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農業機械関連ニュース

2024年4月10日発行

<業界短信-新製品4月>

  1. タカキタが全自動ラッピングマシーンを発売
  2. 丸山製作所がMUFB温水洗浄機を発表
  3. ヤンマーアグリが普通型コンバインに新型
  4. やまびこが水素エンジンを共同開発

<業界短信4月>

  1. 日本農業法人協会が基本法改正で2度目の提言
  2. クボタがフィリピンで水田メタン削減の共同実証
  3. クボタクレジットがトラクターのリース契約申し込みWEBサービス開始
  4. 井関農機が宇陀市と連携協定調印
  5. 井関農機が山梨県の女性農業者交流会サポート
  6. やまびこが19機種でバイオ燃料に対応
  7. キャニコムがブランドロゴのデザイン刷新
  8. JA全農及びJAバンクがJAグループ国産農畜産物商談会
  9. 日本農業法人協会らが農業技術革新・連携フォーラム2024
  10. 本田技研工業がコレクションホール刷新
  11. 日本農業法人協会がファーマーズキッズフェスタ
  12. キャニコムが「ジャスパー砂与」でネーミング大賞受賞
  13. 全国農業機械商業協同組合連合会が第68回通常総会
  14. ヤンマーミュージアムの来館者100万人達成
  15. メーカー各社が健康経営優良法人に認定
  16. 諸岡がトップ交代、新社長に諸岡昇氏
  17. JA全中が「JAグループ環境調和型農業取り組み方針」決定
  18. JA全農・クボタ・BASFが「ザルビオとKSAS連携」を発表
  19. クボタが営農型太陽光発電事業に着手
  20. JA全農が施設のCO2回収装置実装で九州大らと連携協定

<業界短信-新製品4月>

1.タカキタが全自動ラッピングマシーンを発売

中型コンビラップマシーン「CW1084N」とオートラッピングマシーン「WMA1650(T)」の2機種を新発売した。いずれも「公道走行対応」で、コンビラップマシーンは、ベール成形後すぐラッピングによる密封の連続作業で高能率、高品質サイレージに仕上げる。オートラッピングマシーンは、積込・放出、フィルムの巻き付けから切断まで全自動で行う。
 コンビラップマシーンの主な特徴は、

  1. ベール梱包・ラッピングへと連続作業でき作業効率がアップ
  2. アームストレッチ方式。2本のフィルムを同時に巻き付け、短時間で効率よくラッピングできる
  3. 追従性のよいタンデム車輪。タイヤが地面の凹凸に追従するので安定した走行で作業が行える

-など。


 オートラッピングマシーンの主な特徴は、

  1. ロールの積込・放出、フィルムの巻き付けから切断まで全自動で簡単。オペレータはトラクターの操作に集中できる
  2. フィルム装着も簡単、ストレッチの位置を低く設計。重いフィルムも交換しやすく楽に作業できる
  3. タンデム標準装備で片側2つのタイヤで走行性能と安定性がアップ

-など。

2.丸山製作所がMUFB温水洗浄機を発表

高濃度のウルトラファインバブルを生成し、それを活かして除塩や徐油に有効な「MUFB温水洗浄機UP0814H」を開発、4月発売に向け先行受注を開始した。従来の水道水による洗浄に比べ、作業時間が短縮でき、使用燃料を削減できることから、環境負荷を低減する製品になる。
 主な特徴は、

  1. ウルトラファインバブル発生装置(MUFB)を搭載し、ウルトラファインバブル水を最高80℃の温水・最高圧力8MPaの高圧で噴射。しつこい油汚れなどを素早く除去
  2. 除塩の場合はMUFBの持つマイナス帯電特性で塩の結晶の団結を弱くし、吸着して塩分をはがす、徐油の場合は微細な泡が油汚れのすき間に浸透し、泡が破裂して汚れを引きはがす
  3. 60℃の温水使用で80℃の温水と同等の除塩効果を発揮。作業時間を短縮して使用水量やCO2削減につながり、水温を下げることで、燃料コスト・CO2削減に貢献

-など。

3.ヤンマーアグリが普通型コンバインに新型

多様な作物を高精度・高能率に収穫する普通型コンバイン「YH1170」を発売。5月には直進アシスト仕様を追加する。同機は豊富なアタッチメントや作物別専用ヘッダーを取り付けることで、これら飼料用トウモロコシなどの高精度・高能率な収穫を実現する。
 主な特徴は、

  1. 各種ヘッダーによる高精度・高能率な収穫を実現。作業環境や圃場規模などに合わせ、3種類のリールヘッダーから選択可能
  2. 直進アシストで刈取り作業を省力化(直進アシスト仕様のみ)。多様な作物・圃場の形でも基準線を作るだけで刈取り作業を労力軽減
  3. 丸ハンドルと電子制御FDSで乗用車感覚の走行を実現。独自の電子制御によるハンドル操作で、大回りの旋回からその場での旋回まで自在

-など。

4.やまびこが水素エンジンを共同開発

水素エンジン研究の実績をもとに、水素を燃料として運転可能なエンジンに置換する「水素化コンバージョン」の普及を目指しているiLaboと水素エンジンの実証機を共同開発。東京都江東区有明で開催されたフォーミュラE 2024 Tokyo E-Prixにて実証機を初公開した。
 共同開発した実証機は、やまびこの100kVA Shindaiwa発電機をベースに、水素燃料で運転可能なエンジンに置換するiLabo社の「水素化コンバージョン」を搭載。この発電機は、水素燃料を燃焼させて発電するため、運転時のCO2排出を限りなくゼロとし、カーボンニュートラルへの貢献が期待される。フォーミュラEイベント会場では、約10台のフードトラックにクリーンな電力を供給した。
 同社は2月、建設現場などのカーボンニュートラルに貢献するShindaiwa発電機・溶接機19機種のバイオ燃料(RD)対応を発表。今後も企業活動を通じて、カーボンニュートラルの達成に向けた貢献を加速していくとしている。

<業界短信4月>

1.日本農業法人協会が基本法改正で2度目の提言

「『食料・農業・農村基本法』改正に対する意見~食料自給率の向上に向けた消費者における国産農畜産物の消費拡大について~」を農林水産省宛てに提出した。基本法改正に対する国産農畜産物の消費拡大を訴える意見書の提出はこれで2回目。
 前回の食品産業事業者に続いて、今回は「今まで以上に国民への食料安定供給機能の中心的な役割を果たしていく決意であるが、消費者が国産農畜産物に対する理解を深め、将来にわたる食料の安定供給を考慮した消費行動を行うことが不可欠である」ことを踏まえ、消費者の消費拡大に向けて、食料システムの各段階における構造改革及び価格交渉の適切な実施や、国産農畜産物の消費拡大に向けた産学官連携による「食育」の推進を提言している。

2.クボタがフィリピンで水田メタン削減の共同実証

クレアトゥラおよび東京ガスと共同で、水田由来のメタン排出削減が期待される水管理手法(AWD)のフィリピンにおける普及および民間JCMプロジェクト(2国間クレジット制度)登録に向けた実証事業に取り組み、ASEAN地域の農業分野において、民間JCMプロジェクト第1号を目指している。
 AWDは、水稲の栽培期間中、水を抜いて水田の地表面を十分乾燥させた後、再度湛水するという潅水制御を複数回にわたって繰り返す水管理手法。一時的に水田から水を抜くことでメタン排出量が低減する。この実証事業では、農家に対し種子の選定方法や土壌の管理方法、AWD実施方法を含む農業の高度化に資するトレーニングを実施し、AWDの普及や農家の収益拡大、カーボンクレジット創出に必要なデータ取得に向けた施策の検証により課題やリスクを抽出する。実証の成果に基づいて、より実効性と信頼性が担保された方法論を構築し、ASEAN地域での農業分野における初の民間JCMプロジェクト登録および高品質なカーボンクレジットの創出をめざす。

3.クボタクレジットが
 トラクターのリース契約申し込みWEBサービス開始

クボタ子会社である同社はWEBサイトからトラクターのリース契約を申し込むことができる新サービス「RAKUtA(ラクタ)」を開始した。多忙な農業従事者が時間や場所にとらわれず農機のリース契約を申し込みできるよう始めたもの。
 主な概要は、

  1. 定額のリース料を支払うことで、クボタトラクター「Slugger SL280スペシャル機」を5年間利用できる
  2. WEBサイトから、商品詳細の動画やリース料金、概算納期が確認、自身でリースの申込み手続きが行える
  3. 納品やアフターサービスはクボタのディーラー・販売店が対応
  4. リース期間(5年間)終了後、「残存価格にて買い取り」か「物件を返却」を選択できる

-など。

同社は、「この取り組みを通じてお客様のニーズに寄り添う多様な機械導スタイルの提案を強化してまいります」としている。

4.井関農機が宇陀市と連携協定調印

奈良県宇陀市と「有機農業をはじめとする環境と調和のとれた農業を実現する産地づくり」に取り組み、同市の農業振興を実現することを目的とした連携協定を結んだ。宇陀市役所で連携締結式を行い、井関農機の冨安司郎社長と金剛一智市長が協定書に署名した。
 宇陀市は2022年11月に全国で初めて「オーガニックビレッジ宣言」をし、持続可能な農業振興と環境負荷軽減に向けて取り組んできた。井関農機は環境保全型のスマート農業の推進に力を入れており、昨年から宇陀市内の圃場で16台の自動抑草ロボット「アイガモロボ」を納入するなど同市とつながりを強めてきた。両者が連携することで環境に優しい持続的な農業を実現させようと、今回の締結に至った。
 連携事項として、

  1. 有機農業をはじめとする環境と調和のとれた農業生産技術の確立、普及、生産性向上、省力化、人財育成、人財確保
  2. スマート農業技術の活用
  3. みどりの食料システム戦略の実現に向けた持続型農業の普及啓発

-などを取り決めた。今後は有機農業に関するPRイベントや講習会の実施などについても連携する。

5.井関農機が山梨県の女性農業者交流会サポート

山梨県甲府市の甲府合同庁舎で開催された女性農業者の交流会のサポートを行った。この交流会は、県内の女性農業者の活躍促進と交流を目的に、関東農政局山梨県拠点が開催した。今回はテーマに、「女性農業者にとって安全で快適な農作業」を掲げ、同社が、農業女子とともに開発した機械や刈払機の安全な使い方に関する講義のあと、農作業や農業機械に関するディスカッションを実施した。当日は山梨県内の女性農業者11名、農業関係者ら合わせて23名が参加した。
 講義は、農作業事故の現状と安全対策のポイント、農業女子プロジェクトにおけるISEKIの取組みについて、刈払機について-基本的な内容とエンジントラブル時のセルフチェック方法-の3講演を実施した。その後のグループディスカッションでは、女性農業者、関東農政局、井関農機・ヰセキ関東甲信越が参加し、これまでの経験を踏まえて農業機械に対する意見や要望などを中心にフリーディスカッションを行った。

6.やまびこが19機種でバイオ燃料に対応

クボタ製エンジンを搭載した発電機9機種、溶接機10機種の計19機種において、欧州規格EN15940に準拠したバイオ燃料(RD、リニューアルディーゼル)の使用に関する検証試験を完了。これにより、新たに購入する、もしくは既に所有している19機種においてバイオ燃料の使用が可能となる、と発表した。
 同社では昨年7月に自社開発したShindaiwaバイオ燃料発電機のコンセプトモデルを初公表し、その後、昨年12月に初めて国内での実証工事に参画。クボタエンジンジャパンの協力のもと更なる実験と検証を進め、発電機では3kVAから60kVAまでの9機種、溶接機についてはShindaiwaブランドの10機種でバイオ燃料の対応可能なことを確認した。特にShindaiwaワンダスティックハイブリッド溶接機 HDW310M-Iが昨年、省エネ大賞を受賞し、既に従来比60%減の温室効果ガス削減を可能としていたが、今回のバイオ燃料対応で、より一層のカーボンニュートラル化を建設現場などで実現できるという。
 同社は今後もあらゆる企業活動を通じてカーボンニュートラル実現に向けた貢献を加速していくとしている。

7.キャニコムがブランドロゴのデザイン刷新

ブランドロゴのデザインを刷新したと発表した。同社は2024年に創立70期を迎え、またキャニコムブランドを立ち上げて35年目を迎えるにあたり、ロゴデザインの罫線の角度を45度に変更した。
 これまでは、30度以上が運搬車の転倒角度であったため、転ばないようにとの意味を込め30度だった。今回の刷新で、最大傾斜45度対応のラジコン式草刈機「アラフォー傾子」になぞらえ、より高みを目指す決意を表したと、同社広報はコメントしている。そして、乗用の草刈機「まさおシリーズ」のブランド強化のため「MASAO」ロゴも新設した。新デザインについて広報は「キャニコム製品が日本から世界へ、そして宇宙まで広がっていくようにという想いを込めた」と語っている。

8.JA全農及びJAバンクがJAグループ国産農畜産物商談会

都内港区の東京都立産業貿易センター浜松町館4・5階において、第18回JAグループ国産農畜産物商談会を開催した。全国のJAグループが年に1度集結し、各地の魅力ある農畜産物・加工品をアピールするもので、今回は「地域の魅力を未来につなごう~四季~」がテーマ。北は北海道から南は沖縄まで、全国のJAグループがブースを構え、各地の四季が感じられる商品を出品。来場した多くのバイヤーに試食をまじえて魅力をPRした。これには各日多くの食関係者が参集し、活発な商談が行われた。
 主催者団体であるJA全農グループは、JA全農営業開発部ほか直販会社7社などがグループで出展。全国の産地を応援する全農の商品ブランド「ニッポンエール」商品や惣菜部会のおかずキット、その他乳製品や米粉製品、玉子、肉製品など幅広く提案した。

9.日本農業法人協会らが農業技術革新・連携フォーラム2024

農研機構、経団連及びクニエとともに、「農業技術革新・連携フォーラム2024」をオンライン開催した。同フォーラムは主催団体らが相互に理解を深め連携することにより、農業生産の現場における更なる技術革新の実現を通じて日本農業の安定的かつ持続的発展及び、国民生活の向上に貢献するために毎年開催されているもの。同フォーラムは2007年より開催され、7回目となる今回は、昨年に引き続き特設サイトにてWeb開催された。
 主なコンテンツは、1.主催者挨拶、2.基調講演、3.展示会(スマート農業、生産・基礎技術、資材機材、経営管理など)、4.3つの分科会-など。主催者挨拶では、農研機構理事長・久間和生、経団連農業活性化委員長・礒崎功典、日本農業法人協会会長・齋藤一志の3氏が開会挨拶の言葉を寄せた。そのうち齋藤会長は、資源価格高騰や家畜伝染病の発生などこれまでにない厳しい経営環境になったとし、農業法人協会は経営の自己改革によって自立的農業経営の確立を目指しているが、自助努力では解決し得ない課題ではエビデンスに基づく政策提言を行い、その実現に向けて働きかけていくなどとした。

10.本田技研工業がコレクションホール刷新

栃木県のモビリティリゾートもてぎ内にあるホンダコレクションホールを改装し、リニューアルオープンした。会場には同社のパワープロダクツ事業である耕うん機や汎用エンジン、船外機などが展示されている。オープンに先立ち、事前内覧会が行われた。同ホールは同社の創業50周年を記念し、1998年に開館。昨年25周年を迎え、今回のリニューアルで同社の紡いできた夢と挑戦の物語を通して普遍のフィロソフィーを伝承する施設へと進化した。
 会の冒頭、コーポレート戦略本部コーポレートコミュニケーション統括部の松山康子統括部長が「今もなお、そしてこれからもホンダの根底に流れるアイデンティティを感じていただきたい」と挨拶した。続いてリニューアルプロジェクト責任者の朝日嘉徳氏が「展示台数を従来の約300台から160台程度に減らし、1台1台のストーリーを充実させた内容となっている」と、リニューアルの概要を説明した。時代ごとに4つのフロアに分け、当時の想いと共に製品が展示された。

11.日本農業法人協会がファーマーズキッズフェスタ

都内渋谷区の代々木公園イベント広場で「ファーマーズ&キッズフェスタ2024」を開催した。「農業と子どもの元気が日本を元気にする」を副題に掲げて、東京のど真ん中でこだわりの新鮮な農産物や美味しい食を届けるとともに、農業機械の乗車体験や農産物収穫体験、やさいの重さ当てクイズなど豊富なコンテンツを通じて農業の魅力と楽しさを発信した。これには両日とも多くの親子連れが来場し、美味しい食に舌鼓を打ち、農業体験やワークショップ、クイズなどのコンテンツを満喫しながら、農業や農業機械の魅力を実感していた。
 出展の一部をみると、井関農機は、公園入口にブースを構えてスマート農機を出品。今回初出展したヤンマーアグリジャパン関東甲信越支社は、ヤンマートラクターをミニブロックで作れるワークショップを開催した。また、JA全農は「国消国産」をブースに掲げて、全国のJAグループが生産・開発・販売している様々な農産物やオリジナル食品を販売した。

12.キャニコムが「ジャスパー砂与」でネーミング大賞受賞

電動クローラ運搬車「ジャスパー砂与」が、第34回読者が選ぶネーミング大賞(日刊工業新聞社主催)のビジネス部門1位に輝いた。第17回で発電機搭載運搬車「伝導よしみ」が第4位に選ばれて以来、18年連続の入賞となった。経団連会館で表彰式があり、包行均会長が日刊工業新聞社の井水治博社長から表彰盾を受け取った。ジャスパー砂与は生コンクリート専用の電動クローラ運搬車。作業者に優しいクリーンな環境を実現するためにHONDAeGXシリーズのGXE2・0Hを搭載しており、バッテリーの充電や交換が容易にできる。生コンクリートの剥離が良い軽くて丈夫なポリエチレン樹脂を採用。レバーを離すと自動でブレーキがかかるようになっており、安全面にも配慮している。
 包行会長は「毎年新商品を生み出すのは並大抵のことではない。18年連続受賞は社員の開発力のたまもの。商品名を見れば、どんな特長があるかわかってもらえるように、親しみやすいネーミングにするよう心がけている。来年もこの場に来られるように頑張りたい」と笑顔で話した。

13.全国農業機械商業協同組合連合会が第68回通常総会

東京・新橋のホテルで第68回通常総会を開催し、一連の議案を原案通り可決・承認するとともに、西山会長の辞任表明を受け後任の会長に愛媛県農機具商組理事長の冠範之氏を選任した。また、新副会長に福岡県農機商組理事長の大橋健太郎氏、新理事に山口県農機商組理事長の西村透氏を選任した。席上、石川県農機商組の杭田節夫理事長が挨拶し、このたびの能登半島地震に際し、全農機商連から寄せられた義援金に対し御礼と、復旧に向けた国、県の農業復旧支援の状況を報告した。総会では冒頭木村英男副会長が挨拶に立ち、昨年は厳しい1年だったとしたうえでそれを踏まえての事業報告となるのでしっかり審議してほしいなどと要望した。
 2024年度の基本方針は、購買事業・オリコローンなど経済活動を活発に行うことで、教育情報活動事業や農作業安全への取り組みなどを将来にわたって継続的に行うための収益確保に努めるとともに、国の補助事業への農機商組(商系)の関わり方や各メーカーとの関係強化に重点を置いた活動を行っていく。

14.ヤンマーミュージアムの来館者100万人達成

ヤンマービジネスサービスが運営するヤンマーミュージアムは、2024年3月10日に累計来館者数100万人を達成した。当日は、記念すべき100万人目の来館者によるくす玉割りが行われ、館長より記念品を贈呈した。また、ゲストとして退任した歴代館長が出席し、記念撮影を行った。同ミュージアムは、ヤンマーの創業100周年記念事業の一環として、2013年3月に創業者の生誕地である滋賀県長浜市に設立した。2019年のリニューアルを経て、オープンから11年をかけて県内外より来館者は100万人に達した。
 同社では、「これもひとえに地元長浜市の行政関係者をはじめとする地域の皆様の理解と支援の賜物であり、関係者一同より深く御礼申し上げます。このたび、来館者100万人達成の感謝の気持ちを込めて、5月頃に『100万人達成感謝プレゼントキャンペーン』を予定しています。皆さまのご来場を心よりお待ちしております」としている。

15.メーカー各社が健康経営優良法人に認定

経済産業省と日本健康会議が実施する健康経営優良法人認定制度において、「健康経営優良法人2024」にIHIアグリテック、井関農機、オーレック、クボタ、日本車両製造、本田技研工業、丸山製作所、三菱マヒンドラ農機、諸岡、山本製作所、ヤンマーホールディングスなど各社が認定された。
 健康経営優良法人認定制度とは、地域の健康課題に即した取り組みや日本健康会議が進める健康増進の取り組みをもとに、「従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に取り組んでいる法人」として、特に優良な健康経営を実践している大企業や中小企業等の法人を顕彰する制度。

16.諸岡がトップ交代、新社長に諸岡昇氏

取締役会でトップ交代人事を了承、新社長には諸岡昇氏(副社長)が就いた。前社長の諸岡正美氏は代表取締役会長に就任する。同社は現在、「大地と技術の開拓者=未来を支えるグローバル・ニッチカンパニー」を掲げる諸岡ビジョン2030の下、事業拡大に向け内外で積極的な取り組みを進めており、その陣頭指揮を担うこととなる。
 諸岡昇氏は茨城県出身の55歳。正美氏とは従弟の間柄で、今回の人事の目的が変化対応を進めるための経営陣の若返りというように、10歳若いリーダーの誕生となる。同氏は1993年に國學院大学を卒業し同社に入社。2012年常務取締役営業本部長、2018年専務取締役経営企画本部長、2019年取締役副社長最高執行責任者を経て社長に就任。

17.JA全中が「JAグループ環境調和型農業取り組み方針」決定

理事会で、「JAグループ環境調和型農業取り組み方針」を決定した。環境に対する負荷の軽減が課題となっている化学肥料、化学農薬、温室効果ガス、プラスチックの4分野の削減を基本に、生物多様性の維持・回復やアニマルウェルフェアへの配慮等を含めた取り組みを通じて持続可能な農業を目指す。
 JAグループが目指す環境調和型農業は、自然環境・生産者・消費者のいずれにも過度な負担が生じないバランスの取れた農業を目指すもので、自然環境を維持・回復することは農業にとっても不可欠であるという考えに基づき、JAグループは環境調和型農業を通じて持続可能な社会の実現に貢献する。環境調和型農業とは、「農業の持続性確保の観点から、生産者の便益と食料安全保障を確保しつつ、自然環境への負荷の緩和と適応を図る農業」と定義している。

18.JA全農・クボタ・BASFが「ザルビオとKSAS連携」を発表

BASFデジタルファーミング社(ドイツ)・BASFジャパンとともに、BASFの「xarvio FIELD MANAGER」(ザルビオフィールドマネージャー)とクボタの「KSAS」間のシステム連携を開始し、運用をスタートさせると発表した。ザルビオの可変施肥マップと、KSAS対応の可変施肥田植機の双方のデータ連携が実現したもの。
 今回の連携は、ザルビオが、人工衛星センシング画像とAIにより見える化した生育状況や推定地力を基に、圃場内の施肥量を提案する「可変施肥マップ」を、クボタが提供するデータ連携ツール「KSAS API」とザルビオのAPIを接続させることで、クボタの田植機と連携させることが可能になった。KSASユーザーは可変施肥を行うに当たり、ザルビオの可変施肥マップを使用するという選択肢が増え、手軽に可変施肥を行うことができる。施肥を計画すると、その作業記録は自動的にザルビオに残るとともに、KSAS上の日誌にも記録することが可能となった。

19.クボタが営農型太陽光発電事業に着手

栃木や茨城をはじめとした北関東の農地で営農型太陽光発電事業を開始することを発表した。営農型太陽光発電設備下での農業生産の実績があるグリーンウィンドと連携し、農業振興への貢献と脱炭素化の推進の両立を目指す。営農型太陽光発電とは、農地法に基づく一時転用許可を受け、農地に簡易な構造で容易に撤去できる支柱を立て、上部空間に太陽光発電設備を設置することで営農を継続しながら発電する取り組みのことだ。7月から順次稼働する予定で、総面積は約20ha。設備容量は約5メガワット、年間発電量は約570万kWh。パネルが直射日光を遮る割合を示す遮光率は多様な農作物が栽培可能になるよう約30%を採用しており、栽培作物は米、小麦、大豆などを対象とする。
 今回設置する発電設備下ではグリーンウィンドが米、小麦、大豆などを栽培し、学校給食向けに販売。一部の作物は加工食品製造やレストランの食材として利用する。クボタは営農型太陽光発電のさらなる普及に向け、発電設備下での栽培作業の効率化や農作物の品質向上、収量増加に向けた実証にも取り組んでいく方針。また、発電した電力の地域社会への供給や、農地における電動トラクターなどへの電力供給の仕組みづくりも進め、脱炭素社会の実現と持続可能な農業の実現を目指す。

20.JA全農が施設のCO2回収装置実装で九州大らと連携協定

九州大学、Carbon Xtract、双日及び三菱UFJ銀行と、大気からのCO2直接回収を可能とする分離膜型DAC装置の施設園芸用途における早期社会実装に向けた連携協定を締結した。Carbon Xtract及び九州大学が研究開発する小型のm-DAC装置において、大気中のCO2を回収し、農業用ハウスなどに設置した装置で施用することで、作物の収穫量の増加のみならず、脱炭素化にも貢献できると期待されている。両者は農業における広範囲なノウハウと農業者組合員ネットワークをもつ全農とともに、施設園芸における「サステナブルな農業の新しい形」の実現に向けた協議を進めてきたが、農業の脱炭素化を一気に加速するパートナーとして、双日及び三菱UFJ銀行を加え、同協定の締結合意に至った。
 同協定の活動内容をみると、全農が持つ研究施設などを活用し、施設園芸における最適なm-DACを用いたCO2施用装置の開発や実証を検討していく。さらに、装置開発や実証に留まらず、双日及び三菱UFJ銀行の企業ネットワーク、ファイナンス機能、事業構築機能を活用することで早期社会実装を目指す。