ホーム >> 農業機械化関連 >> 農業機械化ニュース メニュー >>  令和4年10月12日発行 メルマガ10月号
農業機械関連ニュース

令和4年10月12日発行

<業界短信-新製品10月>

1.大竹製作所が籾すり精米機を発売

籾すり精米機「PM1500R」の販売を開始した。PM1500NEをモデルチェンジし、大径精米ロールを採用し低温精米を実現。作業場所に合わせシイナ排出口の取付位置の変更が可能とし、別売りの精米機セットタイプの石抜機S303Pを組み合わせることで、石抜きも可能になる。異物取りアミや玄米取出しシャッターを標準装備し、籾すり・精米がこれ1台ででき、高性能・軽量コンパクトで作業の省力化、効率化を実現する。
 主な特徴は、

  1. 籾を投入するホッパーの高さを大幅に下げ、新たに籾置台を標準装備し、籾投入時の労力を大幅に軽減
  2. 籾置き台は、籾ホッパーの前、横どちらにも設置でき、使用時以外は籾ホッパーのフタとなるため、省スペース化が可能
  3. 精米機セット型石抜機S303Pがそのまま設置でき、籾すり・精米同時運転可能。また、それぞれの単独運転も可能
  4. タイマーを標準装備し、好みの時間で停止させる事ができる
  5. 「異物取りアミ」、「玄米取出しシャッター」を標準装備

-など。

2.クボタが電動トラクターを欧州に投入、来年4月からレンタル

日本メーカーで初めて電動トラクターを市場投入すると発表した。カーボンニュートラルに向けた動きが活発な欧州で、2023年4月より自治体向けにコンパクト電動トラクター「LXe-261」の有償長期レンタルを台数限定で開始する。
 「LXe-261」の主な特徴は、

  1. トラクターの電動化の大きな課題である連続稼働時間の確保のため、1時間の急速充電で平均3~4時間の連続稼働が可能な大容量バッテリーを搭載。午前中の作業で消費したバッテリーを昼休みに急速充電し、午後も作業するという使い方により、モニター試験を通じて分かった現地顧客の使用実態に対応
  2. 草刈りや運搬作業など、想定される公園等の緑地管理作業に必要な出力を、同出力帯のディーゼルエンジンを搭載したトラクターとほぼ同様のコンパクトなサイズで実現

-など。

同社は同機の有償長期レンタルを通じて、顧客からの声や実際の使用に際しての課題などの知見を得ながら、環境に配慮した製品の開発や更なるラインアップ拡充を進めていくとしている。

3.タカキタが汎用型微細断飼料収穫機を発表

飼料稲・麦・トウモロコシ、ソルゴーなど、飼料作物の刈取り・梱包作業機である汎用型微細断飼料収穫機シリーズのニューモデル「SMR1030」を2023年3月から発売すると発表した。刈取部にはツインドラム式のマルチヘッダアタッチ「SMR-MH5」(作業幅180cm)を搭載。作業能率は飼料稲・麦が20分/10a、トウモロコシ・ソルゴーが24分/10a。切断長の設定は、スプロケットの交換により、理論切断長6/11/19/29mmの4段階に調整が可能。
 主な特徴は、

  1. 飼料作物を微細断することで、高密度のロールベールに仕上げることができ、良質な乳酸発酵を促進し餌の品質の向上につながる
  2. 収穫物を細断するフィードロール部をフルオープンでき、切断ナイフ、受け刃の調整、交換などのメンテナンスも容易に
  3. ネットの巻き数設定や、ベール成形数を記録する電子カウンターの表示、機械のエラーメッセージが表示できるコントロールボックスを標準装備し、運転席での操作、確認が容易
  4. コントロールボックスは、従来機よりもシンプルで使いやすい1画面構成で、いつでも見やすいバックライト付きの液晶ディスプレイや、音声ガイダンスを採用することで操作性・作業性・安全性が向上

-など。

4.キャニコムが電動クローラ運搬車を欧米などで発売

電動のクローラ運搬車「ジャスパー砂与(SC30EV)」をアメリカ、ヨーロッパなどを中心に発売。同製品はバッテリータイプなので、家のリフォームやトンネル、ハウス内などの密閉された空間で排ガスが作業者の健康を害するような場所、また騒音が気になる都会や住宅街などでの作業を想定している。
 主な特徴は、

  1. クリーンな環境を実現するため「HONDA eGX」シリーズのGXE2.0Hを搭載。バッテリーの充電、交換が簡単
  2. 生コンクリートの剥離が良く、軽くて丈夫な「ポリエチレン樹脂」を採用。清掃も楽
  3. レバーを離すと停止し、自動でブレーキが掛かる。また緊急停止スイッチで、ワンタッチでモーターを停止することが可能
  4. 油圧でパワフルなダンプ
  5. 段差乗り越え時の車体の振れを軽減
  6. 作業時は予備バッテリーが控えているので安心

-など。

5.クボタが小型電子制御ディーゼルエンジンを拡充

欧米や中国の最新の排出ガス規制にも対応する産業用小型電子制御ディーゼルエンジン「D1105-K」(排気量1.123L)を開発した。昨年3月に発表した「D902電子制御エンジン(排気量0.898L)」に続く第2弾。独自の燃焼方式TVCR(小型エンジン専用コモンレールシステムに合うよう新開発したクボタオリジナル燃焼方式)の採用により燃費性能の向上と同社従来製品からの載せ替えに配慮したコンパクトサイズを両立し、CO2排出削減を可能とするエンジンのラインアップを拡充することで、カーボンニュートラル社会の実現に貢献していく。
 主な特徴は、

  1. 黒煙の排出抑制=黒煙が排出されやすい始動・加速・急負荷時においても、黒煙排出を視認できないレベルまで抑制
  2. 低燃費=小型エンジン専用に開発された電子制御システムに、同社独自の燃焼技術を組み合わせた、燃焼方式TVCRを採用。従来機と比較して、約5%の燃費向上を実現
  3. エンジン運転データの取得とドライバビリティ・作業効率の向上=電子制御化によりCAN通信が可能となり車両からの信号でエンジンの回転/トルクを制御できる。機械式制御では実現できなかったトルク特性により、急負荷時の回転低下を抑制し、ドライバビリティ・作業効率を向上
  4. 従来機との搭載互換性=外観寸法、吸排気位置などの位置は変わらないため、載せ替えが容易。また、ECUをエンジンに直接搭載することができるため、取り付け位置やハーネスの設計等、一般的な電子制御エンジン搭載において生じる機械本体側の設計工数を低減可能

-など。

<業界短信10月>

1.クボタがKSAS乾燥調製システム活用でWEBセミナー

「KSAS×乾燥調製×コンバイン 乾燥調製施設でユーザーに聞く!秋作業でのKSAS活用法」と題したWEBセミナーを開催した。クボタが提供するKSAS乾燥調製システム及びKSAS対応コンバインが秋作業の効率化や食味・収量の向上にどう役立つかわかりやすく紹介したもので、実際にKSASを活用しているユーザーも交えて、活用事例や導入してよかった点などを発信。秋作業の高品質・高効率をサポートするKSAS乾燥調製システムとKSAS対応コンバインの魅力を広くアピールした。
 まずはクボタ社員がKSAS及びKSAS乾燥調製システムの概要、KSAS対応コンバインでできることを紹介。KSAS乾燥調製システムは、刈取り~乾燥調製の工程を管理するもので、KSAS営農コースに加入すれば無料で使用可能。同システムでは乾燥機の現在の進捗状況(水分値)や乾燥終了予定時刻がスマホで遠隔確認できるほか、乾燥機が止まるなど異常が発生した際にメールで通知。対応コンバインとの連動で、コンバインから圃場名や籾の重量、水分、タンパク質のデータを乾燥調製施設へ送信でき、コンバインの作業進捗及び乾燥機の空き状況といったお互いの状況を共有できる。説明の後、はるさん農園の代表取締役・氏家皓平氏、奥様の未希氏が登壇し、KSAS活用事例や導入したメリットを語った。

2.サタケが新型の無洗米製造装置の技術を語る
 技術本部副本部長インタビューを公表

4月に発売した新型無洗米製造装置「MPRP36A」について、新しい洗米方式の開発経緯や効果など、及びとぎ汁(洗米副生水)の液体飼料への利用やSDGsについて水野英則技術本部副本部長に聞いたインタビューを公表した。
 水野副本部長は、新型無洗米製造装置について、MPRPで取り入れた新技術として「ウルトラマイクロバブル水(UMB水)」を使ったこと、もう1つは洗米・脱水工程を2カ所に設けた「マルチパス方式」を採用したことだとし、UMB水を使うことで、これまでの無洗米に比べ微小な顆粒(糊粉層)を吸着・除去できると語った。2つの新技術により、米の表面を荒らすことなく糊粉層が十分除去できるので、従来機と比べ米の白度を抑えつつ低濁度の無洗米が製造でき、歩留りの向上や炊飯時のご飯の食味が向上する。
 また、とぎ汁を飼料として利用することで、食品リサイクルや循環型農業の取り組みの一助となり、液体飼料は乾燥飼料などに比べ加工処理やエネルギーのコストが低く、安価に供給できるなどと語った。導入先にとっても、とぎ汁の処理装置や灯油などの化石燃料が不要で、無洗米製造コストが下がる利点があるとした。

3.日本農業法人協会が2021年版農業法人白書を公表

「2021年版農業法人白書」をこのほど公表した。これは、2068社の会員を対象に実施した2021年度農業法人実態調査(令和3年11月)の結果を取りまとめたもの。概要をみると、会員における現在の経営課題は「資材コスト」65.2%が最多となり、前年度に比べ18.9ポイント上昇した。例年トップの「労働力」は60.0%(前年比4.0ポイント減)となり2位に後退した。経営リスクについては「生産コストの上昇」73.5%が最も多い。
 一方、スマート農業技術の導入については、導入済みの割合は稲作が最も多く66.8%、次いで野菜51.1%、畜産49.6%となった。未導入は果樹61.7%が最多となった。年齢階層別では、高齢になるほど未導入率が高い。スマート農業技術の導入目的は「労働時間削減」や「作業負荷軽減」が突出して多く、採用している技術は「農薬・肥料散布」「生産管理支援システム」「スマート田植機」「水管理・灌水・散水システム」などが多い。利用してよかった理由では「簡素化・省力化」や「作業スピード向上」が多くあげられた。

4.三菱マヒンドラ農機が支援し、
 更別農高70周年のひまわりアートが完成

創立70周年記念事業への協力を行っている北海道更別農業高等学校のひまわりアートが完成した。同校生徒約50名がひまわりアートの圃場に集まり、記念撮影を行った。3年生の大羅さんは、完成したひまわりアートを見て、「とてもきれいで上から見ると想像以上の迫力。細かいところまで正確に描けていてすごいと思った。地元の方にもぜひ見てもらいたい」と話した。
 この事業は、アートデザインやひまわりの播種、生育管理、鋤き込みまで生徒が体験的に学習できるように企画され、緑肥の播種でISOBUSやセクションコントロールといった最先端の農業技術を使って圃場アートを制作したり、ひまわり緑肥の鋤き込みで高効率なディスクハロー付きトラクターに試乗するなど、その体験をSNSで発信活動も行っている。同社は、GPSを用いたスマート農業技術での播種や、ひまわり緑肥を切って畑に鋤き込む高効率作業機「ラバータイプディスクハロー」の提供、スマート農業に関する出張授業などを通して事業を支援している。

5.農業食料工学会の開発特別賞にヤンマーアグリ、
 開発賞に井関農機、クボタが選出される

農業食料工学会の2022年度「開発賞」の選考結果が発表された。それによると、「開発特別賞」の受賞者はヤンマーアグリ、受賞業績の名称は「日本の転作を牽引する雑穀専用コンバインの開発(型式はYH700M)」と決まった。また、「開発賞」の受賞者は井関農機、受賞製品及び技術の名称は「業務用システム炊飯器AR5シリーズの開発」、クボタ、「えだまめコンバインEDC1100の開発」の2社と決まった。授与については、オンライン開催された学会賞表彰式で行われた。
 開発特別賞を受賞したヤンマーアグリの「YH700M」は、最高出力68.6PS、総排気量3.318Lのコモンレールエンジン搭載。作業環境に合わせて標準ヘッダ、ワイドヘッダと刈幅が選択できる。高速作業時でもダブルロータ方式でロスが少なく、きれいに選別。グレンタンク容量は1,550L、5反圃場でも排出なしで2周できる、などの特徴がある。

6.オーレックが草の日フォト&川柳コンテスト受賞作品を発表

「草の日フォトコンテスト」及び、九州の農業高校生を対象とした「九州農高川柳コンテスト」の受賞作品を発表した。どちらも同社のウェブサイトで公開。
 第5回草の日フォトコンテストには「農っていいね!」をテーマに、過去最多の2,940作品が集まった。最優秀賞に選出されたのは、erika氏(大分県)の「光輝く町」。第5回九州農高川柳コンテストは、「わたしと農業」をテーマに、九州各県の農業系高校の生徒から6,782作品の応募があり、グランプリに輝いたのは、森高駿氏(長崎県・諫早農業高校2年)の「スマホより 命を見てる 三年間」だった。
 コンテストの結果発表にあたり、同社は「誰もが気軽に参加できる当コンテストを通じて、農の素晴らしさを見つめ直すきっかけになればと願っております。今後も農業の明るい未来作りに貢献できるよう努めてまいります」とする今村健二社長のコメントを発表した。

7.井関農機が有機米デザインとオンラインセミナーで
 アイガモロボ実証・評価を披露

東京・港区海岸の東京都立産業貿易センターで開催された「オーガニックライフスタイルEXPO2022」において、オンラインセミナー「みどり戦略実現に向けて~水田農業有機化実践セミナー~アイガモロボが語る未来」を実施。同社顧問の鈴木良典氏が、アイガモロボの開発者である有機米デザイン取締役の中村哲也氏とともに出席し、現在34都府県、210台で進めているアイガモロボの実証・実験の評価などを紹介した。来年から発売予定だが、注目の販売価格について中村氏は、「樹脂はじめ諸資材の高騰、半導体の高騰などを含め、いま調整中でもう少し時間をいただきたい」とした。
 また、鈴木氏は日本農業の課題として、農業人口の減少・脱炭素社会の2点を指摘したあと、日本の有機栽培の現状に触れ、有機食品市場は年々伸びており供給側も取り組む面積がさらに拡大していると紹介。井関農機として環境保全型スマート農機を中心に自治体、JA、農家と連携し一体となって有機農業の拡大に取り組み地域の活性化を図っていくとし、具体例として秋田県にかほ市、千葉県木更津市、島根県、島根県浜田市(中山間地農業の仕組みづくり)の取り組みを報告した。今年の実証状況については、雑草の抑制効果やジャンボタニシの食害抑制、生育の進みが早い=収量増につながるなどとした。

8.オーレックが無農薬米栽培で支援する弥彦村で抜穂祭、米奉納

水田除草機「WEED MAN」を導入して無農薬・無化学肥料米の栽培に取り組む新潟県西蒲原郡弥彦村において、令和4年産「伊彌彦米」抜穂祭が行われた。抜穂祭は、神様に捧げる米の稲刈りを行う神事。豊穣の秋に感謝し、彌彦の神様に献納する令和4年産米の準備のため弥彦村関係者が参集した。
 弥彦村ではSDGsに対応した持続可能な循環型農業の実現に向けて取り組みを推進している。その一環として、オーレックの水田除草機2台を弥彦村で導入。村内で有機栽培や無農薬栽培に取り組む生産者に対し貸出し、同時に村に新規就農している若手農業者でもある専用のオペレータも派遣している。
 祭事は彌彦神社神官によるお祓いと祝詞奏上の後、参列者による稲刈りである抜穂の儀を行い、圃場に実った稲を手刈りし、玉串として祭壇に奉納し感謝を捧げた。小林豊彦村長は「私自身も米を作ってきたので、できの良し悪しはわかる。ここまでのものはなかなかできない。無農薬、無化学肥料ということで上手くできるか心配していたが、非常に良いできでありがたい」と述べた。

9.三菱マヒンドラ農機でグループ役員人事

10月1日付の同社グループ役員の人事異動を発表した。それによると、上級執行役員製造担当に現リョーノーファクトリー社長の金塚巧氏が就任する。これはグループ製造機能の執行責任を担う役員を設置することで、開発・製造・販売の執行体制を明確にし、機能連携を強化するのが狙い。また、グループ会社では三菱農機販売取締役に山本晴一営業本部長が就任する。