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農業機械関連ニュース

2024年5月13日発行

<業界短信-新製品5月>

  1. クボタが燃料電池トラクターを初公開
  2. 静岡製機が新型色彩選別機の出荷開始
  3. JA全農と丸山製作所がバッテリー動噴を共同開発
  4. ヤンマーアグリがハンマーモア新発売
  5. やまびこジャパンが背負式刈払機を新発売
  6. ヤンマーアグリがマルチ仕様のにんじん収穫機発売
  7. 小橋工業が耕幅5mのサイバーハロー発売
  8. 大竹製作所が新型飼料用破砕機を発売
  9. 大島農機が中型乾燥機7型式を発売
  10. オーレックがラジコン草刈機を発売
  11. サタケが汎用乾燥機SDR-XDシリーズを発売

<業界短信5月>

  1. 三菱マヒンドラ農機がグループ会社へメッセージ配信
  2. キャニコムが第69期(2023年12月期)決算を発表
  3. JA全農が第56回臨時総代会を開催
  4. 日本農業機械工業会が2023年作業機統計を発表
  5. 丸山製作所がIT関連の新会社を設立
  6. サタケが知財功労賞 「経済産業大臣表彰」を受賞
  7. 科学技術分野の文科大臣表彰で業界から多数受賞
  8. クボタが北海道十勝地方で大規模畑作スマート実証実験
  9. IHIアグリテックが新しい役員体制
  10. JA全中「JAグループの活動報告書2023」を発表
  11. JA全農が日本農薬の病害虫等診断アプリと連携
  12. 三菱マヒンドラ農機が2023年度ペースト生育試験結果を報告
  13. タカキタが2024年3月期業績予想を上方修正
  14. サタケが豪州の穀物調製機メーカーサイロ事業を買収
  15. JA全農が農機サービス士47人を認定
  16. 諸岡が新体制、社長に諸岡昇氏

<業界短信-新製品5月>

1.クボタが燃料電池トラクターを初公開

。国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成を受けて開発を進めている、水素燃料電池トラクター(「FCトラクター」)を報道関係者向けに初公開するとともに、試作機の概要を明らかにした。FCトラクター試作機は、全長4200×全幅1810×全高3100mm、最大出力は60馬力のディーゼルエンジン搭載トラクターと同等の水準。燃料は圧縮水素を活用し、燃料電池種類は固体高分子型としている。想定する用途は一般の農作業用途全般としている。
 同社は機械の動力源に関する脱炭素化の取り組みとして、バッテリーを使用した電動化のみならず、水素燃料電池利用による電動化、水素やバイオ燃料、合成燃料を燃料とするエンジンなど、全方位の研究開発を進めている。そのうえでFCトラクターは、「走行中に排出するのが水だけのため環境性に優れ、CO2排出がゼロとなるだけでなく、水素の充填も一般的なバッテリーの充電よりも短時間で行えることが特徴」だとし、今後は、「試作機を用いた国内の圃場における実証実験段階に移行し、農作業への適合性確認やトラクターに適した水素供給手段を検討しながら、実用化を目指す」とコメントしている。

2.静岡製機が新型色彩選別機の出荷開始

新製品「色彩選別機SCS-55S」の出荷が4月から始まった。同機は、業務用5インチ籾すり機にも余裕をもって対応できる処理能力を持ち、また、青米選別機能、扱いやすい操作性、メンテナンス労力のさらなる低減など、より効率的な調製作業を行うためのプレミアムモデルとして開発した製品。55レーン溝シュートで最大処理能力2.3t㌧(38俵)/時を誇る5インチ籾すり機対応となっている。
 主な特徴は、

  1. 内部滞留のないオール一次選方式を採用し、不良混入率10%まで最大処理能力で稼働が可能。不良混入率の高い玄米にも安定した処理能力を発揮
  2. 信頼性の高い「トリプルカメラシステム」により、着色粒を検出する前後カメラと白未熟を検出する透過カメラの3台で不良米を判定。白未熟粒を専用のカメラで検出しているため、着色・白未熟同時検出時も判別能力を落とすことがない。
  3. 流れてくる米粒の中心位置を検出し、的確にエアを噴射、排除する新システム「中心検出システム」2300kg/時-110S-によって、選別時の良品の巻添えを減らし、歩留まりを向上
  4. 活き青米をしっかり残したい時は緑色光源で選別し、活き青米をしっかり除きたい時は赤色光源で選別する「青米選別機能」を搭載

-など。

3.JA全農と丸山製作所がバッテリー動噴を共同開発

共同開発したバッテリー動噴「きりひめPEACHLSB110Li-JA」を発売開始した。「女性が使いたくなる」をコンセプトに、両者の女性スタッフによる開発プロジェクトチームが検討を重ねて共同開発した製品で、2017年に発売したLSB100Li-JAのフルリニューアルモデル。発売を開始した新型きりひめは、バッテリーのムダな消費を防ぐワンタッチ式の高性能グリップバルブ(握ると噴霧、離すとモーターが停止)を新規採用したほか、背負バンドにはリュックのような肉厚でクッション性の高い素材を用いるなど、女性目線に基づいてより使いやすさを追求。ボディーカラーは鮮やかなパープルとし、デザインも一新した。
 主な特徴は、

  1. 農作業時の緊急事態などに連絡が取れるようスマホも入るポーチを標準の付属品とした
  2. 各種保護機能(過充電、過放電、過電流、高温など)が付いた丸山オリジナルのバッテリーを1個付属
  3. 限定カラーのカバー付き除草ノズルで、周囲の作物には薬液がかからない
  4. 薬液タンクのフタに薬剤希釈倍率シールを付け、薬剤希釈の計算が簡単にできるようにしている
  5. 薬剤タンクドレンを排水しやすい本体中央に配置、メンテナンス性を向上させた
  6. ノズルパイプを固定する道具として使え、収納がきれいに行えるグリップホルダーを装備

-など。

4.ヤンマーアグリがハンマーモア新発売

コンパクトハンマーモア「YW-Hシリーズ」最大の4.2馬力エンジン、刈幅500mmにセルスターター式を採用した「YW490H」を発売した。同社では、2021年にコンパクトハンマーモア「YW450H」を発売し、簡単操作とハンマー方式による粉砕処理で、刈払機では不十分だが畦草刈機までは不要という客層に好評を得ていたが、今回、より広い面積を作業したいと感じている顧客をターゲットに、高馬力で刈幅を広げた「YW490H」を上位モデルとして発売、シリーズを拡充。今まで通りの簡単操作と処理能力に加えて、作業能率が向上するとともに、余裕を持った作業を行うことができる。
 主な特徴は、

  1. 4.2馬力エンジン搭載の自走式コンパクトハンマーモア。キースイッチを回して簡単にエンジンが始動できるセルスターター式を採用
  2. シンプルで使いやすい操作レバー。管理機などと同様、主クラッチレバーは握ると進み、離せば止まるデッドマン方式を採用しているため安心して作業が行える
  3. 短い草から長い草まで細断するハンマーナイフ。刈り高さはレバー1本で20~55mmの6段階で調整でき、作業跡も思い通りキレイに仕上がる。刈幅は500mmとシリーズ最大、1時間当たり5.5aの草刈をすることができる

-など。

5.やまびこジャパンが背負式刈払機を新発売

今シーズン向けの刈払機の新製品として排気量30.5cm3のエンジンと新機構のAVS(Anti-Vibration System)を搭載し、タフな草にも負けない粘り強さと優れた再加速性、防振性を備えた背負式刈払機「RME3200LT」を投入。併せてRME3200の購入者を対象として「ナイロンコードカッター(DS-5A)」300台を限定でプレゼントする「パワー体感フィーリングGood!」キャンペーンを展開し、市場への浸透を図っていく。
 主な特徴は、

  1. 新機構のAVS搭載。ワンウェイクラッチを取り入れたAVSは、意図的にアクセルを緩め、再度アクセルを握るスロットワークでも加速時の刈刃速度が速く、再加速性に優れる。低速に減速した際はクラッチからの動力伝達がオフになることで、半クラッチ時の振動をカット、防振性に優れ、作業者への負担を軽減
  2. 疲労感を軽減する新規設計のフレーム。デザインが一新され、腰バンドが追加された。エンジンを背負っても肩への負担が少なく、疲労感を軽減。さらに体に密着する作りとなり、足場の悪い場所での作業効率も向上
  3. ハイパワーを裏打ちするクーリングシステム。熱量を効率良く冷却するためのインナーカバー装備というクーリングシステム
  4. 防塵性が向上し、取り付けやすいフラットパネルのフィルター、新しく追加されたコイルスプリングなど、作業性、メンテナンス性を高めている

-など。

6.ヤンマーアグリがマルチ仕様のにんじん収穫機発売

1条掘りにんじん収穫機「HN10」にマルチ仕様を追加し発売した。1.掘り取り、2.根切り、3.搬送、4.茎葉処理、5.選別、6.運搬-の6工程を1台で行えるため、ニンジン収穫作業の更なる省力化を実現した。引き起こし部の改良によりニンジンの状態に合わせて最適な調整ができるようにしたほか、カットミスの減少を図り、スムーズな収穫を実現している。
 主な特徴は、

  1. 振動式L字サブソイラと1連引起しベルトを追加。条合わせがずれてもニンジンを傷つけ振動しにくいL字サブソイラにより確実にニンジンを掘り起こす
  2. 引き起こし部左側のカバーを小型化することで、150mm条間に対応。狭い条間でも安定して収穫できる
  3. 排葉ベルト終端とチェーンケースのすき間を広げ、排葉ベルトを挟持方式に変更。排葉部が詰まりにくく、葉の短い霜枯れニンジンから葉の長い春ニンジンまでスムーズな排出を行うことができる
  4. 肩揃え部はニンジンの茎太さに対する適応範囲が広いため、作物条件による調整を行う必要が少なくなる

-など。

7.小橋工業が耕幅5mのサイバーハロー発売

軽量設計かつ作業能率の高い耕幅5mの「サイバーハローTXV505」の販売を開始した。同機は55~106馬力のトラクターにベストマッチし、最大作業幅5m(移動幅2.7m)で、トラクターに乗ったままエプロン加圧ができる。砕土性を高めるSC爪&特殊爪配列・土寄せ爪・大型スプリングレーキなどにより、少ない代掻き回数で綺麗な仕上げを実現する。
 主な特徴は、

  1. 軽量かつ優れた耐久性。軽く耐摩耗性の高い合金爪(SC-Z爪)を採用。フレームは上位クラス(TXZ)を組み合わせた専用設計とすることで、軽量設計ながらも高い強度を確保
  2. トラクターに乗ったままON・OFF可能な電動エプロン加圧。エプロン加圧機構で強制的にレーキとエプロンを押さえるため、砕土性が向上し、ワラなどの残渣物を土中にすき込む
  3. SC爪&特殊爪配列。レーキ方向へ土塊が飛ぶように爪形状を最適化したSC爪(スランティングカット爪)と、爪ホルダの位置を一定量ずらす特殊爪配列により土塊を細かくし、田植えに最適な土壌条件に
  4. 土寄せ爪(白色)がタイヤで押し込まれた土をタイヤ跡に戻す。

-など。

8.大竹製作所が新型飼料用破砕機を発売

新型飼料用破砕機SH-22の販売を開始した。インバーター制御や集塵機の標準装備などにより、生籾・乾燥籾・乾燥玄米など多種の飼料原料に対応。破砕処理により牛や豚の消化の向上が見込めると期待されている。前モデルS-21の特徴はそのままに、より使いやすくなった。
 主な特徴は、

  1. 飼料米破砕ファンとは別に乾燥トウモロコシ専用破砕ファンを付属
  2. インバーター制御により回転数を自在にコントロール。簡単に破砕粒度の調節が可能
  3. 埃対策として集塵機を標準装備
  4. 破砕程度の調節が可能。回転数を変えれば、破砕程度を調節することが可能であり、牛や豚へ米を給与する場合、破砕処理を施すことで消化の向上が期待できる。また、飼料の均一性が確保でき、栄養が偏ることなく給与できる

-など。

9.大島農機が中型乾燥機7型式を発売

6月から中型遠赤外線乾燥機「RCシリーズ」7型式を発売する。開発コンセプトは「主力製品である中型遠赤外線乾燥機の機能と操作性の向上をはかり、お客様により高い満足感を提供することを目的とする。従来機(NX型)でのコンセプト(より早く、より静かに、よりきれいに、)を踏襲し、更に快適な作業を提供する」。
 主な特徴は、

  1. 基本性能は、張込み性能5%アップ、排出性能10%アップ、吸引ファンサイレンサー標準装備により稼働時の騒音を大幅低減
  2. 操作性向上。7インチカラー液晶タッチパネルコントローラーを採用。カラー液晶表示により、見やすく、操作しやすくなった
  3. 耐久性、耐摩耗性の向上。消耗部品の耐久性向上。搬送スクリュー、搬送部品の窒化処理を実施。乾燥部内外筒を上下分割型にすることで強度アップを実現
  4. メンテナンス性向上。「メンテナンスお知らせナビ」搭載により稼働時のトラブルを回避。排塵スクリューの採用により排風路に溜まる塵を機外へ排出し、機体内での塵ホコリの堆積を少なくした

-など。

10.オーレックがラジコン草刈機を発売

ハンマーナイフ構造を採用したラジコン草刈機「ブルモアーRC(型式:RCHR800)」を発売。2024年は台数限定での販売。同製品は高出力エンジンとハンマーナイフ構造により、高効率な作業を実現できるラジコン草刈機で、遠隔操作により安全な場所から休耕田や耕作放棄地の草刈り作業が可能。さらに、雑草を上から刈り込み前方への飛散を抑えるダウンカットを採用しているため、石飛などの飛散軽減が期待できる。
 主な特徴は、

  1. ダウンカットにより草刈り作業による石飛など飛散を軽減
  2. パワフルで高効率な作業を実現。ハンマーナイフ構造と14馬力の高出力エンジンにより、背丈の高い草が生い茂っている休耕田や耕作放棄地でも効率よく作業できる
  3. 足回りはモーター駆動。刈取り部はエンジン出力のハイブリッド機構。足回りがモーター駆動であるため、エンジン出力を刈り取り能力に注力でき、燃料が切れた後もバッテリーで駆動できるように設計。万が一草むらや傾斜地で燃料が切れた場合でも、平地などの安定した場所まで車体を移動させ給油可能

-など。

11.サタケが汎用乾燥機SDR-XDシリーズを発売

1台で米・麦・大豆・そば・コーンの乾燥作業に対応する「汎用乾燥機SDR-XDシリーズ」の販売を開始した。大規模生産者向け高耐久シリーズの新ブランド「SAXES」の製品系列で、水田活用・田畑輪換の拡大に即し、今後の需要掘り起こしが期待される。小麦処理量で1000~3600kgのSDR3000XDから、同1000~7800kgのSDR6500XDまで、全8型式のラインアップ。
 主な特徴は、

  1. 昇降機用の回転数制御専用のインバータを新たに追加し、原料の種類に合わせ、昇降機・スクリュの回転数を自動で制御
  2. ロールとフィーダーの形状を変更し、様々な原料の水分が測定可能な汎用乾燥機専用の水分計を搭載、品種の切り替え時にレバーを操作する必要がない
  3. 原料種類を選択することで、原料に適した搬送に自動で切り替え(籾・麦・コーンでは飛散盤搬送、大豆ではシュート搬送、そばの場合は、飛散盤搬送/シュート搬送から選択可能)と、異なる原料に手間いらずで対応できる
  4. 搬送部や駆動部にはステンレスや熱処理によって耐摩耗性を強化したハイグレード部品を使用。飼料用米モードをはじめ多様な運転モード・設定を搭載し、多様な原料に合わせられる機能が満載

-など。

<業界短信5月>

1.三菱マヒンドラ農機がグループ会社へメッセージ配信

全国の三菱農機販売店及び三菱マヒンドラ農機グループ会社に向けて、齋藤徹社長と吉田康二上級執行役員国内営業本部長(三菱農機販売社長兼任)のメッセージを配信した。これは例年開催している同社ディーラーミーティングに代わるもので、グループの結束を強めるために発信した。
 その中で齋藤社長は、2023年度は国内市場の減少に伴い主要3機種の販売台数は減少しているものの、「シェアは3機種とも前年より増加している」と報告、営業第一線の努力を称えるとともに、引き続き今後の奮闘に期待を寄せた。そして、今年のブランドパーソナリティとして「Together We Challenge 挑戦する喜びの共創」を掲げたとし、「日本の農業のために、小さくても存在感のあるグレートスモールな会社を目指し、意思と行動によって未来が変えられることを楽しみ、挑戦を続けよう」と呼びかけた。
 一方、今年はさらなる作業機取り扱いの拡大を予定しているとし、国内に適応する製品を発掘して輸入に向けて準備を進めていると説明。早い段階での国内導入を考えているので期待してほしいと述べ、これらの製品をきっかけに新規顧客への積極的なアプローチを力強く促した。

2.キャニコムが第69期(2023年12月期)決算を発表

本社にて第69期(2023年12月期)決算を発表した。売上高は100億5000万円で前年比14.6%増、純利益は9億7900万円で前年比81.6%増だった。売上げ構成は、国内が43億4700万円、海外が57億300万円と、海外売上げが国内を上回り、その増加率は、国内6.4%に対して、海外は21.6%だった。
 包行良光社長によれば「海外の売上げが増加したのは、アメリカやカナダなどの北米で建機キャリアの売上げが増加したことが要因だ。また、円安で約7~8億ほど押し上げた」と述べた。一方、草刈機に関しては、特にタイ、インドネシア、マレーシアなどアジアを中心に売上げが増加した。国内では、「りんごブラッサムまさお」、「フルーティまさお」、「アラフォー傾子」など、主に新製品の草刈機が牽引し、2022年の売上げ40億8400万円から、2億6300万円増加した。
 第70期・2024年について、同社長は「売上げ108億円を目標に、キャニコムの品質を高めることで達成したい」と力強く述べた。そして、「進化と発展という意味合いを込めて『Evolution』というキーワードを掲げる。ものづくりの考え方、働き方、時間の使い方に特化して進化、発展させたい」と今期のコンセプトを発表した。

3.JA全農が第56回臨時総代会を開催

第56回臨時総代会を開き、令和6年度事業計画を承認した。6年度の取扱計画は4兆9200億円、うち農業機械は1214億円の計画とした。生産振興事業では、共同購入コンバイン300台、営農管理システム「Z-GIS」の導入ID発行数の累計3000件を目標とした。同日行った記者発表会には、野口栄理事長、桑田義文専務、安田忠孝専務が出席し、説明した。6年度事業計画における全体戦略は、1.生産振興、2.食農バリューチェーンの構築、3.海外事業展開、4.地域共生・地域活性化、5.環境問題など社会的課題への対応、6.JAグループ・全農グループの最適な事業体制の構築-の6本柱。
 このうち生産振興については、国産化成肥料の銘柄集約や集中購買の予約積み上げ、堆肥入り混合肥料など国内肥料資源活用銘柄の開発・普及、農薬担い手直送規格の取り扱い拡大、生産者が必要とする機能を厳選した共同購入コンバインの供給開始、TACなど出向く活動の強化や営農計画策定支援システム「Z-BFM」の活用を通じた経営改善支援等の担い手経営体への対応力強化、営農管理システム「Z-GIS」や営農栽培支援システム「ザルビオフィールドマネージャー」などによる効率的な営農管理手法の提案・普及-などに取り組む。

4.日本農業機械工業会が2023年作業機統計を発表

2023年1~12月の作業機の生産・出荷・輸出入実績をまとめた。それによると、乗用トラクター用、歩行トラクター用、自走式を合わせた作業機全体の国内向け出荷実績(国内向け+輸入)は、508億4278万円で、前年比99.8%とほぼ横ばいで推移した。
 国内向け及び輸出向けの出荷実績は457億6467万円で、同104.6%と増加した。機種別の国内向け出荷実績(輸入実績含む)をみると、肥料散布機が大きく伸び、マニュアスプレッダ(2t以下)が110.5%、有機肥料散布機が233.9%、ライムソアが108.7%などとなった。生産資材費の高止まりなどから国内資源の有効活用が見直され、堆肥散布機などの需要が高まったものとみられる。また、管理用作業機も一部が増加。増えた機種をみると、雑草・草刈機(フレールモア・ストローチョッパ含む)は109.7%、カルチベータ(ウイダー含む)は110.6%に増加。耕起用作業機の国内向け出荷は前年に比べていずれも減少した。

5.丸山製作所がIT関連の新会社を設立

T戦略の企画と遂行を目的に設立した新会社「M-Innovations」の営業を開始した。IT化が急速に進む昨今、事業や技術の変革を従来以上のスピード感をもって取り組む必要があることから、IT分野を専門にする同社を設立し、日本の中堅中小企業のIT推進モデルとなることを目標にしている。M-Innovationsは、丸山グループの企業価値を上げ社会課題解決のバリューチェーンを構築。丸山グループのIT戦略を企画・遂行し、保有したITノウハウを中堅・中小企業へ伝搬していく。
 同社の事業内容は、コンピュータ・ソフトウエアの研究、設計、開発、製作、販売、保守、リース、賃貸及び輸出入並びにそれらに関するコンサルティング業務、情報提供サービスその他情報サービスの提供、企業革新、企業情報システムの構築に関する支援事業、企業内従業員のための教育事業、労働者派遣事業、アウトソーシング事業の受託及び請負-としている。

6.サタケが知財功労賞 「経済産業大臣表彰」を受賞

特許庁は令和6年度「知財功労賞」の受賞者を発表した。これは知的財産権制度の発展・普及・啓発に貢献した個人及び知的財産権制度を積極的に活用した企業等を表彰するもので、そのうち経済産業大臣表彰の知的財産権制度活用優良企業等にサタケが選ばれた。同社の表彰区分は「知財活用企業(商標)」。受賞のポイントは、1.商標を活用したブランド戦略を展開、2.包装袋を宣伝媒体として活用するブランド戦略も実施、3.知財部門は営業・広報部門と連携して商標出願を推進-など。
 知財功労賞表彰式は東京・赤坂の赤坂インターシティコンフェレンスで行われた。今年度は経済産業大臣表彰として個人1名と企業等(7者)、特許庁長官表彰として個人5名と企業等(14者)が栄に浴した。農機業界からは、サタケが経済産業大臣表彰の知的財産権制度活用優良企業を受賞。このたびのサタケの表彰区分は「知財活用企業(商標)」で、上月良祐経済産業副大臣から表彰状を授与された。松本和久社長は、受賞に当たり「名誉ある受賞を励みに、今後一層の技術イノベーションの創出と、知的財産のグローバル展開に取り組み、世界の『食』に貢献してまいります」と語った。

7.科学技術分野の文科大臣表彰で業界から多数受賞

文部科学省は令和6年度科学技術分野の文部科学大臣表彰受賞者等を決定し公表した。これは科学技術に関する研究開発、理解増進等で顕著な成果を収めた者を表彰するもので、業界関係の受賞者は、本田技研工業・矢ヶ崎徹氏ならびに隅田聡一朗氏が「グローバルなCO2削減を実現する進化CVTベルトの開発」で科学技術賞(開発部門)を受賞。
 また、創意工夫功労者賞の受賞では山本製作所・斉藤勝彦氏ならびに樋渡剛氏による「穀物乾燥機の遠隔確認システムの考案」、タカキタ本社工場・山中郁哉氏による「ローラ溶接部品の同芯度を向上させた治工具の考案」、クボタ堺製造所・濵﨑省治氏による「クボタトラクター製造における新ピッキングシステムの考案」、クボタ枚方製造所・本多徹郎氏による「建機製造における生産性向上の為のからくり改善」、クボタ恩加島事業センター・和布浪信博氏による「電力量管理システムの構築と管理技術の改善」-などがそれぞれ選出された。

8.クボタが北海道十勝地方で大規模畑作スマート実証実験

北海道十勝地方で地域の農業生産者や十勝管内の農協、十勝農業協同組合連合会をはじめとする社外パートナーと連携し、同社と十勝農協連の営農支援システム間のデータ連携とその活用によるユーザーの利便性向上等に関する2カ年の実証実験を行っている。自動操舵ガイダンスシステムを搭載する農業機械の走行履歴の位置情報の取り込みやデータ活用方法の検討などを行い、スマート農業の推進を通じた地域農業への貢献を目指している。
 クボタの営農支援システム「KSAS」と、2017年に十勝農協連がサービスを開始した「TAF(十勝地域組合員総合支援システム)」を連携し、同社と十勝農協連は、十勝地方で広く普及する自動操舵ガイダンスから得られる農業機械の走行履歴の位置情報を「KSAS」や「TAF」上で活用することによって作業履歴管理の効率化を図り、データ活用方法の検討や両システムを連携させることによるデータ入力作業の軽減効果の検証などを行う。2024年度は作業速度や高低差等のデータの「KSAS」上のマップへの反映などのサービス提供に向けたシステム開発を検討。「KSAS」を経由して「TAF」上に取り込んだ走行履歴の位置情報を活用することによる、地域単位での情報共有の強化・円滑化の可能性を検証するとしている。

9.IHIアグリテックが新しい役員体制

4月1日付で新しい役員体制となった。新任の取締役には久保光、長尾浩二、また、同非常勤には品田喜久の各氏が就任した。新体制は、代表取締役社長に磯本聡一氏、取締役に塩田朋彦、水野能啓、久保光、長尾浩二、品田喜久(非常勤、IHI産業システム・汎用機械事業領域企画管理部長)の各氏。監査役に清水克史、北村伸夫(非常勤、IHI財務部内部統制評価グループ長)、根布谷岳志(同、同社産業システム・汎用機械事業領域企画管理部戦略・業績グループ主幹)の各氏。なお、取締役の森川俊一郎、櫻井雅晴(非常勤)、久野賢史の各氏は退任した。

10.JA全中「JAグループの活動報告書2023」を発表

「JAグループの活動報告書2023」をまとめた。それによると、スマート農業の導入支援や活用に取り組むJAの割合は、2019年度の27.6%から2023年度は54.1%に倍増し、JAが所有するドローンの台数は、2019年度の48台から2023年度には180台と、4倍近くになったとし、スマート農業の進展を報告している。報告書によると、「スマート農業による省力化で農業の働き方改革を実現する」とし、JAグループは、ドローンやロボットなど農業ICTを活用したスマート農業により、省力化やノウハウの継承、農業者の働き方改革を進めている。事例として、JA伊勢が2023年11月、JAグループで初めて、経済産業省のDX認定制度に基づくDX認定事業者に認定されたことを紹介している。
 また、「自然と共存した環境調和型農業に取り組む」とし、83.9%のJAが取り組みを実施(または実施予定)している。地域の有効資源を活用することで個々の農業を結び付け、資源循環によりコスト低減につなげ、農業者の所得増大を目指すほか、化学肥料低減により環境に配慮し、安全で安心な農産物の提供につなげていくとしている。JA全農の取り組みの一環として、生産者の声を反映した農機の共同購入事業の報告もあった。

11.JA全農が日本農薬の病害虫等診断アプリと連携

日本農薬が運用するスマホ用アプリ「レイミーのAI病害虫雑草診断」(以下、レイミー)と、JA全農が提供する営農管理システム「Z-GIS」を連携させた新機能のベータ版(テスト段階)をリリースした。これにより、レイミーの診断結果をZ-GIS上で容易に表示ができるようになった。
 レイミーは日本農薬が2020年にリリースしたスマホ用の防除支援ツール。作物や田畑に発生する病害虫や雑草を写真から診断し、表示された診断結果から利用者が選択した防除対象に有効な防除薬剤の情報を提供するもの。今回の連携により、Z-GISによる圃場データの地図上での見える化、レイミーによる病害虫雑草の正確な診断という両プロダクトの利点を組み合わせることが可能になる。これによって、病害虫や雑草の発生動向の正確な把握でき、管理がより簡便になる。同システム連携はZ-GISのベータ版機能として限定配信を行いテスト運用した後に、有償サービスとして展開する計画としている。

12.三菱マヒンドラ農機が2023年度ペースト生育試験結果を報告

2023年度に全国で実施したマイクロプラスチック殻を出さないペースト一発肥料を使用した水稲の生育試験の結果を発表した。それによると、2年連続で食味収量ともに良好であった。また、ペースト施肥を使用した生産者からは身体的負担の軽減にもつながるとの評価が寄せられ、同社は「ペースト施肥は環境にも人にも優しく、生産性の高い施肥体系であることを実証できた」としている。
 生育試験結果の概要をみると、試験計画総数は54カ所、実際の試験実施数は45カ所(内うるち米は43カ所)、最終集計データは収量計測数41、食味測定数39他。分析値は10株の調査株を片倉コープアグリつくば分析センターで測定した。集計結果は、収量が実証圃平均で1反当たり528kgとなり(各県平均503kg)、食味は極上2件、優良29件、良8件であった。同試験は2022年に長岡市、岡山市、矢板市などで実施した実証試験において、平均を上回る良好な結果が示せたことを踏まえ、2023年度は全国規模での生育試験を実施し、各地域においてペースト一発肥料の有効性を確認、地元の農家や農業関連団体と共有することで、さらなる理解の促進と浸透を図るために実施した。その結果、実証圃の平均収量は各県収量の平均値より5%程度高く、すべての地点で食味良好となった。

13.タカキタが2024年3月期業績予想を上方修正

昨年4月28日に公表した通期業績予想および配当予想を上方修正した。それによると、今回修正予想の売上高は84億8200万円(前回発表予想は80億円)、営業利益は9億7200万円(同6億円)、経常利益10億3000万円(同6億5000万円)、当期純利益6億9200万円(同4億3000万円)、1株当たり当期純利益は62円43銭(同38円76銭)とした。
 修正の理由は、国の畜産クラスター事業の採択が進んだことにより、耕畜連携・循環型農業に寄与する汎用型微細断飼料収穫機や細断型ホールクロップ収穫機棟の売上げが伸長したことに加え、海外市場への受注増加により、売上高は前回予想を上回る見通しとなったことなどをあげた。利益面においては、人件費の増加や原材料・調達部品価格の高騰の影響があったものの、売上高の増加や製品輸送の効率化、そして価格改定の効果もあり、営業利益、経常利益、当期純利益ともに前回予想を上回る見通し。

14.サタケが豪州の穀物調製機メーカーサイロ事業を買収

サタケは、豪州の穀物調製機メーカーDE Engineers社(Kevin Prater代表・西オーストラリア州ベルビュー、以下DE社)と同社サイロ事業の買収に合意し、同国パース市で調印式を行った。
 サタケは、1991年に豪州における営業拠点としてサタケ・オーストラリア(SAU社)を設立し、米・小麦・種子・豆類などの加工機器および加工ラインを販売している。DE社は1965年設立の農機メーカーで、穀物貯蔵サイロ、グレインクリーナーなど収穫後の調製を行う機器やエアレーション機器などの付帯設備を製造販売している。今回の合意で、サタケ(SAU社)はDE社よりサイロ事業ならびに延べ5760平方mの生産工場、サイロ壁板ロール機などの設備を譲り受ける。SAU社は今後、営業や管理部門の統合など組織の効率化を図るとともに、大型・小型サイロを豪州の東西両地域に生産・供給できる体制を整える。
 サタケは今回の買収について「製品ラインアップの拡充や、より高品質な製品の提供と迅速なサービス体制を構築したいと考えています。豪州においても穀物の貯蔵から加工までをワンストップで提供するリーディングサプライヤーを目指します」と述べている。

15.JA全農が農機サービス士47人を認定

令和5年度JAグループ農業機械検定で合格した47人を「JAグループ農機サービス士」として認定、公表した。
 JAグループ農業機械検定は、JA農機担当者の経験年数に応じた知識・技能の習得を目的とし、実際の修理・整備に必要な知識・技能や、メーカー固有の機構・新技術、納品・安全指導など、より業務に密着した内容を検定項目に取り入れ実施している。同検定は平成23年度からスタートし、令和5年度の合格者を含めこれまで累計494人(1級89人、2級405人)の農機サービス士が生まれ、全国の農機センターなどで活躍している。
 令和5年度は、1級51人、2級107人が受検し、学科試験と実技試験の両方で合格基準に達した1級8人、2級39人の計47人を認定した。全農はこの「JAグループ農業機械検定」を通じて、農機担当者のスキルアップを促し、農家に信頼されるJAグループ農機事業の体制づくりに取り組んでいくとしている。

16.諸岡が新体制、社長に諸岡昇氏

4月1日付で3代目社長に諸岡昇氏が就任、前社長の諸岡正美氏は代表取締役会長に就いた。両氏のメディア会見を本社で行い、諸岡ビジョン2030・フェーズ2(2024年4月~2027年3月)に即し、各方面にチャレンジ精神を発揮して業容拡大にのぞむ姿勢をアピールした。
 また、新体制を支える若井光浩生産技術本部長、奥村広明管理本部長、伊藤有子経営企画室長、佐藤賢治内部統制室長がそれぞれあいさつ、新生諸岡のさらなる成長に向けた意欲を示した。諸岡昇社長はこれまでの役職経験を踏まえ「チャレンジ精神をもって新会長の右腕、役立つ人間になれるよう業務に励んできた。社長就任で身が引き締まる思い。3代目社長として、誠心誠意できることを社員のため、ステークホルダーの皆様、その他皆様のために大役を果たしていければと思っている。引き続きご支援、ご協力をお願いしたい」とあいさつした。