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農業機械関連ニュース

令和3年2月12日発行

<業界短信-新製品2月>

1.ヤンマーパワーテクノロジーが高出力ディーゼルエンジンを追加

ヤンマーホールディングスのグループ会社であるヤンマーパワーテクノロジーは、欧州排出ガス規制(EU StageV)、米国排出ガス規制(EPA・CARB Tier4)に対応する高出力産業用ディーゼルエンジン2機種(3TN86CHT/4TN86CHT)を、産業用立形水冷ディーゼルエンジンのラインアップに追加した。量産開始時期は3TN86CHTが2020年10月、4TN86CHTが2021年4月。新しく開発したエンジンは、同社が長年培ったディーゼルエンジンの最新技術を集約することで、さらなる高出力密度を追求している。また、各国の厳しい排出ガス規制に対応するとともに、顧客の作業機搭載エンジンのダウンサイジング要望に応え、低燃費・低騒音化を実現している。
 主な特徴は、

  1. 高出力密度=高出力化に向けて、エンジン各部の高強度化を織り込むとともに、新たなターボチャージャマッチング設計を実施
  2. コンパクトなエンジンサイズ=作業機のエンジン搭載スペースを考慮したコンパクトなエンジン外形とすることで、作業機への搭載性を向上
  3. 顧客の作業を止めない独自の排出ガス後処理装置制御=独自のPMを捕集するDPFを採用。このシステムにより、高地や低温下、軽負荷から重負荷、あらゆる作業条件下でも・お客の作業を止めずに運転を続けることができる

-など。

2.ササキコーポレーションが超耕速代かきの新型作業機を発売

モデルチェンジした新型「超耕速マックスハローエースMAX374DXA」の販売を開始した。同機は、作業幅3.7m(電動仕様)、耐久性と剛性を高めて強度を向上させ、さらに泥の流れをより内側に変えてワラや泥を逃がさない新形状のフロントウエーブガードを装備、作業性能の向上を図り、生産コスト削減に、より貢献できるモデルに仕上げている。
 主な特徴は、

  1. レバー式レベラー調圧機構で簡単に2段階のレベラー加圧ができ、圃場の土質に合わせて最適な整地圧に調整することで砕土性、均平性が向上
  2. レベラー支点部ブラケットの耐久性を従来機比2倍とし、さらにサイドフレーム部の剛性を高めるため、サポートフレームの強度を向上
  3. NEWフロントウエーブガードの装備により、高速作業でサイドへ逃げる泥の流れをより内側へと変えてワラや泥を逃がさない
  4. 新設計のカバー内部構造でワラの多い圃場でも耕うん部で滞留を防いで表面への浮きを軽減。また、カバー内部のワラの挟まりを解消してスムーズな連結性能を実現

-など。

3.クボタが新KSASなど新製品を発表

オンラインによる「2021クボタ新春のつどい・第74回クボタ機械グループディーラーミーティング」で、クボタスマートアグリシステム「新KSAS」をはじめ、トラクター「グッドパートナーシリーズJB15Xスペシャル機」、トラクター「レクシアシリーズMR70スペシャル機」、田植機「ナビウェル10条植え」、田植機「ワールドスペシャルⅡ」、コンバイン「アグリロボWRH1200A2」、コンバイン「ディオニススペシャル機」、また関連商品の乗用管理機「可変施肥ハイクリブーム」、えだまめコンバイン、にんじん収穫機などを発表した。
 「新KSAS」は今春以降、さらなるユーザー利便性の向上、営農マネジメント機能の充実、スマート農機との連携向上、他社サービスとの連携を目指し、大幅リニューアル。トラクター「グッドパートナーシリーズJB15Xスペシャル機」は標準機に対し、小売価格8.3万円(税別)引き下げたスペシャル機。標準機よりタイヤサイズが一回り小さいコンパクトな車体に充実の機能を装備し、買い求めすい価格設定とした。トラクター「レクシアシリーズMR70スペシャル機」はレクシアシリーズMR70の機能や装備をグレードアップさせ、買い求めやすい価格として追加採用。装色を黒色ベースに変更すると共に、ステアリングやエアコン吹出口に加飾を施し、内装のデザイン性向上を図った。田植機「ナビウェル10条植え」は、条間アシスト機能装備により、隣接合わせの時に「ズレ」があると、知らせてアシスト。他にゆう優ロータを標準装備。補助者の枕地均し作業の軽減を図る。

4.サタケが光選別機の新型を新発売

近赤外線からX線域までの広域波長帯と人工知能(AI)を駆使した新型ベルト式光選別機「BELTUZA SPECTRA」(ベルトゥーザ・スペクトラ、型式=CSX600BW)を新発売した。処理能力は毎時最大5t。初年度15台の販売目標が設定されている。同社では需要の高いアーモンドなどナッツ業界から販売の掘り起こしを進め、他の業界にも順次拡大していく構えだ。新たな機能として「MIX感度」と呼ぶ画像処理技術を搭載。可視光(RGB)から得る原料の画像情報に加え、近赤2波長の情報を最適な組み合わせで分析し不良品をより高精度に検出する。
 主な特徴は、

  1. 近赤外線からX線までの幅広い波長の情報を用いて1台で外観、成分、内観の不良品を選別
  2. MIX感度=サタケ独自の画像処理技術サタケ・スマート・センシティビティをアップグレードした、新たな画像処理方法。可視光から得る原料の画像情報に加え、近赤2波長の情報を最適な組み合わせで分析し不良品をより高精度に検出
  3. X線で原料内部を検出するだけでなく、人工知能(AI)を組み合わせることにより不良品の種類まで判別
  4. 作業者および消費者の安全性を最優先に考えた様々な安全対策=本機のX線漏洩量は1μSv/h以下に設計。放射線に関する特別な教育、資格、標識の表示、健康診断がなくても安心して使用できる

-など。

5.IHIアグリテックが大型カッティングロールベーラを発表

3月から、大型カッティングロールベーラ「TCR3122」を新発売する。梱包サイズは直径1200mm×幅1220mmで、カッティング仕様/ネットバインディング専用機。ピックアップの性能向上とネット繰り出し自動モードの採用により、作業性能を大幅に向上させた。プレスローラが牧草、稲ワラの流れをよりスムーズにして、作業速度をアップ。
 主な特徴は、

  1. ネット繰り出し自動モードを採用し、ユーザーの操作性が向上
  2. ステップ、安全棚の装備でネットロール装着時などの高所作業を安全・安心に行えるようにし、軽量の機体に旋回性のいい2P倍角ヒッチを採用したことで田畑の畝越えに威力を発揮
  3. ガルウィング式カバー採用で整備性を兼ね備えるデザイン
  4. 灯火器等を装備、公道走行に対応し道路走行時も安心

-など。

同時に、天然素材100%原料の「e-コットンネット」を発売。牛が食べてもルーメン(第1胃)内の微生物が出す酵素によって飼料と同じように消化できるネットで、家畜、土壌、環境に優しい品質が特徴。

<業界短信2月>

1.令和3年度農林水産予算(概算)が決定

政府の令和3年度当初予算(概算)が決定し、農林水産関係は2兆3050億円、前年比99.7%とほぼ前年並みの規模となった。食料安全保障の確立と国土の保全を大きなテーマに掲げ、生産基盤の強化と経営所得安定対策の着実な実施、スマート農業・DX・技術開発の推進、食と農に対する理解の醸成、農林水産物の需要喚起、5兆円目標の実現に向けた農林水産物・食品の輸出力強化と高付加価値化などに力を入れていく。(DX:デジタルトランスフォーメーション(IoT等のデジタル技術を活用した変革))
 生産基盤の強化と経営所得安定対策の着実な実施のうち、農業の持続性の確保に向けた生産基盤の強化として、野菜等の生産振興対策に、前年から8億円増の150億円。野菜・施設園芸支援対策では、水稲からの作付転換による新たな園芸産地の育成、加工・業務用野菜の作付の拡大、施設園芸の生産性向上と規模拡大を加速化する取り組み等を支援。野菜生産・出荷の安定と消費者への安定供給を図るため、価格低落時における生産者補給金を交付する。スマート農業・DXの推進では、スマート農業総合推進対策事業に14億円。先端技術の現場への導入・実証や、地域での戦略づくりの推進、スマート農業教育の充実、農業データ連携基盤(WAGRI)の活用促進のための環境の整備等を総合的に支援する。

2.井関農機が長崎で農業女子応援プロジェクト

「夢ある"農業女子"応援プロジェクト・イン・九州(長崎)」が長崎県諫早市の県農林技術開発センターで行われた。主催は長崎県とヰセキ九州。これは、「農業女子プロジェクト」に参加する女性農業者や、地域で農業を頑張っている女性農業者を対象に、農業機械、スマート農機、営農管理ソフトを用いた農作業管理等に関する講習等を行い、参加者の資質向上を図るなどを目的にしたもの。今回参加したのは長崎県の女性農業者ら20名。座学と実習で農業機械の取り扱いを学んだ。
 はじめに県農政課研究・普及班の河原幹子氏が、「長崎県の女性農業者に対する支援について」を紹介。次いでトラクター、耕うん機、草刈機等の安全な操作方法など基本事項を主体として、農機の種類や安全な使用方法、使用時のコツなどについて、座学と実習で農業機械の取扱いセミナーを実施。農業女子プロジェクトとコラボしたみんなに使いやすい農機も紹介した。さらに、同社農機と連携している営農管理ソフト「アグリノート」の活用方法や自動操舵機能付きトラクターの体験などスマート農業に関する内容を充実させ、大変活発な農機セミナーとなった。午後には、スマート農機、農業女子プロジェクトコラボ農機のトラクター「しろプチ」、耕うん機「ちょこプチ」、歩行型草刈機「プチもあ」などで圃場実習を行った。

3.クボタの北尾社長が年頭所感

北尾社長は年頭に当たりグループの役員・従業員向けにメッセージを配信した。メッセージでは、変化の方向性を読み、潜在的な変化を発掘し、私たちがさらに一歩先を示す勢いで対応スピードをあげていきましょうと呼びかけた。
 今年からスタートする長期ビジョン「GMB2030」でめざす、クボタのあるべき姿として、「豊かな社会と自然の循環にコミットする"命を支えるプラットフォーマー"」について、食料の生産性・安全性を高めるソリューション、水資源・廃棄物の循環を促進するソリューション、都市環境・生活環境を向上させるソリューションの3つの新たなソリューションに取り組み、実現していくことを要請。また、選択判断基準にESGの観点を最優先することを求め、新型コロナウイルス禍を乗り越え、地球の「食料・水・環境」の課題を解決するという大きなミッションに向かって前進していくことを呼びかけた。(ESG:Environment・環境、Social・社会、Governance・ガバナンス)

4.ヤンマーマルシェが高品質で養殖した「くにさきオイスター」を店頭販売

ヤンマーホールディングスのグループ会社であるヤンマーマルシェは、都内港区南麻布の老舗スーパーマーケット「ナショナル麻布」で、同社が扱っている「くにさきオイスター」の店頭販売を行った。「くにさきオイスター」は、大分県国東市の海で養殖された12月から4月にかけて食される日本固有種のマガキという種類の牡蠣。ヤンマーの持つマリンファームの技術を用いて、一般的な牡蠣養殖よりも高い品質管理を実施している。今回店頭販売を行った「ナショナル麻布」では「くにさきオイスター」販売当初から取り扱っており、用意した約2000個を販売した。
 同社が培ってきた牡蠣の種苗技術や養殖技術など、従来の牡蠣養殖に使われていない画期的な技術を取り入れ、2015年に誕生した「くにさきオイスター」は、生食用にこれまで約70万個を出荷。これまで1件も衛生上の事故は発生していない。同社商品部の亀井貴司氏によると、高品質の理由は「養殖海域の定期検査や精密ろ過海水で20時間かけて行う浄化作業、全収穫ロット検査、生産履歴の把握など、全ての検査を通過したもののみを出荷する」ため。その上、牡蠣の種苗段階で選別を行うことで、大きさや品質にもばらつきが出ないよう徹底されている。

5.ヤンマーエネルギーシステムが2020年度省エネ大賞・資源エネルギー庁長官賞

一般財団法人・省エネルギーセンターの「2020年度省エネ大賞」に、製品・ビジネスモデル部門における資源エネルギー庁長官賞(業務分野)でヤンマーエネルギーシステム、東邦ガス、アイシン精機、パナソニック、東京ガス、大阪ガスの6社による「超高効率ガスエンジンヒートポンプ『GHP XAIR(エグゼア)Ⅲ』」が選ばれた。
 同製品は、ガス会社3社とGHP(ガスヒートポンプ)メーカー3社との共同で開発したガスエンジンヒートポンプによる冷暖房システム。「省エネと節電の実現」という継続する社会的ニーズや、気候変動等への対応を踏まえ、EHP(電気式ビル用マルチエアコン)の10分の1以下という低消費電力を維持しながら、さらなる省エネ、機能性向上を目的として開発された。空調負荷に応じたエンジンの最適運転や室外機熱交換器のコンパクト化などにより機器自体の性能を向上するとともに、運用上の細かな制御を付加することにより実運転時の全体的なエネルギー使用量削減を達成している。その結果、従来機に対し、エネルギー消費効率は平均10%向上し、EHPを上回るAPFp2.09以上を達成した。リニューアル需要や既築建物への導入を容易にしたことなどが高く評価された。(APFp:期間成績係数)

6.井関農機が組織変更と人事異動

1月1日付の組織変更並びに人事異動を発表した。組織変更では、国内農業における競争力強化に向けた事業活動を展開するため、営業本部内の組織体制を次のとおり変更する。

  1. 「販売企画推進部」を「営業推進部」に統合し、担い手向け商品販売戦略と連動した施策を強化させ、大型機械等の拡販を図る
  2. 「系統推進部」を「営業推進部」に統合し、国内販売会社との連携強化を図り、系統ルートにおける売り上げ拡大を図る

また、人事異動では営業本部営業推進部長に高野重幸、同本部営業推進部副部長に大本義直、開発製造本部購買部長に大竹伸二、同本部開発統括部長に渡部勉、同本部トラクタ技術部長に岡本傑の各氏が就任した。

7.やまびこの久保新社長が就任抱負

1月1日付で新社長に就任した久保浩氏が就任に当たっての抱負、決意を語った。久保新社長は、企業としてのコア技術である手持ちの作業管理機用のエンジンを更に極めていくとともに、今後、進んでいく脱炭素化、ロボット化にも対応し、やまびこらしい特徴ある製品供給に意欲を示した。
 さらに経営に求められる3要素は、変化=進化、成果、育成であり、やまびこの進化を加速させるために、まずは経営基盤のインフラを整備することから始めていると語り、手持ちの作業管理機のメーカーとしては、世界の三大メーカーの1社として、更にその立ち位置を高めたいと意欲。それにはエンジンを極めること、バッテリー商品でも特徴を出すこと、デジタルツールを使った提案型の解決策を示していくこととし、そのために、販売店に対するキャンペーン、販売支援、異業種とも合同して勉強しながら、サービスなり企画を提案し続けていきたいと語った。

8.クボタがオンラインでディーラーミーティング

初めてオンラインによる「2021クボタ新春のつどい・第74回機械グループディーラーミーティング」を開催し、今年度の経営方針、機械事業本部方針を発表するとともに、優秀ディーラー、優秀セールス、サービスの表彰を行った。北尾社長はメッセージの中で、2030年のGMBクボタの実現のために今後10年のビジョンである「GMB2030」を策定するとともに、クボタのあるべき姿として「豊かな社会と自然の循環にコミットする"命を支えるプラットフォーマー"」を掲げると強調した。特別優秀ディーラーには北海道・南東北・新潟・福岡九州クボタの4社が輝いた。
 メッセージで北尾社長は、「新年を迎え直接お会いしてお話をする機会を持ちたかったが叶わず、今年はこの映像を通して、皆さんと共有したい思いを話させていただく」と切り出し、創業130周年の昨年を振り返りながら、クボタはエッセンシャルである「食料・水・環境」の領域でビジネスを行っており、世界各地でクボタの社員が汗を流している情報は毎日届いたとし、「私たちの仕事は〝社会を支えるエッセンシャルビジネス〟であると改めて実感するとともに、この一年間の皆さんの頑張りに深く感謝したい」とその労をねぎらった。また、今後10年のビジョンである「GMB2030」を策定し、社内外に発表すると述べるとともに、クボタのあるべき姿として、「豊かな社会と自然の循環にコミットする〝命を支えるプラットフォーマー〟」を掲げると力強く宣言し、一緒に、GMBクボタを目指そうと訴えメッセージを結んだ。(GMB:グローバル メジャー ブランド)

9.クボタが新春オンラインイベント

クボタ新春オンラインイベント「GROUNDBREAKERS」を開催した。これは例年京都で開催している製品展示見学会に代わるもので、オンラインで新商品を発表したほか、全国で活躍する先駆者の農家をGROUNDBREAKERS(先駆者の意)とし、その代表3人の営農紹介。テック・フロントラインとしてアグリロボットシリーズの開発に携わった若手技術者の製品開発にかける熱い想いの紹介。また、クボタ飯塚智浩執行役員農機国内営業本部長、飯田聡特別技術顧問が出席してKSASユーザーとのスペシャルトーク、さらに渡邉大取締役専務執行役員機械事業本部長が出席しての生産者、流通関係者、カフェオーナーによるイノベータ座談会など、「前例のない大きな挑戦であるイベント」(北尾社長)とした。
 イベントのナビゲーターは農機国内営業部長の鶴田慎哉氏らが務めた。鶴田部長は今回のイベントには約7000名が参加を予定していると述べ謝意を表した。冒頭、北尾社長がメッセージを寄せ、昨年を振り返り新型コロナウイルスによって社会・経済活動が停滞し、日本全体が大きく揺らぐ一年だったとし、その中で食料が不足することがなかったのは、先行きが不透明の中でも、農作業を止めることなく食料を生産続けられたのは農家の力によるものであり、改めて強く感謝の気持ちを抱いたと述べ、多くの人が農業の重要性を再認識した一年であったと述懐。こうしたことから日本農業にフォーカスし農家、そして農業に熱い想いを抱く人と繋がり、少しでも役に立つ情報を提供したい、これからの日本農業についてともに考える機会をつくりたい、この想いで今回のイベントを企画したと趣旨を述べた。

10.クボタがバーチャル展示会「農フェス!2021新春」を開始

オンラインでの農業機械の展示会として、「クボタバーチャル展示会農フェス!2021新春」のサイトをオープンした(期間は2月28日まで)。同社は、例年1月に京都で「新春のつどい」と称して、取引先・個人投資家・学生などを対象とした大規模な製品展示見学会を実施してきた。また各地でも農業機械の展示会を開催することで、年初における顧客とのコミュニケーション、交流の場を設けてきた。しかし昨今、新型コロナウイルスの影響により、例年通りの展示会開催が制限されることから、オンラインで参加できるバーチャル展示会として「農フェス」を企画。昨年夏の農フェスでは10万人を超えるアクセスがあり好評を得た。
 今回の農フェスでは、自動運転農機やドローン、顧客のニーズに合わせたスペシャルモデル等の多くの新商品情報を紹介するとともに、ユーザーの活用事例や開発者へのインタビュー、クボタ農機オリジナルグッズが買えるオンラインショップなど様々なコンテンツを用意し、日本の農業に関わる人が交流できる場を目指している。

11.ヤンマーアグリがウォーターセルと連携

IoTサービス「スマートアシストリモート」で生成した機械情報を、ウォーターセルが提供する営農支援ツール「アグリノート」上で利用できる連携サービスを、3月より提供開始すると発表した。航空写真マップを使った視覚的な圃場管理や農作業記録などの情報を集約し、スタッフ間の情報共有をサポートする「アグリノート」で利用できる連携サービスを提供することで、営農に関わる日々の情報管理の効率化を実現する。
 サービス概要は、GNSSアンテナ及び通信端末を搭載した農業機械から発信された情報をもとに生成される「スマートアシストリモート」の機械情報と、「アグリノート」のIDを連携させる。それにより、アグリノートを利用するお客様は、スマートアシストリモートに登録している所有機の機体情報がアグリノートに自動登録される。同社では、「当社とウォーターセルは、今後さらに連携機能の強化を進め、生産者の皆様の日々の営農をサポートするとともに、持続可能な農業の発展に貢献してまいります」としている。

12.クボタがローカル5Gを用いた自動運転を岩見沢で実証実験

北海道岩見沢市の「岩見沢市スマート・アグリシティ実証コンソーシアム」に参画し、ローカル5Gの農業分野への活用に向けた実証実験を進めると公表した。事業の名称は、「地域課題解決型ローカル5G等の実現に向けた開発実証」(総務省事業)および「スマート農業実証プロジェクト(ローカル5G)」(農林水産省事業)。同コンソーシアムは、NTT東日本北海道事業部を実証代表者とする取り組みで、クボタは、ローカル5Gを用いたトラクターやコンバインの遠隔監視制御の分野で機材を提供し遠隔監視制御とともに将来的な自動運転の実用化に向けた課題の抽出、解決策の検討を担う。
 実証実験の内容は、

  1. ローカル5Gを用いた高精細かつ低遅延の映像伝送により、ロボットトラクター等、無人の自動運転農機を圃場から約10km離れた遠隔監視センターで適切に運用・遠隔監視・制御
  2. 自動運転農機や圃場に設置する各種センサーから取得される生育データ等ビッグデータの送受信・集積等
  3. 既存BWAや最新のLPWAなど多様な通信ネットワークとの組み合わせによる幅広い領域で最適なネットワークを利活用する実証(BWA:Broadband Wireless Access 地域広帯域移動無線アクセス、LPWA:Low Power Wide Area 省電力広域エリア )
  4. スマート農機の地域実装を促進するための環境形成・ビジネスモデル検討

-など5項目。

13.井関農機が販社でオンラインの新春社員大会

2025年の創立100周年へ向け、井関農機が「変革」を掲げ始動した。同社は例年、新年の幕開け早々東京で「全国表彰大会」を開き、井関グループの結束を固め、商戦の勝利へ向けスタートするリズムを刻んできた。しかし、今年は新型コロナウイルスの感染拡大防止のためやむなく「全国表彰大会」の開催を断念。各販売会社が新年に行った社員大会に冨安社長がビデオメッセージを贈るとともに、縄田幸夫取締役常務執行役員営業本部長が営業方針を発表した。また、特約店表彰受賞店を発表した。
 冨安社長はメッセージの中で、昨年は近年でも類を見ない厳しい1年になったとしたうえで、「その中でも各地でし烈な商戦をたくましく勝ち抜き、優秀な成績を収められた皆さまに、心より厚く御礼申し上げます」と深謝。次いで国内の市場環境に触れ、スマート農業の普及が一層進むとし、「我々も対応を強化しなければならい。スピードを上げて市場の変化に対処し、売上・シェア拡大を図ろう」と訴えた。そして2021年は引き続き「変革」をキーワードに掲げるとし、需要が縮小する中、売上・シェアを拡大するには「大型製品、スマート農機、低価格機、野菜作製品といった成長分野で勝たなければならない」と力説、ウイズコロナで営業活動は苦難が続くがグループ全社員の力を一つにし、苦難を乗り越えていこうと呼びかけた。

14.サタケが創業125周年

1896年(明治29年)の創業から3月3日に125周年を迎える。創業者・利市翁、2代利彦翁、3代覚氏、そして当代の利子代表取締役まで3世代4代にわたり日本と世界の〝食〟を一貫して守り続けた輝かしい節目に当たり同社ではこのほど、人間が食べ続ける限りサタケは支え続ける、とした趣旨のコメントを発表。同時に食を守る企業使命とコンセプトを表した企業メッセージ(企業広告)を制作したことを明らかにした。
 同社は人間の生命の源というべき「食べる」という基本を守り、絶やさないことに尽力するのがサタケの使命だと述べた。企業メッセージは「止まることなく125年、食を守る。世の中は変わった。オンラインで人に会える。テレワークで仕事も熟せる。飲み会もリモートで。地球上のすべて情報が、スマートフォンの中に。でも、食事だけはデジタルにならない。人間が食べることをやめるまで、サタケは動き続ける。いつもの食を、いつもの食卓に。」。一連のコメント発表の締めくくりとして「これからも人類の食の安全・安心・美味・健康に寄与すべく、次代につながる変革企業を目指します」と力強い決意を表明している。

15.日本農業機械工業会が2020年日農工統計発表

2020年1~12月の日農工統計(農業機械生産・出荷実績)をまとめた。それによると、昨年の農機出荷実績は4024億7300万円、前年比87.3%となった。昨年1~12月の出荷実績は、国内向けが2263億7400万円、前年比83.6%、輸出向けが1760億9900万円、同92.7%で、国内向けの減少が大きく、輸出向けが占める割合は約44%となっている。2019年10月の消費税増税前の駆け込み需要の反動や、新型コロナウイルス禍における展示会の中止など営業活動の制約要因などから、2ケタ台の落ち込みとなった。そうした中でも、金額で防除機は前年比108.5%、耕うん機は100.7%など好調に推移した。トラクターは、30~50PSクラスの輸出台数が119.2%と大きく伸びた。
 その他の機種では、防除機や動力噴霧機、動力散粉機、走行式防除機がいずれも堅調な伸びを示している。動力噴霧機では、操作性のよいバッテリー動噴が、ステイホームに伴う家庭園芸、家庭菜園への関心の高まりや、特別定額給付金の給付等の要因による特需もあり増加。スピードスプレーヤは、昨年、水害の被害を受けた長野県、福島県において、水害関連の補助事業による特需により堅調に推移した。動力散布機も、九州地方での病害虫の発生に伴い需要が高まった。

16.諸岡協力会がオンラインで賀詞交換会

「令和3年諸岡協力会・賀詞交換会」が関係者250名余りとライブ配信によるオンラインで開催された。例年1月に柏市で開催している会員を交えての賀詞交換会だが、今回は新型コロナ感染拡大防止策として、同社本社会議室・AMI(阿見)デモセンターと協力会会員とをオンラインでつなぐ方式で実施した。席上、諸岡正美CEOは、ESG(環境・社会・ガバナンス)、SDGs(持続可能な開発目標)、ICT推進に対する取り組み、また、2021年度に向けた中期3カ年計画の状況を報告。さらに、世界初となるスマホによるキャリアダンプの遠隔操作を紹介、「Be the Great Niche Company」を目指すと発表した。
 オンラインによる賀詞交換会は、同社システム管理課のスタッフによる、全て自前での準備を経て配信。松本光晴生産技術本部本部長の進行により、諸岡CEOが別項の通り挨拶した。休憩の後、AMI(阿見)デモセンターとオンラインでつなぎ、世界初となるスマホによるキャリアダンプの遠隔操作がサプライズ中継された。スマホによる遠隔操作は、2年前の賀詞交換会の際、諸岡CEOが余興としてパフォーマンスを披露したが、今回は、それが現実のものとして実現したことを紹介。同システムは、建設現場のDX、自動化を目指す東京大学発で昨年4月に設立したベンチャー企業のARAV社がソフトを開発。モロオカのキャリアダンプ「MST2200VD」の電気制御装置と接続して、スマホによる遠隔操作で運転を可能にした。