令和元年8月9日発行
<業界短信-新製品8月>
- サタケが白米の品質診断及び精米工場の情報管理サービスを開始
- 丸山製作所が豆つぶ剤に対応のドローンを新開発
- タカキタがフリースイング機構採用のツインレーキ新発売
- 静岡製機が乾燥機のオプション部品交換の耐久セットを紹介
- 三陽機器が油圧ショベル向け新型ハンマーナイフモアを開発
<業界短信8月>
- ヤンマーホールディングスが31年3月期連結決算を発表
- 新潟のクボタファームがグローバルGAP取得
- ヤンマーミュージアムを10月にリニューアルオープン
- 三菱マヒンドラ農機が役員人事
- ヤンマーグループのライステクノロジーかわちがISO認証取得
- 三菱マヒンドラ農機の大型整備拠点が兵庫に完成
- 諸岡が阿見のデモセンター開所式を実施
- クボタが米国に芝刈機などの研究開発拠点を設立
- サタケが設備受注したフィリピン大型精米施設が竣工
- 日本農業機械工業会が2019年上半期農機実績を発表
- JA全農が4社に共同購入トラクター第2弾を開発要求
- ヤンマーの自動運転農機が農業食料工学会開発特別賞
- JA全農が通常総代会を開催
- クボタの田植機が機械工業デザイン賞・日本力賞を受賞
- 全国農業機械士協議会が富山で全国大会
- 大竹製作所会長の大竹和美氏が逝去
<業界短信-新製品8月>
1.サタケが白米の品質診断及び精米工場の情報管理サービスを開始
炊いたときのおいしさや精米の仕上がりを診断する、白米の品質診断サービスパッケージ「コメドックごはん」及び、クラウド型システムで精米工場の情報を効率的に管理できるサービス「精米生産の匠」を開始した。
前者については、昨年7月より主に玄米を対象とした米品質診断サービスパッケージ「コメドック」を展開しているが、今回これに加えて「コメドックごはん」を新たに開始する。なお、コメドック、コメドックごはんで12月25日まで特別価格で診断するキャンペーンを実施。
「コメドックごはん」の主な特徴は、
- 利用者から預かった白米を一定条件で炊飯して、基本セットに含まれるDNA品種鑑定と炊飯食味評価を必須項目として診断、オプション項目として精米の仕上がり評価を追加することができる
- 診断結果については数値による結果表記に加え、診断結果をもとにした栽培、乾燥調製、精米など各工程の具体的な改善策が報告書に記載される
- 産地精米に取り組む生産者や中小精米卸業者などの白米販売者は、顧客からのクレーム原因究明や品質向上に繋げられる
-など。
後者については、クラウド型情報管理システムである「サタケiネットワークシステム」を活用したサービスのひとつで、各工程の設備稼働履歴の記録や原料・製品の追跡、帳簿出力など、精米工場の運用に必要な機能を集約したもの。
「精米生産の匠」の主な特徴は、
- 入力されたデータは容易に閲覧、検索、出力できるため効率的に情報管理ができる
- データはサタケiネットワークシステムのサーバーで管理され、一括してバックアップされるため、端末に破損・消失などのトラブルが生じてもデータを保護
- スマートフォンやタブレットなどの端末からもサービスが利用でき、遠隔地からも稼働状況や在庫状況の確認が可能
- 拡張機能を利用すれば、品質に関する情報の付与や複数工場の管理も可能
-など。
2.丸山製作所が豆つぶ剤に対応のドローンを新開発
農薬散布用ドローン「スカイマスター」について従来の液剤散布用に加え、新登場のMMC1501では、新規開発した豆つぶ剤専用散布装置ZIN1400Pおよび1キロ粒剤専用散布装置ZIN1400Gを装着、それぞれの剤に対応する。とくに新潟県下では豆つぶ剤散布装置の実演会を催し、好評を得ているという。豆つぶ剤の場合は、ブリッジ現象により目詰まりを起こしやすいが、各散布専用装置はそれを解消する機構を備え、目詰まりを防いでいる。
主な特徴は、
- 散布ノズル自体の脱着、洗浄はもちろん、フィルター部分も片手でネジるだけで簡単に取り出せるため、作業後のメンテナンスが楽
- 離着陸アシスト機能を保有
- 新設計キャノピーで脱着式から開閉式に変更しバッテリーがセットしやすくしっかりと固定する
- 大容量の大型タンク
- 簡単なアーム折りたたみ。ロック固定状態からこれをワンタッチ解除し、アームを下げるだけなので軽トラの荷台にも余裕で積載
- 折りたたみプロペラ採用でプロペラの取り外し作業が不要に
-など。
3.タカキタがフリースイング機構採用のツインレーキ新発売
3点リンク直装式ツインレーキ「TR5570」を新発売した。適応トラクターは70~120馬力。ロールベールの作業幅に応じて、幅100~150cmのウインドローが作れ、作業能率の向上が図れる。
主な特徴は、
- フリースイング機構により旋回時での追従性が良く、圃場の四隅までムダなく作業が行える
- 2つのロータ間隔がトラクター油圧で調整でき、作業幅を500・530・550cmの3段階に設定できる
- ロールベーラの作業幅に応じて幅100~150cmのウインドローが作れ、作業能率の向上が図れる
- 油圧折りたたみ機構で機体幅2250mmに折りたため、移動が容易
- 1ロータ当たり7本のタインアームと3列タインにより、集草ロスを低減できる
- 正確なタインコントールを実現した3Dカムの採用により優れた集草性能が得られる
- 圃場条件に応じてタインと地面の高さを9段階に設定できる
-など。
4.静岡製機が乾燥機のオプション部品交換の耐久セットを紹介
茨城町で開催したJAグループの大展示会“ダイナミックフェア2019”において、シズオカ乾燥機「SSEシリーズ」(GLK・ELK・ELLA)に対応した、耐久性をアップした部品5点をワンパッケージとしたオプション部品交換の耐久セット「W3000L」を紹介、長期間乾燥機を使い続ける担い手農家などに最適なプランとして積極的な展開を進めた。“タフネスをプラス”とした耐久性セット「W3000K」(30~50石用)と「W3000LL」(55~70石用)は、乾燥機の耐摩耗性をさらに上げるため、主要部品にガス軟窒化処理を施しており、強度と耐久性をアップした部品5点(昇降機天板、吐出管・ライナー、分散板、熱風路屋根・補助風路屋根、流穀筒・底蓋)を購入時(既存SSEシリーズへの交換も可)に変更することで、より長期間の使用が可能となる。
これまで、大型(70石~100石)の乾燥機EXシリーズにおいては標準装備されている部品を、今回、熱風乾燥機GLKシリーズ、遠赤乾燥機ELKシリーズ、遠赤乾燥機ELLAシリーズにオプション部品として用意することにより、中型乾燥機の耐久性が大幅に向上する。
5.三陽機器が油圧ショベル向け新型ハンマーナイフモアを開発
油圧ショベル装着型の草刈機「ハンマーナイフモアHKM-1000PS」を開発、拡販を図っている。HKMシリーズは、平成9年から発売を開始し、手持ちの油圧ショベルを活かして安全に効率よく草刈り作業ができると好評を得てきた。そうした中、0.2~0.25立方mクラスの油圧ショベルに最適な製品をとの要望が多く、今回の同-1000PSはこれに応えた新製品。刈刃には新たにハンマーブレードを採用(ST仕様は標準、DX仕様はオプション)。高い慣性力で草刈り性能が向上し、12枚の同刃はランニングコストの低減と交換の作業時間短縮に貢献する。
主な特徴は、
- 本体重量の軽量化を図ったことで、0.2立方mクラスのミニショベルにも装着でき、バランスよく作業できる
- 刈刃には新たにハンマーブレードを採用。高い慣性力で草刈り性能が向上し、12枚の同刃はランニングコストの低減と交換の作業時間短縮に貢献
- 刈刃配列は好評の2条らせん方式。草刈り抵抗が低く作業効率がアップし、刈りムラも少なくきれいな仕上がり
- ナイフドラムとナイフバケット(刈刃取り付け部)は上位機種と同等の強度になり耐久性が向上
- ローラ部にスクレーパを採用、刈り草や泥などの付着を軽減
- ベアリング内蔵構造と大径ローラ採用で地面への追従性能と耐久性が向上
- ドラムカバーは、モア本体へのリンクの取り付け部を新たに設計、耐久性が上がった
- シンプル構造で容易に交換可能なソリを採用
- グリス配管を採用しナイフドラム軸のベアリングへのグリスアップが簡単 など。
-など。
http://www.sanyokiki.co.jp/product-guidance/kusakari-top-line-up/shovels-hammer-knifemore
<業界短信8月>
1.ヤンマーホールディングスが31年3月期連結決算を発表
平成31年3月期の決算(連結)を発表した。それによると、売上高は7966億2200万円(前期比104.0%)で、過去最高となった。損益面では、営業利益は81億300万円(同66.9%)、経常利益は139億4300万円(同80.5%)、当期純利益は21億2200万円(同19.6%)となった。また、売上高に占める海外売上高は前期に比べ6.3%増加し4151億円となり、海外売上高構成比は52.1%となった。令和2年3月期の連結業績予想は、売上高8600億円、営業利益207億円、経常利益220億円、当期純利益133億円としている。
決算概況をみると、海外市場において、北米・欧州・中国向けのエンジン需要が前年度に続き好調に推移し増収となった。建機事業では北米・欧州の堅調な需要継続に加え、中国の都市土木向け小型建機需要が好調に推移し増収となった。アグリ事業では、タイにおける農機需要が回復した一方、中国の減反政策、補助金停止により農機需要が低迷し減収となった。
また、国内市場においては、アグリ事業ではトラクタ販売が好調のため増収となった。建機事業では、堅調な住宅市況や建設需要、災害対策の影響で需要が増加したことにより増収となった。エネルギーシステム事業では、空調事業が水害の影響により減収した一方で、発電事業が防災対策需要を受け増収となった。
2.新潟のクボタファームがグローバルGAP取得
クボタグループが全国に展開している実証ファーム「クボタファーム」のうち、新潟県内の2ファームが近隣の法人とともに「GLOBALG.A.P.(GGAP)」を取得したと発表した。クボタファームでのGGAPの認証取得は初めて。取得した農場は、NKファーム新潟とNKファーム村上で対象作物は米。
GGAP取得の目的は、
- 適切な農場運営により、労働環境の改善や仕事の効率化を実現し経営を改善
- 生産工程における安全管理を明確にすることにより、安心安全の農作物栽培を実現
- 国際認証規格を取得することにより、信頼できる農場として積極的にアピールし、輸出促進と販路の拡大を目指す
としている。
また、今後の取り組みについては、
- GAP取得の経験を基に、GAP取得を目指す農家への支援に取り組む
- 香港、シンガポールへの更なる米輸出の拡大、新規輸出国の開拓による販路の拡大に取り組む
- GAP認証が条件である東京オリンピック・パラリンピックの選手村などへの米供給の実現に取り組む
としている。
3.ヤンマーミュージアムを10月にリニューアルオープン
ヤンマー100周年記念事業の一環として、創業者山岡孫吉翁の生誕地である滋賀県長浜市に設立したヤンマーミュージアムを、2019年10月5日にリニューアルオープンする。ヤンマーミュージアムは、2013年3月にオープン以来、累計で約55万人が来館。昨年9月からリニューアル工事のため休館していた。同社では、今回のリニューアルでは、「やってみよう!わくわく未来チャレンジ」をコンセプトに、未来の社会を担う子どもたちが、見て・触れて・体験しながら学ぶことができる、チャレンジミュージアムとして生まれ変わるとしている。
施設内は、創業者である山岡孫吉翁のチャレンジ精神を紹介するストーリーシアターや、農業や漁業を仮想体験できるブースのほか、プレジャーボートや建設機械の操作体験シュミレータなど、大地・海・都市のフィールドで活躍するヤンマーの製品と連動したコンテンツに挑戦することができる。体験型のコンテンツを通じて、チャレンジ精神を育むだけでなく、食料生産、エネルギー変換、街づくりなど、持続可能な社会のあり方をワクワクする体験を通じて学ぶことができる。さらに、ヤンマーの歴史を伝えるコーナーや動植物観察ができるビオトープなどの学習に繋がるエリアも充実させるほか、オリジナルグッズが購入できるショップや地元食材を取り入れたカフェテラスも併設する。
4.三菱マヒンドラ農機が役員人事
定時株主総会並びにその後の取締役会で、役員を選任、それぞれ就任した。それによると、浅谷祐治氏がCTO取締役副社長(最高技術責任者、開発・設計統括部長)に就任した。前任の久野貴敬氏は執行役員(建設業法における経営業務の管理責任者)に就任した。
5.ヤンマーグループのライステクノロジーかわちがISO認証取得
グループ会社のライステクノロジーかわちが米由来の食材「ライスジュレ」(米ゲル)を製造するライステクノロジーかわち本社工場において、食品安全マネジメントシステムの国際規格である「ISO22000」認証を2019年6月26日付で取得した。同社では、2017年より「ライスジュレ」の生産を行っており、全国の食品企業や製菓・製パン店、レストランなどへ出荷している。今回「ISO22000」認証を取得したことにより、これまで以上に安全・安心な商品の提供に努めていくとしている。
なお、「ライスジュレ」は、米の新たな需要開拓で農家の安定的な収益の確保を目指して量産化した、お米と水だけで出来たゲル状の食品素材。保水性、乳化性、増粘ゲル化安定などの独自の機能を有し、パンやお菓子の食感改善や、ハンバーグや麺類のつなぎ、ソースやスープのとろみなど、様々なシーンにおける食の課題を解決する。
6.三菱マヒンドラ農機の大型整備拠点が兵庫に完成
子会社である三菱農機販売が兵庫県丹波篠山市に大型整備拠点となる「アグリサポートセンター(ASC)近畿」をオープンした。大型整備拠点の全国展開の一環として、昨年1月に宮崎県に完成した「ASC南九州」に続く大型整備施設で、近畿地区並びに兵庫以西も広くカバーし、西日本地区のサービス事業の品質向上と迅速化、シェア向上を目指す。周辺地域のさらなるサービス体制の拡充を目的に、稲作から畑作、酪農まで幅広い農業経営が営まれている兵庫県の中東部に位置する丹波篠山市に建設した。敷地面積は2809平方m、整備施設建築面積は470平方m、営業所や製品/整備機用倉庫も含めた総建築面積は1016平方m。大型機械の整備にも十分に対応できる大型整備拠点。
オープンに先立ち、去る7月4日には同社から田中社長、鶴岡裕上級執行役員営業戦略統括部長兼国内営業部長、三菱農機販売から小林社長らが出席して落成式、施設内覧会を行った。また、翌5日から2日間、設立記念展示会を開催し、1800名以上来場者でにぎわい、多くの新規契約を獲得した。同社では、「お客様の農業経営と農業機械のロングライフをサポートすべく、さらなるサービス体制の拡充、サービス品質の向上と迅速化を推し進めてまいります」としている。
7.諸岡が阿見のデモセンター開所式を実施
茨城県稲敷郡阿見町に開設した試験開発・デモセンター“AMI(阿見)デモセンター”に関係者100名余りを招き、開所式を開催した。同センターはICTの活用によるi-Constructon、スマート農業、スマート林業などに対応する製品開発や現場利用体験などを推進する施設として建設。6800平方mの敷地に、最大40度の急勾配エリア、破砕エリアなどの実演会場、また、様々なシチュエーションを再現したテストコース、遠隔操作用のオぺーレーションルーム、さらに、ウッドチップを敷きつめた、快適環境のバーベキューもできるレクリエーションエリアなどを配置。
当日は、最新のモロオカ製品の実演、ドローンによるデモンストレーションが行われた。開所式では諸岡正美社長が「主要取引の1社である牛久産機さんが所有する敷地を借り、素晴らしい試験・開発デモセンターを開設することができた。これまで、デモンストレーションは遠方まで出向くことも多く、今回、本社に近く利便性のよい場所に開設できた。阿見町を英語のAMIとして、AIの中央にモロオカのMを意識し、ICTなどに対応した製品開発をより迅速に進めていく」と挨拶。牛久産機の張替正一社長は「センターの造成には、モロオカの木材破砕機を使い、敢えて舗装しないウッドチップを敷きつめたロードの作成、また、伐採した木材は正面ゲートに有効活用するなど、自然に優しい施設となっている。AMIデモセンターをフル活用して、これからも他社にない、斬新な機械開発をして頂きたい」と来賓挨拶した。
モロオカ製品の実演会は、登り、下り、旋回、軟弱地盤など様々なシチュエーションを再現し、車両の動きを体感できるテストコースで行われた。その後、TEADの農業用マルチローターの実演も行われた。
8.クボタが米国に芝刈機などの研究開発拠点を設立
米国ジョージア州に用地を取得、北米を中心に事業を展開している芝刈機、ユーティリティビークルなどの現地開発を本格化するための研究開発拠点を設立すると発表した。敷地面積は約120万平方m、投資総額は約8500万ドル。開所時期は2022年4月を予定している。
同社はグローバル開発体制の一環として北米製造拠点(KMA:クボタマニュファクチュアリングオブアメリカ)内で2011年から一部芝刈り機の製品開発を行ってきたが、この度新たな開発拠点を設立し、製品開発を本格化。市場に密着して現地特有のニーズを迅速かつ的確に捉えながら、日本の研究開発拠点の基幹技術や先端技術も活用することで独自性があり、魅力的な製品を提供していく。新研究開発拠点では、北米を中心に事業を展開している芝刈機、ユーティリティビークル等の現地開発を本格化し、今迄以上に市場ニーズに応える製品をスピーディに投入することで顧客満足の向上を目指すとしている。
9.サタケが設備受注したフィリピン大型精米施設が竣工
フィリピンのチェン・イー社(代表=パトリック・レヌッチ氏およびレイチェル・レヌッチ・タン氏、本社=マカティ市)より関連設備のすべてを受注し、同国中部のレイテ島に建設していた大型精米施設がさきに竣工、本格稼働した。
チェン・イー社がフィリピン中部のレイテ島タクロバン市近郊に建設したのは、処理能力30tの乾燥機10台および毎時7tの精米加工ラインを持つ、同島最大級の精米加工施設。半世紀にわたり同国へ穀物加工機器を供給してきた実績と、高品質な米に加工する技術力が評価され、加工ライン設計と関連設備の全てをサタケが受注した。5日の開所式には、同国のドゥテルテ大統領も臨席した。
稼働した精米施設は稲作効率化の中心に位置づけられる。パトリック・レヌッチ代表は、「困窮するレイテ島の農民を支援するには、稲作の抜本的な改革が必要だ。この東南アジアで最新鋭の精米施設を活用し、同島最大の米生産者となる我々が効率的に生産性を上げていく。機械化で生産コストを下げると同時に、面積あたりの収量を上げ、米の品質を上げる。フィリピンはまだ米を輸入しているので、値段と品質で輸入品に負けない国内産米がレイテ島で生産できれば、必ず農民の収入も増やすことができる」と述べている。
10.日本農業機械工業会が2019年上半期農機実績を発表
2019年1~6月の日農工統計を発表した。それによると、今年上半期の農機出荷実績は2390億4800万円、前年同期比104.6%と前年を上回った。特に、国内向け出荷が1450億9500万円、同111.6%と2ケタの伸びを示し好調に推移した。トラクター、田植機、コンバインの主要3機種がそれぞれ国内向けに増加し、貢献した。輸出向けは939億5300万円、同95.4%と減少した。生産額は2426億8600万円、同114.8%と、大きく増加している。
国内向けの1~6月の出荷実績を機種別台数ベースでみると、トラクターは、20PS未満は3918台、前年同期比102.8%、20~30PSは7584台、104.2%、30~50PSは5763台、119.2%、50PS以上は5685台、188.0%と、各クラスで前年を上回った。50PS以上では2倍近い伸びとなっている。30~50PSクラスについては、排ガス3次規制特需の反動減が一巡し、回復に転じた。50PS以上のクラスついては、JA全農の規共同購入トラクターを始め、各社が市場投入した低価格トラクターにより、市場が活性化したとみられる。乗用田植機は、14266台、105.1%と増加した。コンバインは、自脱型は5821台、133.2%、普通型は381台、173.2%と大幅に伸び、好調だった。
11.JA全農が4社に共同購入トラクター第2弾を開発要求
井関農機、クボタ、三菱マヒンドラ農機、ヤンマーアグリの各社に対し、28~35馬力クラスの共同購入トラクターの仕様を提示し開発要求したことを明らかにした。来年7月に製品を発表、同10月に供給を開始する予定。要求仕様は、「自動水平制御、同深耕制御、倍速ターン、ノークラッチ変速、標準3点リンクのオートヒッチ装着可能」で、従来よりも低価格での供給を目指す。開発トラクターに関しては、令和2~4年の3カ年で2000台の目標を掲げ、今秋から購入の事前申し込みをスタート。2年3月末までに台数を取りまとめる。
この取り組みは生産資材のコスト低減を目指すJAグループ自己改革の一環として、トラクターの共同購入で第2弾となる取り組み。第1弾として取り組んだ大型トラクター(60馬力クラス)に続くもの。メーカー4社に要求した仕様は、JAグループ職員による1万名を超える生産者アンケートにもとづくニーズ分析や、生産者代表との意見交換を通じたニーズ把握などをもとにまとめた。積上げた台数を背景に全農がスケールメリットを活かしてメーカーから一括して仕入れることで、生産者の購入価格の引き下げにつなげる。また、仕様については、中型クラスのトラクターは、メーカー毎に作業機の取付ヒッチが異なるものの、生産者からはヒッチ統一への強い要望があることから、ヒッチ統一によって、幅広い作業への対応を可能にし、生産者の生産面積や栽培品目の拡大を支援するとしている。
12.ヤンマーの自動運転農機が農業食料工学会開発特別賞
一般社団法人農業食料工学会はこのほど、2019年度「開発賞」を発表した。開発特別賞にはヤンマーアグリ「自動運転農機SMART PILOTシリーズの開発」が選ばれた。
開発賞は井関農機「ISEKIアグリサポートと農業支援サービスの連携」、NECソリューションイノベータ「NEC GAP認証支援サービス」、クボタ「自動運転アシスト機能付きアグリロボコンバインWRH1200Aの開発」、静岡製機「米の自動品質検査システム」の4件が受賞した。表彰式は9月3日、北海道大学農学部で開催される合同国際大会内で行われる。
13.JA全農が通常総代会を開催
東京・赤坂のANAインターコンチネンタルホテル東京で、第43回通常総代会を開き、平成30年度事業報告などを承認した。30年度の取扱高は4兆5925億円で計画比100%を達成した。このうち農機は1277億円で、前年比101%となった。あいさつした長澤会長は、変革に向け「スマート農業への挑戦が重要なカギとなる」と指摘し、取り組みを促した。
また、役員体制を決定し、新任の経営管理委員として石川寿樹、泉義弘の両氏、監事として大河原秀一郎氏をそれぞれ選任した。理事改選では新任理事として竹本尚史、倉重徳也、齊藤良樹の各氏が選ばれた。
14.クボタの田植機が機械工業デザイン賞・日本力賞を受賞
田植機ナビウェルNW8Sが、第49回機械工業デザイン賞(日刊工業新聞社主催)の「日本力(にっぽんぶらんど)賞」を受賞した。昨年のアグリロボトラクターに続くもので、都内で行われた贈賞式には、常務執行役員の南龍一作業機事業部長が出席。南常務は「人手不足、老齢化、軽労化などの課題解決に向けて、我々もいろいろなところで改善していきたい」と喜びを語った。同社では「受賞を励みに、今後も日本農業の競争力強化に向けた製品、サービス、ソリューションの提供を通じて、お客様の経営課題を力強くサポートし、日本農業を支えていく」としている。
「ナビウェル(NW8S)」は、低コスト稲作を志向する担い手農家向けにGPSを活用して高精度化、低コスト化に寄与する新機能を搭載した田植機。ボンネットカラーもトラクターやコンバインと同じであるオレンジカラーに一新、田植機では業界初の4.3インチのカラー液晶パネルを搭載し、機械の状態や作業の設定など文字とイラストでわかりやすく表示している。
15.全国農業機械士協議会が富山で全国大会
富山市新総曲輪・富山県農協会館などで第44回農業機械士全国大会富山大会を開催し、全国から農業機械士ら約200人が参集した。初日には同協議会通常総会が行われ、平成30年度事業報告及び収支決算、令和元年度事業計画及び収支予算、役員改選、第45回全国大会開催などについて審議し、事務局原案通り可決した。役員改選では伊藤一栄会長を再任したほか、新規で副会長兼幹事長に小川雅器(千葉機械士協)、副会長に金本哲弥(広島機械士協)、幹事に栗原宣夫(茨城機械士協)、理事に新垣智也(沖縄機械士協)の各氏をそれぞれ新任した。
また、午後には農業機械士全国大会式典が行われた。式典では主催者挨拶として伊藤会長が壇上に立ち、「日本農業のために我々機械士がさらに力を尽くしていきたい」と力強く語った。式典後、講演に移り、富山県厚生農業協同組合連合会・大浦栄次氏による基調講演や事例報告、クボタプラテックなどメーカーによる情報提供「水田圃場水管理システムの紹介」が行われた。
16.大竹製作所会長の大竹和美氏が逝去
大竹和美氏(大竹製作所・代表取締役会長)が逝去した。享年96歳。告別式は愛知県名古屋市の愛昇殿にて厳かに執り行われた。喪主は大竹敬一氏(大竹製作所社長)。大竹氏は昭和43年に社長に就任し、平成6年より会長職に就いた。平成8年まで日農工の理事を務め、平成2年には藍綬褒章(産業振興功労)、平成7年には勲五等双光旭日章を受章した。