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農業機械関連ニュース

2023年1月10日発行

<業界短信-新製品1月>

1.山本製作所が遠赤乾燥機の新シリーズ発売

遠赤乾燥機ウインディビルドの新シリーズ「HD-VMR2」(19~34石)・「HD-VAR2」(30~55石)・「HD-VNR2」(60~65石)、汎用遠赤乾燥機「HD-VAM2」(30~55石)の発売を開始した。汎用遠赤乾燥機「HD-VAM2」は、籾・麦・大豆・ソバに加えて、業界初となる飼料用子実コーン乾燥を標準装備し、新型汎用水分センサーで水分測定も可能となっている。いずれのシリーズも、新たに開発した業界初の試運転をオートで行うセルフチェック機能ビルドスコープを搭載。穀物張込み前にモーターやバーナーを起動させ正常に動作するか確認できる。
 主な特徴は、

  1. AI機能を搭載。過去の乾燥データを分析し、使用回数が増えるほど、高い精度のデータを導き出す
  2. 特許取得の自動調質乾燥運転〝おまかせ乾燥〟により、張込み時の水分ムラを分析し、自動で撹拌・乾燥・休止・仕上げ乾燥を行い、高精度な乾燥作業と高品質米の生産をサポート
  3. 最大25分で全てのチェックを完了(バーナ冷却含む。バーナー以外も選択可能)。チェック終了後に各項目の合否が一覧で表示

-など。

2.井関農機が2023年度上期新商品16品目21型式を発表

茨城県つくばみらい市の同社つくばみらい事業所にて、2023年度上期新商品発表会を行った。新たにフラグシップコンバインHJ6130に直進アシストシステムを搭載したコンバイン「HJ6130-Z」や10条田植機PZ103のフルモデルチェンジ機で、フロントエンジンを搭載した「PJ10」、有人監視型ロボット田植機の追加型式となる「PRJ8D-R」(FV・AS・H型)、全国各地で200台を稼働させ実証してきた自動抑草ロボット「アイガモロボ」などの他、海外向けとして景観整備で使用する欧州向け電動モーア「SXGE2」など、16品目21型式を発表した。
 そのうち、コンバインHJ6130-Zの主な特徴は、

  1. 直進作業はデファレンシャルGPS機能で、GNSSの測位情報を活用し、刈り取り作業の大半を占める直進作業で軽労化
  2. 直進アシスト作業に必要な基準線は、作業中に機械が自動で取得。オペレータはいつも通りの作業でOK
  3. 直進アシスト作業開始等の作業状態を知らせるボイスアナ&アラームを装備。直進アシストを自動開始したときなどに音声とアラーム音で案内するので安心

-など。

また、田植機PJ10の主な特徴は、

  1. 機体設計を基本から見直し、フロントにエンジンを搭載。現行機と比べて約40kgの軽量化を実現。軽量な機体で沈み込みを防ぎ走破性に優れる
  2. デファレンシャルGPS制御でGNSSの測位情報を活用し、植付け「直進作業」・「旋回作業」のハンドル操作を田植機が自動アシスト
  3. 畦が近づくと警告音で知らせ、オペレータが操作しなければ自動停止。万一機体が畦に乗り上げた場合、前後左右8度以上傾くと自動的にエンジンが停止する安全機構も装備

-など。

3.タカキタがスノーブロワ11型式を新発売

スノーブロワ(サイドドライブ)9型式、スノーブロワ(センタードライブ)2型式を新発売した。サイドドライブタイプのトラクター適応馬力は40~160馬力。センタードライブタイプは、小・中型トラクターにベストマッチするスノーブロワで、適応馬力は18~40馬力。最大投雪距離は28m。トラクターの運転席からコントローラで投雪距離と方向を自在に操作できる。
 主な特徴は、

  1. 5枚羽根大径ブロワで処理能力・投雪距離がアップした。従来の5枚羽根よりブロア直径が大きくなり、投雪距離、かき込み能力がアップ
  2. E(電動)シリーズはジョイスティックを採用、ワンレバーで投雪距離、方向を手元でコントロールできる
  3. U(油圧)シリーズはデフレクタ採用。投雪距離・方向調整に外部油圧駆動シュート、デフレクタを採用
  4. エッジプレート交換方式を全シリーズに採用し、メンテナンス性がアップした

-など。

<業界短信1月>

1.農林水産省がみどり投資促進税制の対象機械にみのる産業、タイショーなど追加

農林水産省はみどりの食料システム法に基づき、事業者から申請された基盤確立事業実施計画の認定を行った。
 第2弾の認定となったのは、みのる産業、タイショー、アテックス、国際有機公社、TOWING、第3弾の認定となったのは、落合刃物工業、井関農機、イナダ、タイガーカワシマ、ササキコーポレーション、エコファーム・共和化工。それぞれ次の通りみどり投資促進税制の対象機械に追加された。
 みのる産業は、水稲の有機・無農薬栽培に適したポット苗に対応した「ポット成苗田植機」や、水田の物理的除草を高効率に行える水田除草機等の普及拡大に取り組む。
 また、タイショーは、高速での畝立て作業と高精度での畝内への2段局所施肥を同時に行い、キャベツ等の野菜栽培における化学肥料の使用低減に寄与する「野菜用畝立同時局所施肥機」の普及拡大に取り組むとしている。
 また、井関農機は土壌に合わせてリアルタイムで施肥量を調整し、化学肥料の使用低減に寄与する「可変施肥田植機」の普及拡大に取り組む。 タイガーカワシマは化学農薬の使用低減に取り組む際に課題となる種子伝染性病害を加熱処理により防除する「種子温湯消毒装置」の普及拡大に取り組む。
 ササキコーポレーションは、水田畦畔の除草作業を効率化し、除草剤の使用低減に寄与する「電動リモコン草刈機」や、堆肥などの有機肥料と化学肥料の混合散布に適した「有機ブロードキャスター」等の普及拡大に取り組む。

2.クボタがイスラエルのスタートアップに出資

収穫した果物や野菜の品質管理ソリューションを提供するイスラエルのスタートアップ企業「Clarifruit Ltd」へ2022年11月に出資したことを明らかにした。Clarifruit社は、収穫後の果物や野菜の品質管理プロセス全体をデジタル化するサービス提供を行うスタートアップ企業。品質検査を自動化するモバイルアプリと、出荷する作物の品質データを一元管理・共有するクラウド型プラットフォームを提供している。
 生産者はClarifruit社のスマートフォンアプリを用いて青果の大きさや色などの品質をAI画像認識で判定し、そのデータはClarifruit社のプラットフォーム上に即時アップロードされる。また流通関係者ともプラットフォームを通して必要な情報の共有が可能で、流通関係者の要望に合わせた品質検査報告書を自動生成することもできる。こうして正確な品質データを生産者と流通関係者の間で一元的に共有することで、客観的なデータに基づいて意思決定を行う仕組みを構築する。
 クボタはClarifruit社への出資により品質管理プロセスの知見を獲得し、食料分野のトータルソリューションの構築に向けて邁進していくとしている。

3.ヤンマーアグリジャパンがWebで密苗相談会

オンラインで「みなさまの疑問にお答えします!密苗相談会」を開催した。密苗とは一体どのような技術で、どのようなメリットがあるのか分かりやすく説明したほか、農業者からの質問に答える質疑応答、密苗による田植え作業をさらに省力化・低コスト化・快適にするヤンマー乗用田植機YR-DAシリーズの紹介などを行い、好評だった。
 密苗相談会ではまず、ヤンマーアグリ開発統括部の担当者が「密苗とは?」と題して密苗技術及びメリットを紹介。説明によると、密苗を行うと、田植えに使用する育苗箱数を大幅に低減し、収量や玄米・食味品質は慣行と同程度を維持する。育苗箱数や播種及び苗運搬時間、育苗ハウス面積は最大3分の1、育苗資材費は最大2分の1に減少し、コスト低減と軽労化に大きく貢献するなどとした。また、密に播種する及び密苗田植機を使用すること以外は慣行通りの資機材や栽培管理で導入可能となっており、導入へのハードルが低いのもメリットとした。
 続いて、農家から寄せられた質問・悩みごとに、担当者が丁寧に答えた。「育苗は慣行と同じ?」の疑問には「慣行苗と同様の方法でプール育苗が行え、育苗培土が使用できる。ロックウールマットの使用も可能」-などと答えた。

4.井関農機子会社の井関松山製造所が井関南吉田製作所を設立

井関農機の連結子会社である井関松山製造所が子会社を設立したと発表した。新会社は井関南吉田製作所。代表者は遠藤博氏。主な事業内容は、農業用機械器具の製造および販売、車両運搬機器の製造および販売、土木建設機械の製造および販売、自動化設備の設計・製作および販売、前各号の工具並びに部分品の製造および販売、前各号の機械器具・工具並びに部分品の設計・製図業務、前各号に付帯する一切の業務-など。
 大株主および持株比率は、井関農機子会社の井関松山製造所が100%。業務開始予定日は2023年1月1日で、同会社設立による連結業績に与える影響は軽微とされている。

5.キャニコムがスモール・ジャイアンツアワードでグランプリ受賞

Forbes JAPANが主催する「スモール・ジャイアンツ アワード 2022-2023」にファイナリストとして参加し、グランプリを受賞した。同アワードは「会社規模は小さくても知名度はなくても、グローバルでの活躍、高い技術力、地元経済への貢献、新しい価値の創造などでジャイアンツ級の輝きを放っている日本の中小企業」をテーマに、17年に発足した。キャニコムの受賞の理由として、市場のニーズを汲み取った製品を適正な価格で販売している点と、ネーミングなどのブランディングが評価された。
 審査員は「痒い所に手が届く、というニーズを確実に汲み取り、適正な価格で売っていくという、今後日本がやっていかなくてはならないことを勇気を持って早いうちから行っている。加えて商品のネーミングなど高度なブランディングをしており、勇気を与えるロールモデルになるだろう」と述べた。

6.クボタがクバンランドショートディスクのWebセミナー

クバンランドショートディスクWebセミナーを開催した。今回は静岡県森町の圃場から実機の実演を行い生配信した。セミナーのテーマは、「高速作業によるトータルコストの低減に貢献」で、クボタによるクバンランドショートディスクの製品説明、ショートディスクの実機・実演、視聴者からの質問に答える質疑応答の順で進行。ショートディスクの人気がなぜいま高まっているかを明らかにした。製品説明では、PTOを使用せずに、1台で2役以上の活躍(残渣物の粉砕と表土の混和、播種床づくり)ができることを強調し、活躍する場は水田では「稲株の鋤き込み」、畑作では「収穫跡の切断・混和、すき込みなど」、作付面積が増加している緑肥では「ソルゴーの鋤き込み」などをあげ、春から夏も秋も、いろいろな作物、いろいろな圃場で年中活躍するインプルメントと強調した。
 導入メリットとして、

  1. 作業時間の短縮による拘束時間・人件費の低減
  2. トラクターの稼働時間の減少による燃料コストの低減
  3. ロータリ作業の減少による爪交換コストの低減

-などを指摘した。

インタビューに登場した鹿児島県の導入農家は「耐摩耗性、耐久性、アフターメンテナンスの少なさ、総合的にいって100点満点だと思っている。時間の短縮と経費の圧縮が主な目的で導入した」などと語った。このあと、圃場で実演を行いスピード作業ぶりを披露した。

7.オーレックが持ち株会社制へ移行、オーレックR&Dも設立

1月1日から持株会社体制へ移行した。グループはオーレックホールディングス、オーレック、オーレックR&Dから成る。オーレックホールディングスはグループ経営管理や不動産業など、オーレックは製造業などを進める。新設されたオーレックR&Dは、製品開発強化と有機農業推進、先端技術を軸とした研究開発を推し進め、製造業を主とするオーレックと連携を図る。また、3社の役員体制は次の通り決定された。
 オーレックホールディングス(旧オーレック開発、社名変更)の代表取締役社長は今村健二氏、専務取締役は今村晴彦氏、取締役は今村健人氏、関雅文氏(新任)、監査役は信岡美枝子氏、今村仁美氏。オーレックの代表取締役社長は今村健二氏、専務取締役は今村晴彦氏、取締役は安部秀治氏、今村健人氏(新任)、監査役は信岡美枝子氏、今村仁美氏。新設されたオーレックR&Dの代表取締役社長は今村健二氏、専務取締役は今村晴彦氏、取締役は今村健人氏、大城孝弘氏、監査役は信岡美枝子氏、今村仁美氏。

8.米・食味分析コンクールで静岡製機の食味分析計と穀粒判別器活用

第24回米・食味分析コンクール国際大会が長野県小諸市で開催された。今回の大会には、国内外から5280件の検体が寄せられ、全出品検体を対象とした1次審査の指定機として、静岡製機の食味分析計「SRE/SRE-W」と穀粒判別器“ヴァーゴ”「ES-5」が活用され、コンクールを成功に導いた。
 食味分析計は、国内外から主催者である米・食味鑑定士協会に送られてきた玄米の成分(水分・タンパク質・アミロース・脂肪酸度・食味スコア)を新開発のモノクロメータにより分析。また、穀粒判別器は、カラーCCDラインセンサーと高速画像処理エンジンにより玄米の粒度を正確に判定する。
 同社では、食味分析計、穀粒判別器とも昭和63年から平成元年にかけ、業界に先駆けて開発。検査の民営化が図れる中、より現場に則し、多様な各地産米の向上につながる最新の測定器の販売を進めている。また、米・食味分析鑑定コンクールの初回より、特別協賛企業として大会に参加、食味の向上、良質な米作りの推進を担っている。1次審査では食味スコアが85点以上で、玄米整粒が75%以上で2次審査に進出でき(低・中アミロース米は食味スコアが80点以上で2次審査に進出)、今回のコンクールでは、最高賞である国際総合部門で18名(個人・団体)が金賞を受賞した。

9.諸岡が協力会を迎え、運搬車、木材破砕機などの実演・試乗会

阿見(AMI)デモセンターに協力会社120名余りを招き、自走式上投入型木材破砕機「MC-6000」、全旋回型ゴムクローラ式不整地運搬車「MST-110C/CR」、林内運搬車「MST-1000VDL」の実演・試乗会を開催、日頃、機能部品を供給しているサプライヤーに対して、最新鋭の機械を披露した。
 諸岡協力会に対しての実演・試乗会は午前と午後の2回に分け開催。生産技術本部の若井光浩本部長の進行により実演に先立ち、まず、諸岡正美CEOが「本日紹介する機械は、全て皆様が供給して頂いた製品により成り立っている。これまで、バイオマス発電での木材破砕機、CO2削減を図ったエンジン搭載運搬車などの当社製品は、日本国内を始め全世界で高い評価を得ている。偏に皆様から供給して頂いている高精度の製品から生まれたものである。今回、実際に機械に試乗して頂き、その性能を実感してのご意見を伺い、今後の機械開発につなげていきたい」と挨拶。その後、諸岡CEO・同社技術部員により、製品説明、また、阿見デモセンターの起伏ある敷地内で、実演・試乗が進められた。

10.クボタが新設する北海道の農業学習施設の名称は
  「KUBOTA AGRI FRONT」に

春にオープンを予定している北海道ボールパークFビレッジの農業学習施設の名前を「KUBOTA AGRI FRONT」に決定したと発表した。また、施設内で体験する農業経営ゲームや屋内栽培エリアの見学などを通じて、食と農の魅力、可能性を学び、未来を考える場にしていくとの運営方針を示した。説明には社長室長兼KESG推進部長の習田勝之氏が当たった。同施設のコンセプトは「食と農業の魅力・可能性を、楽しくおいしく学ぶ学習施設(食と農業の未来を志向する仲間づくりの場)」。
 敷地面積3529平方m、建屋延べ床面積2723平方mの2階建てで、無料で開放する一般向けエリア(受付、ホール、カフェ、屋外ガーデン、ウェイティングエリア)、有料の体験プログラムエリア(シアター、農業経営ゲームエリア、屋内栽培エリア、クロージングエリア)、イベント利用エリア(多目的室、屋外ガーデン内のオープンキッチン)からなる。加えて農業関連の施設園芸、機械化などに関する先端技術を紹介する方針で、機械関係では北海道大学と連携し、遠方からトラクターの遠隔操作を行う学習体験が組み込まれる予定とした。2月~3月上旬に施設内覧会、春の開業時は開業イベントを実施する予定。

11.スガノ農機が千歳市に北海道支店を新築

北海道千歳市上長都の同社敷地内に新築した北海道支店の竣工式を執り行った。式には渡邊社長、宮本惠司会長、上川原和行取締役、同支店従業員、北海道土を考える会の幹部ら約30人が出席、同支店の無事と発展を祈念した。
 新築した北海道支店は、建築面積205.36平方m、延べ床面積394.40平方mの鉄骨2階建て社屋で、1階に事務所、2階に研修などが行える会議室を備えている。農耕の神様を祀る千歳神社の神職による神事は、玉串奉奠、神酒拝戴などの一連の儀式を実施。その後、施主代表あいさつに立った渡邊社長は、土を考える会の方たちとの関係深化を図る目的で2階のスペースを設けたと説明、活発に活用してほしいと述べ、千歳支店はすでに昨年の段階で今年の目標実績をクリアしており、その最大の強みは土を考える会、顧客農家との関係構築の意志を皆が持っている点にあると指摘。これも土を考える会の皆様のお陰と謝意を伝え、今後の変わらぬ支援を求めた。また、会見で渡邊社長は堅調な実績推移を説明するとともに、今後の成長戦略を示し、スガノグループ全体で65億円を目標に事業推進に当たる意欲をみせた。

12.クボタが役員・人事異動と機構改革

1月1日付の役員異動・機構改革・人事異動を発表した。役員異動では、国内農機事業推進部長にエグゼクティブオフィサー農機国内営業本部副本部長、農機国内営業部長の鶴田慎哉氏が就任する。また、エグゼクティブオフィサー産業機材事業部長に素形材事業ユニット長の森岡澄雄氏。
 機構改革では、「機械海外総括部」を廃止し、その機能を「機械海外総括第一部」(新設)および「機械海外総括第二部」(新設)へ移管。水環境事業本部では「都市インフラ事業ユニット」を廃止し、「産業機材事業部」(新設)管轄下の「鋼管事業ユニット」(新設)にその機能を移管。「素形材事業ユニット」を「産業機材事業部」(新設)へ移管。また、「産業機材事業推進部」および「産業機材生産技術開発部」を新設-など。