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農業機械関連ニュース

令和元年5月10日発行

<業界短信-新製品5月>

1.ヤンマーの新エンジンが欧州排ガス5次規制認証取得

2019年より量産を開始した高出力産業用エンジン「4TN107FHT」(シングルターボ、排気量4.6L、90~110kW)と「4TN107FTT」(ツーステージターボ、4.6L、127~155kW)の2機種において、2020年から施行される新しい欧州ノンロードディーゼル第5次排出ガス規制(通称EU StageⅤ)の認証を取得したと発表した。両エンジンはドイツ・ミュンヘンで開催された「bauma2019(国際建設機械見本市)」にて展示された。
 欧州ノンロードエンジン第5次排出ガス規制は、欧州におけるノンロード移動機械に搭載されるエンジンに対する新しい排出ガス規制で、通称EU StageⅤと呼ばれ、エンジン出力値により2019年から2020年にかけて規制開始となる。この規制では、従来対象外だった19kW(25.8馬力)未満のディーゼルエンジンも新たに規制対象となる。19kW以上はNOxやPMの規制値が一段と厳しくなるとともに、新たにPN規制(一定単位当たりに含まれる粒子数の規制)が追加され、概ね世界で最も厳しい排出ガス規制となる。

2.スガノ農機がタインローラと新型スタブルカルチ発売

本社で記者会見し新製品として砕土整地機「タインローラ」4タイプ8型式を発表するとともに、主力のスタブルカルチシリーズ全製品のローラを一新。水田耕起時のローラへの土詰まりを大幅に改善し、より砕土性を向上させると同時に新たに効果的に鎮圧できるスパイラルローラを開発、新型6タイプ43型式を発表した。発表では現地・現場・現実を重視して、「いまあるものをより良いものに」、さらに「新しい作業体系」の提案に取組んできたとし、これが今回の新製品「タインローラ」と新型スタブルカルチに結び付いた、とした。
 タインローラの主な特徴は、

  1. 砕土用のスプリングタインと2種類のローラ(パッカーローラ、スパイラルローラ)組み合わせたシンプル・高能率・経済的なPTO不要の砕土整地機
  2. 作業深度(0~10cm)前提に、従来の複合作業体系であるパワーハローとドリルシーダのコンビネーションでは作業速度がパワーハローの速度(6~8km/時)に制限されるが、「タインローラ」の後方3点ヒッチ付タイプは、PTO駆動の制限を受けることがないので、最高14km/時で砕土整地同時播種が可能となり、作業効率が大幅に向上
  3. 2.5m仕様で約160kg軽量化し、全長で600mm短くし、適応135PS以上のトラクターから100PSにし、3m仕様では海外製トラクター135PS以上を、国産含む135PS以上とした

-など。


 スタブルカルチの主な特徴は、

  1. 砕土性、耕起性能はそのままに後端のローラの形状を一新
  2. ローラのパイプ部に捻りを加えることで、土詰まりを大幅に抑制しながら、砕土性を向上させる2種類のパイプローラと、同時に鎮圧できるスパイラルローラの計3種類のローラを新開発
  3. すべての機種が油圧跳ね上げアタッチメント(別売)に対応し、これを装着することでローラ部を90度跳ね上げて、圃場の端からの作業を可能にし、これまで未耕地部分をロータリで処理する手間をなくした

-など。

3.本田技研工業が電動パワーユニットを初公開

業務用作業機器向け電動パワーユニット「eGX」プロトタイプをドイツのミュンヘンで行われた「bauma2019(国際建設機械見本市)」で世界初公開した。今回公開したeGXは、各種作業機械用動力源の汎用エンジン「GX」シリーズの信頼性や搭載性はそのままに、エンジンでは対応が難しいとされる坑道内や住宅近接エリアでの夜間工事といった使用環境における建機市場ニーズに応えたゼロエミッションパワーユニットとして開発を進めている先進の電動パワーユニット。特にこのプロトタイプは、長年GXシリーズで培ってきた耐久信頼性についてのノウハウを活用し、ランマーやプレートコンパクターといった激しい振動を伴う建設機械への搭載を前提に開発を進めているもの。
 主な特徴は、

  1. モータには、専用の三相ブラシレスDCモータを採用。同社の長年に渡る発電機開発で培った絶縁技術、オルタネーターの巻線技術により、高効率・高出力化を実現
  2. バッテリーは着脱式のリチウムイオンバッテリーパックを採用することで、利便性と作業効率を追求
  3. Honda汎用エンジンGXシリーズとの優れた互換性を持ち、フランジ取り付け穴およびシャフトの寸法はGX(R)100/120と同一、外観寸法はGX120と同等
  4. GXシリーズと同等の高い耐久信頼性ならびに耐振性
  5. 電動ならではのメリットとして、操作性(スイッチ操作のみの簡単始動)、メンテナンスの軽減、環境負荷物質HC/NOx/CO2排出ゼロ

-など。

4.井関農機が水稲スマート農業一貫体系を提案

水稲作機械体系におけるスマート農業一貫体系の実現に向け、ベジタリア、積水化学工業、スカイマティクス、国際航業の生育管理・生育診断商品の取り扱いを開始した。日本農業の構造変化により、生産性の向上に向けたICTや先端技術等を活用したスマート農業が求められているのに応えた。
 同社は、これまで業界初の可変施肥田植機の市場投入や作業・機械管理システム「アグリサポート」「スマートファーマーズサポート」と提供といった独自の展開に加え、農業ICTツール「アグリノート」(ウォーターセル)との提供との機械連携など、他社製品の連携にも取り組んできた。今回これらの展開に加え、各企業が取り扱う生育診断・生育管理商品の提供を開始することで、水稲作におけるスマート農業機械化一貫体系を提案する。同社では、「農業ICTの活用による農業経営効率化に向けた提案を通して、より多くの生産者の夢ある(=儲かる)農業の実現に貢献していく」としている。
 今回新たに取り扱う商品は、ベジタリアの水田センサー「パディーウォッチ」・農業センサリングシステム「フィールドサーバー」・屋外乾電池式IoTカメラ「フィールドカム」、積水化学工業の水田水管理省力化システム「水(み)まわりくん+エアダスバブル」、スカイマティクスの葉色解析クラウドサービス「いろは(IROHA)」、国際航業の営農支援サービス「天晴れ」。

5.クボタが農機の稼動管理サービス提供開始

複数の農業機械を保有・運用する担い手農家が、離れたところでもスマートフォンで農業機械の位置情報や稼動状況を確認できる「MY農機」のサービスを開始した。ICTを活用した新型KSAS対応機スマートフォン向け稼動管理サービスで、運転席の操作パネルに表示される対象機械の異常や部品交換時期などの各種アラート、燃料の残量等、各種情報をわかりやすく見える化することで、担い手農家の「順調作業」をサポートする。対象は、直接通信ユニット搭載機(4月現在、自脱型コンバイン「ディオニスシリーズ」及び普通型コンバイン「WRH1200」)と、KSAS営農コースのユーザー。利用料金は無料(通信料はユーザー負担)、パソコン版は9月開始予定。
 主な特徴は、

  1. 稼動中の機械情報の見える化=稼動中の機械の位置情報や当日の稼動時間がスマートフォンの地図上に表示され、作業のおおまかな進捗状況が把握できる。DPFの再生状況や機械の異常の有無が表示され、万が一異常がある場合にはその対処法も確認できるので、速やかな応急処置が可能。燃料や尿素水の残量が表示される
  2. 作業実績の見える化=機械ごとの作業時間内訳、燃料消費量などが1日単位で2カ月分確認できる
  3. メンテナンス状況の見える化=定期交換部品の交換タイミングのアラートが表示されるので、メンテナンスのタイミングも把握できる。さらに、画面をタップすると交換手順も確認可能。アラートに対応したメンテナンス履歴は自動的にMY農機にも保存され、アラートの発生履歴が確認できるので、機械のメンテナンス計画に活用できる

-など。

<業界短信5月>

1.JA全農が臨時総代会を開催

都内千代田区のパレスホテル東京において第51回臨時総代会を開催した。全国から組合員を代表する総代約230名が出席し、新規の3カ年計画(平成31~33年度)ならびに平成31年度事業計画設定などの各議案について議論を行い、全て事務局の提案通り承認された。3か年事業計画では「全力結集で挑戦し、未来を創る」をスローガンに掲げ、5年後、10年後を見据えた取り組みを展開。目指す方向として、作物別・品目別戦略策定による農業総産出額の計画的・段階的な拡大、マーケットニーズをふまえた販売戦略の構築、元気な地域社会づくりへの支援、急変する海外動向に対応した新たな海外戦略の構築、会員還元の最大化を示し、これを具現化するため、生産基盤の確立や、食のトップブランドとしての地位の確立、JAへの支援などを進めるとした。取扱計画は33年度に5兆円、投資計画は3カ年で1150億円程度(前期に比べ倍増)を設定。
 農機関連では、営農・生産資材事業において生産コスト低減に向け、共同購入トラクターの取り組み拡大を進める。30年度は800台を超える納品実績見込みとなった。3か年計画では30~32年度の3か年で2400台の購入目標達成を目指す。また、32年度からは次期共同購入として年間を通して使用する中型トラクター(35~40馬力クラス)を対象として取り組む予定としている。また、営農管理システム「Z-GIS」やドローンなど各種ICT技術の活用・普及促進とICT搭載農機等に対応する人材の育成を進める。6月よりナイルワークスと連携し完全自動飛行型ドローンの供給を開始するほか、大手ロボットメーカーと連携し、収穫ロボット等の開発を検討している。

2.本田技研工業がダイバーシティ経営企業100選に選定、大河内賞も受賞

経済産業省が実施している「新・ダイバーシティ経営企業100選」に選定されたことを明らかにするとともに、同社の完全子会社である本田技術研究所が公益財団法人大河内記念会が主催する「第65回大河内記念技術賞」を受賞したと発表した。
 「新・ダイバーシティ経営企業100選」は、経済産業省が、ダイバーシティ推進を経営成果に結びつけている企業の先進的な取り組みを広く紹介し、取り組む企業のすそ野拡大を目的として、経済産業大臣表彰を毎年実施しているもの。表彰式は3月22日に都内で行われた。同社は、「ホンダフィロソフィー」における「人間尊重」の考え方に基づき、人材多様性の進化のありたき姿を「多様な属性・価値観を持つ〝個〟が活き活きと輝くことで、企業総合力を最大限発揮すること」と定義し、2015年に多様性推進室を立ち上げ、女性活躍拡大をはじめとする社内のダイバーシティ推進に積極的に取り組んできた。主に日本における女性活躍拡大として、「意識・風土改革」「キャリア形成支援」「制度・環境整備」を柱に推進。これらの取り組みにより、女性管理職数の増加や従業員活性度の向上へつなげてきた。今後は、人材多様性の推進を女性のみならず全従業員へ展開し、さらなる進化・拡大を図っていくとしている。
 一方、本田技術研究所は、大同特殊鋼、その完全子会社であるダイドー電子とともに、「ハイブリッド自動車用重希土類フリーネオジム磁石および駆動モータの開発」の業績に対し、大河内賞が贈られた。この賞は生産工学、生産技術、生産システムなどの分野で、学術の進歩と産業の発展に大きく貢献した業績に対して、大河内記念会が表彰するもの。贈賞式は3月26日都内で行われた。

3.ヤンマーのビアテラス&ベーカリーカフェが期間限定オープン

東京支社ビル跡地を活用した、緑あふれる都会のビアテラス&ベーカリーカフェ「THE FARM TOKYO」(ザ・ファーム・トーキョー)がグランドオープンした。2019年10月31日までの期間限定。この「THE FARM TOKYO」は、こだわり野菜や食材を使用したオリジナルメニューと、サントリービールが展開する“神泡”の「ザ・プレミアム・モルツ」が一緒に味わえる野外型飲食施設。日本の玄関口ともいえるJR東京駅前で食と自然と人をつなぎ、わくわくできる豊かな食体験の提供を目指す。ヤンマーがグループを挙げ独自に展開する「食農産業」分野からライスジュレやお米、にんにく、牡蠣など、選りすぐりの食材を来場者にダイレクトに届ける舞台ともなっている。同社では、「来場する消費者に美味しくて、ワクワクできる食体験をいかに提供して楽しんでもらうか。実際に提供する商品の安全・安心、健康を考えながら消費者と生産者をつなぐ場を目指す」とし、ヤンマーの食に対する考え方や食への取り組みについて、商品やコミュニケーション活動を通じて情報発信をしていく拠点として活用し、より多くの消費者、生産者との接点を増やし、ヤンマーの食への取り組みを発展・増幅させていきたい考え。
 入口左側にはキャビン仕様の真紅の最新鋭トラクター「YT357AJ」が展示され来場者を迎える。中には、プレマル特選食材の「やぶ医者にんにくソーセージとにんにくソース」や飯盒で炊いたヤンマーこだわりのお米のBBQコーナーや、ヤンマー特選食材などを使用したグリル料理や野菜を提供するグリルコーナー、ライスジュレを使ったソフトクリーム、オリジナルデザートを販売するプレミアムマルシェショップ、神泡のザ・プレミアム・モルツが楽しめるバー、中目黒の人気ベーカリーコーナーなどがある。
 また、これに先立ち、ヤンマーは4月1日付で「食事業推進室」を新設。室長には小林直樹専務が就任し、スタッフは30名規模でスタートした。

4.山本製作所がロゴマーク含むブランドイメージを一新

4月よりロゴマークやHPを含むブランドイメージを一新し、次の100年へと続く、未来への一歩を踏み出した。同社は昨年、創業100周年を迎えた。迎えた2019年が新たな歴史の扉を開ける大切な年として新たな取り組みを進める。同社では、モノづくりを通し「食の安全を守る」「地球環境を守る」企業として、受け継がれてきた伝統と技術で101年目から、新しい歴史を築いていくとしている。その決意を表す一環として、4月1日よりロゴマークを含むブランドイメージを一新。同社では「図らずも、時を同じくして日本は、新しい年号を迎えようとしています。地元山形から世界へ。お客様とともに、新たな時代を作りあげていきます」と抱負を語っている。101年目からミッションとして「いのちを支える食と環境の分野で挑戦するあなたが夢を叶えるため〝つくる力で想いをかたちに〟。私たちは信頼の輪で結びつき、豊かな地球の未来をつくる」。また、ビジョンとして「つくる力で世の中をワクワクさせる」と発表した。
 新しいロゴマークは、シンボルマークは同社の経営理念(人つくり・商品つくり・豊かさをつくる)を基に作成。それぞれのオブジェに「つくる」の意味を込め、3つの「つくる」によって「Y」の文字が構成されている。オブジェの形状は鳥の翼をモチーフにし、飛躍を表している。また、支える土台(人)がしっかりしなければ良い商品は生まれないことから、マーク底部は、水平の先端形状にして「強固な土台」を表現している。また、HPはフルリニューアルを行い、制服は冬服・ツナギ・夏服を変更した。

5.諸岡が2018年度業績見通しや中期3カ年計画、組織変更発表

本社で記者会見を行い、2018年度の業績見通しと、2021年度に向けた新たな中期3カ年計画を発表した。また、それに伴う組織変更と、新役員人事を4月1日付で行ったことを明らかにした。
 創業60周年を迎えた昨年・2018年度のモロオカグループ全体の売上高は184億円、営業利益17億円と売上げ・利益とも過去最高を記録。これまで進めてきた、生産体制・QCD基盤の整備、人的基盤の強化、業務管理体制など強固な基盤づくりなど、社内基盤整備のすそ野の広がりと、また、360度旋回するキャリアダンプ「くるくるキャリアシリーズ」、ゴムクローラフォークリフト「MFDシリーズ」、横入れ式木材破砕機など新製品の投入、さらに、キャリアダンプなどの大型化、さらに、モロオカアメリカ、モロオカヨーロッパなど海外における積極的な営業展開が売上増につながった。
 2019年度より「Be the Great Niche Company」をテーマに、新たな中期3カ年計画をスタートする。具体的には、「アースクリエイター」と銘打った方針のもと、3つの言葉を基本として進めていく。1つ目は「イノベーション」共創・協働によるハード・ソフト両面からのモノ創り革新。2つ目は「チャレンジ」攻めと守りで道なき未知への挑戦。3つ目が「ジャンプ」真のグローバルカンパニーへの飛躍を掲げている。
 その戦略として

  1. ICT、IoTを果敢に取り入れた新製品開発による製品競争強化
  2. 共創・協働により常にお客様の安全性・生産性に応え続ける
  3. 開発・調達・生産のグローバルサプライチェーンの深化
  4. 海外市場における強固なモロオカブランドの確立
  5. 分野別活動強化による新たな国内需要の獲得
  6. 経営管理の強化とグループの成長を担う人材の獲得と育成
  7. M&Aや設備投資などならなる成長機械の探索

-を上げ実行する。これにより、中期3カ年計画として2021年度に年次成長率6%アップの売上高220億円、営業利益率13%とした営業利益28億6000万円を経営数値目標として掲げた。諸岡正美社長が代表取締役CEO兼内部監査室室長に、諸岡昇専務が取締役副社長COOにそれぞれ就任した。

6.ヤンマーが立形水冷エンジンの累計生産1000万台達成

立形水冷エンジンの累計生産台数が1000万台を達成したことを明らかにした。同社によると、小形エンジン事業の主力製品である立形水冷エンジンは、1968年に旧長浜工場で生産を開始し、現在は、同エンジンのマザー工場であるびわ工場を中心に、伊吹工場、洋馬発動機(山東)有限公司で生産されている。
 同社は1933年に世界で初めてディーゼルエンジンの小型化に成功し、産業用エンジン業界を先駆ける技術力で低燃費・高出力化を追求しながら、厳しい排出ガス規制に対して率先して取り組み、数々の環境規制をクリアしてきた。同社では、「このたびの1000万台達成を大きな節目と捉え、今後も、お客様の多様なニーズに応える高品質で信頼性の高いエンジンの開発・生産に取り組んでいく」としている。

7.ヤンマーが学生懸賞論文・作文の入賞作品集を発刊

「農業を食農産業に発展させる」をメーンテーマに、42の論文と596の作文の応募があった第29回ヤンマー学生懸賞論文・作文募集事業。論文の部大賞には伊丹恵理瑳(鹿児島県立農業大学校=表彰式当時)、作文の部金賞には市原朱沙(熊本県立農業大学校=同)の両氏が選ばれた。それぞれの作品および論文・特別優秀賞、作文・銀賞受賞作品の全文と、優秀賞、銅賞受賞作品の要旨をまとめた「第29回学生懸賞論文・作文入賞作品集」がこのほど、ヤンマーアグリから刊行された。
 巻頭には表彰式の会場で撮影された受賞者、審査員、同社関係者の集合写真、また、ヤンマーホールディングスの山岡健人社長の挨拶が掲載されている。この中で山岡社長は、論文・作文事業を通して日本の農、食、環境に関わる議論の輪が広がり、第1次産業に携わる人に夢と使命と希望を持って頂ければと切に願うと述べ、人の豊かな暮らし、豊かな自然の両方のサステナビリティを追求し、次の100年へ、新しい豊かさの実現に貢献していくとヤンマーグループの活動方向を示した。入賞作品については、論文、作文の内容を掲載。さらに表彰式当日に述べた5人の審査員それぞれの講評も載せている。

8.オーレックの水田除草機が中小企業優秀新技術・新製品賞の優秀賞受賞

同社の水田除草機「WEED MAN(ウィードマン)」が、第31回「中小企業優秀新技術・新製品賞」において優秀賞を受賞した。同賞は、りそな中小企業振興財団と日刊工業新聞社の共催によるもので、同中小企業の技術振興と産業発展に寄与することを目的に毎年1回開催される。今回は約350件の応募の中から38件が選ばれた。都内千代田区のホテルグランドパレスで行われた贈賞式には同社から今村健二社長の他、今村晴彦専務取締役、開発部開発グループの鈴木祥一主任、ブランディング広報グループ関雅文課長らが出席した。
 受賞した同機は、「回転レーキ」と「除草刃ローター」の2つの除草機構により、条間のみならず、従来では難しかった株間の水田雑草をも除草できる。昨年の「機械工業デザイン賞」で審査委員会特別賞を選ばれており、今回は同機による2度目の受賞となった。今年1月にはその功績から、今村社長が「優秀経営者顕彰」の日刊工業新聞社賞を受賞している。今村社長は贈賞式後にインタビューに答え、「消費者の求める安心や安全、有機栽培の大規模農家が目指す高付加価値な作物の提供の助けになる本製品開発のため、14年を費やした。畦道専用草刈機などまだやれることはたくさんある。次の問題解決に向け邁進すると共に、本製品の性能向上や普及にも全社をあげて尽力していきたい」などと意気込みを語った。

9.日本農業機械工業会が平成30年作業機統計を発表

平成30年(1~12月)の作業機の生産・出荷・輸出入実績をまとめた。それによると、出荷金額(国内向け+輸出向け)は410億1761万円、前年比97.5%で、国内向けは388億9048万円、98.5%、輸出向けは21億2713万円、83.1%と、いずれも前年を下回っている。また、輸入を合わせた国内向け出荷金額は470億3502万円、97.2%となっている。
 輸入を合わせた国内向け出荷台数を機種別にみると、耕起用作業機では、ロータリ(水田用、畑作用)は1万8348台、102.4・4%、サブソイラ(パンブレーカ、プラソイラ含む)は1393台、86.4%、トレンチャは149台、13%、プラウ・ディスクプラウは423台、87.2%とロータリが増加した。砕土・整地用作業機では、水田用ハロー(折りたたみタイプ)は1万118台、105.1%、畑用ハロー(駆動型、ディスクハローを含む)は386台、91.5%、水田用ハロー(駆動型)は3796台、99.2%、水田・畑用均平機は460台、124.3%、鎮圧機は302台、111.4%、畦塗機は5326台、104.6%など折りたたみハロー、畦塗機などが好調。施肥用作業機は、ブロードキャスタは6903台、97.5%、有機肥料散布機は569台、397.9%、ライムソア(3P牽引、フロント装着)は3546台、100.4%、マニアスプレッダ(2t以下)は638台、77.7%、マニアスプレッダ(2t以上)は552台、92.3%、ふん尿散布機(バキュームカー、スラリースプレッダ、 スラリーインジェクタ)は163台、93.7%で、ライムソアがほぼ横ばいで推移した。

10.農研機構革新工学センターが安全性検査制度を刷新

農業機械の安全性検査制度を刷新すると発表した。現行の検査基準と並行して、対策を強化した新しい検査基準を制定し、併せて基準適合マークを刷新。新しいマークでは、安全性の高さを星の数で表す段階評価を導入し、より安全性の高い機械の普及を促進する。また、電動式の農業機械を新しく検査対象機種に追加する。
 主な改正内容をみると、「平成31年度安全装備基準の導入」を行う。現行の「平成30年度安全装備基準」は、31年5月からの31年度安全性検査制度において引き続き適用する。また、これとは別に電動式の農業機械も検査対象に加えるとともに、「危険源からの防護」として安全距離、転倒・追突、火気、飛散、電気装置、電気的手段等の内容を包括し、再編した「平成31年度安全装備基準」を新たに導入する。受検に際し、依頼者は30年度基準または31年度基準のどちらか一方を選択・申請し、基準適合した機械に対して、該当する年度基準を明記した新しい認証マークが付される。「安全性段階評価の導入」は、安全性検査を受検し、該当する年度基準に適合した機械に対して、一律に基本ランク「1」として評価して星1個を付与。この他、機種ごとに要件として定めた安全度のより高い機能・装備を有したものはランク「2」と評価して星2個を付与する。「ロボット・自動化農機検査の改正」は、ロボット農機検査(使用者が圃場内や圃場周辺から監視しながら、無人で圃場内を自動運転させる農用トラクター(乗用型)に適用)の試験項目に「取扱試験」を導入し、適切に自動運転作業が可能であるか否かを確認する。また、自動化農機検査(圃場内で使用する自動操舵機能を有し、運転者の乗車を必要とする機械)は、今後はすべての乗用型農業機械を検査対象とする。

11.クボタが日本機械学会賞を受賞

都内の明治記念館で行われた日本機械学会の2018年度(第96期)定時社員総会において、「無人運転トラクターの開発」で日本機械学会賞(技術)を受賞した。同賞は機械工学と工業の発展を証明することを目的として、技術功績が顕著な個人、論文、技術などを表彰するもの。
 今回の受賞は、農業従事者の高齢化に伴う離農で増加する担い手による農地集約に対応するため、さらなる効率化、省力化が求められている状況下、それを受けて同社研究チームが開発した無人自動作業が行えるアグリロボトラクタの技術功績が認められた。トラクターの無人化にあたり、GNSS測位装置・電子油圧パワステ・ターミナルモニタ(操作パネル)・車両間通信機器・レーザスキャナ・超音波ソナーを搭載し、これらの機器を統合的に制御する技術を確立した。同社研究チームを代表して、農業機械総合事業部農機技術本部車両基礎技術部の松崎優之制御第一チーム長、機械先端技術研究所機械研究第一部第一チームの須賀博基氏、研究開発本部システム先端技術研究所システム開発第一部衛星測位システムグループの掘哲理氏の3名が出席。松崎チーム長は「ありがたい賞をいただき光栄に思います。これから普及に至るまで無人ロボットトラクターの開発を進めていかなければならないので、まずは第一歩かなと思っています」と受賞の喜びと抱負を語った。

12.サタケのCMがモノづくり企業CM大賞企画賞を受賞

自社制作した企業CMが「第4回モノづくり企業CM大賞」において「企画賞」を受賞し、横浜市内で表彰式および番組収録が行われた。モノづくり企業CM大賞は、中堅・中小企業の存在・魅力を自社で製作した映像CMを通して広く社会に告知するもので、第4回目となった今回は全国の企業から22作品の応募がありグランプリを含む5作品が選出された。
 同社は「人はすぐ騙される」という作品名の企業CM(30秒CM)を自社製作し「企画賞」に輝いた。受賞作品は、白衣を着た女性が英語で「人間はいつもいつも完璧ではありません」などと語りかける間に、画面中央に配された白米がいつの間にか石に変化するという内容で「お米の中から一粒の石を取り除くことは簡単なようで、実は人間の目はすぐに騙されてしまう。異物の選別なら信頼のサタケ製光選別機に任せよう」というメッセージを表現している。表彰式とテレビ放映用の番組収録にはサタケから宗貞毅執行役員・広報部長らが出席した。今回の受賞について宗貞広報部長は「広報部の手作りCMがこのような賞に輝き、大変うれしく思います。当社製品の優秀性を一風変わった切り口で表現したことが高く評価されたことは、今後の励みにもなります。これからも革新と挑戦を胸に、積極的かつ新しい広報活動をしていきます」と喜びと決意を語っている。