令和3年1月10日発行
<業界短信-新製品1月>
- 松山がプチハーベスタ(馬鈴薯収穫機)を新発売
- 井関農機が2021年度上期新商品20品目37型式を発表
- タイショーが高速局所施肥機、複合散布機、薬剤散布機を発表
- 諸岡が2021年向け新製品5機種の発表会
<業界短信1月>
- 農林水産省が2020年農林業センサス発表
- クボタがプランテックスに資本参加
- ヤンマーホールディングスが中間連結決算発表
- 三菱マヒンドラ農機が2020年度上期決算発表
- JA全中が5大ニュースを発表
- クボタがイスラエルの果樹健康診断サービス会社に出資
- 本田技研工業・事業本部長と、ホンダパワープロダクツ・桑名社長が会見
- スガノ農機が「2021総合カタログ」を作成
- オーレックが川柳コンテスト学校賞の北松農業高校で贈呈式
- 鋤柄農機代表取締役会長・鋤柄國佐氏が逝去
- 農林水産省が第3次補正予算まとめ
- 井関農機がタイの代理店を子会社化
- 静岡製機の子会社が「健康寿命をのばそうアワード」で厚生労働大臣賞
- クボタが1月1日付人事と機構改革
- 田中産業がブルームで2万円返金のキャンペーン継続
- クボタのアグリロボコンバインが第50回機械デザイン賞入賞
<業界短信-新製品1月>
1.松山がプチハーベスタ(馬鈴薯収穫機)を新発売
自走式の馬鈴薯収穫機「ニプロプチハーベスタGSA600」を12月から九州地区で先行発売。同機は、1~2人乗り仕様で、掘り取り作業と同時に、掘りあがってくるイモを選別・コンテナ収納する。軽トラックにも積載可能なコンパクト設計(軽トラックに積載する際はコンテナ台及びコンテナアームを外す必要がある)で、中山間地域等の道が狭い圃場でも運び込みが可能で、運転はレバー式で操作性が高く、クラッチレバー1本で走行・作業・駐車の切り替えが行える。
主な特徴は、
- 掘りあがってくるイモを座った楽な姿勢で選別してコンテナに収納できる
- 軽トラに積載して運搬可能、中山間地の圃場でも活躍
- 11個の空コンテナを積載でき、コンテナの入れ替えがスムーズで作業能率が上がる
- レバー配置で操作しやすいコントロールパネル
- 先金側板の形状を工夫してイモがこぼれるのを防止、コンベアの振動装置で土質に合わせた土の振りが行えるなど充実した機能
-など。
https://www.niplo.co.jp/products/cat-1/product-01.php?c=b110&id=246
2.井関農機が2021年度上期新商品20品目37型式を発表
2021年度上期新商品として、自社開発の新エンジンを搭載したコンバイン「HFRシリーズ」、有人監視型ロボットトラクター「TJV-R3」、有人搭乗型ロボットトラクター「TJV-M1」、トラクターでは初めて直進アシスト機能「オペレスタ」を搭載したトラクター「「RESPA」RTSシリーズ」など、海外向けを含め20品目37型式を発表した。今回も新型コロナウイルス感染拡大防止のために井関農機公式YouTubeでプロモーション動画を配信。発表テーマに、「環境に優しい井関エンジン」と「農業の持続可能性に貢献するスマート農機・ICT」を掲げた。
コンバインHFRシリーズの主な特徴は、
- 従来比で排気量約10%、トルク約5%向上の新エンジン搭載
- 高級感ある新デザイン
- IQ脱穀制御、負荷モニタ、常時動作可能な緊急停止ボタンなど新機能搭載
-など。
トラクター「RESPA」RTSシリーズの主な特徴は、
- ステアリングハンドルをモーターで操舵し直進をアシスト
- 直進アシストモニタでアシスト機能の状態が一目でわかる簡単表示
- 直進アシスト緊急回避機構
-など。
ロボットトラクターの主な特徴は、
- 有人監視型は自動化レベル2、有人搭乗型はレベル1。有人監視型は使用者訓練を受けた監視者が直接目視可能な環境下で自動作業、搭乗型は使用者訓練を受けずとも搭乗し自動作業可能
- GNSSの位置情報に対し、無線基地局やVRSなどによる高度な位置補正を行い、高精度な自動運転を実現
-など。
https://www.iseki.co.jp/news/up_img/1607491762-553543.pdf
https://www.youtube.com/watch?v=3cgvaYQZ15g&feature=youtu.be
3.タイショーが高速局所施肥機、複合散布機、薬剤散布機を発表
かねてより農研機構・革新工学センターと上田農機とで共同開発を進めていた野菜用「高速局所施肥機」と、同社独自開発の肥料と薬剤を同時に散布できる、トラクター用“複合散布機”「UXK-55F10」と薬剤散布機「KX-10」を発表、3機種とも1月より本格的な発売を開始することを明らかにした。
高速局所施肥機の主な特徴は、
- 作業速度に連動して肥料繰出量を自動制御、上下2段の高精度な施肥方式を採用。肥料を効率的に作物に供給できるとともに、肥料の表面流亡を低減し、省肥料化を実現
- リッジャによる耕起により、毎時5kmの高速作業を実現
- 上層と下層に高精度の施肥が行えるため、初期生育が促進され、収穫の斉一性が向上
- 走行速度は、GPSから位置情報を取得し計測、傾斜地では傾斜角度センサで傾きを測定し、走行速度を補正
-など。
複合散布機の主な特徴は、
- ツインコントローラーにより、2台の散布機(肥料散布機と薬剤散布機)が、それぞれ設定した散布量を正確に散布
- 取り付けは、専用フレームによりトラクタのフロント部に簡単に装着できる
-など。
新型薬剤散布機の主な特徴は、
- ホッパー容量が10Lタイプ。ロール繰り出し方式により、設定した散布量を正確に散布
- 新型スイッチボックスは、機能表示が見やすく、コードが分割式のため取り付け、取り外しが簡単に行える
- ホースごとにシャッターが装備されているため、撒き分けが可能
-など。
4.諸岡が2021年向け新製品5機種の発表会
茨城県稲敷郡阿見町のAMI(阿見)デモセンターにおいて、2021年に向けた新製品の発表、また、開発試験機の紹介、モロオカ製品の実演・試乗会を開催した。新製品は、世界最大級の積載量20tの全旋回型クルクルキャリア「MST-4000VDR」、積載量15tの「同-3000VDR」、積載量4tの「同-700VDR」、林内運搬車「MST-1500VDL」、自走式横投入型木材破砕機「MRC-3000」の5機種。開発試験機として、新タイプのバッテリー式小型不整地運搬車とクラムダンプスキッダーを紹介した。
「MST-4000VDR」は、世界最大級の最大積載量20tの全旋回型クルクルキャリア。主な
徴は、
- 新開発の電子制御ジョイスティックコントロールを搭載、オペレータの疲労を軽減、高い操作性を実現。
- 荷箱底板に高強度HARDOX材を使用、高耐久性ダンプボディー
- シリーズ最大の850mm幅の高強度ゴムクローラを採用、不整地走行を確実にサポート
-など。
林内運搬車「MST-1500VDL」の主な特徴は、
- オフロード法適合の高環境性エンジンを搭載
- 林業現場の稼働を徹底的に追求したデザインを採用。強靭で幅広のゴムクローラーの足回りと、丸太積載時の最適な重量バランス設計により、材の運搬が安全に行える
-など。
自走式横投入型木材破砕機「MRC-3000」の主な特徴は、
- 最大処理径450mmまで可能。3分割した6枚の切削と受刃により、高品質なバイオマス用(燃料用)木質チップが生成できる
- フィードローラ、コンベア自動反転機能などの採用により、長尺大径材が極めて効率良く破砕できる
-など。
<業界短信1月>
1.農林水産省が2020年農林業センサス発表
年に1度の調査である2020年農林業センサス結果の概要(概数値、令和2年2月1日現在)を公表した。それによると、農業経営体は107万6000経営体で、5年前に比べ30万2000経営体(21.9%)減少した。農業経営体のうち、個人経営体は103万7000経営体で、30万3000経営体(22.6%)減少した一方、団体経営体は3万8000経営体で1000経営体(2.6%)増加した。
また、1経営体当たりの経営耕地面積は3.1ha(北海道30.6ha、都府県2.2ha)で5年前に比べ、21.5%(北海道15.5%、都府県19.3%)増加しており、農業経営体の減少が続く中で、法人化や規模拡大が進展していることが分かった。データを活用した農業を行っている農業経営体数は18万3000経営体で、農業経営体に占める割合は17.0%となった。
農業経営体のうち個人経営体を主副業別にみると、主業経営体は23万経営体で5年前に比べ6万2000経営体の減少、準主業経営体は14万1000経営体で11万8000経営体の減少、副業的経営体は66万6000経営体で12万4000経営体の減少となった。この結果、個人経営体に占める割合は、主業経営体が22.2%、準主業経営体が13.6%、副業的経営体が64.2%となった。
2.クボタがプランテックスに資本参加
人工光型植物栽培装置及び、植物生長管理システムの開発を手掛ける「プランテックス」に出資したと発表した。クボタは、「プランテックスへの出資を通じ、食料生産の効率化と供給安定化に貢献する」としている。
同社は、社外パートナーの連携によるオープンイノベーションの推進部門として、「イノベーションセンター」を立ち上げ、国内外のスタートアップ企業への出資や、協業交渉などを進めている。このたび、異常気象等の外部環境に左右されることなく、安定的で高い生産効率を実現する「人工光型植物工場」に着目し、この分野で先進的技術を用いて人工光型植物栽培装置の開発を行っているプランテックスに出資した。同社によると、プランテックスが開発する人工光型植物栽培装置は、栽培棚ごとに独立した密閉方式で、各段の栽培環境を精密・均一に制御できるので、高い栽培面積あたり生産性を実現している。プランテックスは今回の調達資金でマザー工場を建設し、工場規模でも効率的かつ安定的な生産が可能であることを実証していく。
3.ヤンマーホールディングスが中間連結決算発表
2021年3月期の中間連結決算(2020年4月~2021年3月)の概要を発表した。それによると、売上高は3599億200万円(前年同期比10.9%減)、営業利益は84億6100万円(同21.4%減)、経常利益は120億8300万円(同6.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は69億3200万円(同9.3%減)となった。国内におけるアグリ事業では、前年の消費増税の駆け込み需要の反動を受けて減収、また建機およびエネルギー事業では設備投資の低迷により減収となった。海外市場のアグリ事業ではコロナの影響から回復しつつある東アジア地域における増収や昨年ASV社を買収した建機事業で増収だったが、小型エンジン事業やコンポーネント事業が欧米市場の悪化により減収となり、グループ全体では減収・減益となった。
4.三菱マヒンドラ農機が2020年度上期決算発表
埼玉県久喜市の東鷲宮事務所で会見し、2020年度上期連結決算の概要、下期の取り組みなどを明らかにした。それによると、上期の売上高は203億6800万円(前年同期比80.8%)、営業利益は3億4000万円の損失、当期純利益は1億5700万円(同85.3%)となった。売上高のうち、国内は前年同期に比べて33億7400万円(15.0%)減少し191億5700万円、海外は14億6900万円(54.8%)減少し12億1100万円となった。
下期の取り組みについては、新型コロナウイルス感染症の影響も終息が不透明の中、需要への影響は予断を許さないとしたうえで、このような状況下、引き続き地域毎の要望やニーズに合わせた小、中規模の実演会の開催やトラクターシリーズ(GS/GM/GA・GCR)の2020年度グッドデザイン賞受賞を記念したモデルとして、コストパフォーマンスに優れたGSEトラクターを発売し、拡販していくとともに東関東に建設した大型整備施設により、サービス面を更に充実させていく。また、マヒンドラ&マヒンドラ社との連携により、インドでの材料調達の加速や好評を得ているトルコヒサルラー社作業機の更なる拡大や、需要増の兆しがみえる北米市場において、引き続き販売促進活動に注力していくとした。
5.JA全中が5大ニュースを発表
定例会見を開き、「令和2年農業・農村・JA5大ニュース」を発表した。5大ニュースは、次の通り。
- 新型コロナにより農業にも大きな影響と教訓(国消国産など)
- 新しい食料・農業・農村計画の実践がはじまる
- 豪雨やCSF、鳥インフルエンザなど災害が続く
- 組合員調査最終結果公表、90%超が総合事業を支持
- 各地のJAでユニークかつ新しい取り組みが行われる
記者会見した中家徹会長は、コロナ禍で「国消国産」が重要だと教訓を得たと述べ、世界的にも経済、社会、暮らしが大きな影響を受けた一年だったが、わが国の食や農業の現状を知っていただく機会となる一年でもあったとし、これからも情報発信強化をすすめ、農業・農村を支えたいと思ってもらえる人を一人でも増やしていきたいと語った。また、「JA自己改革ニュースレター」を配布し、愛知県・JA蒲郡市の担い手グループが、スマート農業による栽培技術の高度化と契約販売の拡大などで所得31%アップを図ったことなどを紹介した。
6.クボタがイスラエルの果樹健康診断サービス会社に出資
AIやドローンによる果樹の健康診断サービスを手掛けるイスラエルのスタートアップ企業「SeeTree Systems Ltd.」に出資したと発表した。同社は、社外パートナーとの連携によるオープンイノベーションの推進部門として「イノベーションセンター」を立ち上げ、各地域のニーズにきめ細かく対応するため、現在は日本とオランダの2か所に設置している。イノベーションセンターはスタートアップ企業への出資などを通じ、先進のアグリテックやビジネスモデルへの知見を深め、農業分野でのソリューション事業の開発を加速させている。特に果樹や野菜の栽培は、穀物栽培などに比べて機械化が進展しておらず、今後の成長が期待される分野。
今回出資したSeeTree社は、ドローンや地上で撮影した画像から果樹1本1本の健康状態を診断、管理するサービスを大規模農場向けに提供している。優れたAIのアルゴリズムで果樹1本ごとのデータを収集し、健康状態を診断、詳細な時系列データとして蓄積する技術はSeeTree社独自のもの。さらに、データと自社内の農業専門家による診断を組み合わせて顧客にアドバイスすることで、果実の品質や収量の向上に大きく貢献している。
7.本田技研工業・事業本部長と、ホンダパワープロダクツ・桑名社長が会見
本田技研工業・事業本部長と、ホンダパワープロダクツ・桑名社長が会見
本社ビルHondaホールにて、4月に新しく就任したライフクリエーション事業本部長の加藤稔氏と、6月よりホンダパワープロダクツジャパンの代表取締役社長に就任した桑名俊郎氏が会見を行い、今後の展開や意欲を述べた。
最初に、加藤事業本部長がHondaのパワープロダクツ事業に関する成り立ちと概要を説明。今期上半期は「コロナの影響から徐々に回復傾向が見られ、4~9月の販売台数は全体で前年比101%となった。10~11月についても前年度を上回るペースで販売を続けている」とした。加藤事業本部長は「これまでのパワープロダクツはお客様の重労働を軽減する〝動力源〟として生活に貢献してきた。しかし世の中が変わり、これからは持続可能な世界の実現に向けた時代の要請に応えていかなくてならない。〝暮らしを豊かに〟という考え方にシフトし、毎日の生活に新しい体験と価値を提供できる商品を供給していきたい。今後のさらなる商品の拡大にご期待いただきたい」と語った。続いて桑名社長がホンダパワープロダクツジャパンについて説明した。国内のパワープロダクツ事業の再構築、販売体制のさらなる強化を目指して設立され、2020年10月で3年が経過。当初の目的であった小売りの強化については、認定取引店、きめ細やかな施策等で着々と目的は果たせており、事業計画も達成しているとした。
8.スガノ農機が「2021総合カタログ」を作成
「2021総合カタログ」を作成し、新年における技術・製品普及に活用を図るべく意欲をみせている。同カタログはフルカラー版・126頁。
巻頭では同社の取り組みとして、
- 作業機ごとに公道走行対応セットを設定・発売
- 全幅2.5m以上の場合は特殊車両通行許可の申請が必要になるため、その煩雑な手続き解消と安全な移動を可能とするための折りたたみ式作業機の開発推進
-とアピールしている。
排水対策、耕起前処理、耕起・耕うん、耕起後処理それぞれに必要な作業機を示し、「作業体系で、土づくりをサポート」する同社の理念を表しつつ各作業体系ごとに役割を発揮する製品の詳細を紹介。各々の頁の間には、「乾田直播って何だ?」「土壌断面から見えるこれからの農業の在りかた」「補助モミ殻暗渠で本暗渠への水みちをつくる」「タイヤの踏圧ってそんなに影響するの?」「そもそもプラウ耕って必要なの?」「フルボディとしての土を見る」「レーザーレベラーって畑でも有効なの?」などの技術内容を丁寧に解説するコーナーを挟み込んでいる。
9.オーレックが川柳コンテスト学校賞の北松農業高校で贈呈式
同社が開催した九州の農業・水産系高校を対象にした第3回川柳コンテストで「学校賞」を受賞した北松農業高校(長崎県平戸市)において、同賞の贈呈式を行った。今村社長は賞品である同社の「ラビットモアーRM983F」を同校に贈呈。また、準グランプリを受賞した渡邉琉汰さん(食品流通科2年)をはじめ、個人賞を受賞した同校の生徒3人(渡邉さんと優秀賞の関優也さん、佳作の吉浦彩果さん)に対し、賞状を授与した。
同社長は挨拶で「ご参加いただいた皆様、誠にありがとうございました。草刈り機は授業、研修などで幅広く、安全に使っていただければと思っております」などと述べた。同川柳コンテストは今年で3回目を迎え、例年であれば10月に個人表彰イベントを行っていたが、今回は学校賞贈呈式のみの開催となった。入賞した全22作品は同社ウェブサイトで公開している。
10.鋤柄農機代表取締役会長・鋤柄國佐氏が逝去
鋤柄國佐(すきがら・くにすけ)氏が2日に亡くなった。92歳だった。葬儀は近親者のみで家族葬にて執り行われた。
故人は、昭和25年に愛知工業専門学校を卒業し、同社の前身となる鍛冶勘農機具製作所に入社。その後研究室長、取締役工場長を経て、昭和47年に代表取締役社長に就任。長きにわたり社長を務め、令和2年には代表取締役会長に就任した。入社以来技術開発関連業務に従事し、ロータリープラウ、スピードマルチ、ステンレス培土、不耕起V溝直播機など、同社を代表する製品を開発した。創業から100年を超える同社を牽引し、昭和から平成、令和と日本の農作業の近代化、効率化に大きく貢献してきた。
11.農林水産省が第3次補正予算まとめ
令和2年度農林水産関係第3次補正予算の概要をまとめた。総額は1兆519億円で、2030年輸出5兆円目標の実現に向けた「農林水産物・食品の輸出拡大実行戦略」の実施に重点を置くとともに、新市場開拓に向けた水田リノベーション事業に290億円、麦・大豆収益性・生産性向上プロジェクトに60億円、スマート農業技術の開発・実証プロジェクトに62億円を計上した。また、ポストコロナ対策の一環として、経営継続補助金に571億円、高収益作物次期作支援交付金に1,343億円などを盛り込んだ。
新市場開拓に向けた水田リノベーション事業は、水田農業において実需者の需要を踏まえた新市場開拓用米・加工用米、麦・大豆や野菜等の高収益作物の生産を進めるため、低コスト生産技術等の導入、パックご飯等の輸出の拡大やカット野菜等の国産原材料への切替えに必要な機械・施設の整備を支援。経営継続補助金は、農林漁業者の経営継続を確保するため、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止対策とともに行う販路回復・開拓や事業継続・転換の取り組みで既募集に係る分を支援する。このほか、畜産クラスター事業は481億円、産地生産基盤パワーアップ事業は342億円など。
12.井関農機がタイの代理店を子会社化
タイにおける同社製品販売代理店「IST Farm Machinery Co.,Ltd.」(IST社)に対し、三菱商事と同社が増資し、IST社株式の一部譲渡を両社間で実施した。その結果、井関農機の出資比率はこれまでの20%から81%に変更され、IST社は同社持分法適用関連会社から連結子会社となった。井関農機は、2013年に三菱商事と合弁で販売会社IST社を設立し、アセアン事業の拡大を図ってきた。今回、両社による増資のうえ、同社は三菱商事からIST社株式の一部を譲り受けた。これにより同社による生産から販売まで一貫したオペレーションを可能とした。また、今後はIST社と同社アセアン事業の営業・サービス拠点でもある「ISEKI(THAILAND)Co.,Ltd.」との機能集約・合理化を図り、サービス体制も強化していく。
同社では「長年培った農業、農業機械に関する知見をフルに活用し、アセアン事業展開の加速を図って参ります」としている。同社連結業績に与える影響については「軽微」としている。
13.静岡製機の子会社が「健康寿命をのばそうアワード」で厚生労働大臣賞
静岡製機の子会社で農産物直売所“とれたて食楽部”とフードコートを運営するプランエコはこのほど、厚生労働大臣から表彰を受けた。これは同社が開業する「とれたて食楽部、Honey!ハニー!!」が移動販売を運用して安全・安心の食材を提供、地域の介護予防・高齢者支援に大きく貢献していることが評価されたもの。「第9回健康寿命をのばそう!アワード(介護予防・高齢者生活支援分野)」において厚生労働大臣優秀賞(企業部門)を受賞した。授賞式は厚生労働省と各企業をオンラインで結び、行われた。
「とれたて食楽部、Honey!ハニー!!」は併設するフードコートでヘルシーフードレストランを開業するとともに、とれたて食楽部の地場産品や惣菜などの移動販売を実施している。移動販売を介護施設、高齢者向け住宅、個人宅の近くで行うことによって、一人暮らしの高齢者や、体力的に店まで行くことが難しい人などから喜ばれている。また、移動販売の利用者同士や販売スタッフとの交流を通じて、利用者の見守り支援にもつながっている。市で開催している介護予防体操を休止していた時期も、参加者の要望により移動販売は継続され、住み慣れた地域で心身とも健康に日常生活を送るうえで、移動販売は欠かせない存在となっている。表彰状と受賞トロフィーは、申請をした原田英之袋井市長より後日鈴木社長に授与された。
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/9thaward_besshi1.pdf
14.クボタが1月1日付人事と機構改革
2021年1月1日付の役員異動、機構改革、人事異動を発表した。機構改革では、「農業ソリューション事業推進部」を廃止し、「農業ソリューション事業ユニット」を新設、「農業ソリューション技術部」、「ポストハーベスト技術部」の部門を移管する。コーポレートスタッフ部門では「KESG推進部」を社長管轄下に新設し、「CSR企画部」(廃止)及び「コーポレート・コミュニケーション部」(廃止)の一部機能を移管、「グローバルICT本部」に「DX推進部」を新設する。「機械品質保証統括本部」を「機械カスタマーファースト品質本部」に改称し、「機械カスタマーファースト品質企画部」(機械品質保証企画統括部を改称)、機械カスタマーファースト品質推進部(機械評価部を改称)を置く。人事では、南東北クボタ社長に矢部建氏が就任する。
15.田中産業がブルームで2万円返金のキャンペーン継続
ゴアテックスウエア(上下セット)の累計出荷着数が100万着を突破した記念として「特別なブルームウエア」を発売、併せてこの特別限定ブルームウエアのキャッシュバックキャンペーンを展開している。当初、期間は12月25日までとしていたが、好評につき来年3月末まで延長し拡大実施することを決めた。
今回の「ブルームブランド誕生1周年 キャッシュバックキャンペーン2021」の内容は、2021年1月1日以降に出荷したブルームウエア(同サイズ・同色のジャケットとパンツ)の購入者に抽選で2万円をキャッシュバックするというもの。希望者は専用応募ハガキに住所、氏名、連絡先、購入店、購入ウエアの色を記入して同社に郵送(切手不要)。抽選で毎月21人、合計63人がキャッシュバック当選者となる。これまでのキャンペーンは、ブルームウエアのセージグリーン色だけが対象だったが、今回は全色、全サイズに対象を広げた。当選発表は本人に直接連絡。キャッシュバックは郵便為替で送金する。ブルームは、機能性とデザインを追求した全天候型フィールドジャケットで、卓越した防水性・透湿性、軽量性を兼ね備え、動きやすく、農業をはじめとする屋外作業着として快適な作業環境を提供する。
16.クボタのアグリロボコンバインが第50回機械デザイン賞入賞
「アグリロボコンバイン」(型式は「DR6130A」)が、このたび「第50回機械工業デザイン賞IDEA」(日刊工業新聞社主催)で入賞した、と発表した。
「アグリロボコンバイン」は、自脱型コンバインとして業界で初めて運転者監視下で自動運転作業(刈取り・排出)が可能であり、収穫作業の軽労化と効率化・高精度化に寄与するコンバイン。外観デザインは新規性とともに、先行販売しているアグリロボトラクターとの一貫性を持たせた。また自動運転専用の表示、操作用タッチパネルを搭載し、瞬間認知と直感操作を画面デザインの基本とすることで、操作性向上や直観的な操作の理解・誤認防止による安全性の向上を実現している。
受賞の審査基準は、1.企画力・社会性=企画内容・コンセプトの有効性や社会貢献度、2.機能・性能・品質=要素技術・システムにおける発展的思考や独創性、3.操作性・安全性・保守性・経済性=技術内容を踏まえた人間要因や保守・点検に対する配慮、4.造形・造系処理=モノ・コトと上記3要件との有機的関連性の4点。同社は、「このたびの受賞を励みに、日本農業の競争力強化に向けた製品、サービス、ソリューションの提供を通じて、お客様の経営課題を力強くサポートし、日本農業を支えてまいります」としている。