令和3年7月12日発行
<業界短信-新製品7月>
- 本田技研工業が電動パワーユニットのOEM供給開始
- ササキコーポレーションが高速道の草刈機を開発
- 井関農機が2021年度下期新商品を発表
- クボタがミニ耕うん機や乗用モアなど新製品発表
- 三菱マヒンドラ農機がトラクター2機種、コンバイン4機種を発表
- スガノ農機が浅耕タイプリバーシブルプラウを発表
<業界短信7月>
- クボタが「農フェス!2021夏秋」をオープン
- ヤンマーホールディングスが2021年3月期連結業績を発表
- 井関農機がスマート追肥システムの研修会を実施
- ヤンマーが農機と建機のオンライン展示会を開始
- ヤンマーアグリが農機点検サービス「あんしんケアパック」を開始
- オーレックが草の日フォトコンテスト作品募集
- 井関農機が「自動抑草ロボット」で有機米デザインと提携
- 井関農機が木更津市で水田除草機「ウィードマン」を実演
- 三菱マヒンドラ農機が2020年度連結業績を発表
- 本田技研工業とコマツが電動マイクロショベルを共同開発
- 山本製作所が地元企業と連携しワクチンを職域接種
- JA全農がNTT東日本と施設園芸の遠隔栽培指導を展開
- クボタが鶴岡市でWATARAS連動のスマート農業用水管理システムを試験
- クボタが統合報告書を発行
- タカキタが8月31日までWeb実演会を開催
- アグリテクノ矢崎がアグリテクノサーチへ社名変更
- スズテックが宇都宮工業団地総合管理協会から表彰
- やまびこがドイツの環境対応・合成燃料普及団体に加盟
<業界短信-新製品7月>
1.本田技研工業が電動パワーユニットのOEM供給開始
小型の作業機用動力源として、電動(DC)パワーユニット「eGX(イージーエックス)」のOEM供給を開始。eGXは高効率・高出力の三相ブラシレスDCモーターを採用(最大出力2.0kWクラス)。まずは日本にて供給を開始し、欧州、米国などへ順次供給地域を拡大していく。米国・ラスベガスで開催されたWorld of Concrete Show 2021にて実機展示。電動パワーユニットeGXは、汎用エンジン「GX(ジーエックス)」シリーズの信頼性や搭載性を継承。優れた互換性を提供しているほか、一体型とセパレート型の2タイプの設定で、より多くの作業機への搭載を可能にした。
主な特徴は、
- 長年にわたる発電機開発で培った巻線技術を生かした、高効率・高出力の三相ブラシレスDCモーターを採用(最大出力2.0kWクラス)
- Honda汎用エンジンGXシリーズとの優れた互換性。GXシリーズとの搭載互換性を考慮し、フランジ取り付け穴およびシャフトの寸法をGX(R)100/120と同一化
- 電動ならではの利便性。クリーンかつ低騒音な作業を実現、スイッチ操作のみで始動可能
-など。
2.ササキコーポレーションが高速道の草刈機を開発
夢メッセみやぎで開催された「EE東北’21」の会場で、「ガードレール下草刈りロボット」(半自動草刈機構を採用したスマモ)を公開した。同機は、高速道路の管理作業を進めるネクスコ・メンテナンス東北と約2年の歳月をかけて開発してきた専用機で、電動作業機「スマモ」の発売当初に目論んだ、他者のアイデアを元とするアタッチメント開発の第1弾に当たる製品。高速道路の安全な草刈り作業を実現する機械として今後の普及が期待される。
同機は従来のアタッチメント制御とは全く異なるプログラムを開発、全国的に統一されている高速道路の設計・施工規格に合わせて作製した。
主な特徴は、
- 作業時は、路肩を走行しながら道路端の縁石の凹凸に追従して草刈りを進める
- 支柱を検知するとアタッチメントを上げ、本機側にアタッチメントを寄せて作業を中断、支柱を通過すると作業再開と、自動で支柱を傷つけない設定
- 草刈部にはナイロンコードを採用、本機の右側には草などの飛散を防ぐためのネット立て装置を組み入れ、作業者や走行中の車両の安全に配慮した機構を施している
-など。
http://www.sasaki-corp.co.jp/topix/2021/210614info/eetouhokureport.html
3.井関農機が2021年度下期新商品を発表
YouTubeで2021年度下期新商品を発表した。発表テーマは、今年2月に発表した新中期経営計画(2021年~2025年)で掲げた『「食と農と大地」のソリューションカンパニー』(夢ある農業と美しい景観を支え、持続可能な「食と農と大地」の未来を創造する)とした。発表したのは、美味しいご飯を提供し、「食」の現場をサポートする業務用システム炊飯機AR5シリーズ、2022年2月発売予定の8条植え有人監視型ロボット田植機PRJ8D-R、充実・親切・安心のトラクターTMシリーズと、小さいけれども頼もしいトラクターTQシリーズなど9品目17型式。
業務用システム炊飯機AR5シリーズの主な特徴は、
- 新デザインでステンレス製外装とし、様々な厨房機器とマッチする洗練されたデザインに
- タッチパネル式液晶大型カラーモニター。おかゆ炊飯もワンタッチで切り替えできるので、高齢者施設や医療施設でも使用できる
- 洗米方式はヰセキ独自の「気泡洗米」を採用。気泡を発生させながら撹拌することで優しく洗米し、お米のうまみを最大限に引き出す
- 洗米工程が終了後、炊飯機の蓋が自動で開閉し、手で触れることなく白米が炊飯釜に投下されるので、より衛生的
-など。
ロボット田植機PRJ8D-Rの主な特徴は、
- 監視者が田植機を目視可能な環境下で自動作業ができる自動運転機能
- 自動作業中は全方位から視認可能な3色の積層灯と警音器により田植機の作動状態を確認できる安心安全機能。異常を検出したり位置情報をロストしたりした場合は、これらが異常を発して自動作業を停止する
- リアルタイムセンシングの可変施肥仕様を追加設定予定。事前の施肥データ要らずで、田植え時にその場で圃場データの取得から可変施肥までを同時に行う
-など。
4.クボタがミニ耕うん機や乗用モアなど新製品発表
新製品としてミニ耕うん機「ミディSmile」、乗用モア2機種、営農支援システム「クボタスマートアグリシステム(新KSAS)」とその関連製品である色彩選別機「選別王」を発表した。発売時期は7月および10月を予定している。ミニ耕うん機「ミディSmile」は軽量コンパクトで、操作性を更に進化させた。乗用モアは、従来機より2馬力アップし、作業性を向上させたT2090BR-Jと、刈取り・集草・排出をこなす1台3役の高機能モデルG231HD-J。進捗状況画面から指示・日誌が作成できるようにするなど新機能を搭載した第2弾となる新KSASについては、同社ホームページ内で開催中の「農フェス!2021夏秋」で詳細を確認できる。
ミニ耕うん機「ミディSmile」の主な特徴は、
- コンパクトな車体に最大出力3.0馬力のパワフルなエンジンを搭載
- 安価タイプの「ナタ爪」仕様をラインアップに新規採用
- 従来機よりストロークが半分の短さになり、握りやすく進化した新形状の主クラッチを採用
-など。
乗用モアの主な特徴は、
- 最大出力20.0馬力のV型2気筒バーチカルガソリンエンジンを搭載。従来機より2馬力アップし、作業性が向上
- 最小旋回半径は、従来機より50mm短縮し、356mm(内側の後輪を基準とした測定値)を実現。狭い場所でもスムーズに旋回できる
- 周囲を明るく照らすLEDヘッドライトを採用
-など。
https://agriculture.kubota.co.jp/product/tractor/mower/t2090br-j/
5.三菱マヒンドラ農機がトラクター2機種、コンバイン4機種を発表
新製品トラクター、コンバインを発表した。トラクターはクボタよりOEM提供の「GJE33」と、DOCとDPFを組み合わせたクリーンエンジンを搭載した「GA/GAKシリーズ」が登場。コンバインは市場ニーズが高まりつつある4・5・6条刈コンバインをリニューアル。4条刈「V450A」、5条刈「V598A」、6条刈「698A」、フラッグシップモデルの6条刈「V6120A」が登場する。
トラクター「GJE33」の主な特徴は、
- 多彩なスタイルに適応したシンプル機能と良コスト、そして的確な作業性能。いま求められる性能にフォーカスした中堅クラスの新たなスタンダードマシーン
- ハイパワー&クリーンエンジン。国内特自排ガス4次規制適合高出力エンジン搭載。
- 全面マッドレスロータリを準備(サイドドライブロータリ)。土の付着を低減し、爪の回転抵抗を抑制する
- すき込み性能にすぐれたミラクル反転爪(サイドドライブロータリ)
-など。
コンバインV6120Aの主な特徴は、
- 三菱コンバイン最大の、高出力ながらDPF+尿素SCRにより環境性能にも優れた次世代の120PSエンジンエンジンを搭載
- タッチパネル式のカラー液晶モニタを搭載し、作業中の状況や機械の情報をリアルタイムでわかりやすく表示
- 従来の左右水平制御に加えて前後水平機能を搭載。機体の前後バランスを維持し、湿田圃場でも効率よく作業ができる
-など。
6.スガノ農機が浅耕タイプリバーシブルプラウを発表
浅耕において反転性に優れる新型リバーシブルプラウを「浅耕タイプリバーシブルプラウ」と名付け、8月から発売すると公表した。適応トラクター馬力60~90PSの12インチ×5連(丘溝兼用)のR125AACと、同80~120PSの12インチ×6連(同)のR126AACの2機種で、浅く耕起したい、浅い耕起は作業幅を広げて効率を上げたい、圃場条件に左右されずに確実に反転鋤き込みを行いたいなどの現場ニーズに応えて開発した。反転耕起に新製品の浅耕タイプが加わったことで、浅くから深くまで大型トラクターを活用して高精度・高効率に反転耕起ができる製品がラインアップできたとし、各地への導入拡大に意欲をみせている。
主な特徴は、
- 油圧リンク式オフセット(パワフルリンク)機構を採用。ワイドなオフセット量で畦際や境界際から安定した耕起作業が可能となり、1台で丘曳きと溝曳きに対応し、最適な耕起方法が選べる
- 12~18cmの浅起こしでも反転鋤き込み性に優れ、黒ボク、重粘土にも適応して土壌条件を選ばない
- オフセット位置をキャビンからリアルタイムに確認できる機能を装備し、信頼性にプラスして利便性も向上
-など。
https://www.sugano-net.co.jp/information/pdf/info_20210616.pdf
<業界短信7月>
1.クボタが「農フェス!2021夏秋」をオープン
昨年夏、そして今年の新春に開催して好評を得たオンラインでの農業機械の展示会「クボタバーチャル展示会「農フェス!2021夏秋(「農フェス」)」のサイトをオープン。同サイトは農業従事者に限らずアクセスできる。
同社は、昨年よりオンラインで参加できるバーチャル展示会として、農フェスを企画している。今回の農フェスでは、自動運転農機やドローン、顧客のニーズにあわせたスペシャルモデルや夏秋シーズンにおすすめの商品を紹介するとともに、試乗体験動画やWebセミナー、クボタ農機オリジナルグッズが買えるオンラインショップなど、様々なコンテンツを用意する。「日本の農業に関わる皆さまが交流できる場をめざしている。当社は日本農業への貢献を使命としており、今後も農業従事者のお客様に寄り添って、事業活動を展開していきます」としている。
2.ヤンマーホールディングスが2021年3月期連結業績を発表
2021年3月期の連結業績並びに2022年3月期の連結業績見通しを発表した。それによると、前期の売上高は前年比1.7%減の7,823億円、経常利益は前年比2倍の317億円、親会社株主に帰属する当期純利益は183億円となった。アグリ事業は増収増益となった。今期は売上高8,100億円、経常利益270億円を予想している。前期は、新しい働き方導入による生産性の向上、そして構造改革によるコスト削減が、大幅な増益に貢献した。とくに、構造改革を進めたアグリ事業は国内市場や中国・北米などの海外市場が堅調に推移したこともあり、増収増益となりグループ全体の業績向上に貢献した。
下期からグローバルで回復を見せた建機事業も、業績の拡大に貢献した。一方、地域によりコロナの回復状況に差が出た内燃機関および関連機器事業は、減収・減益となったが、構造改革を進めて将来の成長の礎を固める一年になった。2022年3月期に向けては、グループ全体では、引き続き構造改革による収益の改善を進める。また、現地法人の権限移譲による事業活動の迅速化やデジタル執行部門の新設など組織力の強化にも取り組む。さらには、脱炭素の実現に向けた舶用水素燃料電池システムの開発を加速させ、将来の脱炭素の実現に向けた取り組みを強化していく。
3.井関農機がスマート追肥システムの研修会を実施
柄木田製粉とともに長野県飯山市で「スマート追肥システムを用いたパン用超強力小麦ゆめちからの高精度、高能率出穂後追肥作業の研修会」を開催した。このスマート追肥システムは、昨年4月、井関農機が発売した乗用管理機「JKB23」(キャビン仕様)用の作業機「スマート追肥システムIHB200LX-SET」で、稲(麦)の生育状況をセンシングして追肥量を制御する業界初のシステム。高精度な追肥作業を可能にし、収量向上と品質の安定化を目指すもの。これには生産者をはじめ、JAや自治体からも参加した。研修会では、柄木田製粉の宮崎充朗取締役(技術開発担当)が、研修会の目的など概要を説明したあと、井関農機よりスマート追肥について紹介、実演を実施した。
実演は、(株)なべくらのゆめちから小麦圃場(飯山市右岸堤外)でスマートシステムを搭載した乗用管理機で追肥作業を行った。硫安40kg/10a、窒素量8kg/10aを基本施肥量として、葉色の濃いところはマイナス5kg、薄いところはプラス5kgの設定での可変施肥とした。
4.ヤンマーが農機と建機のオンライン展示会を開始
ヤンマーアグリジャパンとヤンマー建機は、バーチャル空間を活用した農機・建機のオンライン展示会、題して「オンラインEXPO2021」をヤンマーホームページ内に6月から期間限定で開催。展示会は、バーチャル空間を活かしたウォークスルー型の会場に製品展示や、紹介動画のほか、カタログダウンロード機能を搭載するなど、オンラインならではのコンテンツを充実させた。ヤンマーアグリジャパンの展示会では、今春発表した新商品のほか、ロボットトラクターや、収量マッピング機能付きコンバインなどのICT農機、野菜関連機器の商品紹介コーナーなど、計20コーナーを設置し、各商品を詳しく紹介する。
スマート農機コーナーでは、無人での自動作業を実現するロボットトラクターや、自動で直進作業・旋回が可能なオートトラクターの動画を紹介する。ヤンマーのロボット/オートトラクターは、多周波アンテナの搭載により、通信安定性の向上、作業地域の広域化、受信時間の短縮化を実現することで、より快適な作業を可能にしている。
5.ヤンマーアグリが農機点検サービス「あんしんケアパック」を開始
対象の農業機械の定期点検が定額で5年間受けられる「あんしんケアパック」のサービスを始めた。具体的には、対象機種ごとに設定された清掃、注油、点検、調整、また50項目以上におよぶ点検診断を実施する。エンジン電装部品やコントローラー部分には、ヤンマー独自のサービスツール「スマートアシストダイレクト」を使い、故障診断を行う。契約期間は、新規の購入時から5年間で、作業シーズン後に計5回の点検を行う。点検内容に基づき整備提案を実施する。
サービス実施の背景について同社は、「近年の天候不順や自然災害、また農業における労働人口減少による人手不足などにより、農作業の円滑な進行において、機械のダウンタイム削減と安全な農作業の実現が求められているため」とする。そこで同社は、定額で費用の計画が立てやすく、通常よりお得に定期点検が受けられるサービス、「あんしんケアパック」を提供することにした。これにより、翌年の作業シーズンを安心して迎えるよう、毎年の作業シーズン終了後、プロによる点検と点検内容に基づいた整備を提案し、ユーザーの手を止めない安心・快適な作業をサポートする。
6.オーレックが草の日フォトコンテスト作品募集
第4回「草の日」フォトコンテストを開催する。テーマは「農っていいね!」。これについて同社の広報は「農場での写真や家庭菜園でのひとコマ、皆さまが住んでいる地域でしか見られない農の風景など、普段過ごしている中で感じた『農』の写真」と説明している。また今回はインスタグラムからの応募も可能になった。募集期間は8月1日まで。最優秀賞1作品に賞金5万円、ウェブ・インスタグラム部門賞(各2作品)に賞金3万円、佳作には同社グッズを授与する。
応募は同社のウェブサイトから可能。またインスタグラムからは、同社のアカウントをフォローし専用ハッシュタグなどを付けて投稿する。結果発表は9月3日で、同ウェブサイトと「OREC green lab 福岡」でも発表される予定。タイトルの「草の日」とは、同社が草の重要性啓発を目的に、9月3日を9(く)3(さ)の語呂合わせで「草の日」と制定し、日本記念日協会に記念日登録を行った。
7.井関農機が「自動抑草ロボット」で有機米デザインと提携
農工大のスタートアップである有機米デザインと業務提携し、同社が進める稲作用「自動抑草ロボット」の開発協力および実用化後の販売に取り組み、有機農業の普及発展に努めていくと発表した。提携締結日の午後、茨城県坂東市の圃場で「自動抑草ロボット」を披露した。自動抑草ロボットは、代掻き後の水田を自律航行して、水中を撹拌し泥を巻き上げることで光を遮り、水面下にある雑草の生長を抑制する。今回有機米デザインと提携することにより除草作業を効率化したスマートオーガニック技術を進化させ有機農業の普及拡大を図る。
冒頭あいさつした縄田幸夫取締役常務執行役員営業本部長は、「本日待ちに待った抑草ロボットの披露ができる。5月に農林水産省から緑の食料システム戦略が打ち出され、有機農業の取り組み面積割合を25%に拡大する目標が掲げられた。ここで一番ハードルが高いのが除草。反収も上がりづらい。取り組まれた農家はなかなか生産性が上がらない。これをクリアするのが今回紹介する抑草ロボットである。除草ではなく抑草である。本格販売等に向けてはこれから取り組んでいきたい」と述べた。
8.井関農機が木更津市で水田除草機「ウィードマン」を実演
千葉県木更津市内の圃場で、水田除草機「WEEDMAN(ウィードマン)」(オーレック社製)の実演を行った。これは去る4月に同社が連携協定を締結した、木更津市との「先端技術を活用した農業の推進及び有機農業の推進に関する連携協定」に関するもの。同社は木更津市と連携して、「水管理技術」「除草技術」によるスマートオーガニック技術に取り組んできた。実演した「ウィードマン」は、業界初の除草機構「回転式レーキ」と「除草刃ローター」で、条間のみならず、従来では難しかった株間の除草を実現した点が最大の特徴。
実演圃場を提供したのは、地元で有機栽培に取り組んでいる地曳昭裕さん。地曳さんは「オタマジャクシの数が増えたのは実感している」と話す。1枚10a弱の田んぼを20分ほどで作業を終えた。ウィードマンのオペレータを務めたオーレックの前田武志所長は「水田有機栽培で困っている除草に関しては、この機械は条間はもとより、株間の除草も可能で、ある程度理想の形で業界初の全面除草作業ができる。雑草が伸びる前の早目早目の対応によって、除草力、抑草力の高さが各試験場で実証されている。昨年もいい結果が出ており、今年もここでいい結果を出したい。作業能率は10aを30分、30aを1時間半でできる」と強調した。
9.三菱マヒンドラ農機が2020年度連結業績を発表
東京・芝公園の機械振興会館で事業報告会を開催し、昨年度の決算概況並びに2021年度の取り組みを説明するとともに、5月に就任した齋藤徹社長が所信を表明した。昨年度の売上げ実績は408億6000万円(前年度は456億7900万円)、うち国内は341億1200万円(前年比102%)、海外は58億8000万円(同60%)、施設部門は8億6800万円(同37%)となった。また、2021年度下期新商品としてトラクター「GJE33」、コンバイン「V6120」「V598A」「V698A」「V450A」を発表した。報告会には齋藤CEO取締役社長はじめマニッシュ・クマール・グプタCFO取締役副社長、浅谷祐治CTO取締役副社長、酒井誠営業戦略部長が出席した。
齋藤社長は事業報告を大要次のように述べた。昨年度は国内は経営継続補助金の特需で提携作業機が大きく伸長したものの、主要機種のトラクター、コンバイン、田植機は伸ばせなかった。思い切った構造改革を断行し、固定費削減を中心にコスト構造の抜本的な改革を図り、赤字体質から脱却、事業の存続、将来的な利益体質への転換を図った。2021年度の取り組みでは、事業目標として売上高は450億円、国内は対前年並み、海外は40億円の増販を図る。黒字化を狙っていく。国内は引き続き新型コロナの影響が出るが、新製品の投入やヒサルラー社商品の増販により前年並みをキープしたい。
10.本田技研工業とコマツが電動マイクロショベルを共同開発
本田技研工業の交換式バッテリー「Honda Mobile Power Pack(モバイルパワーパック)」を活用したコマツのマイクロショベルの電動化、及びモバイルパワーパックを活用した様々な建設機械・機材に相互使用を可能にする土木・建設業界向けバッテリー共用システムの体制構築を目指す共同開発に関する基本合意契約を締結した。今回の共同開発では、マイクロショベル「PC01」に、モバイルパワーパックと電動パワーユニット(eGX)を搭載することで電動化し、2021年度中の市場導入を目指す。 マイクロショベルの電動化により、騒音・排熱を大幅に低減できるほか、〝排出ガスゼロ〟を実現することで環境への影響を抑え、かつ、屋内外問わずさまざまな作業環境で快適に作業することを可能する。また交換式モバイルパワーパックの特長を活かし、充電を待たずに電動機器を使い続けることができる。モバイルパワーパック搭載により、エネルギー供給の容易化、利便性向上の実現を図る。
11.山本製作所が地元企業と連携しワクチンを職域接種
政府による新型コロナワクチンの職域接種要請に対応するため、地元天童市の企業と連携し、職域接種を行う。職域接種の対象者は、同社従業員とその家族など約400名。同社だけで職域接種の実施要件となる1000名以上の接種者を確保できなかったため、地元天童市の企業と連携し、約1200名の接種者を確保した。また、すでに医師・看護師、接種会場の確保、そして自治体と調整を済ませており、政府受付窓口への申し込みを完了している。
山本代表取締役は「従業員にワクチン接種に関するアンケートを実施したところ、9割を超える社員が接種を希望していることがわかり、今回職域接種を実施することになりました。当社従業員は営業担当を中心に、毎日たくさんの方々と接しています。職域接種を含めると8月中に、当社従業員の9割は、2回目の接種を完了する予定です。従業員が1日も早いワクチン接種し、感染リスクを下げることは、従業員やその家族の健康を守るだけでなく、お客様や取引様の安全と健康を守ることにつながると考えています」とコメントをよせている。
12.JA全農がNTT東日本と施設園芸の遠隔栽培指導を展開
東日本電信電話と共同で都内調布市のNTT中央研修センタ内において、施設園芸生産者に対するリアルタイム遠隔栽培指導の実証を開始することを発表した。スマートデバイスを活用し、施設園芸生産者と圃場の映像、音声、環境や生育調査データを共有する遠隔栽培指導センタをNTT中央研修センタ内に共同で整備し、実証を開始する。両社は、リアルタイム遠隔栽培指導の実証により、遠隔栽培指導センタを活用することで「生産現場とリアルタイムに情報を共有」し、「実訪問と近い精度」で、また「コロナ禍においても安心、安全」に遠隔栽培指導を可能にし、より多くの生産者の要望に応えることを目指す。 同実証は、全農、NTT東日本に加えNTTアグリテクノロジーと連携して進めていく。また、実証開始は令和3年秋とし、全農グリーンリソースの施設園芸栽培コンサルサービスとしての展開を視野に実用化を検討するとしている。
13.クボタが鶴岡市でWATARAS連動のスマート農業用水管理システムを試験
河川から農業用水をくみ上げる既設の揚水ポンプと、水田の給水栓を電動で操作する装置「WATARAS」を連動させて水田の水位を自動制御できる「スマート農業用水管理システム」を、山形県鶴岡市の国営赤川二期農業水利事業(東北農政局)区域の現地に納入し、本年4月から通水試験を開始したと発表した。ポンプも連携して水田の水位を大規模に自動制御するシステムは「国内初」(同社)。同システムは、IoTソリューションシステム「KSIS」を介して、既設の揚水ポンプと各水田の給水栓に設置した「WATARAS」を連動させて自動で水田の水位を制御する。水田の水管理は移動時間を含めて農家の大きな負担となっており、ポンプも連動させた自動制御により、大幅な省力化に加え、省エネや水資源の有効活用が可能になる。
今回の対象エリアは約32haで、ポンプ場1カ所と「WATARAS」117台を連動させ、KSISが「WATARAS」による各水田の水位情報などを集計・演算して揚水ポンプの運転を自動制御する。また、揚水ポンプの運転状態や各水田の給水栓開閉状況、水位不足の情報をKSISのウェブサイトでリアルタイムに表示。豪雨の際に一時的に雨水を水田に貯水して下流河川への急激な増水を緩和する「田んぼダム」が水害軽減策の一つとして全国で注目されている。
14.クボタが統合報告書を発行
「KUBOTA REPORT2021(統合報告書)」を発行した。同社は、2021年2月に、10年後を見据えた長期ビジョン「GMB2030」と、中期経営計画2025を策定、発表したが、今回のレポートでは、これら2つを軸にステークホルダーに企業としての中長期的なあるべき姿を伝えている。また2050年に向けた環境面から事業の方向性を示す「環境ビジョン」をはじめ、それらを実現するためのトータルソリューションやオープンイノベーションの具体事例などを新たに盛り込み、同社の事業とESG(環境・社会・ガバナンス)両面の戦略を統合したレポートとして構成している。
WEB版は、フルレポート版(183ページ)とダイジェスト版(36ページ)があり、ダイジェスト版のコンテンツは、
- クボタグループの歩み
- トップメッセージ(北尾社長)
- クボタグループのめざす姿
- 特集1・国谷裕子氏を迎えての経営者との対話
- 中期経営計画2025
- 数字で見るクボタグループの今
- クボタグループの製品・サービス
- 特集2・オープンイノベーション
- 財務の状況
- E・S・Gの取り組み
-となっている。
15.タカキタが8月31日までWeb実演会を開催
Web実演会(タカキタ・ウエブ・デモンストレーション)を開催した。期間は2021年8月31日まで。オンライン上で開催しパソコンやスマートフォン、タブレットで閲覧が可能。参加費用は無料で、会員登録等の面倒な手続きは不要で、誰でも参加できる。主なコンテンツは、エサづくり関連作業機、とくに稲わらと牧草に関する製品を中心に紹介し、今後その他の製品についても、順次コンテンツを増やしていく予定だ。
製品ページでは、作業動画とともに製品の特徴を紹介する。また、同社の開発担当者やお客様の声を掲載し、より製品について詳しく知ることができる。そのほか、アンケートに回答すると、抽選で景品が当たるお楽しみもある。
16.アグリテクノ矢崎がアグリテクノサーチへ社名変更
6月21日付で、社名をアグリテクノサーチ株式会社へ変更した。住所、電話番号の変更はない。
社名には農業の果たすべき役割を深く掘り下げ農業技術をさらに探求する、強い思いを込めているとしている。同社は社名変更にあたり、「必ず皆さまのご期待に沿うよう、社員一同全力をあげて社業に努めます」とコメントしている。また、企業ホームページのURLも変更した。
17.スズテックが宇都宮工業団地総合管理協会から表彰
宇都宮市平出工業団地の企業で構成する宇都宮工業団地総合管理協会が市内で開催した設立50周年記念式典において「継続操業企業表彰」と「優良企業表彰」を受賞した。「継続操業企業表彰」は、50年以上継続して操業する34社に贈られた。同社は、1966年1月に操業を開始し、55年が経過したところから受賞につながった。「優良企業表彰」は、地域貢献活動や教育活動などに長年取り組む企業5社に贈られた。同社は、自社工場にとどまらず周囲の環境美化向上に寄与し地域貢献を図っていることが高く評価された。
鈴木社長は「この栄誉に恥じることのないよう、整理整頓・環境美化活動はもちろんのこと、工業団地立地企業として操業60年、70年と時を紡いでいけるよう全社一丸となって邁進していきます」とコメントを寄せた。
18.やまびこがドイツの環境対応・合成燃料普及団体に加盟
環境対応の合成燃料の普及などを目指すドイツのeFuel Allianceに2021年5月に加盟したことを明らかにした。同社では、動力源にバッテリー電源を使用した製品群の充実を図るとともに、内燃機関においてもカーボンフリーの合成燃料の将来的な活用を進めるとしている。
eFuelはCO2(二酸化炭素)とH2(水素)を合成して製造された燃料。原料に大気中のCO2を使用するため、大気中のCO2は増加しない。eFuel Allianceは地球温暖化防止に貢献するカーボンニュートラル燃料を確立・普及させ、世界中で使用されることを目標に掲げる団体。石油、自動車および自動車部品、機械・プラントエンジニアリング、航空・海運、化学、エネルギーなど様々な業界の企業、団体、個人が加盟している。