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農業機械関連ニュース

2024年6月10日発行

<業界短信-新製品6月>

  1. ヤンマーアグリがオートコンバインを発売
  2. 農研機構、北海コーキ、北海道クボタがスラリーインジェクター2機種を共同開発
  3. クボタが営農支援システム「KSAS」に病害虫診断機能を追加
  4. 三陽機器がアーム式ハンマーナイフモアを発売
  5. やまびこが可搬型の発電システムを初公開
  6. 大竹製作所が溝切機専用アタッチメント発売

<業界短信6月>

  1. 井関農機が松山、熊本の製造子会社を統合
  2. タイショーが散布機を網羅した総合カタログをホームページに掲載
  3. タカキタが2024年3月期決算を発表
  4. ヤンマーアグリジャパンがJ-クレジットでフェイガー社と業務提携
  5. 日本農業法人協会が農業法人実態調査レポートを公表
  6. 井関農機が「DBJ環境格付」取得、18回連続で最高ランク
  7. 丸山製作所の自走型農薬噴霧ロボがクボタアグリフロントで出陣式
  8. 三菱マヒンドラ農機が島根県大田市と有機米で協定、紙マルチ田植機研修会
  9. 田中産業が創業70周年第1弾キャンペーン
  10. JA全中がJAグループの政策提案を決定
  11. 本田技研工業が2023年度決算を発表
  12. クボタが2024年12月期第1四半期決算を発表
  13. クボタライスインダストリーハワイが開所式
  14. 井関農機が2024年12月期第1四半期連結業績を発表
  15. 日本農業機械工業会が農機業界の物流対策自主行動計画を公表
  16. やまびこが2024年12月期第1四半期連結業績を発表
  17. ヤンマーホールディングス、セイレイ興産が滋賀県と包括的連携協定
  18. クボタが2026年に本社移転

<業界短信-新製品6月>

1.ヤンマーアグリがオートコンバインを発売

オートコンバイン「YH6135A/7135A」を5月から発売した。オペレータが乗車した状態で、圃場の約9割を自動操舵で作業することができ、経験が浅くても安心して高精度な作業が可能になる。また、熟練者による長時間作業でも細かい操作が不要になるため、刈取り作業の負担を軽減することができる。本機はヤンマー農業機械で最大馬力である138馬力のエンジンを搭載し、多収量稲や湿田などの様々な条件でも余裕のある刈取り作業が可能。
 主な特徴は、

  1. 用途に合わせて選べる3つの自動モード=最初の1周分を手動走行で刈り取り、圃場の外形を登録した後は3つの自動モードを組み合わせることで、圃場の約9割を自動操舵で作業することが可能。
  2. 直進・刈取り昇降・旋回・排出への移動・中割りの位置決めまで自動で作業(オートモードのみ)。最も効率の良い経路を自動でスムーズに旋回し、条合わせや刈取部の昇降も素早く行う。
  3. オートコンバインならではの安心・安全を追求。シートスイッチ付きデラックスシートは前後・上下・背もたれの調節が可能。また、シート下のスイッチで人が座っているかを感知し、座っていない時は自動操舵が作動せず、誤作動を防ぐ。

2.農研機構、北海コーキ、北海道クボタが
  スラリーインジェクター2機種を共同開発

家畜ふん尿由来液肥を効果的に散布できる低コストのスラリーインジェクター2機種を共同開発したと発表した。これまで主に草地・水田に表面散布されていた液肥を土中に注入してアンモニアの揮散を抑制することにより、液肥中の窒素を有効利用できるだけでなく、施用時の臭気を軽減することも可能となる。同機の活用により、環境に配慮しながら液肥を有効な肥料資源として循環利用することが期待されるとしている。
 今回開発したスラリーインジェクターは大型機と小型機の2機種。大型機は4~20t容量のスラリータンカーに後付けするタイプのインジェクターで、適用馬力帯は90馬力以上。一方の小型機は既存の農地排水改良用全層心土破砕機をベースとしたインジェクターで、適用馬力帯は70~120馬力。
 大型機の主な特徴は、

  1. トラクター後部の3点リンクに同機を接続して、その後方にスラリータンカーを配置して挟む形で利用する。液肥を土中施用する部分は、土中に空洞を形成する刃(空洞形成刃)、液肥注入部、土壌を転圧するローラーから構成される。
  2. 空洞形成刃の種類を変え、土中に大きさや形状の異なる空間を形成することで、土壌中深さ10~20cmの位置を中心に、液肥を10a当たり施用量4~8tの範囲で施用できる。
  3. 全量を土中施用できるのでアンモニア揮散量はほぼゼロ、消化液の肥料効果を最大化する。

-など。

同機はメーカーから市販化を予定。主なユーザーとして、酪農家、農協等の農業団体、メタン発酵事業者を想定しており、農研機構は今後普及のため、各地域での実演や現地実証に取り組んでいくとしている。

3.クボタが営農支援システム「KSAS」に病害虫診断機能を追加

営農支援システム「KSAS」にAIで病害虫や雑草の種類を診断する機能を無料で追加し、公開した。新機能の「KSAS病害虫・雑草AI診断」は日本農薬が提供するAIを使用し、スマートフォンのカメラで撮影した写真から農作物に被害を及ぼす病害虫や雑草の種類を自動で診断する。診断結果のデータは「KSAS」上に圃場単位で保存できるので、記録作業の省力化に加え、圃場ごとの病害虫雑草発生状況の分析や経年比較などへの活用が期待できる。クボタは追加機能や他社製営農関連コンテンツ等を取得できる「KSAS Marketplace」の開設など、社外との連携にも積極的に取り組んでおり、同機能は「KSAS Marketplace」で提供する他社開発機能の第1弾。
 主な特徴は、

  1. 幅広い病害や雑草の診断に対応していることで定評のある日本農薬のスマートフォン用アプリ「レイミーのAI病害虫雑草診断」のAPIを使用。
  2. スマートフォンのカメラで病害虫や雑草の写真を撮影し、アップロードするだけで農作物に被害を及ぼす病害虫や雑草をAIが診断するので、経験の浅い農業従事者でも簡単に使用できる。
  3. 診断結果のデータは圃場に紐づいた日誌としてKSAS上に保存できるため、圃場ごとの病害虫と雑草の発生状況の振り返りや当面の対応検討だけでなく、次年度の病害虫や雑草の防除計画などにも役立てることができる。
  4. 被害が多発している場合などには、近隣やJAなどの関係者に発生状況や場所といった具体的な情報を共有し注意喚起するといった使い方も期待できる。

-など。

4.三陽機器がアーム式ハンマーナイフモアを発売

トラクター用アーム式草刈機ハンマーナイフモア「ZH-342(DX)」を発売。国内では農業従事者が毎年減少し、草刈り作業が大きな負担となっている。特に広範な法面での作業は重労働かつ危険を伴うことから、安全で効率的な作業を実現する機械が望まれている。同社はこの要望に応え、トラクターに取り付けるアーム式ハンマーナイフモアの最新モデルを上市する。
 主な特徴は、

  1. 電磁比例バルブ(同社製)の採用=アームの微調整が可能で、作業開始時のモアの位置合わせがスムーズになった。
  2. モアの形状=草の排出性能がよく、スムーズな作業を実現。またスクレーパの採用でローラーへの草の巻き付きを軽減する。
  3. 第1シリンダにシングルパイロットチェック弁を採用=作業中のアーム高さを保持しつつ、地面からの突き上げを回避し機体を保護する。
  4. 第2シリンダにダブルパイロットチェック弁を採用=格納時のアームの開きを防止し、長時間トラクターから離脱した状態でも同じ姿勢をキープする。
  5. メンテナンス性=グリス配管を採用し、モアベルトカバー内のナイフドラム軸ベアリングへ、ベルトカバーを外すことなくグリスアップを行える。
  6. オイルクーラ作動を可視化=オイルクーラが作動すると手元スイッチのランプが点灯、作業をしながら作動確認ができる。

-など。

5.やまびこが可搬型の発電システムを初公開

千葉市美浜区の幕張メッセで開催された「第6回建設・測量生産性向上展(CSPI)」で、新開発のカーボンニュートラルに貢献する可搬型発電システム「shindaiwaマルチハイブリッドキューブ」を初めて公開し、来場者に新たな開発コンセプトを取り入れた商品としてアピールした。これは蓄電池と発電機とを組み合わせた、可搬型の発電システム。特に再生可能エネルギーである太陽光を活用した発電システム、アシスト発電としてのディーゼル発電機と蓄電池とをセットし、安定した電源供給をねらいとする製品。
 主な特徴は、

  1. 再生可能なエネルギーである太陽光発電をシステムに組み入れているのがポイントで、余った電力を蓄電池に充電する。
  2. 太陽光発電は電源として安定していないことが課題と指摘されているため、同機は蓄電池と、そしてディーゼル発電機をアシスト発電として活用することで安定性を確保。
  3. マルチパワーコンディショナーを駆使することで単相100V(最大8.0kVA)だけでなく、三相200V(同9.9kVA)の同時出力にも対応可能で、建設現場ばかりでなく様々な場面で活用できる。
  4. 発電機に使用する燃料を廃食油由来の軽油代替燃料である「RD(リニューアブルディーゼル)燃料」に置き換えることでオフグリッドによるカーボンニュートラルの電源供給を可能としている。

-など。

同社は、これからさらに現場での実証試験を積み重ねて商品化し、太陽光発電(PV)と蓄電池、マルチパワーコンディショナーそしてアシスト発電の役目を担うディーゼル発電機とを組み合わせた、次世代型ハイブリッド発電システムとして販売していく考えだ。さらに系統電力に連携しない自立運転も行えることから災害時の電力供給源としての活用も期待できる、としている。

6.大竹製作所が溝切機専用アタッチメント発売

溝切り作業と同時に、交差部にできる泥壁を壊し溝をつなぐことができる溝切機専用アタッチメント「溝つなぎ装置T-1」を6月に発売。溝切り作業の効率化、省力化の実現できるアタッチメントとして期待されている。溝切りは中干しで無効分げつを抑え、登熟を良好にする。十分な間断潅水で、後半の穂実を向上。落水適期まで潅水することで品質、収量を高めることができる。また、落水を速やかにし、地表の渇きが良くなり、コンバインの収穫作業を楽にする-など、稲作の栽培管理には欠かせない作業である。「溝切りつなぎ装置T-1」は乗ったまま溝つなぎすることが可能で、作業効率改善・省力化にも貢献できる。
 主な特徴は、

  1. 溝切り作業と同時に溝つなぎもできる。
  2. 同社溝切機専用設計。
  3. JS(標準型)/JK(超湿田用)型溝切板に装着可能。
  4. 畦際などT字に交差している箇所では、片側の羽根だけ開くことも可能。
  5. ナット1つで簡単に取り付けできる。

-など。

<業界短信6月>

1.井関農機が松山、熊本の製造子会社を統合

取締役会で、連結子会社である井関松山製造所と井関熊本製造所の合併及び存続会社の商号変更を行うことを決議した。去る2月14日に発表した「プロジェクトZ」による抜本的構造改革の一貫。
 合併の概要は次の通り。
 合併の目的は、両社が保有する経営資源を集約及び有効活用することで、重複業務やコストを削減し、経営の効率化を図るとともに、シナジー効果を高めるもの。合併の日程は、債権者保護手続は2024年5月初旬~。当事会社における合併契約承認株主総会は2024年6月26日(予定)、合併効力発生日は2024年7月1日(予定)。対等な合併であるが、手続き上、井関松山製造所を存続会社とする。商号変更に伴う新商号は株式会社ISEKIM&Dとし、商号変更日は2024年7月1日(予定)。所在地は愛媛県松山市馬木町700 番地、代表者の役職・氏名は代表取締役社長・酒井正弘氏-など。

2.タイショーが散布機を網羅した総合カタログをホームページに掲載

同社ホームページ上に散布機総合カタログを新しくアップし、1.グランドソワーRDシリーズ/RSシリーズ、2.ブレンドソワーBLDシリーズ、3.グランドソワーUXシリーズ、4.同UX-GPシリーズ(GPS車速連動システムみちびき対応モデル)、5.同UX-55ホッパーキット/1ホッパーMTフレームキット、6.薬剤散布機KXシリーズ、7.粉剤散布機PNシリーズ、8.グランディGRTシリーズ、9.グランビスタKUTシリーズ-の特徴などを分かりやすく紹介している。
 一部をみると、グランドソワーRDシリーズ/RSシリーズは粒状・砂状・粉状・鶏糞・有機ペレット・微粒剤に対応する均一散布機で、肥料のムダ撒きを減らす電動シャッターにより、地力に応じて手元で散布量を調整、効率的に作業を進められる(RSシリーズは手動シャッター)。

3.タカキタが2024年3月期決算を発表

2024年3月期決算(日本基準・非連結)を発表した。それによると、売上高は84億8200万円(前期比9.7%増)、営業利益9億7200万円(同59.7%増)、経常利益10億3000万円(同53.0%増)、当期純利益6億9200万円(同45.5%増)と、2021年3月期から4年連続、大幅な増収増益を達成した。
 同事業年度は、2033年3月期に迎える同社創業120周年を見据えて新たに策定した長期経営計画「Offensive120」のスタート年度として、『やり切る執念 次代へ挑戦 Offensive120』をスローガンに、売上げ・利益の拡大、業務改善と生産性の向上、人的資本への投資、部門経営の高度化、社会貢献に取り組んできた。農業機械事業においては、肥料や飼料、農業用資材等の価格高騰が農家経営に対して深刻な影響を及ぼす厳しい市場環境にあった中、酪農市場における機械投資意欲の低下から、牧草梱包作業機ロールベーラ等の売上が減少したものの、国の畜産クラスター事業の採択が進み、農業経営改善のための国産飼料増産と食料自給率向上、そして耕畜連携・循環型農業による強い農業づくりに寄与する汎用型微細断飼料収穫機や細断型ホールクロップ収穫機等の売上が伸長したことに加え、除雪作業機スノーブロワの早期受注活動が売上に寄与し、国内売上高は増収となった。海外売上高は、韓国市場における細断型シリーズの伸長や北米等の新規市場への売上により増収となった。

4.ヤンマーアグリジャパンがJ-クレジットでフェイガー社と業務提携

フェイガーと「水稲栽培における中干し期間の延長」によるJ-クレジット創出に関して業務提携を開始した。
 フェイガー社は、生産者の脱炭素の取り組みの支援およびカーボンクレジット活用による収益化を行う日本初のスタートアップ企業。2023年度は約6000tのクレジットについて「第58回J-クレジット制度認証委員会」において認証を受けている。このたびの提携により、ヤンマーアグリジャパンと取引のある全国の生産者に対し、両社のノウハウを活用し、脱炭素型農業の推進とサポートを開始する。また、ヤンマーグループでは、本提携により創出されたクレジットを用いてカーボンオフセットに取り組み、持続可能な農業の発展に貢献していく。
 提携概要をみると、ヤンマーアグリジャパンは、フェイガー社のクレジット申請に係るサポート力や質の高いクレジット生成の実績を踏まえ、持続可能な農業の取り組みの一つとして、今回業務提携を行った。ヤンマーアグリジャパンは全国の生産者ネットワークを生かし、生産者にフェイガー社のソリューションの紹介と利用促進のプロモーション活動を行う。なお、クレジット申請については、フェイガー社独自のアプリを提供するため、写真撮影とアップロードのみで申請が完了し、複雑な手続きや書類提出は不要。生産者の収益は、クレジット化の時点で、フェイガー社が最低保証額を事前に支払い、想定より高値で販売できた場合には、ボーナス金額を還元する。

5.日本農業法人協会が農業法人実態調査レポートを公表

「2022年全国農業法人実態調査」の一部を農林水産政策研究所と共同で実施し、同研究所が取りまとめたレポートを公表した。レポートでは農業法人が持続可能な取り組みを押し進めていくためのポイントについて、特に取り組みに積極的な法人を「トップランナー」と位置づけ分析・解説。「経営理念」や「売上げ以外の財務目標」の下、親族以外の役員を登用し、法令知識をもって意思決定できる法人は、持続可能な取り組みを実践している、持続可能な取り組みの成功のカギは、「具体的な経営課題と持続可能な取り組みとの結びつき」と「法人の経営者による積極的な人的ネットワークの構築と学び」-などと結論付けている。
 概要をみると、持続可能な取り組みにおけるテーマとして、1.従業員への配慮、2.社会や自然との共生、3.持続的な畜産、4.持続的な農地利用、5.気候変動対策、6.農福連携-の6項目をあげ、6テーマへの取り組みの積極性を示した得点が1項目でも上位5%に入る法人を「トップランナー」と定義すると、295法人(24.5%)が該当。これらトップランナーの特徴として、売上高や従業員など人数、多角化、経営理念の策定、親族以外の役員の登用、売上げ以外の財務目標設定、金融機関以外への情報開示、経営関連法令の理解遵守の全てにおいて、トップランナー以外に比べて実施割合が高かった。

6.井関農機が「DBJ環境格付」取得、18回連続で最高ランク

日本政策投資銀行(DBJ)の「DBJ環境格付」において18回連続で最高ランクの格付「環境への配慮に対する取り組みが特に先進的」と評価され、「DBJ環境格付」に基づく融資を受けたと発表した。
 今回の格付では、1.環境マネジメントWGのもと、座談会や「MFCA活動(原材料や資材のロスを物量とコストで見える化する環境管理会計手法)」等を通じて従業員の意識醸成を図りながら、環境中長期目標の達成に向けたマネジメントを継続していることに加え、グループ会社やサプライチェーンも含めた環境マネジメントを展開している、2. 中長期目標を設定のうえ「エコ商品認定制度」を運用するなかで、事業環境変化を踏まえて環境保全型農業に貢献する製品や電動化製品など認定製品を拡大しているほか、販売担当者の教育やイベントでの製品情報発信などの社内外での働きかけにより、認定製品の普及拡大を通じた環境貢献に尽力している、3. 長期ビジョン「『食と農と大地』のソリューションカンパニー」を掲げ、スマート農機の開発製造や営農情報ポータルサイト「Amoni」による情報発信等を通じて農業経営を支えるソリューション提供を行っているほか、水素活用の検討や他社連携を企図した「出資管理委員会」の新設など、事業を通じた農業課題解決に向けて中長期視点で取り組みを推進している-などの点が高く評価された。

7.丸山製作所の自走型農薬噴霧ロボがクボタアグリフロントで出陣式

クボタが北海道ボールパークFビレッジ内で運営する農業学習施設「クボタアグリフロント」の最先端農業技術展示エリア「テックラボ」で、新たなパートナー企業となる丸山製作所の開発した自動走行型スマート農薬噴霧ロボットのコンセプトモデルとなる「スマートシャトル」を提供し、展示を開始した。同製品の出陣式を行い、クボタの習田勝之KESG推進部長兼秘書広報部長兼社長室長、北海道クボタの道信和彦社長、丸山製作所の三浦昭博北海道支店長、同DX推進室の道蔦聡美室長、同ポンプ事業部設計課の行方重樹課長らが参加した。ゲストには北海道農政部生産振興局技術支援担当局の丸子剛史局長の他、北海道石狩振興局石狩農業改良普及センター、仁木町農政課から14名を招いた。
 丸山製作所の三浦支店長は「弊社は省力化、高性能化をコンセプトに、農業界における快適な作業環境や効率化を実現する製品開発に努め、スマート農業の発展に貢献していく。クボタアグリフロントのコンセプトが弊社の取り組みと合致し、弊社の自動走行型スマート農薬散布ロボット『スマートシャトル』のコンセプトモデルを展示させていただく運びとなった。ここに来場される多くの方に農業のスマート化に対する技術をご覧いただけることを嬉しく思う」などと喜びを語った。「スマートシャトル」は、自動走行による防除作業の省力化や稼働時間の短縮、安定性の向上など作業環境の改善を目的に開発された自動走行型農薬噴霧ロボットのコンセプトモデル。直線移動のみではなくビニールハウス内全体を自動で走行することができ、防除作業と畝間移動をすべて自動化できる。これにより、防除作業の省力化や大幅な作業時間短縮が実現できる。

8.三菱マヒンドラ農機が島根県大田市と有機米で協定、
  紙マルチ田植機研修会

島根県大田市と農林水産省の「みどりの食料システム戦略」推進に向けた有機米生産技術の確立と普及に取り組むことで、持続可能な有機米の産地づくりを実現することを目的に連携協定を締結した。この協定は同社が自治体との連携協定を締結する、全国で初めての事例となる。
 連携事項は、1.有機米産地の持続・発展に必要な人材育成に関すること、2.有機米の生産技術の普及に関すること、3.有機米の生産に必要な機械供給に関すること、4.有機米の加工・流通・販売に関すること。本年度、三菱マヒンドラ農機は有機米栽培に取り組む三瓶地区の5経営体へ向けて「紙マルチ田植機」を貸し出し、紙マルチ田植え研修会の開催や栽培方法に関する情報提供を行う。
 この連携協定の一環として、同市三瓶地区で紙マルチ田植機の実演研修会を開催した。研修会は大田市、三菱マヒンドラ農機が主催し、島根県が共催して開催。三瓶地区の生産者だけでなく、大田市周辺の有機栽培に意欲のある生産者や近隣自治体、JAなど幅広い関係者約60名が参加し、地域全体での有機米産地拡大に向けて理解・関心を深めた。2024年は今回の圃場を含む5経営体(2.4ha)で植付けを行い、カメラやセンサー、自動給水栓などのスマート農業技術も活用しながら、官民で連携して効率的な栽培技術の確立に向けて取り組む予定。大田市と三菱マヒンドラ農機は、地域の豊かな自然環境を活かした有機米の産地づくりのため、今後も連携を密にしながら活動に取り組んでいく、としている。

9.田中産業が創業70周年第1弾キャンペーン

今年12月に創業70周年を迎えるにあたり、これを記念した第1弾目のキャンペーン「スタンドバッグ角プロキャンペーン」を行っている。期間は2024年10月31日まで。
 期間中、同社の主力商品の1つである自立型大量輸送袋「スタンドバッグ角プロ(STB角プロ)2型」を求めやすい価格の「スタンドバッグ角プロ70周年スペシャル」として販売する。同品はオールメッシュ素材で抜群の通気性を誇るため蒸れにくく、8本のグラスファイバーロッドを使い、誰もが簡単に組み立てることができる。「バッグがしっかりと自立するので使いやすい」と各種作物の収穫作業の現場で好評を博している。米、麦、大豆、小豆、飼料米、そば、子実トウモロコシといった作物の収穫時に同品はうってつけである。キャンペーンの詳細および同品の説明は同社ホームページ内の「田中産業70周年特設サイト」にて確認できる。

10.JA全中がJAグループの政策提案を決定

理事会で、令和6年度食料・農業・地域政策の推進に向けたJAグループの政策提案を決定した。この中で、「スマート農業技術の活用推進」が盛り込まれ、必要な機械・設備の導入に当たっての制度対応や支援の拡充などを求めた。また、理事会終了後、定例会見に臨んだ山野会長は、政策提案の重要事項として、1.食料安全保障の確保に向けた基本政策の確立、2.次期食料・農業・農村基本計画の実効性の確保、3.適正な価格形成に向けた速やかな法制化、4.共同利用施設の整備・更新等-の4項目をあげた。
 「スマート農業技術の活用推進」については、スマート農業技術の活用促進に資するハードおよびソフト両面での技術開発や環境整備を支援するとともに、生産者による必要な機械・設備等の導入に当たっての制度対応や支援を拡充すること。また、多様なスマート農業技術を活用するサービス事業体に対する支援を講ずること。生産者が導入するスマート農業技術の効果を十分に引き出す観点から、スマート農業技術を普及する人材の育成・確保に加え、スマート農業技術に適した生産方式への転換や食品事業者による新たな流通・販売等方式の導入に対する支援を講ずること-などを提案した。

11.本田技研工業が2023年度決算を発表

2023年度決算及び2024年度通期業績見通しを発表した。2023年度売上収益は20兆4288億円となり、前年度より3兆5210億円増(20.8%増)であった。営業利益は、インフレ影響などはあったものの、商品価値向上に見合う値付けの効果や四輪販売台数の増加などにより、6012億円増収の1兆3819億円となった。また、親会社の所有者に帰属する利益は、4557億円増益の1兆1071億円で、営業利益とともに、当期利益は過去最高となった。
 汎用エンジンをはじめ、耕うん機、発電機、除雪機、芝刈機などを提供しているパワープロダクツ事業及びその他の事業の営業利益はマイナス88億円で前年比316億円の減益。また、通期の売上げ台数は、381万2000台(前年比18万3300台減)であった。2024年度の営業利益の見通しは、研究開発費・諸経費などの増加はあるものの、二輪・四輪の増量効果に加え、売価/コストの影響などにより、380億円増益の1兆4200億円とした。パワープロダクツ事業における販売台数の見通しは、366万台(前年比15万2000台減)とした。

12.クボタが2024年12月期第1四半期決算を発表

2024年12月期第1四半期決算を発表した。それによると、売上高は7752億3200万円(前年同期比0.8%減)、営業利益は1029億5000万円(同0.3%減)親会社の所有者に帰属する四半期利益は729億2200万円(同5.5%増、四半期包括利益合計額は1871億5800万円(同76.8%増)となった。「農機・エンジン」の売上高は5132億8700万円(同3.0%減)、うち国内は618億6400万円(同11.9%減)、海外は4514億2300万円(同1.7%減)となった。
 部門別の外部顧客への売上高及びセグメント利益の状況をみると、機械部門の売上高は前年同期比0.7%減少して6802億円となり、売上高全体の87.7%を占めた。国内売上高は前年同期比11.7%減の703億円となった。主に農業機械及び農業関連商品の減少により減収となった。海外売上高は為替の改善効果もあり前年同期比0.7%増の6100億円。北米では建設機械の販売は住宅建設や政府のインフラ開発需要を背景に底堅く推移したが、トラクターはレジデンシャル市場の停滞、及び農作物価格の下落による影響を受け苦戦した。

13.クボタライスインダストリーハワイが開所式

日本産米の輸入・精米・販売事業を2024年4月に開始した「Kubota Rice Industry(Hawaii)Inc.」(クボタライスインダストリーハワイ)がホノルルで開所式を開催したと発表した。開所式には、在ホノルル日本国領事館の兒玉良則総領事やハワイ州産業経済開発観光局の関係者をはじめ、多くの来賓が出席した。クボタグループからはクボタ取締役副社長執行役員で機械事業本部長の渡邉大氏、専務執行役員でクボタノースアメリカコーポレーション社長の石井信之氏、クボタライスインダストリーハワイ社長の住中卓史氏、日本全国の農機販売会社幹部などが参加した。
 開所式で渡邉副社長は「クボタライスインダストリーハワイが安全・安心・新鮮で質の高い日本産米をハワイの皆様にお届けすることで、ハワイの食文化がますます豊かになると考えています。クボタライスインダストリーハワイがハワイの皆様から末永く愛される会社になることを願っています」などと挨拶。開所式に続いて行われたオープニングパーティでは、飲食店・小売関係者を招待し、ハワイで精米した新鮮な日本米を用いた料理を試食した。

14.井関農機が2024年12月期第1四半期連結業績を発表

オンラインで会見し2024年12月期第1四半期決算を発表した。それによると、売上高は439億7200万円(前年同期比4.2%減)、営業利益は7億3400万円(同56.6%減)、経常利益は9億2000万円(同29.3%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益は4億4600万円(同37.4%減)となった。冨安社長は、「海外は欧州の続伸で過去最高の売上高を更新中、一方国内は前年同期比、主に農機製品で減収、営業利益は国内減収・減産により売上総利益が減少。国内外価格改定効果や欧州の続伸、為替影響など、前期に続き営業黒字を確保した」と述べた。また、通期業績予想は「現状では想定通りで変更していない」とした。
 国内売上高は前年同期比38億9300万円減少の243億8400万円(同13.8%減)となった。前年同期は4月の価格改定に伴う駆け込み需要で伸長したが、当期は改定時期を1カ月前倒ししたこともあり減少となった。海外売上高は前年同期比19億8000万円増加の195億8800万円(同11.3%増)となった。北米はコンパクトトラクター市場の調整局面が継続、アジアは中国で排出ガス規制による反動から回復したが、アセアン・韓国では需要が軟調となった。一方、欧州は仕入れ商材の拡充とプレシーズンの需要を確実に捉え続伸し、海外売上高全体では増加となった。

15.日本農業機械工業会が農機業界の物流対策自主行動計画を公表

「農業機械業界における物流対策自主行動計画」を公表した。これは政府が2023年6月に策定した「物流の適正化・生産性向上に向けた荷主事業者・物流事業者の取組に関するガイドライン」を踏まえて取りまとめたもので、主に次の事項に取り組んでいくとしている。
 発荷主事業者・着荷主事業者に共通する取組事項では、必ず実施する事項として、物流業務の効率化・合理化、運送契約の適正化、輸送・荷役作業等の安全の確保を実施。そのうち物流業務の効率化・合理化では荷待ち時間・荷役作業等にかかる時間の把握や、荷待ち・荷役作業等時間2時間以内ルール、物流管理統括者の選定、物流の改善提案と協力-などを行う。また、発荷主事業者としての取組事項では、物流業務の効率化・合理化で出荷に合わせた生産・荷造り等や運送を考慮した出荷予定時刻の設定物流業務の効率化・合理化を実施。着荷主事業者としての取組事項では、物流業務の効率化・合理化として、納品リードタイムの確保を行う-など。

16.やまびこが2024年12月期第1四半期連結業績を発表

2024年12月期第1四半期(2024年1月1日~同年3月31日)の連結業績を発表した。それによると、第1四半期の売上高は、408億500万円(対前年同期比5.0%増)、営業利益61億1900万円(同1.5%増)、経常利益67億9200万円(同14.9%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益55億3500万円(同44.5%増)の増収増益となった。同社では、通期の売上高として対前期比4.4%増の1580億円を予想している。
 同社では、「当社グループの主力である海外小型屋外作業機械(OPE)は、北米市場において個人消費が堅調な市場環境を受けて、ホームセンター向けを中心に好調に推移した一方で、一般産業用機械は、北米市場において好調な建設・エンターテイメント需要が続いているものの、主力の発電機で一部部品の改修による影響が発生している」と説明。また、国内については肥料価格が下落傾向にあるものの、円安を背景とした資材価格の高騰などにより農業従事者の購買意欲の回復が遅れているとしながら、一方で、農業用管理機械において安全性向上のために販売を停止していた製品の販売を再開したことや国内初となる乗用型鶏舎向け防除機をはじめとした新製品の販売が好調に推移した、としている。
 また、同社は6月1、2の両日、青森市で開催される第5回日本伐木チャンピオンシップ024(JLC)に出展し、「国内外の市場へ向けてECHOチェンソーの知名度とブランド力」の向上を図った。

17.ヤンマーホールディングス、セイレイ興産が
  滋賀県と包括的連携協定

関係会社のセイレイイ興産とともに、地域の一層の活性化を目的に滋賀県と包括的連携協定を締結した。同県はヤンマー創業者・山岡孫吉翁の生誕の地で、ヤンマーHDおよびそのグループ会社がエンジン工場や中央研究所、ヤンマーミュージアムなどを構え、企業活動・地域活性化を進めてきた。また、セイレイ興産は同県内でゴルフ場「琵琶湖カントリー倶楽部」や「ヤンマーサンセットマリーナ」を運営、同県でのマリンスポーツ振興にも取り組んでいる。今回の協定に基づき、農業の振興、エネルギー分野での脱炭素先行地域の取り組み推進などに加え、スポーツ振興、観光分野などへ協働を拡大、ヤンマーグループの資源を活かし同県とともに地域の発展に貢献していく。
 連携事項は以下の通り。

  1. 琵琶湖・自然等を生かしたスポーツの振興に関すること
  2. 観光・インバウンドの推進に関すること
  3. 農業振興に関すること
  4. CO2ネットゼロ社会の推進に関すること
  5. (次世代育成に関すること)
  6. その他地域の活性化・県民サービスの向上に関すること

-など。

18.クボタが2026年に本社移転

2026年5月、本社を大阪北西部のうめきた2期地区開発プロジェクト「グラングリーン大阪」に移転する。立地を生かしたイノベーションの加速と先進のITによる社内シナジーを発揮し、持続的な成長と企業価値の向上につなげていくとともに、国籍や組織などを問わず、多様な従業員が集い、交流できる空間を創造するとともに、生成AIなどの先進ICTを活用したワークスタイルの変革に取り組む。
 新オフィスの特徴は、1.コラボレーションを促進する空間づくり、2.ワークスタイルの変革、3.健康経営の推進とエンゲージメントの向上。同社はその理念に共感して、誰もが働きやすい職場づくりやリスキリングの強化をはじめとした人的資本投資をさらに進めることで、新オフィス空間を利用した健康経営の推進と従業員エンゲージメントの向上を実現する。なお現在の本社敷地は、地域のさらなる成長と発展に寄与する有効な土地活用方法を今後に検討していく。