2023年3月10日発行
<業界短信-新製品3月>
- 本田技研工業が小型耕うん機の20周年記念モデル受注開始
- やまびこが36Vバッテリー刈払機を新発売
- 諸岡が新製品発表会、木材破砕機など発表
- タイショーが無線リモコンのブレンドソワーを新発売
- オーレックが新型雑草刈機「ブルモアー」投入
<業界短信3月>
- クボタがフランスのBCT社を完全子会社に
- クボタがコーポレートガバナンスで都知事賞を受賞
- タカキタが2023年3月期第3四半期決算を発表
- 日本農業機械工業会が2022年の農業機械輸出入実績と動態統計を発表
- JA全農などがJAグループ国産農畜産物商談会
- 三菱マヒンドラ農機がペースト一発肥料実証結果を発表
- クボタがフランスのアグリテック企業に出資
- ヤンマーが福岡の「水素ファクトリー開発モデル事業」に参画
- 井関農機がアイガモロボ導入のポイント解説するWebセミナー
- クボタが2022年12月期連結業績を発表
- ヤンマーアグリが第33回ヤンマー学生懸賞論文・作文入選発表会
- 井関農機が2022年12月期連結業績を発表
- 三菱マヒンドラ農機が2023年ディーラーミーティング
- ヤンマーマルシェがバイオコンポスターを導入し資源循環の取り組み
- やまびこが2022年12月期連結業績と中期経営計画2025を発表
- 本田技研工業が2022年度第3四半期決算を発表
- JA全農が人事と機構改革を発表
- ヤンマーアグリなど9者がローカル5Gで放牧地管理
- サタケが佐竹電機を統合
<業界短信-新製品3月>
1.本田技研工業が小型耕うん機の20周年記念モデル受注開始
小型耕うん機「サ・ラ・ダFF300」の発売20周年を記念した「サ・ラ・ダFF300記念モデル」の受注を全国のHondaパワープロダクツ取扱店にて開始した。同製品の発売は、2023年春を予定している。
また、20周年を記念して「サ・ラ・ダ」シリーズ愛用している人の声などを紹介する「サ・ラ・ダ20周年スペシャルコンテンツ」をこのほど公開した。今回台数限定で販売するサ・ラ・ダFF300・20周年記念モデル。
主な特徴は、
- フェンダー部に20周年限定のオリジナルデザインラベルを配置
- 赤いボディーにグリーンの映える特別なデザインとなっている
- 20周年記念ロゴを配した限定ボディーカバーも付属
- 取り回しのしやすさと優れた作業性能を両立し、誰もが簡単な操作で上手に家庭菜園を楽しめる製品を目指して開発された
-など。
サ・ラ・ダFF300が2003年に発売されて以降、2004年に上位モデル「FF500」、2013年にガスパワー耕うん機「サ・ラ・ダCG FFV300」が発売され、これまでのシリーズ累計販売台数は約11万7000台を記録している。
2.やまびこが36Vバッテリー刈払機を新発売
「共立」「新ダイワ」「エコー」ブランドを持つ同社は、エコーオリジナルの36Vリチウムイオンバッテリーを搭載した“ハヤブサ パフォーマンス36”の刈払機「BSR310U/S」を発表、2月より本格的な発売を開始した。ホームユーザー向けの“ハヤブサ パフォーマンス36”は、チェンソー「BCS310」、ヘッジトリマー「BHT310」、ブロワー「BPB310」に加え、4モデルとなりラインアップが拡充した。同じバッテリーを使用でき、イニシャルコストを低減できる。
同機の主な特徴は、
- 軽量・操作性を重視に開発し、本体乾燥質量が2.7kgと極めて軽量
- モーター駆動のため低振動・低騒音・排ガスゼロで負荷やストレスの少ないスマート作業を実現
- 刈り取る草に応じて、刈刃の回転数を低速・中速・高速の3段階に選択できる(プラスボタンを押すことでローテイションで変速)
- 身体にフィットする左右非対称Uハンドルを採用、女性や高齢者でも楽に作業が行える
- 逆転スイッチにより、作業時の草詰まりを簡単に解消できる。
- 操作桿と後端部に冷却孔を配置、取り込んだ空気は先端モーター(モーター部内部に吸気孔無し)を冷却し、ギヤケース下部より排出するため、草の絡みつき、内部への侵入を低減
-など。
https://www.yamabiko-corp.co.jp/echo/products/category/detail/id=13512
3.諸岡が新製品発表会、木材破砕機など発表
同社・阿見試験開発デモセンターにおいて、建設・レンタル・林業・環境関連などの幅広い分野の関係者を招き、全旋回型キャリアの新製品「MST110CR」(最大積載量11,000kg)、「同80CR」(同8000kg)、「同40CR」(同4000kg)を発表、今夏より順次発売することを明らかにするとともに、リニューアルを行った自走式上投入型木材破砕機「MC-6000」(定格出力470kW)、「同-4000」(同354kW)、さらに、自走式横投入型木材破砕機「MRC-3000」(同186kW)、ゴムクローラ式林内運搬・作業車“フォワーダ”「MST-1000VDLG」の新製品発表会並びに試乗体験・実演会を行った。
全旋回型キャリア「MST110CR」の主な特徴は、
- 安全第一を考え運転席から視認性を改善。 駆動力、操作性も向上
- エンジンはEUステージクリアのCAT社製「C7.1」を搭載
- 油圧モーターを斜軸式ピストン式に変更、2速は自動変速で、1速は手動変速で急傾斜地に対応
- 斜軸モーターはカートリッジ式で、減速機と分離式サンギヤも分解できる窓付機構を追加
-など。
自走式上投入型木材破砕機「MC-6000」の主な特徴は、
- 自動逆転機能、磁選機、破砕操作リモコンを標準装備
- オフロード法基準に適合したエンジンを搭載
- 油圧ポンプの容量をアップ、破砕能力が向上
- 従来機に対して、ホッパー径をアップ、材投入容量が増加
-など。
ゴムクローラ式林内運搬車・林内作業車「MST-1000VDLG」の主な特徴は、
- 位置情報、機械状況、稼働履歴をリアルタイムに遠隔管理する〝M-eye〟を搭載
- HSTスピードモードを搭載。高速走行をはじめ、安定した微速での走行が可能
- オートデセル機能を搭載
-など。
https://www.morooka.co.jp/news/event/9447
https://www.youtube.com/watch?v=7p9YWDO78ck&feature=youtu.be
4.タイショーが無線リモコンのブレンドソワーを新発売
ホッパー容量が500Lで、配線を気にせず設置できる無線リモコンを採用したトラクター用肥料混合散布機のニューバージョン“ブレンドソワー”「BLD-500」の本格的な発売を開始した。
同機の主な特徴は、
- 比重の異なる複数の肥料を、独自開発の混合羽根により、短時間で均一にブレンドし、適正量で散布作業ができる
- ホッパー容量が大容量のため、施肥量の多い有機肥料の散布に最適。ホッパー底部が開閉し、残った肥料を素早く排出でき、水洗いや掃除が簡単に行える
- 投入口が低く、肥料の投入が楽に行える
- 電動シャッターでの散布調整を、配線を気にする必要がない無線リモコンを標準装備。直感的に操作できる無線リモコンの採用により、施肥量に応じたシャッター調整も細かく行える
- 新たに混合層と繰出層の2層構造を採用。混合層で肥料をキレイにブレンドし、繰出層で均一に繰り出することで、より散布性能が向上
-など。
5.オーレックが新型雑草刈機「ブルモアー」投入
雑草刈機の新製品として「ブルモアー ZHR800」を発売。シリーズ最高の車速と馬力で従来製品の約2倍の作業能率を発揮する上、機体重量は320kgで軽トラックに積載可能。また、その場で360度旋回する「ゼロターン」機能も初搭載しており、より使いやすく、作業しやすくなっている。新製品は、耕作放棄地のような広大な土地の管理などを行う作業者の負担軽減を目指した。
主な特徴は、
- シリーズ最高の車速(時速7.5km)とエンジン出力(11.9PS)。密集し背丈が高い草も刈ることが可能
- ゼロターン機能搭載で効率良く作業できる
- 走破性が高い海外製品のクローラを採用
- HST搭載でレバーを前後に倒す角度に応じて車速が変わる
- 作業者の立ち位置がクローラ上にある設計で、従来製品よりも機械の上下揺れが半減
- 作業者が立ち乗りステップから降りるとエンジンが自動停止する安全設計
- ロータリーカバーの素材に耐候性鋼を採用し、錆や腐食が進行しにくい。またナイフの幅を5mm、厚さを1.5mm増し耐久性が向上
-など。
<業界短信3月>
1.クボタがフランスのBCT社を完全子会社に
同社子会社であるKverneland ASは子会社を通じて、インプルメントを製造するB.C.TECHNIQUE AGRO-ORGANIQUE SAS(BCT社、本社=フランス・アルシーシュルキュール)の株式を100%取得、完全子会社とすることを決定した。
BCT社は機械除草インプルメントの製造・販売会社で、“Phenix”のブランドで製品展開している。高解像度カメラでインプルメントの位置を自動制御するガイダンス機能など先進的な機能を取り入れつつ、高速かつ精密な作業を実現させ、フランス国内を中心に高い評価を得ている。現在クボタグループは耕起、播種、施肥といった畑作作業を行うための多様なインプルメントを取り揃えているが、この買収により機械除草インプルメントを製品ラインアップに加え、顧客のニーズによりいっそう寄り添った提案が可能になる。
同社は、「機械除草インプルメントの普及を推進し農薬使用による環境負荷を低減するとともに、多様なインプルメントによる効果的な農作業を提案していく」としている。
2.クボタがコーポレートガバナンスで都知事賞を受賞
一般社団法人日本取締役協会は企業表彰「コーポレートガバナンス・オブ・ザ・イヤー2022」の受賞企業を決定のうえ発表した。業界からは特別賞・東京都知事賞にクボタが選出され、表彰式は都内の帝国ホテル東京にて行われた。
都知事賞はコーポレートガバナンスが優れていることに加え、環境対応、女性活躍推進、ダイバーシティ対応、働き方改革などのESG活動を積極的に行っていると認められる企業に対して贈られるもの。クボタは「豊かな社会と自然の循環にコミットする〝命を支えるプラットフォーマー〟」を目指し、ESGを事業運営の中核に据え、創業以来、「食料・水・環境」に関わる地球規模の課題に取り組んでいることを評価して受賞企業として選定したとしている。
また、次の点も評価された。
- E(環境)の観点では、例えばTCFD提言に賛同、気候変動関連のリスクと機会がもたらす財務的影響を開示し、それらを踏まえた事業戦略の立案を進めるとともに、バリューチェーン全体のCO2排出量の削減にも取り組んでいる
- S(社会)の観点では、「女性のエンパワーメント原則(WEPs)」に署名し女性活躍を推進するほか、特例子会社を活用した障害者の雇用創出に取り組むなど、ダイバーシティも積極的に推進している
- G(ガバナンス)の観点では、経営層の多様化や、社長直轄のESG推進体制の構築等に取り組んでいる
3.タカキタが2023年3月期第3四半期決算を発表
2023年3月期第3四半期決算を発表した。それによると、売上高は55億4000万円(前年同期比3.5%増)、営業利益4億6500万円(同6.1%増)、経常利益5億700万円(同8.2%増)、四半期純利益3億4100万円(同8.6%増)の増収増益となった。
農業機械事業においては、肥料散布機等の土づくり関連作業機の売上げが減少したものの、高品質な国産飼料増産と食料自給率の向上に貢献する細断型シリーズを中心としたエサづくり関連作業機の売上げが伸張したことに加え、除雪作業機の早期受注活動が当第3四半期の売上げに寄与し、国内売上高は増収となった。また、海外売上高は、オンライン展示会の活用効果による新規市場(北米、中南米等)への売上げや、合弁会社からのロイヤリティ収入により増収となった。農業機械事業全体の売上高は、前年同期比1億3300万円増加し51億9200万円(前年同期比2.6%増)となった。
2023年3月期の業績予想は、2022年5月11日に発表した通期の業績予想の数値から変更はない、としている。
https://www.takakita-net.co.jp/takakita2020/wp-content/uploads/2023/01/2023012701.pdf
4.日本農業機械工業会が
2022年の農業機械輸出入実績と動態統計を発表
このほど取りまとめた2022年1~12月の農業機械輸出入実績(財務省通関統計)によると、輸出金額は3501億5046万円で前年比116.3%、輸入金額は920億8978万円で同121.5%となり、前年に続いて輸出入ともに2桁増となった。機種別金額ベースでみると、トラクターは全体で輸出が2605億7462万円で同117.8%、輸入は241億7535万円で同124.4%となり、輸出入とも大幅に伸びた。輸出は、歩行トラクター、播種機・植付機・移植機、芝生刈込機なども2桁増。コンバインは前年並みだった。
輸出実績を機種別台数ベースにみると、トラクターは、18kW以下が3万1433台で前年比111.5%、18~22kWが2万1876台で同130.0%となっており、中小型のトラクターが大きく伸びた。トラクター輸出の合計は12万1942台で前年比102.2%と微増になった。その他の機種をみると、歩行式トラクターの輸出も4万4519台で111.4%と好調だった。播種機・植付機・移植機の輸出は5745台で112.2%に増えた。コンバインの輸出は3257台で97.5%に減ったが、金額では100.2%と前年並みだった。
また、2022年の農業機械出荷実績は4502億6200万円、前年同期比98.1%となった。出荷台数ベースでは、20PS未満トラクターが162.5%と大きく伸びたほか、20~30PSトラクターが103.8%、籾すり機が100.4%、精米麦機が1万1248台、104.5%と増加した。出荷台数を機種別にみると、トラクターは全体で15万7407台、前年比98.9%。耕うん機は12万9118台、96.1%、田植機は1万9076台、96.0%、コンバインは1万2917台、93.3%となっている。
5.JA全農などがJAグループ国産農畜産物商談会
農林中央金庫と共同で、都内港区の東京都立産業貿易センター浜松町館にて「第17回JAグループ国産農畜産物商談会」を開催した。
同商談会は担い手・生産者への販売支援や国産農畜産物やその加工品などの販売チャネルの拡大、販売力強化の目的で行われているもの。近年はコロナ禍のためオンライン開催が続いていたが、今回は4年ぶりの会場開催となり、「地域の魅力を未来につなごう!」をテーマに掲げ、全国からJAや生産者など86団体(106小間)が出展した。こだわりの地域産品が試食を交えて盛大にアピールされ、期間中は活発な商談が行われた。
また、同会場では特別セミナーも行われ、富樫信人氏(株式会社ファミリーマート執行役員商品本部長補佐兼デリカ食品部長)による「ファミリーマートの地域連携について」など2日間で4講演が行われ、盛況だった。
また、3月31日まで特設サイトにてオンライン商談会も実施している。
6.三菱マヒンドラ農機がペースト一発肥料実証結果を発表
2022年春から長岡市(新潟県)、岡山市、矢板市(栃木県)などの圃場でマイクロプラスチック殻を出さないペースト一発肥料を使用した場合の水稲の生育を確認するため、実証試験を行ってきたが、その結果をまとめ発表した。
それによると、結果は良好な食味と各県平均を上回る収穫量で、粒状一発肥料と遜色のない栽培ができることを実証した。同社では、「みどりの食料システム戦略」認定のペースト施肥機を使い、「追肥なしで生産性の高い生育を実証した」としている。
実証結果の概要は次の通り。
ペースト一発肥料で育てた水稲の一反(10a)あたりの玄米収量は、659kg(長岡市)、590kg(岡山市)、573kg(矢板市)と令和4年度の各県平均に対して11~24%の増量となった。また、食味スコアについても「87」「81」「88」といずれも「良」(80以上)と診断された。これにより、ペースト一発施肥による田植えは、一般的に行われている粒状一発肥料の課題であるプラスチック被覆殻の流出と無縁であるだけでなく、水稲の生産性においても平均を上回る成果を上げることが可能であることが示された。
同社は、業界で初めてペースト側条施肥機を開発・発売し、環境負荷の低いペースト肥料を用いた農法への対応に長年取り組んできた。マイクロプラスチック問題の解消と化学肥料の削減に寄与できることから、ペースト施肥対応の田植機は「みどりの食料システム戦略」の認定事業に選定された。
同社では「ペースト施肥対応の田植機の販売では業界のリーダーであり、今後も生産効率の向上と、環境負荷低減に寄与する農業の推進に力を入れていく」としている。
7.クボタがフランスのアグリテック企業に出資
カメラで撮影した画像データをAIで分析することで、ブドウの病害や生育状況を検知し、独自のアルゴリズムで適切な農薬散布量の提案を行うフランスのスタートアップ企業・Chouette社(シュエットゥ社)に出資したと発表した。
シュエットゥ社は、農園内の果樹の画像データからAIを用いて病害や生育不良を検知するサービスを展開。得られた病害や生育不良のデータと独自のアルゴリズムを用いて適切な農薬散布の箇所・量を示したマップを作成することができる。これを活用することで効果的に病害の拡大を予防し、使用する農薬も最小限に抑え、環境負荷と農薬コストを低減することができる。
クボタは、「今後も国内外のスタートアップ企業への出資を進め、果樹分野での先進的な技術開発に取り組み、環境負荷低減と農業経営の安定化に貢献してまいります」としている。
8.ヤンマーが福岡の「水素ファクトリー開発モデル事業」に参画
ヤンマーホールディングスのグループ会社であるヤンマーエネルギーシステムとヤンマー発電システム製造は、トヨタ自動車九州、AID、アークエルテクノロジーズとともに福岡県水素グリーン成長戦略会議の「水素ファクトリー開発モデル事業」に応募し、「再エネと連動運転可能な定置型燃料電池発電システムの開発」が採択された。この事業は、工場CO2排出量削減を図る革新的な技術を福岡県内から創出することを目的に、再生可能エネルギー設備と水素燃料電池発電システムなどを組み合わせた「水素ファクトリー」の開発に挑戦するもの。天候などにより発電量が変動する再生可能エネルギーの影響を、定置型燃料電池や蓄電池などを併用して統合制御することで最少化し、CO2排出量削減の最大化を目指す。今後はトヨタ自動車九州小倉工場で、再生可能エネルギーや蓄電池システムと連動した定置型燃料電池発電システムを構築し、実使用環境下での制御応答性などについて評価を行う。
ヤンマーグループでは脱炭素社会の実現に向け「YANMAR GREEN CHALLENGE 2050」を推進している。今後もヤンマーエネルギーシステムおよびヤンマー発電システム製造は脱炭素燃料への対応技術の開発を進め、顧客のエネルギーにおける課題解決と脱炭素社会の実現に貢献していくとしている。
https://www.yanmar.com/jp/energy/news/2023/02/03/119911.html
9.井関農機がアイガモロボ導入のポイント解説するWebセミナー
営農ソリューション・ポータルサイト「Amoni」の一環で、東北地域限定のWebセミナーを開催した。今回は自動抑草ロボットの「アイガモロボ」を導入予定、または興味がある顧客向けに、井関農機及びヰセキ東北が講師を務めて、「アイガモロボ」投入のタイミングや、圃場の均平が大事なことなど、「アイガモロボを使いこなすためのPOINT」を解説した。
「アイガモロボ」はスクリューの水流で土を巻き上げ、田んぼ全体を濁らせて雑草が光合成しにくい圃場環境を作り、雑草を抑制する。水稲有機栽培では除草の負担が面積拡大の障壁にもなっているが、「アイガモロボ」を用いると、圃場に入れるだけで自動航行で雑草の繁茂を抑えてくれる。これはスクリューの水流で土を巻き上げ、田んぼ全体を濁らせて雑草が光合成しにくい圃場環境を作り、雑草を抑制。さらに巻き上げられた土が堆積してトロトロ層が形成され、雑草の種子を出芽できない深さに埋没する。同社はこのアイガモロボを全国で実証しており、2021年の実証試験の結果をみると、全国的に例年に比べ大幅に除草作業を削減できた。国が進めるみどりの食料システム戦略実現のためにも、アイガモロボによる労働時間低減を通じて有機面積を拡大していき、目標達成のツールとなればと述べた。
10.クボタが2022年12月期連結業績を発表
オンラインで記者会見し、2022年12月期連結業績(IFRS=国際財務報告基準)を発表した。それによると、売上高は2兆6787億7200万円(前期比21.9%増)、営業利益2189億4200万円(同10.5%減)、税引前利益2339億2700万円(同6.8%減)、当期利益1764億2000万円(同6.8%減)、親会社の所有者に帰属する当期利益1561億8200万円(同10.6%減)で、増収減益となった。
部門別にみると、機械部門の売上高は前期比24.8%増加して2兆3280億円となり、売上高全体の86.9%を占めた。国内売上高は前期比2.5%減の3026億円。農業機械及び農業関連商品が米価低迷や経営継続補助金の終了により減収となった。海外売上高は前期比30.3%増の2兆254億円となった。北米ではトラクターは市場が縮小傾向にあるもののディーラー在庫充足のための出荷が進んだこと、建設機械はインフラ工事需要により増収。欧州では建設機械、エンジンを中心に堅調に推移。アジアでは、タイは前年の政府事業の反動により稲作向け機械は減少となったが、畑作市場の開拓が堅調に進んでいる。
また、機械部門のうち農機・エンジンは1兆8215億3200万円(同23.5%増)、国内は2638億7400万円(同2.4%減)、海外は1兆5576億5800万円(同29.4%増)となった。
https://www.kubota.co.jp/ir/financial/release/data/133q4.pdf
11.ヤンマーアグリが第33回ヤンマー学生懸賞論文・作文入選発表会
オンライン形式でヤンマー学生懸賞論文・作文入選発表会を開催した。この事業は、ヤンマー創業者の精神やビジョンの根底にあった「人をより豊かにする」「人の可能性を信じ挑戦を後押しする」というヤンマーの価値観「HANASAKA」の輪を広げる活動の一環であり、今回で33回目。テーマは「“農業”を“食農産業”に発展させる」で、論文46編、作文446編の応募があった。審査の結果、論文の部の「大賞」は、奈良県立大学地域創造学部の青島萌華さん他5名の「情報が食べられるレストラン~食と農の本来の魅力の伝達と実践~」、作文の部の「金賞」は、鹿児島県立農業大学校畜産学部の木暮千尋さんの「私の心を変えた『大きな発見』~異国の養豚から教えられたこと~」がそれぞれ輝いた。
発表会で挨拶した増田社長は、30年以上を経過し農業を取り巻く環境は再び大きな転換期に差し掛かっているとし、持続可能な農業への取り組みが喫緊の課題であり、今年は約20年ぶりに食料・農業・農村基本法が改正されることなどに言及した。そして、今回の論文・作文は農林水産業や畜産業、農業経済はじめ福祉や環境などに関する作品も多く、応募作品のすそ野が広がってきたとし、とくに環境に対する取り組みがテーマとして多くあがっており、多くの学生が課題認識を持っていることの表れと指摘し、今年も応募作品は「力作ぞろいだった。コロナの影響がある中で、調査、研究は苦労が多かったと聞いている」とし、その取り組みを称えた。
12.井関農機が2022年12月期連結業績を発表
オンラインで会見し、2022年12月期連結業績(日本基準)を発表した。それによると、売上高は1666億2900万円(前期比5.3%増)、営業利益35億3400万円(同14.8%減)、経常利益37億6200万円(同19.7%減)、親会社に帰属する当期純利益41億1900万円(同28.9%増)と、増収減益となった。期末配当は30円。海外売上高は過去最高の540億円(同32.3%増)と前期に続き過去最高を更新した。海外比率は32.4%にアップした。2023年12月期の連結業績予想は売上高1765億円(同5.9%増)、営業利益45億円(同27.3%増)、経常利益40億円(同6.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益26億円(同36.9%減)としている。
概況をみると、国内は農機製品はサプライチェーン混乱に伴う生産遅延や米価低迷・資材価格高騰による購買意欲減退に加え、前期にあった経営継続補助金の反動もあり減少。また、作業機も補助金反動により減少した。一方で、補修用部品及び修理整備等のメンテナンス収入は、農機製品の売上げが減少する中でも前期を維持した。海外は前期に続き過去最高の売上高を更新。北米はコンパクトトラクター市場が調整局面に入るも、現地在庫レベル回復に向けた当社出荷は続伸した。欧州はライフスタイルの変化に伴う市場の動きを捉え、コンシューマー向けを中心に販売が伸長、加えて景観整備向け需要の回復に伴うプロ向け販売も増加した。
13.三菱マヒンドラ農機が2023年ディーラーミーティング
「2023年ディーラーミーティング」を開催した。今回は3年ぶりの参集型として開催したが、新型コロナウイルスの感染拡大リスクを低減するため、西日本地区(9日、岡山市)と東日本地区(14日、埼玉県さいたま市)に分けて開催、両会場に厳しい商戦を勝ち抜いた販売店合わせて約100社が参集した。
齋藤徹・代表取締役CEOが三菱マヒンドラ農機グループ全体のプレゼンテーションを行った。厳しい現在の農機業界の状況を説明した上で、「グループの事業体質を強化するため、日本国内だけでなく海外へも積極的に足を運んでいる」と報告。トルコのヒサルラー製品がヒット商品となったこともあり、次の新商品の発掘や事業拡大の足がかりを求め、マヒンドラ&マヒンドラグループ各社や取引先を積極的に訪問していると語った。グループ内では、就任以来、様々な社内プロジェクトを行い、社内改革を進めることを明らかにし、「キーワードは“跳”。“Great Small”目指し、来年の創業110年に向け、共に飛躍につながる歴史に残る1年にしたい」と決意を披歴した。
14.ヤンマーマルシェがバイオコンポスターを導入し資源循環の取り組み
ヤンマーホールディングスのグループ会社であるヤンマーマルシェとヤンマーeスターは、梅の花と連携し、バイオコンポスター「YC100」を活用したサーキュラーエコノミー(循環経済)の取り組みを開始した。梅の花は、和食レストラン「梅の花」を軸に中華業態、かに料理専門店、テイクアウト専門店等、全国で約288店舗を展開。食材ロスの削減や資源の有効活用に注力しており、SDGsの取り組みの一環として京都セントラルキッチンにおいて「YC100」を導入した。京都セントラルキッチンで出た食品廃棄物は、「YC100」により発酵分解され、ミネラルが豊富な生成物を堆肥として再利用する。この堆肥を活用して生産された農作物を運営する外食店舗で使用している。また、このような堆肥を使った農産物が品質・収量ともに安定したことから、京都セントラルキッチンを皮切りに久留米セントラルキッチンでも資源循環の取り組みを拡大している。
今後も、ヤンマーグループはブランドステートメントとして掲げる「A SUSTAINABLE FUTURE」の実現に向け、食品廃棄物を有効活用する「資源循環サイクルモデル」の構築を目指すとしている。
15.やまびこが2022年12月期連結業績と中期経営計画2025を発表
2022年12月期の連結業績(2022年1月1日~2022年12月31日)を発表した。それによると売上高は1561億5900万円(前期比9.7%増)、営業利益86億8800万円(同6.9%減)、経常利益92億1700万円(同7.0%減)、親会社株主に帰属する当期純利益62億9900万円(同16.0%減)と、増収減益となった。地域別では、国内売上げが前年の補助金需要の反動やサプライチェーン混乱の影響などを受け、農業用管理機械と一般産業用機械の販売減で428億4500万円(同7.7%減)、海外売上げが価格改定や円安による増収に加え、欧州でのプロ向け製品の増産、北米での農業用管理機械と一般産業用機械の高い伸長もあり、1133億1400万円(同18.2%増)と大幅増収となった。
また、2023年12月期を初年度として3カ年(2023年1月1日~2025年12月31日)における「中期経営計画2025」を策定した。中期経営計画2025の概要は、同社グループは「人と自然と未来をつなぐ」を企業理念に掲げ、世界最高レベルの環境技術と安全・安心で革新的な良く働く機器とサービスを社会に届けることで、豊かな自然と共生する輝く未来創りに貢献することを目指すとし、事業戦略では、企業理念と経営目標の実現に向けて、事業戦略に基づき諸施策に取り組む-などとした。
https://ssl4.eir-parts.net/doc/6250/ir_material_for_fiscal_ym1/132071/00.pdf
16.本田技研工業が2022年度第3四半期決算を発表
2022年度第3四半期決算および通期業績見通しを発表した。それによると、第3四半期累計(9カ月間)の売上収益は二輪事業で販売が増加したことや為替影響などにより、12兆5234億円(前年同期比17.3%増収)となった。第3四半期累計の営業利益は、半導体の供給不足や中国での新型コロナウイルス感染症の影響による四輪車生産・販売台数の減少に加え、原材料価格の高騰やインフレ影響による製造コストの上昇などはあったものの、商品価値向上に見合う値付けや二輪車販売台数の増加、為替影響などにより、前年同期に対して622億円増益の7339億円となった。第3四半期累計の親会社の所有者に帰属する四半期利益は、前年同期に対して10億円増益の5831億円だった。
パワープロダクツ事業及びその他の事業の営業利益は241億円で前年同期比315億円の増益。また、売り上げ台数は、412万1000台(前年比37万9000台減)であった。
通期営業利益の見通しは、半導体の供給不足や中国での新型コロナウイルス感染症の影響による四輪車販売台数の減少、インフレ影響などによるコスト上昇圧力はあるものの、商品価値向上に見合う値付けや、主にアジアでの二輪車販売台数の増加、全社一丸で取り組む更なる収益改善などにより、前回見通しの8700億円を維持している。
17.JA全農が人事と機構改革を発表
4月1日付人事並びに機構改革を内示し公表した。それによると、農業機械を取り扱う耕種資材部(日比健部長)の関係では、次長に笠岡和裕氏(同部システム対策課課長)が就任する。
また、機構改革では、平塚の営農・技術センター生産資材研究室が「資材研究室」と「農業機械研究室」に分かれ、愛媛県本部の農機事業が移管されて本所中四国広域農機事業所「愛媛農機事務所」が新設される。これに伴い、本所耕種総合対策部営農・技術センター資材研究室、同農業機械研究室、本所耕種資材部包装原料課資材研究室、本所耕種資材部農業機械課農業機械研究室それぞれの室長は井上高志氏(本所耕種総合対策部営農・技術センター生産資材研究室室長)が兼務する。
18.ヤンマーアグリなど9者がローカル5Gで放牧地管理
ヤンマーアグリはじめ、シャープ、ビッグレッドファーム、北海道新冠町など9者は、2022年8月に採択を受けた総務省の開発実証事業として、同年11月から2023年2月の約3カ月にわたり、ビッグレッドファーム明和(北海道新冠郡新冠町)にてローカル5Gを活用した放牧地管理の実証実験を行った。実証実験のテーマは、「ローカル5Gを介した無人ロボットトラクターの遠隔操作による、軽種馬用放牧地の管理作業の省人化に向けた課題実証」、および「広大な放牧地での分散アンテナによるローカル5Gエリアの柔軟な構築に向けた技術実証」。
前者の課題実証では、ローカル5Gの活用によりロボットトラクターの作業領域の様子を4K高精細映像として伝送することで、リアルタイムに遠隔操作できるシステムを構築。軽種馬育成において重要な放牧地管理作業の省人化に向けた実証を行った。後者の技術実証では小型アンテナを複数設置する分散アンテナシステムを採用。広大な放牧地においてローカル5Gエリアを柔軟に構築する技術の実証に加え、基地局設備を搭載した可搬型システムを活用し、複数の分散アンテナと接続することにより、1基の基地局システムで複数のエリアに対応できるようにした。ヤンマーアグリは実証にてロボットトラクターの自走制御システム開発、放牧地走行テスト実施を担当分野として行った。
今後、参加各者は、本実証実験での技術蓄積をもとに、広大な農用地や牧草地での効率的なローカル5Gエリア構築による作業の省人化や、高精細映像伝送を用いた顧客ニーズへの対応などを図っていく。
19.サタケが佐竹電機を統合
グループ会社である佐竹電機を統合した。佐竹電機は国内に11社あるサタケグループの1つで、モーター販売や電気工事、穀物加工施設などの制御システムの開発・供給を行っている。同社は、サタケが設計・施工する穀物加工施設などで、制御システムと電気工事関係を請け負ってきた。しかし、プラントの遠隔管理システムなど近年の高度なDX(デジタルトランスフォーメーション)に関連した商品開発には、両社技術部門の知識の融合と緊密な連携が不可欠と判断し、統合に至った。統合により、商品開発速度の向上と業務の効率化を図り、2023年3月1日付で佐竹電機の業務は、サタケのFAシステム開発本部、生産本部、エンジニアリング本部およびプラント事業本部にそれぞれ統合する。
同社は「今後は両社の知見と経験を融合して商品開発にあたり、お客さまにこれまで以上に最適なソリューションを迅速に提案・販売してまいります」としている。
https://satake-japan.co.jp/news/new-release/post-20230215.html