2023年4月10日発行
<業界短信-新製品4月>
<業界短信4月>
- 農林水産省が農機メーカー各社のみどり投資促進税制対象機械を認定
- クボタが北海道の農業学習施設における参画パートナー決定
- 井関農機の冨安社長がラジオ出演、「夢ある農業」語る
- 農機メーカー各社が健康経営優良法人に認定される
- KOBASHI HOLDINGSがリバネスの森林持続プロジェクトに参加
- 全国農業機械商業協同組合連合会が4年ぶりに対面で総会
- JA全中が臨時総会、食料安保で特別決議
- JA全農が令和4年度契約栽培米多収コンテストを実施
- キャニコムが第9回ものづくり日本大賞で九州経済産業局長賞を受賞
- 井関農機がウェビナーで水稲の密播・有機技術を紹介
- 三菱マヒンドラ農機が組織改革・人事異動を発表
- IHIアグリテックが役員人事、新社長に磯本氏
- 本田技研工業が米国にバッテリー工場建設で鍬入れ式
- キャニコムの「りんごブラッサムまさお」がネーミング大賞受賞
- 日本農業法人協会が政策提言
- ヤンマーマルシェが地方PRプロジェクト始動
- 本田技研工業がモバイルパワーパック活用で電動耕うん機モデルなど展示
- 井関農機が有機農産物産地作りで黒石市と協定
- サタケ・ビジネス・サポートが16店舗目のコイン精米機「クリーン精米屋」を新設
- 日本農業機械工業会が2022年作業機統計を発表
<業界短信-新製品4月>
1.三菱マヒンドラ農機が今秋発売の小型ディスクハローを発表
今秋発売を目指して開発中の小型国産ディスクハローの概要を明らかにするとともに、モニター農家の声を紹介した。これは、2020年から発売したトルコ製の大型ディスクハロー(適応トラクター馬力は81.1~101.5馬力)が作業効率、燃費性などで市場から高い評価を得たことから、小型の開発要望が高まり、これを受け「国内開発・国内生産」目指して取り組んでいるもの。トラクターの動力を使わないため低燃費で、作業スピードも10km/時以上と、作業効率は「ロータリと比較して約3倍」としている。今春から各地域で実演会を行っていく方針だ。
主な特徴は、
- 開発中の製品では、独自の構造により軽量化と耕うん深度を両立することを目指している
- 同社グループが国内で開発・生産を行う。本馬力帯では国産唯一のショートディスクタイプ・ディスクハロー
- 対応馬力は45~60馬力。国内大手メーカーで販売されている同作業機としては最小の対応馬力
- 燃費・時速は現在販売しているヒサルラーの製品と同程度を目指す
- 作業能率は既存ロータリの約3倍、燃料は約6割削減
- 耕うん幅2m(一般に使用される同クラスの既存ロータリーと同程度の耕うん幅)
-など。
2.みのる産業がイチゴの育苗用新製品を発売
新商品「イチゴエクセルキューブ」の販売を本格的に始めた。同社グループの「エクセルソイルプロジェクト」では同社のコア技術である固化培土「エクセルソイル」を使った壁面・屋上の緑化事業を展開。緑化を通じて環境に配慮しているとメディアや各種産業から注目を浴びている。「イチゴエクセルキューブ」は固形肥料を設置する窪みを付けた「挿苗用」と、種子系イチゴ2次育苗に使う「セル苗用」の2種類がある。「エクセルソイル」を使うことで、イチゴ栽培における土詰め作業の省力化や、底面給水による炭疽病などの発生リスクを低減する画期的な商品。
同品は、固形肥料を設置する窪みを付けた『挿(さし)苗用』と、種子系イチゴ2次育苗に使う『セル苗用』の2種類がある。
主な特徴は、
- 袋詰め不要=従来の作業で必要な、培土原料の混合・培土消毒・ポリポットへの土詰めなどが不要のため手元に届いてすぐに使える
- 花芽分化促進=鉢を使わない裸培地のため、気化熱で培地温度が低く保たれることにより、中生品種の年内増収が期待できる
- 底面給水=底面給水マットと防根シートを併用することで、特殊ポリエステル繊維が導管となり底面からの吸水が安定。炭疽病等のリスク低減となる
- 再吸水性=どんなに乾燥しても撥水現象が起こらず、長く再吸水性が持続する。そのため苗生産の歩留まりの向上も期待できる
- 安全性=製造時に100度Cで加熱しているため培土起因の雑菌・雑草のリスクを少なくできる
-など。
3.ヤンマーアグリが最大馬力のコンバイン発売
農家の大規模経営を支えるために、高出力エンジンとヤンマーの独自技術で高速刈取り作業を実現するコンバイン「YH6135/7135」を発売。同機はヤンマーの農業機械史上最大の138馬力のエンジン「4TN101FDT-1SRC」を搭載した6/7条刈コンバイン。本機では、新開発の脱穀部や、新・自動ロス制御、丸ハンドル+電子制御FDS等のヤンマー独自技術により、「YH6135」では作業速度2.1m/秒、「YH7135」では1.9m/秒の高能率な作業を実現した。
主な特徴は、
- 高能率な作業を実現する「高出力エンジン」=高能率・高速刈取りを目指し、ヤンマーコンバイン史上最大馬力の138PSエンジンを搭載し、高速作業を実現。
- ロスのない余裕の脱穀処理を実現する技術=高速刈りに対応した脱穀処理を実現するロングこき胴と送塵口処理胴を組み合わせた「快速二重胴」など
- 広々とした居心地の良いキャビン空間で快適作業を提供する「新キャビン」
- 収穫ロスを抑える「新・自動ロス制御」=こぎ胴・揺動での籾のロスを検知し、チャフシープ、車速、送塵弁を自動制御
- 設定した一定の高さで刈り取る「自動刈高さ制御」
- 収穫量の見える化(M仕様)
-など。
<業界短信4月>
1.農林水産省が農機メーカー各社のみどり投資促進税制対象機械を認定
みどりの食料システム法に基づく基盤確立事業実施計画を認定し公表した。今回認定されたのは、タカキタ、金子農機などの10件で、有機肥料散布機や色彩選別機などがみどり投資促進税制の対象機械に追加された。今回の認定により、累計では33事業者の事業計画が認定された。
認定された計画の概要をみると、タカキタは圃場条件等の様々なニーズに対応したマニアスプレッダ(堆肥散布機)や、有機肥料のスムーズな散布を可能とする「有機肥料散布機」等の普及拡大に取り組む。金子農機は環境保全型農業や有機農業の実践に伴い課題となる斑点米等による米の品質低下を防ぐ「色彩選別機」の普及拡大に取り組むとしている。
https://www.maff.go.jp/j/kanbo/kankyo/seisaku/midori/midorihou_kibann.html
2.クボタが北海道の農業学習施設における参画パートナー決定
北海道北広島市における北海道日本ハムファイターズの新球場「北海道ボールパークFビレッジ」に建設を進めている農業学習施設「KUBOTA AGRI FRONT」(クボタ アグリ フロント)」の開業スケジュールを明らかにするとともに、最新の農業技術(アグリテック)を体感できる屋内栽培エリア「TECH LAB(テック ラボ)」の展示・運営に参画するパートナー企業が一部決定した、と発表した。3月30日に施設開業、6月30日にグランドオープンとし、パートナー企業は、farmo、プランテックス、ルートレック・ネットワークス、レグミン。
一部決定したパートナー企業は農業分野で独自の技術やソリューションを有しており、アグリテックを体感できる空間を共同で創り上げていく。テック ラボは、アグリテックを通して、来場者に未来の農業の可能性を感じてもらうことを目的としている。自律走行型ロボットや植物工場などのアグリテックを活用し、アスパラガス、イチゴ、トマト、リーフレタス等、さまざまな作物を栽培している現場を間近で見ることができる。今後、他の作物についても、パートナー企業と連携し、アグリテックの導入を進めていく。収穫した作物のカフェでの提供、近隣施設での販売や収穫栽培体験等も計画していく。
同社では、「今後もテック ラボのみならず、クボタ アグリ フロントの施設全体を通じて、趣旨に賛同いただけるパートナーとの連携を深め、“食と農業”の未来を志向する仲間づくりを進めてまいります」としている。
https://www.kubota.co.jp/news/2023/management-20230228.html
https://www.kubota.co.jp/news/2023/management-20230228-2.html
3.井関農機の冨安社長がラジオ出演、「夢ある農業」語る
冨安司郎社長がラジオ日経「ソウミラ~相対的未来情報発信番組」において、「スマート農業最前線」にゲスト出演し、総合農機メーカーとして「夢ある農業=儲かる農業」実現に向けたハード・ソフト両面からの生産者サポート、地域にあった農業技術の提案、直進アシスト機能搭載農機、ロボット田植機、またオープンイノベーションによるベンチャー企業との連携、カーボンニュートラルへの取り組みなどについて語った。番組は、既存ビジネス、新規ビジネスに必要なものは何かなど、企業の経営者などからビジネスについて話を聞きながら深掘りしている実践的ビジネス情報番組。
冨安社長は肥料高騰、後継者問題など様々な課題を抱える生産者へのサポートについて、「夢ある農業、すなわち儲かる農業、この実現に向けて省力・低コスト農業をハードとソフトの両面から提案・サポートさせていただくことに努めている」と述べ、ハード面では直進アシスト機能を搭載した農機を展開しているとし、ソフト面では茨城県つくばみらい市にある「夢ある農業総合研究所」で先端営農技術等の研究・実証を行い、「ここを起点に全国に展開している販売会社子会社等を通じ生産者の皆さんにスマート農機等の活用し、各地域にあった営農技術、ノウハウ等を提案している」と語った。
また、カーボンニュートラルへの取り組みについては。「工場の重油利用をLNG利用に変える。これでも十分とはいえない。生産する機械についての電動化も進めていく。まず環境に厳しい欧州向けに、電動の乗用草刈機を昨年末、まだ限定販売ながらスタートした」などと語った。
4.農機メーカー各社が健康経営優良法人に認定される
IHIアグリテックや井関農機、KOBASHI HOLDINGS、ヤンマーホールディングスなど農機メーカー各社が経済産業省と日本健康会議が選定する「健康経営優良法人2023(大規模法人部門)」に認定された。
IHIアグリテックは「人材こそが最大かつ唯一の財産である」の経営理念のもと、従業員の健康を大切にした経営にこれまで取り組んできたとし、今後も従業員の積極的な健康づくりを支援し、心身ともに健康でいきいきとやりがいを持って、安全かつ安心して働ける職場づくりを従業員一同で目指して取り組んでいく。
井関農機はグループの健康経営宣言として「当社は、企業の発展・事業活動の原動力は従業員一人ひとりの健康で安定した生活にあると捉え、創業以来、従業員の健康管理に取り組んできた。そしてこの度、2025年に迎える創立100年を見据え、当社で活躍する全ての人が健康で充実した日々を過ごせるよう、健康保険組合・労働組合と三位一体となって健康経営をさらに促進させていくことをここに宣言します」としている。
KOBASHI HOLDINGSは5年連続の認定。「地球を耕す」を理念として、社会的課題を解決する新しい価値の創造を目指しており、そのためには、社員一人ひとりが心身ともに健康に生き生きと働きやすい職場環境づくりが大切だと考え、社員の健康に関するさまざまな取り組みを推進。今後もすべての社員が心身ともに健康で、生き生きと仕事に取り組むことができるよう健康経営を推進するとともに、持続可能な社会に向けてSDGsに取り組み、人類および地球の健康へ寄与していく。
また、ヤンマーホールディングスでは、2020年に、従業員の健康への取り組みを効果的かつ効率的に推進させるために、「健康経営方針」を制定、「今後も、より良い健康経営の実現のため、健康保険組合と協調しながら従業員の健康保持・増進対策を推進します。また、事業所における労働災害を未然に防止するため、作業環境の整備や危険要因の低減活動、安全で快適な職場づくりなどにも取り組んでいきます」としている。
https://www.ihi.co.jp/iat/news/2022/20230309.html
https://www.iseki.co.jp/sustainability/topics/11405/
https://www.kobashiholdings.com/2023/03/17/682/
5.KOBASHI HOLDINGSがリバネスの森林持続プロジェクトに参加
リバネスは多様な生物を育み、炭素循環や水の循環の場となる森林と共存する新しい社会システムを目指す「リバネス・フォレスト・プロジェクト」を12社の日本企業とともに立ち上げ、都内九段会館テラスコンファレンス&バンケットにおいて記者会見を行った。12社の中の1社としてKOBASHI HOLDINGSが参加している。同プロジェクトは、新たな植林体系を構築するためのディープテックの開発や森林から有価物を生み出すための研究開発、森林と共存する意識醸成のための教育活動等を推進し、新しい人の生き方、町のあり方の開発を目指す。
主な研究開発テーマは
- 土壌開発
- 播種技術開発
- 森林管理技術
- 教育普及文化醸成開発
- 有価物開発
- 価値評価系開発
-の6つ。
KOBASHI HOLDINGSはこのうちの1、2をサポートする。同社が培ってきた農業・ものづくり分野の技術を活かし、シードボール播種用ドローンの設計から試作、量産にいたるまでの開発・製造の支援を行う。
小橋社長は「我々は100年以上に渡って農業分野で農地を耕して地球に貢献してきた自負がある。微力ながら我々の持つものづくりの力で森林を耕し、より良い地球を作る手伝いをしていきたい」などとコメントした。
6.全国農業機械商業協同組合連合会が4年ぶりに対面で総会
都内の第一ホテル東京で、第67回通常総会を開き、2023年度事業計画ならびに収支予算案などを審議、すべての議案を事務局原案通り承認した。4年ぶりの集合形式による開催。任期満了に伴う役員改選では、理事を選任し、後日の理事会で代表理事会長に西山忠彦氏、副会長に木村英男氏、冠範之氏を再選した。冒頭、あいさつに立った西山会長は、展示会などが復活してきていることなどに触れ「2023年度は、組合活動の原点となる、リアルな交流の場を大切にする」と、組合活動の活発化に意欲を示した。
また、対面での総会を自粛していたこの3年間の農機業界を取り巻く動きについて、
- 作業機付きトラクターの公道走行に関する基準が緩和
- スマート農業機械の導入実証の進展
- 資材価格ならびに諸物価の高騰
-をあげた。
「農機流通業界の使命は安全で安心な農機を提供すること」だとし、農作業安全に力を入れていく考えを示した。今後の課題として、インボイス制度への対応、時間外労働への割り増し賃金率の引き上げ、物価上昇に見合う賃金改定などをあげた。2022年度事業報告では、購買事業が昨年に続き6億円を超え、過去最高となったことが報告された。
7.JA全中が臨時総会、食料安保で特別決議
東京・大手町のJAビルで、臨時総会後の記者会見を行い、「食料安全保障の強化に向けた食料・農業・農村基本政策の確立に関する特別決議」を報告した。中家会長は、生産資材費の高騰が農家経営を圧迫する中、「日本農業を持続可能なものにしていくため、引き続き、再生産に配慮された適正な価格形成に向けての仕組みづくりを求める」と、コスト上昇分の農産物への価格転嫁の重要性を指摘した。また、「改正に向けた議論がすすめられている食料・農業・農村基本法は、生きていくために不可欠な「食」を主要テーマとしており、農業関係者だけではなく、是非とも、国民にも関心を持ってほしいと語った。
臨時総会では令和5年度の事業計画や予算について承認されたとともに、食料安全保障の強化に向けた特別決議を行った。特別決議では、「生産資材高騰対策や食料安全保障対策予算の確保など」を求めた。JAグループとしては、国産農畜産物の適正な価格形成の実現に向け、消費者の理解醸成に取り組む。
8.JA全農が令和4年度契約栽培米多収コンテストを実施
「令和4年度JA全農契約栽培米多収コンテスト」を実施し、受賞者を発表した。全国農業協同組合連合会会長賞(単位収量の部)には、10a当たり収量908kgをあげ、最も単位収量が多かった岡山県の株式会社米見岡山が選ばれた。表彰式は都内大手町にて開催され、全農会長賞を受賞した米見・奥津代表取締役が「連作すると地力が弱まるため、ブロックローテーションしながら高純度ケイ酸を追肥したことが高収量につながったと考えている。今後も多収を目指しながら、契約栽培に取り組んでいきたい」と喜びを語った。全国農業協同組合連合会理事長賞(地域の平均反収からの増収の部)の最優秀賞には兵庫県の檜田幸吉氏が選ばれた。
同コンテストは、JA全農が稲作生産者の経営安定に向け、安定取引が見込める業務用実需者との契約栽培に主に多収品種で取り組んでいるのにあたり、契約栽培に取り組む生産者の栽培技術向上や生産意欲向上のため、優れた取り組みを表彰するもの。平成30年度に開始して、今回で5回目。
9.キャニコムが第9回ものづくり日本大賞で九州経済産業局長賞を受賞
経済産業省などが主催する「第9回ものづくり日本大賞」の「製品・技術開発部門」にて九州経済産業局長賞を受賞した。九州経済産業局によれば「日本で初めて造林作業の機械化に成功した林業機械『山もっとモット』の開発」が評価の対象となり、包行社長他、同社の5名が受賞した。同賞は「ものづくり」に携わっている各世代のうち、特に優秀と認められる人材を顕彰するもので経済産業省をはじめ、国土交通省、厚生労働省、文部科学省が連携し、平成17年より開催しているもの。
キャニコムの林業機械「山もっとモット」は、伐根粉砕、下刈り、作業道整備、運搬など1台で複数役をこなす。製品開発に携わり、また受賞者としても名を連ねている同社の専務経営役員・中村公徳氏は過去のインタビューで「伐根や下刈り作業といった造林機械は今までなかったので、お客様に非常に喜んでいただいた」と述べた。
http://www.canycom.jp/pressrelease/files/2023/03/3b8690a327819e2ca829bc68dc2b7f4b.pdf
10.井関農機がウェビナーで水稲の密播・有機技術を紹介
まだ間に合う、今年こそ挑戦したい「水稲栽培技術セミナーDay1」をオンラインで開催した。営農ソリューションポータルサイト「Amoni」の取り組みで開催したもので、今回は前半が水稲密播、後半が有機栽培の豪華2本立て。前半は同社夢ある農業ソリューション推進部・徳安氏、後半は同・大森氏がそれぞれ説明を行った。
徳安氏は密播で苗箱を減らすことによって、現行ハウスのまま規模拡大ができ、資材費の削減や省力化・田植えの労力低減につながると述べた。後半の有機栽培では、水稲有機栽培の基礎から、課題解決ツール「アイガモロボ」の紹介まで盛りだくさんの内容。主な有機水稲作の雑草対策では圃場均平や複数回代かき、深水管理、機械除草など多くの時間と労力がかかってしまい、その雑草対策の解決手段として、自動抑草ロボット「アイガモロボ」を提案した。さらにアイガモロボと他の農機との組み合わせでより便利になると提案し、水位センサと給水ゲートで簡単水管理ができる「水田ファーモ」なども紹介した。
11.三菱マヒンドラ農機が組織改革・人事異動を発表
4月1日付の組織改革および人事異動を発表した。利益体質を構築し、持続的に成長できる組織へ変革を図るため、研究開発力・顧客対応力を強化するのが狙い。グループ役員人事では、上級執行役員製造担当兼リョーノーファクトリー代表取締役社長に佐藤潔氏、COT代理技術本部長に執行役員行木稔氏、参与製造担当兼リョーノーファクトリー取締役副社長に金塚巧氏。
組織改革では、本機プログラム統括室の新設、技術本部開発設計本部を技術本部に改編、三菱農機販売(株)支社組織の改編、システム子会社の吸収合併などを行う。本機プログラム統括室の新設では、CEO直轄組織として、主力商品の企画・開発・生産・販売までの商品創出フローを統括管理し、性能、品質、コスト、スケジュール、プロモーションまで妥協なく、横断的にマネジメントを行うことで顧客提供価値と収益力の最大化を図る。三菱農機販売㈱支社組織の改編では、よりスピード感を持った顧客本位のオペレーションを実現するため、支社の機能をシンプル化し、支社長が支店長を直掌するフラット組織を構築する。
12.IHIアグリテックが役員人事、新社長に磯本氏
4月1日付で役員人事を行い、満永敬哉氏に代わって新社長には磯本聡一氏(元IHI運搬機械監査役)が就任した。
磯本氏は、1965年8月生まれの57歳。神奈川県出身。1994年5月にアメリカDUKE大学経営大学院(MBA)を卒業し、1988年4月に第一生命保険相互会社(現・第一生命保険)に入社。2010年12月VLフィナンシャル・パートナーズ、2013年3月学校法人神野学園中日本航空専門学校校長補佐、同4月同校理事・校長を経て、2015年4月にIHIに入社し経営企画部主管、2021年6月にはIHI運搬機械の常勤監査役を務め、2023年4月にIHIアグリテックの社長に就任した。
13.本田技研工業が米国にバッテリー工場建設で鍬入れ式
同社とLGエナジーソリューションとのEV用リチウムイオンバッテリーの生産合弁会社であるL-H Battery Company Inc.は、米国オハイオ州ジェファーソンビルの工場建設予定地にて鍬入れ式を行い、工場の建設に着工した。新工場は2024年末までの建設完了を目指す。その後2025年中に、北米で生産・販売されるEV用にリチウムイオンバッテリーの量産を開始し、全量を北米にあるHondaの四輪車生産工場へ供給する予定。約2200人の雇用を創出する計画で、年間生産能力は40GWhを目指している。鍬入れ式には、三部敏宏社長、マイク・ドゥワインオハイオ州知事らが参列した。
L-H Battery Company Incのロバート・リーCEOは「卓越した歴史を誇る2つの企業の合弁会社を率いることは大変な名誉。弊社はバッテリー生産の世界的リーディングカンパニーであり、飛躍する電動化の需要に応えるべく積極的な投資を続けている。Hondaという、品質と信頼に裏打ちされた世界的な自動車ブランドとこうして協業の途に着いたことをうれしく思う。将来にわたる持続的成長に向け、大きな変革の一翼を担っていく」などとコメントしている。
14.キャニコムの「りんごブラッサムまさお」がネーミング大賞受賞
四季折々草刈機「りんごブラッサムまさお」が、日刊工業新聞社主催「第33回読者が選ぶネーミング大賞」にて、総投票数1万1518票のうち、4320票を獲得し大賞の栄冠に輝いた。同社にとっては、「アラフォー傾子」に続き、2度目の大賞受賞となった。また、第17回の「伝導よしみ」で第4位を受賞してから17年連続受賞となった。評価のポイントは「満開に咲いたリンゴの花のイメージを『ブラッサム』で表現しながら『まさお』といった人名と組み合わせることで、農機具に温かみのある印象を持たせた」とした。同機は、乗用で枝や果実のかわしやすさを重視した草刈機。選べる刈刃により刈幅を変更でき、使い勝手やメンテナンスのしやすさを追求した。
表彰式に登壇した同社の包行均会長は「青森県の岩木山の裾野に広がる、満開のリンゴの花。そんな津軽の春をイメージした」とネーミングの経緯を説明した。また、「今回選んでいただいた4320人、ネーミングのきっかけとなった青森県のリンゴ農家の一人ひとりに本当に心からの感謝を申し上げたい気持ちでいっぱいだ」と喜びの言葉を述べた。
同社では「これからも、この連続受賞という栄冠を励みに、ネーミングはもちろんデザイン・ブランド・機能・価格にさらなる磨きをかけていく所存」としている。
15.日本農業法人協会が政策提言
都内のAP日本橋で、令和4年度春季大会・春季セミナーを開催した。大会では、政策提言「日本農業の将来に向けたプロ農業経営者からの提言~効率的かつ安定的な農業経営を営む担い手を中心とした食料・農業・農村基本法の堅持及び食料安全保障に向けて」を発表し、来賓として出席した農林水産省経営局の村井正親局長に提言書を手交した。
同提言では、食料の安定供給に向けた環境整備や農地利用の効率化、経営人材の育成・確保、農業所得の向上に向けた環境整備、経営リスクへの対応と環境負荷の低減などの事項を記載。そのうち「スマート農業に対応できる従事者の育成」について、スマート農業の導入により省力化等を実現するためには、実装される最新の農業機械等や収集したデータを有効に活用等することが前提となるため、農機具メーカーなどと連携し、十分な利活用ができる人材育成の支援を講じることを求めた。また、「スマート農業の早期実現」として、技術開発についてでは、農業者の意見を反映させ、生産現場での使い勝手が良い実用的なものにするとともに、農業者が所得との関係で負担しうる相応のコストで活用できるようにし、急速な普及を図ることや、農研機構が行っている研究結果を農業者や地方自治体に広く周知するとともに、その研究成果を実用化できるよう農機具メーカーなどを支援することを盛り込んだ。
16.ヤンマーマルシェが地方PRプロジェクト始動
コロナ禍を経て都心における地方の新しい形が模索される中、物価高騰等を受けて改めて注目が集まる「国産の食材・米」を起点とする地方PRプロジェクト「全国首長丼(くびちょうどん)プロジェクト」を始動した。これは日本の農業に寄り添ってきたヤンマーが、それぞれの地域を愛する自治体の「首長」と共に「地域が誇る自慢の【お米】と【食材】」を発掘し、地域への愛情が詰まった丼メニューを生み出すことで、日本全国の食の魅力を発信するもの。
第1弾は熊本県知事とご当地マスコットくまモンが愛するお米と食材をふんだんに使い、東京都中央区のYANMAR MARCHE TOKYO内のレストラン「ASTERISCO」の奥野義幸シェフがレシピを考案し、熊本県知事、くまモン、そして小山薫堂氏がプロデュースした「熊本ぎゅうぎゅう丼」を2週間限定で販売。記者発表会の冒頭、山岡社長は「YANMAR MARCHE TOKYOはコンセプトに〝美味しさのターミナル〟を掲げており、これは食材を作る人、料理する人、食べることが大好きな人を繋いで、全国の食材の情報を集め、そこから生まれる面白い企画を実体験できる場であるということ。このコンセプトを体現する取り組みの1つが全国首長丼プロジェクトであり、日本の中心である東京から、お米を軸に日本全国の食の魅力を発信する」などと語った。
https://www.yanmar.com/jp/yanmar_tokyo/news/2023/03/23/122109.html
17.本田技研工業がモバイルパワーパック活用で
電動耕うん機モデルなど展示
東京都江東区の東京ビッグサイトで開催された第13回国際スマートグリッドEXPOに出展し、交換式バッテリー「Honda Mobile Power Pack(モバイルパワーパック)」の活用事例を展示。ブースでは、電動耕うん機コンセプトモデルが初公開され、多くの来場者が関心を寄せた。
同社はカーボンニュートラルの実現を目指し、2018年からモバイルパワーパックを展開してきた。モバイルパワーパックの規格の標準化により同社は、様々な製品への活用拡大を進め、バッテリーシェアリングにより社会のエネルギーインフラとして機能することを目指している。
今回初めての展示となった電動耕うん機コンセプトモデルは、電動ならではの簡単始動を実現。ゼロエミッションに加え、高いトルク性能による優れた作業性を発揮できると期待されている。同社は現在、他企業との共同開発を進め、様々なジャンルの製品が次々と生み出されており、ブースでは各社の機器のコンセプト及びプロトタイプモデルが展示された。
18.井関農機が有機農産物産地作りで黒石市と協定
青森県黒石市と「持続可能な発展のための有機農産物の産地づくりに関する協定」を結び、これから〝有機の郷くろいし〟づくりに向け関連技術のハード、ソフトを提供していくことを約した。同市がブランド化を進める米「ムツニシキ」の有機栽培の実証実験に取り組み、アイガモロボットやスマートオーガニック農業を実現するためのトラ・コン・田などを活かす省力的な栽培体系を構築する。
連携事項は、
- スマート農業技術を活用した有機農産物の生産技術の確立
- 同農産物生産の省力化及び低コスト化
- 同農産物の生産技術の普及
- 同農産物産地を牽引する経営体の確保及び育成
- 同農産物の産地が持続し発展するために必要な後継者育成
-など。
黒石市は、「ムツニシキ」で有機栽培の実証実験、学校給食への有機米の試験提供を行い、また今後は有機の郷くろいしを目指すとしており、今回の協定によって、市内の協力農家、実証圃場のもとでISEKIのスマート農業技術を活用しながら有機農産物生産の実証試験に取り組む。特に同社は現在、稲作の有機栽培で課題視されている雑草対策の解決手段として、抑草ロボット「アイガモロボ」の普及拡大を図っており、黒石市でもアイガモロボをキーアイテムと位置づけ、労力の削減効果や慣行体系との比較メリットを見出していく。同社の冨安社長は、挨拶にて環境や食の安全がこれまで以上に大きなテーマになっていると指摘。同市の取り組みを踏まえ、「協定締結により、力を合わせて有機農産物の産地づくりに取り組めるのはありがたい話」と謝意を表しながら、日本農業の技術的発展を進めるための先端をいく活動に一層力を入れたいと意気込みを語った。
19.サタケ・ビジネス・サポートが
16店舗目のコイン精米機「クリーン精米屋」を新設
広島県東広島市内の八本松タクシー原駐車場に16店舗目となるクリーン精米屋(コイン精米機)を設置し16日より営業を開始した。 これまで東広島市内の商業施設など15カ所に直営のクリーン精米屋を設置・営業しており、今回16店舗目を設置した八本松タクシー原駐車場の周囲は田園地帯で、米を生産する農家を中心に精米のニーズが見込まれる。設置した同機は、店舗に光触媒による抗菌コーティングを施工。店舗室内の壁などに付着した菌やバクテリアを不活化するため、安心して利用できる。またこれまでの設置機と同様、お金を入れないと原料投入口のシャッターが開かない自動開閉シャッターや、他の利用客の米と混ざらない残留米排出機構などを搭載。精米モードは、精米性能にこだわった「クリーン白米」のほか「上白」、「標準」、健康志向の方向けには、より多くの栄養を含んだぶづき米に仕上がる「ぶづき米(1ぶ~9ぶの任意)」から選ぶことができる。同社では、今後もニーズがある所には設置を増やしていく考えとしている。
20.日本農業機械工業会が2022年作業機統計を発表
2022年1~12月の作業機の生産・出荷・輸出入実績(日農工実績)をまとめた。それによると、昨年の作業機の出荷実績(国内向け+輸出向け)は437億7620万円、前年比99.7%の微減となった。このうち国内向けは408億6871万円、同99.2%、輸出向けは29億750万円、同106.5%で、輸出向けが増加した。輸入実績を含む国内向け出荷実績は509億6621万円、同100.3%と、僅かに前年を上回った。機種別台数ベースでは畦塗機が106.9%と伸びた一方、ロータリ(水田用・畑作用)、水田用ハロー(折りたたみタイプ)は減少した。
輸入を合わせた国内向け出荷実績を機種別台数実績でみると、主要な機種では、ロータリ(水田用・畑作用)は1万8708台、前年比98.6%、水田用ハロー(駆動型)は2191台、同92.4%、水田用ハロー(折りたたみタイプ)は1万164台、同93.4%、畦塗機は5347台、同106.9%、ブロードキャスタは5650台、同90.0%と、畦塗機以外は減少している。新型コロナ対策である経営継続補助金による需要の反動とみられる。ブロードキャスタは、金額ベースでは101.6%と増加している。