令和2年2月10日発行
<業界短信-新製品2月>
<業界短信2月>
- 令和2年度農林水産予算は前年同規模の2兆3109億円
- ヤンマーアグリ社長に増田氏、1月1日付でトップ人事
- スガノ農機が4月に石村鉄工と合併、感謝フェアで地元と交流
- 丸山製作所が創業125周年でキャンペーン
- スズテックが宇都宮市のリーディング企業第1号に
- 山本製作所が100周年記念誌を上梓
- サタケなどによる種籾温湯消毒が農業技術10大ニュース1位に
- クボタのラジコン草刈機が日経優秀製品・サービス賞の優秀賞受賞
- クボタが米国のリンゴ収穫ロボット企業に出資
- クボタが創業130周年の新TV-CMをオンエア
- ヤンマーをパワーテクノロジー、グローバルCS、グローバルエキスパートに分割
- 日本農業機械工業会が賀詞交歓会、農業機械で担い手を支える
- 農業MOTプラットフォームが設立
- 国交省が規制緩和、牽引式作業機付きで公道走行が可能に
- クボタが第73回クボタ機械ディーラーミーティング
- 井関農機が創立95周年記念ヰセキ全国表彰大会
- 小橋工業がヒューマノーム研究所と共同研究契約を締結
- 日刊工業の第37回優秀経営者顕彰で諸岡CEOが受賞
- 諸岡が賀詞交歓会、環境対応など強化
- キャニコムがビジョン300実現に新役員体制整備
- ヤンマーアグリが2020年ヤンマーアグリグローバル大会
- 日本農業機械工業会が2019年1~12月実績発表
<業界短信-新製品2月>
1.大島農機が汎用粗選機と種子用乾燥機を発表
籾に加え大豆・蕎麦等の粗選も可能な汎用粗選機「BGA600C」、ならびに、より安心できる乾燥作業を実現する新型種子用乾燥機6型式(RT240S/280S/320S/360S/400S/500S)を3月から発売すると発表した。
汎用粗選機「BGA600C」は、現行の籾用粗選機に加え、大豆・蕎麦等の粗選も可能にした新製品。
主な特徴は、
- 品種・作物に合わせ選別網を交換することで粗選機能を可能にした
- 専用網(丸穴)とインバータを搭載することで、大豆・蕎麦の粗選が可能となった
- 機体自身に汎用性を持たせ、穀物に合わせた機体各所の設定と網の選択により汎用性を可能に
- 網は4種類の丸穴から選択、その他に籾用網を用意すれば籾の粗選も可能
-など。
種子用乾燥機は、好評の大島種子用乾燥機を基本構造・乾燥性能は継承し操作性・メンテナンス性の向上をはかり新発売する。
主な特徴は、
- 基本構造は継承しながら利用者の要望にも応え、種子乾燥機に求められる「発芽率」「掃除のしやすさ」等、更なる向上
- 張込口を大きくすることで従来機と比べ張込能力を15%アップ(同社RT-SⅡ比)
- 乾燥部、貯留部に覗窓を追加し穀物量の確認を容易にした
- 機体前後の繰出しバルブ上部に掃除口を追加し、バルブ付近に残留する穀物の掃除を容易に
-など。
2.松山がフレールモアFNC02Rシリーズを新発売
ニプロフレールモアFNC02シリーズ12型式を新発売した。作業幅は1.2m、1.4m、1.6m、1.8mで、適応トラクターは11~45PS。刈高さ安定のイチョウ型爪と高耐久フレール爪(型式末尾F)の選択が可能だ。
主な特徴は、
- 全ての型式に刈高さを安定させるゲージローラーを採用。作業時爪が土を噛みこむことが少なくなり、負荷変動が少なくなることから作業が安定するとともに、爪の摩耗も少なくすることができるように
- 爪が付いたカッティング軸は1分間に約2000回転という高速回転(PTO540rpm時)を実現するので、後作業の邪魔にならない細かさで雑草、緑肥を細断することが可能
- トラクターへの装着方法は日農工標準3点オートヒッチ、特殊3点オートヒッチの他に標準3点リンク直装型式を用意
-など。
https://www.niplo.co.jp/products/cat-1/product-01.php?c=b100&id=236
3.クボタがディーラーミーティングで新製品17機種を発表
京都で開催した2020クボタ新春のつどい・第73回クボタ機械グループディーラーミーティングで、新製品17機種を次の通り発表した。
- KSAS対応機向け稼働情報管理サービス「MY農機」パソコン向け専用機能
- テーラー
- トラクター スラッガー GS仕様
- トラクター レクシア 無段変速KVT仕様
- アグリロボトラクターMR1000A〈無人仕様〉
- 田植機 ナビウェル 可変施肥仕様
- アグリロボ田植機 NW8SA〈有人仕様・無人仕様〉
- コンバイン ディオニス
- コンバイン ワールド
- アグリロボコンバイン DR6130A〈有人仕様〉
- 130周年アニバーサリー機〈トラクター・田植機・コンバイン・ミニ耕うん機・畦畔草刈機・法面草刈機〉
- 北米向け大型トラクター(参考出品)
- 近赤外線水分計付乾燥機
- 農業用ドローンKSAS連携
- 全工程水稲播種機
- ホウレンソウ収穫機
- パワーアシストスーツWIN-1 段ボール用ハンド
「トラクター スラッガー GS仕様」は、昨年9月にモデルチェンジした「スラッガーシリーズ」に、田植機や小型トラクターで好評のGS(Go Straight、直進アシスト機能)仕様を追加採用し発売する。
また、自動運転農機「アグリロボ田植機NW8SA」は業界初となる自動運転が可能な田植機。自動運転機能によって田植え作業の省人化と作業効率改善を実現する。
「アグリロボトラクターMR1000A(無人仕様)」は、レクシアシリーズの更なるラインアップ拡充として、使用者の監視下において無人運転作業が可能なアグリロボトラクターMR1000Aの無人仕様を発売。
4.タカキタが側方散布式の自走コンポキャスタ発売
果樹園での肥料散布に最適な自走コンポキャスタ「SC-210F」を新発売した。同機は、クローラタイプで果樹園など、通路を挟んで片側または両側に肥料を散布したいというニーズに応え、側方散布式の自走コンポキャスタとして開発したもの。最大積載容量は200L。
主な特徴は、
- 有機肥料散布に定評のある従来の自走コンポキャスタは、機体前方への全面散布だが、SC-210Fタイプは、機体横方向へ散布できる
- 機体左右の片側散布、又は両側同時散布の切り替えも可能
- ペレット状、粒状の肥料なら片側最大4m散布可能
- 魚粉や乾燥したコンポストを含む配合肥料も扱え、片側最大2mまで散布可能
- 散布口の上下角変更により、散布距離の調整が可能
- 撹拌アジテータの作用により肥料の簡易混合ができ、作業の省力化が図れる
-など。
<業界短信2月>
1.令和2年度農林水産予算は前年同規模の2兆3109億円
政府が概算決定した令和2年度農林水産当初予算は2兆3109億円で、前年と同じ規模となった。また、同じく決定した元年度補正予算は5849億円。スマート農業総合推進対策事業には、当初予算で15億円、補正予算で72億円を措置し、大幅な拡充が図られた。
このほか当初予算では、司令塔組織の創設など輸出力強化に総額45億円、農地の大区画化・汎用化を図る農業農村整備事業(公共)に3264億円(補正予算1466億円)、野菜、施設園芸、果樹など品目別の生産振興対策に89億円などが盛り込まれた。
令和2年度当初予算は、
- 農林水産物・食品の政府一体となった輸出力強化と高付加価値化
- 「スマート農業」の実現と強い農業のための基盤づくり
- 担い手への農地集積・集約化等による構造改革の推進
- 水田フル活用と経営所得安定対策の着実な実施
- 食の安全・消費者の信頼確保
- 農山漁村の活性化
- 林業の成長産業化と「林業イノベーション」の推進
- 水産改革の実行による適切な資源管理と水産業の成長産業化
-を柱に構成された。
2.ヤンマーアグリ社長に増田氏、1月1日付でトップ人事
ヤンマーアグリ及びヤンマーアグリジャパンの1月1日付トップ人事が発表された。ヤンマーアグリの代表取締役社長には取締役副社長の増田長盛氏が昇格。北岡裕章前社長は取締役相談役に就任した。また、ヤンマーアグリジャパンは、増田長盛社長のヤンマーアグリ社長就任に伴い、後任の代表取締役社長に九州支社長の渡辺丈氏が就任した。
今回のトップ人事は12月20日に発表されたもので、ヤンマーアグリでは2018年4月の会社設立後、第1ステージにおいて、事業経営基盤の構築と中期経営計画の策定が概ね完了したことから、アグリ事業ビジョン「農業を食農産業に発展させる」-のさらなる具現化に向け第2ステージをスタートすべく新体制を発足する運びとなったとしている。
3.スガノ農機が4月に石村鉄工と合併、感謝フェアで地元と交流
茨城本社にて「ふいご祭 感謝フェア」を開催した。昨年から始まった渡邊社長発案による催しで、地元の農業者、地域住民に同社およびスガノ製品に対する理解を深める目的で実施した。
また、渡邊社長は現在業務提携している石村鉄工と4月に合併することを明らかにした。合併後は、北海道における組み立て拠点として石村鉄工の工場を使用。部材を現地に送り込み、組み立てることで物流コストの削減を実現する。
感謝フェア初日は農家、2日目は地域住民を主体とした構成で、農家に向けた整備済みのリユース製品の予約販売とチャリティーオークションを行った。チャリティーオークションは、予定商品が完売となり、売上げは全額地元の美浦村に寄付した。2日目は屋台で豚汁、やきそば、焼き芋、じゃがバターなど飲食品の無料提供、工場見学会、超大型トラクタ同乗体験、茨城のヒーロー「時空戦士イバライガー」ショー・握手会など、子供から高齢者まで楽しめるイベントとなり、美浦村の中島栄村長も会場を訪れた。渡邊社長は「前回を上回る来場者数で感謝している。昨年は地域周辺の高校などからの工場見学が増え、認知度も上がってきた。祭りは地域の方々に感謝を伝えるとともに、弊社を知っていただく良い機会になる」と地域への感謝と祭りの重要性を述べた。
https://www.sugano-net.co.jp/information/pdf/info_20191218.pdf
4.丸山製作所が創業125周年でキャンペーン
今年創業125周年を迎えるのを記念し9月末までの間、「創業125周年感謝還元キャンペーン」を展開する。ハイクリブーム3型式、ラジコン動噴(自走仕様)2型式、同(フォーク仕様)2型式、背負動噴1型式、刈払機2型式、チェンソー2型式-の記念モデル機種を発売、それぞれ特別価格で提供する。
ハイクリブームの場合は、水平制御装置「ぴたっとアーム」「スプレーナビ(速度連動散布装置)」、全油圧機構「Jブーム」といった先進技術を備えつつ、価格は352万円(税込)に設定。また、ラジコン動噴は、ホースを引っ張ると自動で送り出す「サポートシステム」、コンパクトで軽量の送信機などを装備している。重要な整列巻取部には金属ナピア、金属爪、金属製スライダーを使用することで安心・使いやすさを追求した製品。
5.スズテックが宇都宮市のリーディング企業第1号に
昨年宇都宮市から“宇都宮市リーディング企業”の認定を受けたことを明らかにした。同認定は、宇都宮市が本年度から始めた事業で、同市に本社を置き、売上げや雇用において一定の規模を有する企業のうち、企業間の取引において、地域経済に貢献し成長性の高い企業を市が認定し、集中的かつ積極的な支援を実施することにより、地域経済に持続的な発展を図るというもの。同社はコネクターハブ企業として認定を受け、同社が認定第1号企業となった。
認定を受けることで宇都宮市の各種補助金の要件緩和が3年間にわたり受けられ、設備投資はもとより展示会出展を通じた販路開拓・拡大が期待でき、企業活動の手厚い支援が受けられる。同社では、“宇都宮市リーディング企業”の名称が使用できることは、同社の信頼性の証につながるとしている。
6.山本製作所が100周年記念誌を上梓
創業100年の歩みを振り返り編纂を進めていた「株式会社山本製作所100周年記念誌」をこのほど上梓した。タイトルは“光跡”(こうせき)。これまでの歴史に関わった人々と大切に築き上げた“功績”をつなげている。記念誌では、特集のハイライト100年の光跡から始まり、創業者山本惣治郎の残した「ひとから倒されても、人を倒すな。人には迷惑をかけてはならん」「早くきて箒を持つ人は成功してゆく人だな、真面目にやっている人には、必ず運は向いてくるものだよ」といった、光を放った言葉がまとめられている。
同社では「大正7年、農家の皆様の農作業を少しでも楽にして差し上げたいという思いから、製品の開発と販売を決断した創業者の精神、その原点の上に、現在まで数々の困難を乗り越えながら、脈々と継承してきた各時代の足跡をこの一冊にしたためました」としている。
7.サタケなどによる種籾温湯消毒が農業技術10大ニュース1位に
農林水産省農林水産技術会議事務局はこのほど、農業技術クラブの会員投票による「2019年農業技術10大ニュース」を選定した。1位には、東京農工大学、富山県、サタケ、秋田県立大学、信州大学による「薬剤と同等以上の効果のある種籾の温湯消毒を開発-事前乾燥が決め手!シンプル&安価で、環境にも財布にも優しく」が選ばれた。このほか、スマート農業に関するものが4課題選ばれ、スマート農業に関する関心の高さがうかがえた。
サタケ等の成果は、水稲の種籾を予め乾燥することで、通常より5度高い温湯消毒ができ効果を発揮する種子消毒技術を開発したもの。発芽能力を維持したまま、ばか苗病、いもち病、苗立枯細菌病、もみ枯細菌病に対して化学合成農薬と同等の効果を発揮する種子消毒技術で、薬剤が効かなくなった耐性菌にも効果を示し、使用する農薬を減らすことができ、環境にやさしい農業への貢献が期待できるとされている。
8.クボタのラジコン草刈機が日経優秀製品・サービス賞の優秀賞受賞
ラジコン草刈機「ARC-500」が「2019年日経優秀製品・サービス賞 優秀賞 日経産業新聞賞」(主催は日本経済新聞社)を受賞したと発表した。
同機は、コントローラーを使って遠隔から操縦できるラジコン型の草刈機。傾斜角度40度の急勾配でも安定して走行することができる。傾斜走行したときに下側に位置する鉄製の車輪を2つにして接地面積を増やしたほか、上側にエンジンやトランスミッションを配置して斜めでもバランスが崩れないような設計にしている。20m離れた場所から操作できる。角度センサーを搭載し、傾斜角度が25度以上のときは車輪を自動で上側に向かせることで走行経路を補正し、斜面からずり落ちることなく直進できるアシスト機能を加えている。
同社では、「今後も日本農業の競争力強化に向けた製品、サービス、ソリューションの提供を通じて、お客様の経営課題を力強くサポートし、日本農業を支えてまいります」としている。
9.クボタが米国のリンゴ収穫ロボット企業に出資
ロボット技術をベースとした農業分野の自動化を手掛ける米国のスタートアップ企業「Abundant Robotics社」に出資したことを明らかにした。
クボタは、社外パートナーとの連携によるオープンイノベーションの推進部門として、昨年6月に「イノベーションセンター」を立ち上げ、現在、昨年8月に「Advanced Farm Technologies」をはじめとしたスタートアップ企業との協業交渉を進めている。このたび、果樹農家でニーズの高い収穫作業に着目し、この分野で先進的技術を用いて、リンゴの自動収穫ロボットの開発を行っているAbundant Robotics社へ出資した。今回の出資により、リンゴ及び他の果樹収穫作業等の省力化・自動化のための技術開発を強化するとともに、これら技術を用いたソリューション事業を推進し、米国等における農作業の省力化・効率化に貢献していく。
10.クボタが創業130周年の新TV-CMをオンエア
1月1日から、長澤まさみさんを起用したTV-CMの最新作として、創業130周年をテーマに描いた「130年、これからも」篇(30秒)を全国でオンエア開始した。
新TV-CMでは、明治、大正、昭和、平成、そして令和に至る時代時代の社会課題に応える中で誕生した1万を超えるクボタ製品の中から、合計24点がCMに登場。雲海から差し込む朝日に照らされた製品を前に、自身のこれまでの歩みと、クボタの130年の歩みを重ね合せるかのような長澤まさみさんのナレーションとともに、「これまでの130年間に対する限りない感謝」と、これからも様々な社会課題に対し「壁がある限り、私たちはそこに向かっていく」という決意表明を象徴的に描いている。ロケ地は熊本県阿蘇市で、同社では「奇跡のような美しい朝日を撮影できた」としている。
https://www.kubota.co.jp/kubotainfo/pdf/campaign20191225.pdf
11.ヤンマーをパワーテクノロジー、グローバルCS、グローバルエキスパートに分割
2020年4月1日付でヤンマーホールディングスの100%子会社であるヤンマーを会社分割し、組織再編を実施することを決定した。ヤンマーは「ヤンマーパワーテクノロジー株式会社」に社名変更し、引き続きエンジン事業を管轄する。また、ヤンマーの部品サービス機能部門は「ヤンマーグローバルCS株式会社」として、コーポレート機能部門は「ヤンマーグローバルエキスパート株式会社」としてそれぞれ分社化し、新組織体制で運営する。新体制への移行に伴う主要人事異動は、機関決定を経て実施する予定。
新会社の概要をみると、ヤンマーパワーテクノロジーは、ヤンマーを社名変更し、エンジン事業を管轄する。同社は、パワーソース分野における世界基準の創造を目指し、ライフサイクルバリューの最大化と環境負荷の最小化を実現する技術ソリューションを提供する。ヤンマーグローバルCSは、ヤンマーグループの部品の販売、在庫管理を含めたアフターサービスを統括し、事業を横断した質の高いサービスを提供することにより、顧客満足度向上に取り組む。ヤンマーグローバルエキスパートは、ヤンマーのコーポレート組織(人事、総務、経理、IT、調達機能等)を分社化し、グループ各社へ専門的な高付加価値サービスを適正コストで提供する。
12.日本農業機械工業会が賀詞交歓会、農業機械で担い手を支える
東京・白金台の八芳園で、新年賀詞交歓会を開催し、農機メーカー、団体、官公庁などのトップら約220人が集い、新年を祝った。 会の冒頭、あいさつに立った木股会長は、最近の経済動向や米の作柄などに触れながら、農機業界の動きについて「私どもの農機業界では、昨年、ロボット技術やICT等の先端技術を活用し、超省力化や高品質生産等を可能にするスマート農業の実用化と現場への導入が着実に進み、新しい農業を体感頂ける機会が増えた」とし、「一方で、担い手の不足や高齢化による農業構造の急速な変化に対応するため、未来に向けて生産体制の再構築が求められている」との認識の下、「農業機械が、農業者を支える、より頼もしいパートナーとして、生産性向上の要を担い、しっかりと農業の担い手を支える役割を果たしていけるよう努めたい」と、日本農業への貢献への決意を述べるとともに、スマート農業、作業機付きトラクターの公道走行、農作業安全などへの対応を進めていく意向を示した。
来賓として、経済産業省製造産業局の春日原大樹審議官、農林水産省の水田正和生産局長がそれぞれ祝辞を述べ、農業機械によるイノベーションやスマート農業の推進など日農工の活動に期待を寄せた。
13.農業MOTプラットフォームが設立
技術経営(MOT)の手法を農業に本格導入し、そのプラットフォームとしてシステムを構築する「農業MOTプラットフォーム(MOT-Ag PF)」が設立された。都内港区の三会堂ビル石垣記念ホールにて設立総会及びキックオフセミナーが開催され、同PFの趣旨や活動計画の説明、技術経営やスマート農業に関する講演などが行われた。同PFはぶった農産・佛田利弘氏、ヤマザキライス・山崎能央氏といった先進農業者をはじめ、農林水産・食品産業技術振興協会や日本農業機械化協会、農研機構、JA全農などが発起人となり設立された。MOT農業経営を実践できる高度な技術力と経営力を有する農業者の育成、生産現場発の技術イノベーションの量産化を目指す。
主な事業内容は
- 「農業MOTスクール」の開設
- 生産現場の技術的課題と解決シーズを掘り起こすワークショップの開催
- イノベーション創出につながる研究・製品開発に係るプロジェクト形成、現場実証
- 研究・開発成果の普及
- その他講演会・セミナー
-など。
14.国交省が規制緩和、牽引式作業機付きで公道走行が可能に
国土交通省はマニュアスプレッダやスプレヤーなどトレーラタイプの農作業機を牽引した農耕トラクターの公道走行を可能にするための所要の法令の整備を行い、運用を開始した。これまで車両としての位置付けが明確でなかった、トレーラタイプの農作業機を「農耕作業用トレーラ」として国土交通大臣の指定する農耕作業用自動車に指定するなど告示の改正等を行ったもの。
これにより、1.灯火器を装備する、2.時速15km以下で走行する-などの一定の条件を満たせば、トレーラタイプの作業機を装着したままのトラクターの公道走行が可能となった。時速15km以下の走行であれば作業機側の制動装置は不要との判断がなされた。
制度改正の内容は
- トレーラタイプの農作業機を「農耕作業用トレーラ」として、道路運送車両法施行規則別表第一における、国土交通大臣の指定する農耕作業用自動車に指定
- 農耕作業用トレーラの判断基準として構造要件を規定
- 農耕トラクター及び農耕作業用トレーラの基準緩和の取扱いを規定する
- 農耕トラクターが農耕作業用トレーラをけん引したままで、公道の走行が可能となるよう、制動装置等の基準について緩和できる
-など。
https://www.mlit.go.jp/report/press/jidosha07_hh_000330.html
15.クボタが第73回クボタ機械ディーラーミーティング
京都市で2020クボタ新春の集いおよび第73回クボタ機械ディーラーミーティングを開催した。
創業130周年の佳節を迎え、創業者である久保田権四郎翁が鋳造会社を興して以来のクボタスピリッツ“やってできないことがあるものか”を改めて強調。新社長に就任した北尾裕一社長は、創業の理念に思いをはせ、同社の進路を考えていくと前置きし、その方向を共有し実現を加速するために今年は10年後を見据えた長期ビジョン「GMB2030」を策定、あわせて5年中期計画をつくることを明らかにした。機械事業本部の売上高目標を1.7兆円とした。また、食料、水、環境の各事業分野で、命を支えるプラットフォーマーとして仕事を進めてきたクボタは、イノベーションを生み出し、さらに製品からトータルソリューションへの事業転換を意識した事業運営を行っていくとし、取り組みのポイントに「One Kubota」「On Your Side」を掲げ、グループ全員が1つになり、顧客の課題解決にトータルでソリューションを提供していくことが必要と訴えた。
新技術対応の一環として、展示会場では無人・全自動運転の「X(クロス)トラクター」(コンセプトトラクター)、電動トラクターなどを初公開した。
16.井関農機が創立95周年記念ヰセキ全国表彰大会
東京・港区台場のホテルで、「2020年創立95周年記念ヰセキ全国表彰大会」を開催した。これには、輝かしい成績を上げた優秀特約店、セールスマン、サービスマンの代表約850名が参集、営業スローガン「ISEKI MAX95」のもと、100周年の節目に向け国内外でのシェア拡大を誓い合った。冨安社長は、「95周年を迎えるにあたり、創業の理念に立ち帰り、“需要家に喜ばれる製品”を通し、わが国並びに世界の農業に貢献していくことが 私たちの使命であり、我々は時代の流れ環境変化を上回る“変革”が必要である」と強調し、グループ方針として「国内は95周年でシェアアップ、海外は踊り場から脱し反転攻勢でシェアアップ」を掲げ、95周年にふさわしい成果を、と呼びかけた。
ついで、小田切元開発製造事業本部長と谷一哉海外営業本部長が挨拶。小田切本部長は、具体的なテーマとして、1.先端技術活用によるスマート農機2.畑作、野菜作への対応機3.大規模化による大型農機をあげ、「すぐやる」「必ずやる」「できるまでやる」を行動指針として取り組むと決意を表明した。谷本部長は海外事業は過去2年は停滞気味であり、本年度は反転攻勢の年とするため粉骨砕身の努力を誓った。販社表彰では最優秀賞にヰセキ北海道が輝いた。
17.小橋工業がヒューマノーム研究所と共同研究契約を締結
ヒューマノーム研究所とAI・IoT技術を用いた高度な農業機械の開発に向け、共同研究契約を締結したと発表した。共同研究では、土づくりに欠かすことのできない「作業機」と「耕うん爪」の双方について開発・生産を行う我が国唯一のメーカーと、医療から農業まで幅広い分野のデータ統合解析とAI開発を専門とするヒューマノーム研究所の技術力・知見を掛け合わせることで、AI・IoT技術を活用したスマート農業システムを実現し、持続可能な新たな農業を創造するとしている。
両社は、「私たちが健康な生活を営む上で、穀物や野菜といった食物を育てる農業は欠かせない。しかし、国内の農業従事者数は高齢化に伴い年々減少傾向にあり、持続可能な農業を実現するには、AIやIoT技術を用いたスマート農業システムの構築等により、生産性向上・作業効率化の推進が急務となっている」として、共同研究開発を進める。
18.日刊工業の第37回優秀経営者顕彰で諸岡CEOが受賞
日刊工業新聞社がモノづくり関連の優れた中堅・中小企業経営者を表彰する「第37回優秀経営者顕彰」(選考委員長・板根正弘コマツ顧問)は、このほど28名の受賞を決定。諸岡の諸岡正美CEOが「優秀経営者賞」を、東洋農機の太田耕二社長が「地域社会貢献賞」受賞した。その贈賞式が東京・飯田橋のホテルグランドパレスで行われ、日刊工業新聞社の井水治博社長より、それぞれ表彰状が授与された。
諸岡CEOの受賞理由はゴムクローラと全油圧機構による建設機械などを建機メーカー大手にOEM供給し、高い技術力を誇るとされ、諸岡CEOは「苦労や実績の積み重ねを第三者から評価され、長く会社を経営して、本当に良かったと感じている」と語った。
19.諸岡が賀詞交歓会、環境対応など強化
千葉県柏市のザ・クレストホテル柏において関係者240名余りを招き「令和2年諸岡協力会・賀詞交歓会」を開催。また、交歓会に先立ち、かねてより大成建設と共同で開発を進めている自動運転クローラダンプ「T-iROBO Crawler Carrier」の発表と「モロオカICT、IoTへの取り組み」についての記者会見を行った。
交歓会の席上、諸岡CEOは、「2020年は、これから大きく変化する10年の始まりの年である。激変する時代の大きな波に乗り遅れないために、着々とした地固めをしていく」として、ESG(環境・社会・ガバナンス)への開始、ICT推進室の創設、国連が掲げるSDGs(持続可能な開発目標)に沿った製品開発、また、今年4月にハード面の強化として、美浦に新工場を建設、今年3月に米国で開かれる「コネスポ2020」に360度全旋回キャリアの新製品を出展することなどを発表した。
その後、和顔施ヒトづくり経営研究所・中小企業診断士の掘正仁氏により「働き方改革を契機とする人を大切にする経営への転換」と題した講演が行われ、懇親会に移った。
20.キャニコムがビジョン300実現に新役員体制整備
経営方針である「ビジョン300」を実現させるため、2020年度(第66期)の新役員体制を決定した。
「ビジョン300」とは、
- 百年企業(100年間必要とされる企業となる)
- 百カ国取引(早期に100カ国で求められる企業となる)
- 百億円売上げ(早期に100億円の売上げを実現する)
この達成に向け、特に海外事業に注力するため、新たに海外担当経営役員を配置した。新任の経営役員では森泰彦氏が就任した。
21.ヤンマーアグリが2020年ヤンマーアグリグローバル大会
神戸市内のホテルで「2020年ヤンマーアグリグローバル大会」を開催した。これには特販店をはじめ来賓、インプルメントメーカー、海外23カ国の現地法人・ディストリビュータの代表など900名が出席した。
冒頭あいさつに立ったヤンマーホールディングスの山岡社長は、2020年4月からの新組織体制に触れ、各事業会社・機能会社が権限を持ち迅速な意思決定により自律的な経営を目指すとし、「最も変化に対応できるものが生き残る。ヤンマーグループは今後、変化を恐れず新たな挑戦を続けることで、さらに世界各地域で事業拡大を実現したい」と述べ、出席者に支援と協力を要請した。
また、増田社長はアグリ事業のビジョンである「農業を食農産業に発展させる」を確認した後、中期的な方向として「生産者の収益の拡大をヤンマーならではの先進技術とソリューション提案で実現すること」にこだわるとし、
- この3年間で1haの圃場の完全な無人作業を実現させ、生産者利益を倍増させる商品を世に問う
- 2025年から30年に向けて領域を米から野菜・畑作へ拡大、完全無人作業を、単体制御から複数台制御へ拡大する
- インドITL社と協力したトラクター「YM3シリーズ」に欧米仕様を追加、さらに30~40馬力のYM2シリーズを商品化
- 密苗の普及面積倍増
-など、チャレンジングなビジョンを披露した。
22.日本農業機械工業会が2019年1~12月実績発表
2019年1~12月の日農工統計によると、出荷金額は4609億4500万円、前年比103.0%と、前年を上回った。国内向け出荷金額は2709億100万円、同104.5%となり、平成25年から6年ぶりに増加に転じた。トラクター、田植機、コンバインはいずれも国内向け出荷台数が前年増となり、好調に推移した。昨年10月に導入された消費税増税に伴う駆け込み需要に加え、農地集約化の進展など担い手向けのスマート農業関連の大型機の需要が旺盛だったことなどで市場が活性化したとみられる。 国内向け出荷実績は、2013年に前年比117.1%(確定値)と二ケタ増となって以来、2014年から減少を続けていたものが、2019年は増加に転じた。国内、輸出を合わせた機種別の出荷実績は、トラクターが13万8806台、前年比100.4%、耕うん機が10万4249台、92.8%、田植機が2万3396台(うち歩行型387台)、防除機が17万9546台、コンバインが1万6056台、刈払機が88万3469台など。