡単に引き出せる-機構を備え、今回のキャンペーンでプレゼントされるブロワーが加われば、掃除は一層効果的に進められる
-など。
また、タッチパネルに表示されるQRコードを読み取ることで、同社からの刈取りや乾燥に関する情報を入手。ディーラーに対しては、異常発生時に詳細な対処方法を閲覧できるようにしており、よりスピーディーなメンテナンス対応ができるなど、通信技術の活用を進めるとともに、使いやすさ、安全性にも様々な配慮を施している。
3.井関農機が農業女子プロジェクトの女性推進チーム発足
東京本社事務所で、農林水産省「農業女子プロジェクト」の個別企業活動における同社グループ初の女性推進チーム発足に関する記者会見を開いた。チーム名は「ISEKI Agrinno Ladies『さなえ倶楽部』」。女性農業者へのソリューション活動の強化と女性活躍の促進を目指す。
同社は2013年に農林水産省が取り組む「農業女子プロジェクト」に参画し、個別企業活動として井関グループ全体で「夢ある“農業女子”応援Project」に取り組んできた。同活動は、昨年10年を迎え、これまでに参加した女性農業者は延べ1,000名以上となっている。そうした中で、本活動の更なる充実・活性化により、女性農業者へのソリューション活動を強化するため、井関グループで初めてとなる組織横断の女性推進チームを発足した。また、女性推進チームの取り組みは、グループ内女性従業員の活躍促進にもつながるものとしている。
活動方針・実施内容は、井関グループが有する農業機械の使用技術や幅広い知識により、女性農業者の農業経営をサポートする活動を展開。また、女性農業者が直面する課題・ニーズ調査を踏まえたソリューション活動を実施するほか、教育機関との連携による次世代育成に取り組む。さらに、女性農業者の存在意義を高めることに資する情報発信を行っていく。
4.井関農機が第29回さなえ全国子ども図画コンクールの審査結果発表
東京・西日暮里の本社で、第29回ISEKI「さなえ全国子ども図画コンクール」の審査結果を発表した。今回は「農業でつくる明るい未来と笑顔」のテーマで開催、6~8月に応募を受け付け、1歳から12歳までの年齢層から約1600件の作品が寄せられた。作品の中には「ロボットトラクター」「ドローン」など、先端農機も目立った。晴れの全国最優秀賞は、三重県の上嶋崇之介さん(5歳)が受賞した。作品名は「おいしいタマゴをありがとう」。
同社は、「将来の日本を担う子どもたちに、農業や食文化をもっと大切に思ってもらえるよう」1996年に全国子ども図画コンクールを開催。今回までに累計約3万5600点の作品応募があった。本年は「農業でつくる明るい未来と笑顔」をテーマに作品を募集した。審査結果発表会には、同社の石本徳秋執行役員営業本部長らが出席。それに外部審査委員を務めた藤澤英昭氏(千葉大学教育学部名誉教授)、画家の古城和明氏(国画院会長)が同席した。
冒頭あいさつした石本本部長は、同コンクールが29回目を迎えたことに謝意を表したあと、今回は「農業でつくる明るい未来と笑顔」をテーマに全国の販売会社の営業所を通して、約1600点の作品が寄せられたと報告したうえで、子供らしさと言い、どれも微笑ましい作品で感動したとし、農作業を通じて家族と過ごす楽しさを感じるもの、スマート農機の登場によって農業の未来を感じるもの、さらに動物も熱心に描かれていると所感を述べた。また、入賞作品はホームページにて発表していくことを明らかにした。
5.オーレックホールディングスが広川町と包括連携協定
福岡県の広川町と、企業の技術とノウハウを地元広川町への貢献の熱意として持続可能なまちづくりの実現を目指すため包括連携協定を締結。それに伴い、協定締結式を行った。
同社は、1988年生産能力拡大を目的に広川中核工業団地に4万2157平方mの土地を購入し、1989年10月より広川町にて操業を開始した。以後、本社移転、土地や工場の拡張を行っている。広川町とは工場操業時の雇用の協力から、その後、学校教育として工場見学や出張授業、町内の古墳公園の草刈りや福祉車両の寄贈など様々な交流を深めてきているが、より広範囲にわたる協力と関係強化として、この度、包括連携協定を締結するに至った。
締結式は広川町役場4階展望スペースで行われ、協定締結者は広川町・氷室健太郎町長とオーレックホールディングス・今村健二社長。協定内容は、緑地管理や新製品研究、障がい者就労支援などの福祉分野、食育や環境、農業学習などの教育分野、その他持続可能な町づくりのための定期意見交換会-となる。
6.ヤンマーホールディングスがヤンマーパワーテクノロジーを分社化へ
グループ会社であるヤンマーパワーテクノロジーを、2025年10月をめどに分社化する計画を発表した。ヤンマーパワーテクノロジーは、2020年4月にヤンマーから社名を変更し、産業用小形エンジン(小形事業)、大形舶用エンジン(特機事業)を中心にエンジンの開発・製造・販売を行ってきた。近年では脱炭素化の流れに対応するため、小形事業では電動化、特機事業では水素やアンモニアなどの新燃料に関する研究開発も進めている。
この度、事業ごとの脱炭素に向けた技術の方向性、製品を提供する市場特性の違いなどに応じてスピード感のある事業活動が行えるよう両事業を分社化し、迅速な意思決定ができる体制作りを目指すとしている。
7.2024年度グッドデザイン賞を業界からも多数受賞
公益財団法人日本デザイン振興会は2024年度グッドデザイン賞の受賞結果を発表した。同賞は1957年に創設された、日本で唯一の総合的なデザイン評価・推奨を行う賞。今年度は「勇気と有機のあるデザイン」をテーマに掲げ、5773件の審査対象の中から受賞件数1579件(受賞企業1142社)を決定し、農機業界からも多数選出された。
クボタは農業学習施設「KUBOTA AGRI FRONT」で受賞。同施設は、クボタが食と農業の未来を楽しくおいしく学ぶ農業学習施設として、2023年3月に北海道ボールパークFビレッジに開設した。「農業を単なる食料生産活動として捉えるのではなく、生活の重要な要素である『食』から紐解き、食の生産や流通、さらには未来の食生活全体を見据えた多角的なアプローチで農業への理解を深めようとする試みは、生活者にとって農業の課題をより身近に感じる貴重な機会」などと高く評価された。
一方、ヤンマーホールディングスは舶用水素燃料電池システム「GH240FC」で選出された。脱炭素化だけでなく、動力源の振動や騒音を大幅に低減し、排気ガス臭の無い快適な船内環境を実現した同システムは、「国土交通省から委託された水素燃料電池船の安全ガイドライン策定事業等での経験を活用した、国内初の舶用水素燃料電池システム。CO2などを排出しないゼロエミッション船の普及を目指す。脱炭素化だけでなく、船舶への搭載容易性や安全性、振動や騒音の大幅削減で、船舶の付加価値を向上。この開発での知見を基に国際規格策定も主導している」と高く評価された。
8.クボタの新テレビCMがオンエア
長澤まさみ出演の企業TV-CM最新作『クボタが支えるインドトラクター』篇(30秒)をオンエア開始した。このTV-CMは、クボタが長期ビジョン「GMB2030」で掲げる『豊かな社会と自然の循環にコミットする命を支えるプラットフォーマー』を表現するCMシリーズの第5弾。長澤さんが目覚めると、そこは「○○」だったという設定のもと、その国の人々の暮らしを支えるクボタの姿を、現地の生活者の視点を通じて伝える。今回の舞台はインド。多くの人で賑わい、エネルギーに満ち溢れた市場の様子に驚く長澤さん。自身が働く屋台で料理のオーダーを受け、インドならではの仕草も自然と出きてしまう。同僚との会話の中で、インドにおける農産物の生産と物流を支えているのが、クボタのインド市場向け多目的トラクターであることに気づくストーリーとなっている。トラクターは一般的に田畑を耕す機械として使われるが、インドでは農作業だけでなく日々の移動や荷物を運搬する手段など、人々の生活を支えるものとして広く用いられており、世界最大のトラクター市場になっている。
https://www.kubota.co.jp/kubotainfo/data/campaign20241011.pdf
9.井関農機がJ-クレジットの収入試算を発表
環境保全型農業の発展を支援するISEKIのソリューションとして、新たに「J-クレジットかんたん収入シミュレーション」を発表、「環境保全型農業を提案するオンラインセミナー」を開催した。
同社グループでは、2024年より生産者へこの制度の「水稲栽培における中干し期間の延長」を提案するとともに、創出されたクレジット申請作業の支援に取り組んでいる。「水稲栽培における中干し期間の延長」に取り組むことよる温室効果ガスの削減量は、栽培地域や圃場の排水性・有機物施用の有無などにより大きく変動するが、このシミュレーションでは、地域・圃場条件・面積の簡単な情報を入力するだけで、利用者の条件での概算金額を試算できる。同社では、「J-クレジット」への取り組みを検討する生産者の一助となる本ツールの提供を通じて、生産者の収益拡大と環境負荷低減に資する環境保全型農業の取り組み拡大を図っていく、としている。
一方、環境保全型農業に関するオンラインセミナーは、「Amoni」にて、「大豆栽培と水稲輪作」及び「自動抑草ロボット『アイガモロボ』」を開催し、先端農業技術の研究・実証を行う同社夢ある農業総合研究所の研究員より、最新情報を紹介した。
10.松山が松山記念館第30回文化講演会を開催
創業者である松山原造氏と2代目松山篤氏の業績を記念・顕彰する公益財団法人松山記念館は、松山の本社で第30回文化講演会を開催した。同記念館は、1985年に設立され、原造氏の偉業の数々と、のちに松山犂として全国に普及した、創業時の双用犂の開発に至るまでの資料を展示しているほか、創業者の次世代育成の想いを実現するために、広く「食育」の活動を支援している。文化講演会は重要行事の1つで、これまで29回開催され、大学教授、試験場関係者など学識経験者、農機メーカーのOBなどが講演している。新型コロナウイルスの感染防止対策のため2019年以降中止していたが、新型コロナの5類移行に合わせ昨年、4年ぶりに開催した。今回は、メルシャンのシャトー・メルシャン事業本部副本部長ゼネラルマネージャー(GM)で、工学博士の小林弘憲氏が「上田ワイン産業振興および地域の活性化に向けた椀子ワイナリーの役割」と題し講演した。
冒頭挨拶した松山理事長は、5年前の文化講演会における馬耕伝習者とメルシャンとの出会いに触れ、フランスのワイン産地・ブルゴーニュでは耕作地が狭いのでブドウ栽培はうね幅を狭くしてたくさんの苗木を植え、トラクターでは重くて入れないので、馬耕によって栽培管理することなどを紹介。上田ワインのさらなる振興に向け講演会が有意義なものになるよう期待した。
11.日本農業機械工業会が機種別部会長を選任
機種別部会長の交代を発表した。新任の部会長は、トラクター部会長は鶴田慎哉(クボタ)、田植機部会長は石本徳秋(井関農機)、収穫機部会長は小野寺誠(ヤンマーアグリ)、管理機部会長は佐藤修(三菱マヒンドラ農機)、調製・米選機部会長は川島廣大(タイガーカワシマ)の各氏。また、カッター部会については休止することになり、部会長の選任は行わなかった。
12.ヤンマーアグリが参画する
キャベツ栽培自動化コンソーシアムが自動収穫の成果実演
キャベツ栽培自動化コンソーシアムの研究成果報告と実演北海道河東郡の鹿追町民ホールと同町内の圃場で行われ、午前、午後の2部合計で約50名が参加した。
内容はキャベツ栽培の自動化一貫体系の確立に向けた研究開発で開発中の耕起、畝立て、定植、除草、防除、収穫の自動化に関する技術説明および耕起(プラウとロータリの同時作業)、定植、防除、収穫の自動化に関する実演。技術説明に先立ち、JA鹿追町の澤野直満専務理事が挨拶し、「今回の自動収穫機を含めた一貫体系の自動化によって、キャベツが鹿追町にとっての主要作物になることを期待したい」などと述べた。次にヤンマーアグリ開発統括部先行開発部先行技術グループの村山昌章グループリーダーがコンソーシアムの取り組み、耕起から管理までの自動化、収穫作業の自動化について説明した。まず、作業する圃場の諸条件を入力することで各作業の最適な自動運転経路を作成。栽培作物や圃場ごとに最適化された一連の作業経路を蓄積することが可能になる。最終的には、各種作業を自動化させることで、労働力を30%以上削減や栽培面積の増加によって所得を5%増加させることを目標とする。開発した自動農機は令和7年に開発地区での実装を予定。この技術の中で、ヤンマーアグリは各作業に適した経路作成と自動走行制御および自動運転技術を担当した。
その後試験圃場に移動し、各技術説明とともに実演が行われた。収穫機の実演では、参加者が圃場に立ち入り、間近で収穫作業を視察。外葉除去や選別作業の様子を注視した。
https://www.affrc.maff.go.jp/docs/smart_agri_pro/event/attach/pdf/index-1.pdf
13.金子農機が草の実トレンダーの特許登録
昨年より販売を開始している、穀物乾燥機の選別オプション「草の実トレンダー」について、5月に商標、8月に特許が正式に登録された。「草の実トレンダー」は、収穫した穀物に混入した異物を乾燥機の循環中に取り除くことができる。圃場で除草しきれなかった雑草の種子(ホタルイなどの草の実)が収穫した穀物に混入すると、その後の選別工数が増え、また籾の場合は乾燥調製後の籾殻に雑草の種子が混ざったまま再び圃場に戻すと、翌年また発芽してしまうという悪循環を繰り返すことから、少しでも「省力化したい」という乾燥機ユーザーの声に基づき、開発が進められた。
穀物を乾燥機に張り込むと循環運転中に、昇降機側面に取り付けた「草の実トレンダー」の多孔板(スリット)から、穀物に混入した草の実などの異物が自然に機外へ排出される。1つのスリットは穀物1粒よりも細長い形状で、スリットを通り抜けた草の実などを排出し、落下方向に置いた受け箱に集めることができる。運転中は乾燥機の送風機が機内の空気を吸引しているため、「草の実トレンダー」のスリットからは草の実などが排出されるのみで、風で周辺にゴミやホコリが散らばるなどの手間の掛かる後片づけは必要ない。
14.三菱マヒンドラ農機が役員人事を発表
同社臨時株主総会において選任する取締役人事を内定し、発表した。それによると、10月31日付でCTO取締役技術本部長の行木稔氏が退任、後任のCTO取締役技術本部長に11月1日付で品質保証部長の福田禎彦氏が株主総会の承認を経て就任した。また、取締役(非常勤)のバラット・ゴエンカ氏が退任、新たに取締役(同)にイシャ・ダラル氏が就任。新任の福田氏は、入社以来、一貫して農業機械の設計業務に携わり、2018年からは開発・設計部長、品質統括部長、品質保証部長などを歴任してきた農機のエキスパート。技術部門における豊富な経験を活かし、開発部門のトップとして新製品創出をリードする。
15.スズテックが「栃木県フロンティア企業」認証受ける
9月に栃木県より「栃木県フロンティア企業」に認証された。栃木県公館にて認証式が行われ、福田富一栃木県知事より認証状が授与された。「栃木県フロンティア企業」は、独自の優れた技術や市場占有率の高い製品を保有する企業を、とちぎの技術ブランドとして認証するもの。認証企業は県から各種支援を受けることができ、県内外に紹介される。今回の認証技術・製品名は「人工マット充填機MJ500」。認証期間は令和9年8月31日までの3年間となり、一昨年に引き続き8回目の認証となった。同社は「とちぎSDGs推進企業として、また開発型企業として、これからもよりよいものづくりを通して社会に貢献していく」としている。
また、定時株主総会並びに取締役会で新たな役員体制を決め、新任の取締役に中塩智之氏(技術部長)が就いた。取締役営業部長の平出武氏は退任した。
16.JA全中が第30回JA全国大会を開催
10月18日、都内のグランドプリンスホテル新高輪で、3年に1度の第30回JA全国大会を開き、今後3年間のJAグループの取り組み方針となる大会議案「組合員・地域とともに食と農を支える協同の力~協同活動と総合事業の好循環~」を採択した。大会決議は、JAグループの存在意義の発揮に向けた5つの取組戦略を柱とし、このうち食料・農業戦略では、国産資源の有効活用やスマート農業の普及などを通じてトータルコスト低減に取り組むこととした。
冒頭、あいさつに立った山野会長は「大会決議は、採択して終わりではなく、実践していくことが重要」と、各段階での取り組み強化に意欲を示した。また、石破茂首相からビデオメッセージが寄せられ「地方こそ成長の主役である」と、農業・農村へのエールが贈られた。来賓として出席した小里泰弘農林水産大臣は、「農家の減少に対応し、スマート農業活用促進法などによる農政を推進していく」と述べた。大会議案では、まず、JAグループの存在意義として、協同活動と総合事業で食と農を支え、豊かなくらしと活力ある地域社会を実現することをあげた。2030年の目指す姿として、持続可能な農業の実現、豊かでくらしやすい地域共生社会の実現、協同組合としての役割発揮をあげた。5つの取組戦略は、1.食料・農業戦略、2.くらし・地域活性化戦略、3.組織基盤強化戦略(JA仲間づくり戦略)、4.経営基盤強化戦略、5.広報戦略-の5本。
17.令和6年度東北地方発明表彰で和同産業、
ササキコーポレーションが受賞
公益社団法人発明協会は令和6年度の東北地方発明表彰受賞者を発表した。農業機械関係では、岩手県発明協会会長賞に「ロボット草刈機の車速制御」で和同産業商品開発部顧問・花房実美、同・千葉充、同社同部・藤原正寛、発明奨励賞に「ブーム型農作業機の作業部着脱機構」でササキコーポレーション技術開発部第四開発チーム課長・長畑友之、同チーム主任・中村太秋の各氏が選ばれた。表彰式は11月6日、青森市のウェディングプラザアラスカで開催された。
https://koueki.jiii.or.jp/hyosho/chihatsu/R6/jusho_tohoku/index.html
18.やまびこの米国子会社がグリーンビジネス賞受賞
米国子会社であるエコー・インコーポレイテッド(以下、エコーインク)が9月に本社のあるイリノイ州レイクズーリックから、環境保護と持続可能な未来に貢献する企業に授与されるグリーンビジネス賞を受賞した、と発表した。
今回の受賞にあたり同社は、エコーインクが評価されことについて、以下の3点をあげている。1つは、再生可能エネルギーの採用。イリノイ州でも最大級の屋上太陽光発電設備を有し、年間使用電力の約4割を賄っている。2つ目が廃棄物の削減。樹脂成形の過程で発生したプラスチックくずを再粉砕し再活用することで、廃棄物の削減に努めている。3つ目が外来植物の管理。環境保全を専門とする企業と連携し、本社周辺の外来植物を管理することで、在来種が繁栄できる環境づくりに努めていることなどが、高く評価された。