2023年7月10日発行
<業界短信-新製品7月>
- 三菱マヒンドラ農機が初の国産小型ディスクハローを発売
- ササキコーポレーションが環境展で段ボール潰し機をPR
- 井関農機が2023年下期新商品発表会
- クボタがロボットコンバインを発表
- タカキタがカッティングフィーダの新製品「CF1600」発売
- やまびこが50Vのヘッジトリマー新発売
<業界短信7月>
- 農林水産省がみどりの食料システム法に基づく基盤確立事業実施計画を認定
- クボタが経済産業省の「GXリーグ」に参画
- ヤンマーアグリが第34回学生懸賞論文・作文を募集
- ヤンマーアグリジャパンが9月までオンラインEXPO開催
- 井関農機、ヰセキ東北が青森県黒石市でアイガモロボの放鳥式
- オーレックが水田除草機で宮城農高3年生に授業
- 日本農業機械工業会が定時総会、従業員功労表彰
- 日本農業法人協会が国に基本法見直しへ意見提出
- 日本農業法人協会が2022年版農業法人白書を公表
- クボタが長崎県壱岐市とエンゲージメントパートナー協定
- クボタが東京農工大学と営農型太陽光発電で連携
- 三菱マヒンドラ農機が2022年度事業報告アジェンダを開催
- サタケの穀粒判別器が精米JAS対応の認定受ける
- オーレックがオンライン展示会「草刈ショー!」を刷新
- ヤンマーホールディングスが取締役人事
- 井関農機が山梨県北杜市、JA梨北と有機栽培で連携協定
- サタケが6月1日付役員人事、新会長に木原氏
- ヤンマーホールディングスが2023年3月期連結業績を発表
- ヤンマーディーゼルインドネシアが盛大に50周年式典
- ヤンマーがアニメプロジェクト始動、作品タイトルは「未ル」
- 丸山製作所が千葉県150周年記念でチーバくん消火器
- 日本農業法人協会が総会、新会長に齋藤一志氏
- JA全中が「国消国産」お題に川柳コンテスト
<業界短信-新製品7月>
1.三菱マヒンドラ農機が初の国産小型ディスクハローを発売
近年需要の高まっている耕うん用作業機ディスクハローの小型機を、45~60馬力のトラクター向けに開発し、初の国産ショートディスクハロー「KUSANAGI MDH1820」として今年10月から発売する。同社が2020年に発売したトルコのヒサルラー社製ディスクハローが導入開始から3年で2倍以上の販売台数に伸び、大型トラクター対応機として好評を得ていることから、このディスクハローを市場のボリュームゾーンである中型トラクター向けの商品として独自に開発したもの。今回の製品は、本州での利用も多い45~60馬力のトラクターで使用できる「唯一の国産ショートディスクタイプ・ディスクハロー」(同社)。独自の構造により軽量化と耕うん深度を両立させ、耕うん幅も対応するトラクタートレッドに適した2m幅としたことで、高い作業性を発揮する。
主な特徴は、
- 対応馬力は45~60馬力のトラクター。国内大手メーカーで販売されている同作業機としては最小の対応馬力
- 作業能率は既存ロータリの約3倍(時速8~10km/時)
- 燃料は約6割削減
- 既存ロータリ(2km/時)の約5倍の耕耘スピードを誇り、作業能率が圧倒的に高い
- 「砕土性」「均平性」に優れる
- 環境にやさしい。秋耕に最適
-など。
2.ササキコーポレーションが環境展で段ボール潰し機をPR
6月24~26日の3日間、東京ビッグサイトで開催された「2023NEW環境展」に、新製品の「段ボール潰し機DUNK(ダンク)」を初出品、その機能をアピールした。同機は、カッターなどを使わずに段ボールを投入するだけで安全に素早く潰すことができる省力化マシーン。廃棄段ボールが大量に発生する現場、農業分野では野菜の共選出荷場などでその威力を発揮する。
主な特徴は、
- 従来製品と比較して圧縮力をアップし、段ボールをより高圧縮で潰せる(従来機比減容効果は3倍)
- 鉄製コンベアの採用でホチキス付き段ボールもそのまま投入して潰せ、耐久性が向上。作業速度は、高速=20m/分、中速=16m/分、低速=12m/分と3段階に調整でき、現場の作業状況に合わせた速度に変更することで、さらに使いやすさを向上
- 設置現場に合わせて段ボール排出テーブルの角度を3段階に調整
- 作業中に高負荷を検知すると自動で停止、機体を保護する
- 段ボールを潰す際に発生紙粉などのごみはスライド式ダストボックスに収納、現場をクリーンに保つ
- メンテナンスがラクな自動テンション調整を装備。大きな点検窓で、いつでも目視し確認できる
- キャスター付きのため、現場のレイアウト変更などに合わせて移動が楽にでき、アジャスターで固定も可能
-など。
3.井関農機が2023年下期新商品発表会
つくばみらい事業所で2023年下期新商品発表会を開催した。同社の冨安司郎社長は、今回のテーマは「農業の生産性向上、安全・快適性と環境負荷低減に貢献」であると発表。解決すべき社会課題は「食料安全保障」であると指摘し、同社が事業領域としている「食を支える農業」と「環境整備事業」はエッセンシャルビジネスとしてますます重要性が増していると強調、「持続可能な社会に貢献するとともに、井関グループの成長につなげたい」と述べた。
新商品としては、10年ぶりにフルモデルチェンジした中型トラクター「BFREX(BFシリーズ)」はじめ、「みどり戦略」を支えるスマート農機としてマップデータ連動可変施肥田植機「PRJ8D」、また、小型トラクター「RESPA(RTS5シリーズ)」6型式、管理機「KSX-Nシリーズ」3型式、ヰセキにんにくハーベスタVHW10、ヰセキ中国向けトラクターT954/T1054など6品目21型式を発表した。
そのうちヰセキトラクターRTS5シリーズの主な特徴は、
- トラクターの走破性を高める大径車輪、ロングホイールベース
- 快適なシンプル操作
- ワンタッチ作業切替ダイヤル
- 新デザインフロントマスク
- 安全性
- 直進アシスト仕様
-など。
また、ヰセキ2輪管理機KSX-Nシリーズの主な特徴は、
- 狭幅畝で安定した作業が可能
- 各種の作業機やアタッチメントを取り付けることで、1台で多くの作業を行える
- 手元レバーでハンドル上下をワンタッチで調整
- 手元のワイヤーを引っ張ると主クラッチレバーが「切」位置に戻り停止する安全性
-など。
4.クボタがロボットコンバインを発表
千葉県柏市上利根地内の圃場で、来年1月から発売する、人が搭乗することなく自動運転で米や麦の収穫作業が行える「業界初」の「アグリロボコンバインDRH1200A-A」の発表会を開催、官公庁、関係団体、報道陣に公開した。同製品はAIカメラとミリ波レーダーを搭載することにより、収穫対象と障害物や人を識別して停止することが可能となり、2023年3月に農林水産省が定めたロボットコンバインの安全性確保ガイドラインにも適合、農林水産省が提示する農業機械の安全性確保の自動化レベル2に相当する。これによりクボタの主要3機種(トラクター、田植機、コンバイン)のすべてに無人自動運転仕様がラインアップされることになる。希望小売価格(税別)は2003万4000円(刈幅2.1m、無人仕様)~2120万円(同3.2m)。また、AIカメラ、ミリ波レーダー、レーザーセンサーを省力してコストを抑えた「有人仕様(DRH1200A-OP)も同時発売する。
「アグリロボコンバインDRH1200A-A」の主な特徴は、
- 作物のある圃場において「人と障害物の検出」ができる
- 「自動運転領域拡大」によりさらなる軽労化
- 作物の高さを検出することで「倒伏した作物の刈取りに対応」(対応可能な倒伏は60度まで)
- 「刈取りつまり自動除去」による高い作業継続性
-など。これらの新たな技術により、熟練者同等の無人自動運転を実現した。
5.タカキタがカッティングフィーダの新製品「CF1600」発売
ロールサイレージと乾草ロールを能率良く切断する新製品「カッティングフィーダ CF1600」を発売した。新製品には切替レバーが付いており、切断の長短を調整できるなどの特徴がある。同社のロールカッタ、ベールフィーダに続く解体作業機として、酪農の生産現場における作業労力を減らす新機種が登場した。
主な特徴は、
- レバー式で簡単に切断長の変更が可能=切断長さは20mmごとに8段階調整(20~160mm)できる。切断作業中も長さの変更が可能
- 傾斜のついた床面と搬送コンベアにより、ベール送りがスムーズ=ベールを確実に切断部に搬送する
- コントロールボックスでナイフの上下を簡単に操作=メンテナンスや異物混入時に、コントロールボックスでナイフの上下を簡単に操作できる
- ホイルカバー付きキャスター輪=ホイルカバーを装備することでキャスター輪への草の巻き付きを防止
- 受刃メンテナンス性向上=トルクス穴付きサラボルトで、ナイフ交換時のメンテナンス向上
-など。
6.やまびこが50Vのヘッジトリマー新発売
エコーバッテリーシリーズの新製品として50Vバッテリーヘッジトリマー「BHT510-60S」を投入し、本格的な発売を開始する。
「イナズマバリキ50V」をセールスポイントとする同ヘッジトリマーは、ECHOオリジナルの50Vリチウムイオンバッテリーを搭載した高耐久かつ軽量のプロ向けモデル。モーター駆動のため、低振動、低騒音、排ガスゼロと負荷やストレスの少ない作業を実現したことに加えて、50Vの出力を余すことなく活かすことで、軽快に剪定作業が行える。50Vのヘッジトリマーの投入により、同社のバッテリー搭載機のラインアップは一段と充実、強化された。
主な特徴は、
- ECHOオリジナルの50Vのリチウムイオンバッテリーを搭載。モーター駆動などで、静粛性や低振動で作業の負担を大幅に軽減し快適な作業性を提供
- 共通バッテリーを採用しているため、50V対応のトップハンドルとリアハンドルのチェンソーをはじめ、「T字型バリカン」、「刈払機」、「ブロワー」、「プルーナ」にも使用できるので作業の幅が広がる
- バッテリー式のため、スイッチONで作業開始と操作は簡単。重心バランスに優れ、安定した作業を実現している
- 2つのトリガーを握ることで移動する「ダブルセーフティ機構」を採用し、安全面にも配慮
- ブレードは3面研磨刃を採用し、刈跡をきれいに仕上げることができる。エンジン式と同等のパワーと粘り強さを発揮することで荒刈りも可能となった
-など。
<業界短信7月>
1.農林水産省がみどりの食料システム法に基づく基盤確立事業実施計画を認定
みどりの食料システム法に基づく基盤確立事業実施計画を認定し公表した。今回認定されたのは、三陽機器、小橋工業、太陽、三州産業の4件で、これにより、累計45事業者の事業計画が認定された。
認定された計画の概要は次の通り。
- 三陽機器=水田畦畔・法面における除草作業を効率化し、化学農薬の使用低減に寄与するトラクター用アーム式草刈機の普及拡大に取り組む
- 小橋工業=水田畦畔・法面における除草作業を効率化し、化学農薬の使用低減に寄与するオフセットモアの普及拡大に取り組む
- 太陽=養液栽培における排液の循環利用を可能とし、化学肥料の使用低減に寄与する養液ろ過装置の普及拡大に取り組む。
- 三州産業=農薬に代えて熱と蒸気で種イモを消毒し、サツマイモ基腐病の発病リスクを軽減する基腐病用蒸熱処理装置の普及拡大に取り組む。
https://www.maff.go.jp/j/kanbo/kankyo/seisaku/midori/midorihou_kibann.html
2.クボタが経済産業省の「GXリーグ」に参画
経済産業省が主導する「GXリーグ」に参画した、と発表した。「GXリーグ」とは2050年カーボンニュートラルの実現と社会変革を見据えて、グリーントランスフォーメーション(GX)への挑戦と現在および未来社会における持続的な成長実現をめざす企業が官・学・金融と協働して、経済社会システム全体の変革のための議論と新たな市場の創造のための実践を行う場。
同社は、食料・水・環境分野における事業を通じた社会課題の解決を使命とし、持続可能な社会の実現に貢献していくことをめざしており、気候変動対策をはじめ環境保全活動を企業活動における重要課題としてとらえている。2021年には2050年に向けた環境面から事業活動の方向性を示す「環境ビジョン」を定め、環境負荷ゼロへの挑戦や、カーボンニュートラルの実現に取り組んでいる。それを踏まえ、この度「GXリーグ」に参画することで、カーボンニュートラルの実現に向け同社の取り組みを促進するとともに、参画企業や団体と協働し、経済社会システム全体の変革に貢献していく。
3.ヤンマーアグリが第34回学生懸賞論文・作文を募集
第34回ヤンマー学生懸賞論文・作文の募集要領を発表した。これは、〝農〟や〝食〟に対する課題の解決策を提供したいとの思いから、生産物の付加価値を高めることで、「持続可能な農業のかたち」を次世代を担う若者と一緒に考えていきたいとの趣旨のもと実施しているもの。論文・作文とも募集期間は6月1日から10月20日まで、入選発表会は2024年2月9日を予定。
論文は、趣旨に沿い、持続可能な農業の確立を目指した〝先駆的挑戦〟を内容とし、農産技術、農芸化学、農業モデル(都会、中山間地、大規模平野、臨海地域)、新規ビジネスモデル、スマート農業、資源環境、自然科学、健康福祉・食と農のバリューチェーン、教育・流通との連携など、学習・研究している様々な分野から独自の構想で提言し、その実現の過程、手法を理論的に述べて下さいと呼びかけている。対して、作文は、趣旨に沿った作文をまとめて下さいとし、感じていること、夢や思いを、これまでの体験やその時の情景を描写しながら作文にまとめて下さいとしている。応募資格は、論文が大学、大学院、短期大学、農業大学校、農業短期大学、各種専門学校、作文が農業大学校、農業短期大学のいずれかに在籍する学生。
4.ヤンマーアグリジャパンが9月までオンラインEXPO開催
6月から9月15日までの期間限定で農業関連のオンライン展示会「ヤンマーアグリジャパンオンラインEXPO 2023 SUMMER」をヤンマーホームページ内で開催。
リモート会議やオンラインイベントが定着しつつある中、同社がオンライン展示会を2020年に初めて実施して以来、多くの人が来場した。今年もデジタル活用による顧客接点の強化を目的に、「持続可能な農業を応援!」と副題を掲げて、期間限定で開催している。今春発売の新商品はじめスマート農機やおすすめ製品などを取り揃え、期間中はアンケートに答えると応募できるプレゼント抽選や、イベント限定コンテンツの配信、農作業安全のススメのコンテンツなど、オンラインならではのコンテンツを順次配信。6月30日には「乾燥・調製コーナー」と、コラムコーナーに「産業用マルチローター(ドローン)」の記事がアップされた。
5.井関農機、ヰセキ東北が青森県黒石市でアイガモロボの放鳥式
今年3月に「持続可能な発展のための有機農産物の産地づくりに関する協定」を結んだ両社及び青森県黒石市は、黒石市大川原地区において令和5年産の有機ムツニシキの栽培についてスマート技術を活用した有機農産物の実証事業を行っている。
このほど、実証圃場にてヰセキ東北が提供するスマート田植機を活用した有機ムツニシキ田植え作業の実演と、有機ムツニシキ生産者による自動抑草ロボット「アイガモロボット」の入水作業を行った。これには黒石市長、ムツニシキ生産者、関係機関担当者、報道陣など約20名が参加した。ヰセキ田植機「PRJ8DZL」(直進アシスト機能付き)、「アイガモロボ」の説明の後、田植えを行い、アイガモロボの放鳥式を行った。
井関農機の德安美沙都氏は「アイガモロボ」の説明で「アイガモロボは、自動抑草ロボットとして、有機栽培の雑草対策に使用いただく機械。除草機というと生えている草を抜くというイメージだが、これは田の中を濁らせることで日光を遮り、光合成をさせないことでそもそも雑草を生やさないことを目的としている。これまで手間がかかっていた作業を自動化できる機械ということで大変注目されている。昨年は岡原地区で1台実証を行ったが、今年は3台で実証を進めていく予定」などと述べた。
6.オーレックが水田除草機で宮城農高3年生に授業
宮城県農業高等学校農業科作物専攻の3年生11人を対象に、水田除草機「WEEDMAN」による除草作業の授業を行った。生徒らは、除草剤を使わない栽培で最も負担が大きいとされる除草作業において、同機の省力化、作業効率化の作用を実体験するとともに、現在、政府が推進している有機栽培面積の拡大を後押しする機械として、同機の価値を改めて認識した。
同校では3年前から土づくりを重視し、化学肥料使用量を減らすなどの環境対応農業に取り組んできた。今年はその一環で、同機による除草作業を田植え後10日目に実施、さらに6月上旬には2回目を予定。当日は、山根正博、須田和行両教諭指導の下、同社で同機の開発に携わった江藤利宏主任が機械開発の経緯や特徴説明、操作指導に当たった。生徒からは、旋回時に機械が稲を踏みつぶさないのか、機械開発に携わり嬉しかったことは等々の質問が飛び、江藤主任は、前・後輪とも同じところを通るため、轍は1本で済み、稲を踏む量を減らせる、作業負担を減らし有機農業を進める農家に喜ばれたことが嬉しかったなどと答えた。授業後、生徒からは意外と操作がラク、想像よりも苗をつぶさなかった、有機栽培をする上でいい機械と実感した、今後の食味調査を楽しみにしたい-などの声が聞かれた。
https://www.orec-jp.com/press/wp-content/uploads/2023/05/eca91f518cd66bbbc71bfc5162716a7d.pdf
7.日本農業機械工業会が定時総会、従業員功労表彰
一般社団法人日本農業機械工業会は都内の八芳園で、第60回定時総会を開き、令和4年度貸借対照表及び正味財産増減計算書を了承したほか、令和5年度事業計画などの報告を受けた。5年度事業では特に、カーボンニュートラルへの対応に力を入れ、合成燃料官民協議会の活動に積極的に参画する。挨拶した木股会長は、食料安全保障の確立に向け、スマート農業で、日本農業や担い手を支援していくことや、みどりの食料システム戦略の目標達成に向け、農機の電動化などを進めていく方針を示した。みどりの食料システム戦略への対応として、「電動化や燃料のカーボンニュートラル化などへの取り組みを通じて目標達成に貢献していきたい」と述べた。
また、総会後に第62回従業員功労表彰の式典を行った。今回は会員企業20社に所属する28人が受賞し、当日は受賞者25人とパートナーらが出席した。冒頭あいさつした木股会長は、農機業界の振興、発展に貢献してきた受賞者並びに家族に敬意と謝意を伝え、厳しい情勢下だが、農業の担い手支援、農業活性化が業界の使命とし、受賞者及び各企業が従来にも増して範となるよう今後も精進をお願いすると結んだ。製造、研究・開発、管理・営業の3部門の受賞者一人一人に木股会長が賞状を手渡した後、受賞者を代表してタイガーカワシマ営業推進部長の関根正巳氏が謝辞を述べた。閉会後、受賞者は日農工幹部との記念撮影にのぞんだ。
8.日本農業法人協会が国に基本法見直しへ意見提出
農林水産省で議論されている「食料・農業・農村基本法」の見直しに対しての意見を公表した。全国約2100会員の農業経営者による現場の声及びロシアのウクライナ侵攻後の状況を踏まえて取りまとめたもので、同省の食料・農業・農村政策審議会基本法検証部会の委員を務める同協会副会長の齋藤一志氏から、同検証部会の資料として同省に提出している。
意見の概要をみると、
- 現行法を見直すに当たり、現行法の政策方針を踏まえるとともに、「地域計画」の策定にあたり、効率的かつ安定的な農業経営が主体的かつ積極的に関与できるよう協議の場に位置付けること
- 効率的かつ安定的な農業経営の発展にとって最も重要なのは、農地バンクの活用による農地利用の集積・集約化及び農地の区画拡大であり、それが効率的かつ安定的な農業経営のニーズを十分に踏まえて進むように、各種制度等のあり方を徹底して見直すとともに、地域ごとの取り組みの格差をなくし全国平準化を図る
- 食料の安定供給を確保するためには、消費者の行動も重要であり、「消費者の役割」に「将来にわたる食料の安定供給を考慮して消費行動を行うよう努めること」を追加
-などを提言している。
9.日本農業法人協会が2022年版農業法人白書を公表
「2022年版農業法人白書」を公表した。これは、2068先の会員を対象に実施した2022年度農業法人実態調査(令和4年10月~令和5年2月)の結果を取りまとめたもので、1.会員法人データ、2.農業経営を取り巻く課題と取り組み、3.持続的な農業生産に向けた取組み-の3章及び付録「中小企業との比較について」で構成されている。
このうち、2.3.の概要をみると、現在の経営課題は、2年連続で「資材コスト」が63.4%と最多となった。次いで「労働力」53.6%、「農産物の販売価格」37.2%、「価格転嫁ができない」36.7%、「流通コスト」32.6%、「人材の定着」31.5%などとなっている。業種別にみると、「資材コスト」は畜産で77.2%、稲作で68.5%と最多。野菜と果樹は「労働力」が最多で、野菜59.4%、果樹58.8%となっている。経営リスクは、「生産コストの上昇」79.2%が最多となり、次いで「生産物価格の下落」45.7%、「労働力の不足」が37.8%などとなった。
10.クボタが長崎県壱岐市とエンゲージメントパートナー協定
ルートレック・ネットワークスと共に、長崎県壱岐市とエンゲージメントパートナー協定を締結、大阪市浪速区のクボタ本社で壱岐市・白川博一市長が出席し、3者による締結式を行った。同協定に基づく最初の取り組みとして、3者連携により、壱岐市の特産品であるアスパラガスのハウス栽培のスマート化実証を行う。遊休ビニールハウスを再利用し、AIを用いて、その状態に応じた最適な栽培環境を診断する「スキルレス化」と、収集したデータにより、ルートレック・ネットワークスが提供する水やりと施肥システムや、循環扇や加湿器でハウス内の環境を変えるシステムなどを自動で制御する「軽労化」の実証。自動化技術の導入で、安価で生産性の高い栽培体系を確立し、新規就農を促進する。
クボタイノベーションセンター・ビジネスインキュベーション部・辻村氏は「クボタインキュベーション部で培ったスマート農業のテクノロジーで、壱岐市に貢献できるのではないかと考え、この取り組みに参加した。これを契機に壱岐市と幅広い連携を進めていきたい」と述べた。
11.クボタが東京農工大学と営農型太陽光発電で連携
東京農工大学と、営農型太陽光発電設備下での最適な作物の栽培方法の確立を目指した共同研究を開始する。同社は太陽光による発電と農業生産の両立が可能である営農型太陽光発電の導入推進と、発電した電力の当社拠点や地域での活用に向けた検討を進めている。農作栽培に高い知見を有する東京農工大学と共同研究を開始し、太陽光発電設備下での日射量や温度などの栽培環境、作物の品質や収穫量などのデータの測定・分析を行い、高い生産性と品質確保が可能な農法の開発に取り組む。営農型太陽光発電の普及促進と農業の活性化を図り、カーボンニュートラルの実現と持続可能な農業の両立をめざす、としている。
共同研究の概要としては、営農型太陽光発電設備下における農作物の栽培環境の測定、分析、及び営農型太陽光発電に適した栽培体系の確立。実施期間は2023年1月~2025年12月、場所は東京農工大学敷地内の約25a。栽培作物はブルーベリーほかとしている。
12.三菱マヒンドラ農機が2022年度事業報告アジェンダを開催
東京.丸の内の東京国際フォーラムで、三菱マヒンドラ農機グループ2022年度事業報告アジェンダを開催し、2022年度事業報告、2023年度事業目標などを明らかにした。これには、齋藤CEO取締役社長、浅谷祐治CTO取締役副社長、平崎了経営戦略室長、上代哲也経営戦略室広報担当が出席した。それによると、2022年度の売上高は前期比37億円(87%)減収し、435億6900万円、うち国内事業は9億3600万円(3%)減少し326億1000万円、海外事業は21億8000万円(18%)減収し102億2600万円、海外比率は23.5%(前期は26%)となった。施設事業は6億2000万円(46%)減収の7億3200万円。2023年度は、齋藤社長は「成長に向かうフェーズに入る」としたうえで、戦略的新製品の投入や成長に向けた積極投資を行い、「持続的成長に向けた好循環を作り出したい」と述べ、事業目標は総売上高450億円(前年度比3.4%増)、うち国内事業345億円、海外事業95億円、施設事業10億円を掲げた。
また、2023年度事業については「期待の新製品の投入、国内事業の拡大、海外における北米以外の販路の拡大によって着実に伸ばしたい。国内では三菱ディスクハロー「KUSANAGI」を10月に発売するので、国産初の小型ショートディスクで自信をもって推進したい。「みどりの食料システム戦略」で認定されたペースト施肥田植機、紙マルチ田植機などにも注力する」などとした。
13.サタケの穀粒判別器が精米JAS対応の認定受ける
穀粒判別器「RGQI100B」は、精米JASに対応した精米品質基準の測定検査機器として、一般社団法人日本精米工業会から4月に認定を受け、出荷を開始した。認定機器は、動作時に結果表示画面と結果印字帳票に「精米JASモード」の表示を入れる必要があるため、これらの規定に対応し、精米JASモード仕様にバージョンアップした同器を出荷開始した。精米JASには認定を受けた検査機器を使用して検査する「精米品質の基準」と、適切な衛生管理を実施するために必要とされる「認証の技術的基準」があり、両基準を満たした工場で検査を通過した製品のみがJASマークを付すことが可能となるため、今後、同器を導入する工場が増える見込み。
同器の特徴は、
- 「精米JASモード」を搭載=精米JASの品質基準項目9項目中「着色粒」「被害粒」「砕粒」「粉状質粒」の4項目に対応した「精米JASモード」を新たに搭載
- 3方向撮像で正確な測定(特許取得)=一粒一粒の米を表・裏・側面の3方向から測定。着色部が片面にのみある場合でも、3方向のカメラにて撮像することで、もれなく測定が可能
-など。
https://satake-japan.co.jp/news/new-release/rgqi100bjas.html
14.オーレックがオンライン展示会「草刈ショー!」を刷新
オンライン展示会「草刈ショー!-ORECバーチャル展示会-」をリニューアルオープンした。トップページの「特設ブース」で、2022年に発売したラジコン草刈機「スパイダーモアーRC RCSP530」、雑草刈機「ブルモアーZHR800」、正逆切替式機構を搭載した「ブルモアーHRS815」など、緑地管理需要に対応する最新機種を動画付きで紹介している。また、アンケートに回答すると抽選で300人にオリジナルデニムキャップとリニューアルを記念して製作したラビットモアーのミニチュアキーホルダーが当たるプレゼントキャンペーンも開催している。
同サイトは、新型コロナの影響で非接触のニーズが高まった2021年2月に開設され、同年10月に最初のリニューアルを実施した。その際のプレゼントキャンペーンに当選枠を超える応募が集まり、ユーザーからは「コロナが明けても続けてほしい」などの要望があり、今回のリニューアルにつながった。同社は「機械に馴染みのない人にも楽しんで参加していただけるバーチャル展示会となるように、今後も内容の改良を重ねる」とした。
15.ヤンマーホールディングスが取締役人事
6月23日付取締役人事並びに7月1日付主要人事を発表した。6月23日付人事は6月の定時株主総会、取締役会、監査役員会で正式決定する。内容をみると、6月23日人事は、川建治氏が退任、ものづくり改革部部長.取締役ものづくり担当に池内導氏、取締役CTO.技術本部本部長に道上英二氏。7月1日付主要人事はヤンマーホールディングス資材部部長に野上卓志氏、同品質保証部部長に深江伸宜氏、同CSR部部長に卯善智雄氏-など。
16.井関農機が山梨県北杜市、JA梨北と有機栽培で連携協定
山梨県北杜市、梨北農業協同組合と「オーガニックビレッジに関する連携協定」を締結、その協定締結式が北杜市役所明野総合支所で行われた。これには井関農機の冨安司郎社長が北杜市の小林明副市長、梨北農協の小池啓一代表理事組合長とともに出席した。締結式終了後には自動抑草ロボット「アイガモロボ」の放鳥式を行った。挨拶した冨安社長は、「先端技術を活用したスマート農機と長年培ってきた栽培技術による、ハードとソフトを組み合わせたソリューションにより、有機水稲栽培を始めとした環境保全型農業の実現に向けた技術検証を進めてきた。これらを駆使し、力を合わせて有機農業技術の普及を図り、北杜市農業のより一層の活性化に取り組んでいく」と述べた。
同協定の連携事項は
- 有機農業の生産技術確立
- 有機農業の生産性の向上及び省力化
- 有機農業者の人財育成及び人財確保
- みどりの食料システム戦略の実現に向けた循環型農業の普及啓発
連携にて、井関農機はISEKIのスマート農業技術を活用し北杜市内の協力農家の下で有機農産物の生産拡大を支援していく。とくに有機水稲栽培の作業で最も負担の大きい水田雑草対策では、自走抑草ロボット「アイガモロボ」で除草作業時間を大幅削減する。
17.サタケが6月1日付役員人事、新会長に木原氏
定時株主総会において、役員の異動について決議し、6月1日より新体制をスタートさせた。役員の異動をみると、代表取締役会長は木原和由氏、(代表取締役副会長)取締役は松本俊彦氏(執行役員)、監査役は三戸一貴氏(経営監査部付部長)がそれぞれ選ばれた。
18.ヤンマーホールディングスが2023年3月期連結業績を発表
本社で記者会見し2023年3月期の連結業績を発表した。それによると、売上高は前年比17.3%増の1兆222億円、経常利益は同26.2%増の618億円となり、ともに前期に引き続き過去最高を更新、売上高は創業の1912年以来初めて1兆円を超えた。今期の連結業績見通しは売上高1兆800億円、経常利益500億円とした。旺盛な海外市場での需要増加により、海外売上高比率は前年比5.2ポイント増の60.7%となり、2022年6月に発表した中期戦略において2025年度目標としていた海外売上高比率60%を前倒しで達成した。また、2025年度中期計画に掲げた売上高目標1兆800億円、経常利益588億円を、売上高1兆2000億円、経常利益700億円へ上方修正した。
2024年3月期の業績見通しでは、アグリ事業は、国内は「前年同水準を維持」、海外は景気減速の見方もあるが、農機は前年並みの成長を見込むとしたうえで、「燃料費・肥料価格高騰の影響を受けるものの、インドITL製トラクターの拡販により増収を見込む」とし、エネルギーシステム事業は「コロナの影響による設備投資抑制から回復し増収を見込む」などとした。
19.ヤンマーディーゼルインドネシアが盛大に50周年式典
ヤンマーホールディングスのグループ会社で主に横形水冷エンジンの生産を行うPT. Yanmar Diesel Indonesiaが設立50周年の記念式典を行った。式典はジャカルタで開催し、ビジネスパートナーなど141名が参加した。
同社は、1972年3月にヤンマーグループと現地企業との合弁会社として設立されたディーゼルエンジン製造・輸出会社で、1973年6月に横形水冷ディーゼルエンジンの量産を開始。ディーゼルエンジンやパワーティラーなどの製造、農業機械の販売などの事業を展開しており、現在の従業員数は656名となっている。同社の川尻彰社長は「これまでの50年間、インドネシアの皆さんと共に歩み、協力関係を築き上げてきたことを誇りに思います。長年にわたる関係に感謝し、今後もインドネシアの産業と農業の発展に貢献していきます」とコメントした。
20.ヤンマーがアニメプロジェクト始動、作品タイトルは「未ル」
2022年に発表したアニメプロジェクトを本格始動させ、作品タイトルを「未ル」(ミル)に正式決定した。本作は、ヤンマーが制作.プロデュースを手がけるオリジナルの商業アニメであり、同社デザイナーが原案を担当したロボットが登場する。アニメタイトルは、主人公たちが「人の豊かさ」と「自然の豊かさ」を両立させた「未来」を切り拓いていく姿をイメージし、「未ル」とした。「未」は未来を表し、自分たちの力で積極的に動いていく姿を想起してもらえるよう動詞化した。困難なことがあっても、一人ひとりの挑戦によってよりよい明日を作っていくという、持続可能な社会の実現に向けたヤンマーの想いが込められている。公開時期は2024年、あらすじは主人公が未来を変えるべく、仲間たちと力を合わせて努力し、ロボットと関わりながら成長していく物語となっている。
加えて今回、作品タイトルの正式決定に合わせ、現地時間7月1日から4日までアメリカ・ロサンゼルスで開催される北米最大級のアニメイベント「Anime Expo 2023」に出展した。
https://www.yanmar.com/jp/about/yanmar_robot/news/2023/06/20/125807.html
21.丸山製作所が千葉県150周年記念でチーバくん消火器
同社が生産拠点をおく千葉県が誕生150周年を迎えるのを記念し、来年6月までの1年間、同県のマスコットキャラクター「チーバくん」とのコラボレーションによる限定モデル「チーバくん消火器」の発売を開始した。
今回の記念消火器は、「メイド・イン・千葉」の消火器で全国の防災意識向上を目指すとの強い思いをもとに製造されたもの。風を受け力強く未来に向けて進んでいく「ちばの宝船」をイメージした記念のロゴマークを貼付しており、宝船には縁起物や千葉の名産品である鯛、イセエビ、落花生と、同社の製品フィールドである農産物も載せてお祝いの意味を込めている。
また同社は、千葉県東金市工場について、千葉工場、連結会社の日本クライス、マルヤマエクセル各工場で消火器をはじめ農業用機械や工業用機械など、当社の顔となる製品を生産しているとし、技術者とともに、最新鋭の工業用ロボットなどを活用してコスト、納期面で優位性を発揮していると紹介しながら、今後も「メイド・イン・千葉」から地球に優しい技術、製品を届けていくと意気込みを示している。
22.日本農業法人協会が総会、新会長に齋藤一志氏
第45回総会及び第90回理事会を開催し、任期満了に伴う理事・監事の選任を行い、理事による互選会を経て、新会長に齋藤一志氏(まいすたぁ代表取締役.山形県)が就任したことを発表した。任期は令和7年6月総会終結までの2年間。
また、主な第13期役員は、会長に齋藤一志氏、副会長に高橋良行氏(グリーンファーム代表取締役)、井村辰二郎氏(アジア農業代表取締役)、林俊秀氏(Tedy代表取締役)、前田清浩氏(伊万里グリーンファーム代表取締役会長)、専務理事に紺野和成氏(日本政策金融公庫、常勤)、常務理事に鈴木一寛氏(全国農業会議所、常勤)-となっている。
新会長の齋藤一志氏の経歴をみると、齋藤氏は昭和51年に就農。平成2年に種豚、子豚の生産から肉豚出荷まで一貫生産を行ういずみ農産取締役会長、平成15年に米の集荷・販売や農薬・肥料等の販売を行う庄内こめ工房代表取締役、平成21年まいすたぁ代表取締役に就任(いずれも現職)。主食用米の他、加工米、飼料米、輸出米の生産に取り組み、水田でできる「米での転作」を地元農家(栽培面積約700ha)と連携して進めている。また、ドローンによる直播き等、先端農業を試験的に導入している。山形県農業法人協会会長、日本農業法人協会副会長を歴任し、6月15日より日本農業法人協会会長。
https://hojin.or.jp/wp-content/uploads/2023/06/67f414dde7cb509ee29d31a57463d2ad.pdf
23.JA全中が「国消国産」お題に川柳コンテスト
「私たちの『国消国産』川柳コンテスト」の開催を発表し、川柳の募集を開始した。「国消国産」はJAグループが提起する「私たちの国で消費する食べ物はできるだけこの国で生産する」という考え方で、グループをあげて理解を広める活動を進めているが、今回その一環として同コンテストを実施。一人ひとりが考える国産の農畜産物の魅力や日本農業への想いを込めた川柳を募集するもので、国産農畜産物を愛する全ての人が応募できる。題目は、1.国産の農畜産物や、国産の農畜産物を使った料理の魅力などをつづった句、2.国産の農畜産物を生み出す日本農業への想いをつづった句。応募期間は9月4日までとなっており、結果発表は10月上旬予定。
同コンテストは一般の部、小学生の部、中学・高校生の部に分かれており、それぞれで大賞・優秀賞・入賞が選ばれるほか、全体の中から団体賞、乃木坂46賞(特別賞)も選出される。大賞の賞品として、一般の部は国産のお肉や果物など5万円相当と産地直送通販サイト「JAタウン」で利用できるギフトカード5万円分、小学生及び中・高生の部は図書カード3万円分を贈呈する。
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