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農業機械関連ニュース

平成29年10月10日発行

<業界短信-新製品10月>

1.松山がウィングハローを発表

折りたたみ式のドライブハロー「ニプロウィングハロー」の新シリーズとして適応馬力30~60馬力の中型トラクタ用「WRZシリーズ」を発売。作業幅は3.6m/3.9m/4.2mの3型式。トラクタへの装着は日農工標準3点オートヒッチの4S/3S/0S及び0L仕様、また日農工特殊3点オートヒッチは3.6m/3.9mについてはA1/A2/B規格を、4.2mに関してはB規格のみを型式設定。
 主な特徴は、

  1. 中型クラスのトラクタにベストマッチして、代かき作業の高能率化を実現
  2. このクラスのトラクタに装着できる折りたたみ式の代かき専用機として市販されている機種としては最長の作業幅
  3. ソイルスライダーを更に進化させて、「可動式ソイルスライダー」として、様々なトラクタのタイヤ幅に合わせることが可能
  4. 新開発した「VGサイドレーキ」は水流を安定させ、隣接部をきれいに仕上げることができる

-など。

2.サタケがクラウド型システムのサービス開始

ライスセンターなど穀物加工施設等の情報管理ができる業界初のクラウド型システム「サタケiネットワークサポートシステム」を開発のうえ、サービスを開始した。
 サービス内容は、

  1. 荷受データ処理システム
  2. 精算処理システム
  3. 保有米処理システム
  4. 施設利用予約システム
  5. 穀物温度モニター
  6. 遠隔工程監視システム

-の6つのサービス。ネット経由で提供するサービスでPCに専用ソフトをインストールすることなくウェブブラウザ上で利用できる。


 主な特徴は、

  1. ネットに接続されている端末であればPCだけでなくタブレット端末やスマホなどのモバイル機器からも利用が可能
  2. 常に最新のソフトウェアに更新されるため、OSのバージョンアップに伴う利用者の負担は不要
  3. サーバに保存されたデータは一括してバックアップされるため、万が一、端末に破損・消失などのトラブルが生じてもデータを保護できる
  4. 保存されているデータは遠隔地からも閲覧・処理できるため、複数施設を運用する場合でも現地に足を運ぶことなく、最新の情報を効率よく収集・分析することも可能

3.オーレックが水田除草機を発売

業界初となる除草機構を搭載した同社初の水田除草機「WEED MAN(ウィードマン)SJ600・SJ800」を発売。抜群の除草能力と圃場を傷めずに楽に旋回できる安心感から、大きな注目を集めている。同機は、乗用のフロント作業式水田除草機。
 主な特徴は、

  1. 業界初機構「回転式レーキ」と「除草刃ローター」が装備されており、「回転式レーキ」により稲を傷めずに、雑草根のみを掻いて除草し、「除草刃ローター」により、条間の雑草を確実に除草できる
  2. 条間だけではなく、難しかった株間の除草もしっかりと行える
  3. 走行操舵は、4輪操舵・4輪駆動・無段変速HST仕様を採用しており、これによる安定した旋回で、枕地の欠株を最小限に抑えて、隣の列へとスムーズにターンできる
  4. 機体の前方に作業機を配置したことで、作業の目視確認が行えて、確実な除草を可能に
  5. やわらかく、流れるような丸みをおびたカウリングと、自然と調和するカラーリングで作物にも、人にもやさしい、新しいデザイン

-など。

4.本田技研工業がポータブルタイプ蓄電器を発売

新型軽乗用車「N-BOX」とポータブルタイプ蓄電機「LiB-AID(リベイド)E500」を発表。ポータブルタイプ蓄電機「LiB-AID E500」は、ホンダ独自の正弦波インバーター技術による高品質な電気の供給が可能な最大出力500W(VA)のポータブルタイプ蓄電機。家庭用コンセント、もしくは車のアクセサリーポケットから充電でき、繰り返し使えるリチウムイオン電池を搭載することで、屋内外のさまざまなシーンで活躍するポータブル電源として利用できる。
 主な特徴は、

  1. 親しみやすいデザイン。1965年に発売したホンダ初の発電機「E300」のデザインをモチーフとした、様々なシーンに合うシンプルなフォルムを採用。また、大型ハンドルにより気軽に持ち運びができる
  2. ホンダが発電機開発を通じて培ってきた独自開発の正弦波インバーターを搭載。一般家庭で使用されている電気と同等の高品質で安定した電気供給が可能
  3. 排気ガスや騒音を発生させずに電気供給が可能。家庭用コンセントもしくは車のアクセサリーソケットによる充電時間は約6時間。300Wの電気が約1時間、500Wの場合は約35分間取り出せる

-など。

<業界短信10月>

1.平成30年度農林水産予算概算要求は2兆6525億円

農林水産省の平成30年度予算概算要求は2兆6525億円で、前年度予算の2兆3071億円に比べて115%の増額要求だった。
 農林水産業の成長産業化に向け、担い手への農地集積・集約化等による構造改革の推進、水田フル活用と経営所得安定対策の着実な実施、強い農林水産業のための基盤づくり、農山漁村の活性化などを柱としている。機械化対策では、農林水産業におけるロボット技術安全性確保策検討事業、農業競争力強化プログラムの着実な実施に向けた調査のほか、新規にばれいしょ増産輪作推進事業を要求した。このほか、GAP拡大の推進、収入保険制度の実施なども新規に要求している。
 また、「目標を明確にした戦略的な技術開発と社会実装の推進」には128億円の予算要求を行った。現場では解決できない技術的問題などのニーズを踏まえ、農林漁業者等が求める研究目標に基づき技術開発を行い、その成果を速やかに社会実装に移そうという事業で、ドローンを使った農薬等自動散布技術など、AI・ICT等を活用した先端技術の生産現場への円滑な導入を図るため事業を拡充する。

2.やまびこが山形大学と芝刈機などで共同研究

ロボット芝刈機や電動農機具を共同研究する。山形大学・EV飯豊研究センターを拠点に、大学が保有するリチウムイオン電池の解析技術とそれをベースとした電池開発技術を活用。小型屋外作業機械に合う電池開発に取り組み、駆動時間の長時間化・軽量化・長寿命化を目指す。飯豊町をやまびこ電動化製品の実証試験地として、町内農業者などの協力を得ながら機器の性能評価などを行う。新製品開発に当たっては、山形銀行が双方におけるビジネスの拡大を支援。
 また、産官学金の連携事例を県内にプロモーションすることで、ビジネスマッチングや交流人口の拡大を促進し、地域経済の活性化に取り組んでおく。

3.井関農機などが産学官連携の農業女子プロジェクト事業

井関農機と東京農業大学及び阿見町は、茨城県阿見町の君島構造改善センターにおいて、農業女子プロジェクトで全国初の産学官連携事業として、高校・大学の女子学生を対象とした常陸秋そばの播種作業及び女性目線の商品開発に関するアイディアソンを行った。東京農大の女子大生7人、茨城県立江戸崎総合高校で農業を専攻する女子高生2人が参加した。女子学生らは手押し播種機及びトラクタ作業機によるそば播種作業や、農業女子トラクタ「しろプチ」や耕うん機「ちょこプチ」の実習を体験し、そば商品の企画を考え、生産から商品開発まで幅広い学びを得た。
 女子学生らはトラクタの安全講習を受けた後、2つの班に分かれて、ソバ播種作業及び、トラクタ・耕うん機の作業を実習。ソバ播種は、種まき機による手押し播種を行った後、トラクタ+播種機による機械作業を体験。女子学生たちは「まっすぐ走るのや旋回が難しい」と言いつつも、手押し播種に比べた機械播種の効率の良さに感心していた。また、トラクタ・耕うん機の実習では、それぞれ慣れない耕うん機のエンジン始動や直進作業に苦労しながらも、練習するうちにコツを会得していった。

4.スズテックが栃木県フロンティア企業の認証受ける

1月より発売した乾燥玉ねぎ調製機「STC4200」が平成29年度栃木県フロンティア企業の認証商品として認証された。鈴木社長は「前期は創業70周年、チャレンジの年として計画達成を目指した。結果、近年の高密度播種・移植栽培技術の普及拡大に伴い、当社メーン商品である水稲育苗用播種機が好調な動きを見せ、前年を上回る業績を残せた」と発表。フロンティア企業認証商品は、ニラ出荷調製機、全自動セルトレイ播種機に続き、3回目。
 倉持専務が栃木県フロンティア企業の認証について「独自の優れた技術や市場占有率の高い製品を保有する企業を、県がとちぎの技術ブランドである栃木県フロンティア企業として認証し、県から各種支援を受けることができる。6月1日付で、昨年の全自動セルトレイ播種機に続き、乾燥玉ねぎ調製機STCが認証を受けた。当社独自の技術で高能率、利便性を追求し、優れたメンテナンス性を備える製品である」と説明。
 同機の主な特徴は、

  1. 2人で投入しても休みなく作業が可能
  2. ディスクカッタと板刃の併用により根と葉を適切にカット
  3. 工具なしでカバーを取り外せるため、簡単に清掃・メンテナンスができる
  4. 脚の折りたたみが可能でコンパクトに収納できる

-など。

5.日農工が油脂技術交流会で農機用油の規格化へ

都内の機械振興会館で第5回農業機械油脂技術交流会を開催し、農機およびディーゼルエンジンオイルの規格などについて情報を交換した。会場には、同会会員のほか、石油会社、添加剤メーカー関係者ら約50人が参加した。
 冒頭あいさつした油脂技術分科会の妹尾常次良分科会長は、農機用油脂には専門性が必要だが、規格の形が見えてきていると述べ、この1年の間の活動内容を紹介すると交流会の意義を示した。プレゼンテーションは、国内小型トラクタの市場要求について(井関農機・藤田武利氏)など5題が行われた。
 会議の中で妹尾氏は、専用農機製造企業用の共通潤滑油の提供に力を注いできたなどとしたほか、同分科会のホームページ立ち上げを示した。また、赤松氏はディーゼルエンジン油の省燃費化技術ついて説明し、流体潤滑領域における省燃費化で、粘度指数向上による粘度特性改善だけでは限界があるなどと指摘した。

6.民間の農林研究開発功績でニッカリに農林水産技術会議会長賞

農林水産省及び農林水産・食品産業技術振興協会は平成29年度(第18回)「民間部門農林水産研究開発功績者表彰」の受賞者を決定した。農機業界からは、農林水産技術会議会長賞に「腕上げ作業補助器具“腕楽っく”の商品化」でニッカリの保田将史氏及び元ニッカリの大西久雄氏が選ばれた。
 「腕楽っく(うでらっく)」は同社と農研機構が共同開発した腕上げ作業補助器具。果樹園での腕上げ作業を補助する器具「腕楽っく」と、産業用の補助器具「腕楽っくPro」を発売した。モーターなどの動力やバネなどを一切使わない簡易な機構で、重さ1.8kgと軽量コンパクトでありながら任意の高さで両腕をしっかり支えられる。
 受賞の業績紹介では棚果樹栽培での作業者の負担を軽減するため、腕上げ作業を補助する器具を開発したとし、「本機は、動力を必要とせず、1.8kgと軽量で、任意の高さで腕を支えることができる。農業分野だけではなく、腕を上げた状態での作業が想定される造船、電力、建築等他産業への適用も可能」と高く評価されている。

7.サタケの多用途光選別機が日食優秀食品機械・資材・素材賞

サタケの新型・多用途ベルト式光選別機「BELTUZA XeNO」(ベルトゥーザ・ゼノ)が、さきに都内で授賞式が行われた食品関連新聞社主催の日食優秀食品機械・資材・素材賞表彰で機械部門の栄誉に輝いた。同社の受賞は、無洗米製造装置、光選別機シリーズ、農家用小型光選別機に続いて今回が4回目。
 同社が栄誉に輝いたのは、日本食糧新聞社が制定している「第20回日食優秀食品 機械・資材・素材賞」でのこと。都内港区の第一ホテル東京で表彰式が行われた。同製品は、昨年9月に発売された、農産物や食品、工業製品など幅広い原料に対応する多用途ベルト式光選別機。色彩の違いによる不良品・異物の選別に加え、形状の違いによる選別機能を搭載し、割れた原料や原料同士が固着したものなども選別・除去できる。さらに、近赤外線による選別機能を搭載し、原料と同色の石やプラスチック、陶器、ガラスなども選別できるもの。こうした点などが高く評価され今回の受賞につながった。

8.ヤンマーミュージアム農園で28家族が稲刈り体験

滋賀県長浜市高橋町のヤンマーミュージアム農園で9、10の両日、稲刈り体験イベントがあった。同ミュージアムが、開館した2013年から続けている催しで、5回目の今回は近畿地区や愛知などの各府県から28家族98人が参加。受付開始後すぐに定員に達する人気ぶりで、参加者は稲刈りや田植え経験があるリピーターが大半だった。
 9日は13家族47人が稲刈りに挑戦。ヤンマーOBによるボランティア組織「エスコートチーム」から3人、新入社員5人も応援に駆けつけた。参加者は軍手をつけ、鎌の使い方を教わると、秋晴れのもと、歓声を上げながら黄金色に実ったコシヒカリの稲穂を刈り取っていった。田んぼには足踏み式脱穀機や唐箕など昔の農具も置かれ参加者が貴重な体験をした。刈り残った稲は、4条刈りのヤンマーコンバインで豪快に収穫した。昼食は、前日から館でスタッフが仕込んだ特製カレーを味わい、ダーツゲームなども楽しんだ。

9.農業食料工学会が年次大会、日農工会長が記念講演

東京・世田谷の東京農業大学世田谷キャンパスで第76回年次大会を開催した。今回はロボットトラクタ作業体系の実証研究、農機の電動化に関する研究など221本の講演発表・総合討論を行った。また、8日に開催した臨時総会の席で29年度農業食料工学会「開発賞」の授与式を行うとともに、今年は同学会の前身である農業機械学会が1937年に設立されて80年の節目を迎えたことから「これからの日本の農業と農業食料工学会」のテーマで創立80周年記念講演会を行った。
 講演会では、日農工の木下榮一郎会長が「農機業界の展望と日本農業への貢献」と題して講演。木下氏は「儲かる農業に向けソリューション型ビジネスを展開することなどが目指す方向」と語った。

10.未来技術遺産にスガノ農機のプラウ選定

国立科学博物館産業技術史資料情報センターは「重要科学技術史資料(愛称:未来技術遺産)」の2017年度登録に、スガノ農機の「上下反転自由プラウ1頭7分曳」及び「プラスチックプラウGY16×4」を選定した。
 今回選定された上下反転自由プラウ1頭7分曳は、スガノ農機が1952年に製作した国産プラウで、20世紀後半の北海道開拓に活躍。プラスチックプラウGY16×4は、同社が1972年に製作。北海道農業の大規模化に合わせ独自開発した高性能プラウで、同センターでは「農業の大規模化に寄与した製品として重要である」としている。
 未来技術遺産は、日本の科学技術・産業技術の発展を示す貴重な資料や、国民生活・経済・社会・文化のあり方に顕著な影響を与えた科学技術史資料の保存と活用を図り、科学技術を担ってきた先人たちの経験を次世代に継承していくことを目的とした制度。どちらも「(国民生活の発展、新たな生活様式の創出に顕著な役割を果たしたもの」として登録されており、両機種とも北海道空知郡にあるスガノ農機土の館にて公開されている。

11.オーレックがタイの植林ボランティアに参加

8月17~21日の5日間、タイ王国東北部のスリン県にて行われた海外植林活動「ラブ・グリーンの翼2017inタイ・スリン(主催=ラブ・グリーンの会)」に参加し、熱帯季節林樹木の植林を行った。熱帯雨林は昨今、開発による伐採などによって、多くの面積が消失しているため、野生の動植物の絶滅につながることが危惧されている。このため、今回のように地道に植林を続けていくことで、環境や生態系の保護へ貢献することが期待される。
 今回のイベントには、同社の社員2名が参加し、現地の子供達とペアを組んで、2日間で合計700本を植樹した。植林作業の合間には、現地の方々との交歓会や野球教室などが催され、国際親睦を深めるイベントとなった。同社では社員教育と企業のCSR活動の一環として、現地の地域社会に貢献することを目的に、植林ボランティア活動に継続して参加しており、今年で22回目となる。今後も「緑豊かな社会作りへと貢献する企業」として、自然保護活動への積極的な取り組みを継続していく。

12.タカキタの新しい研究開発棟が完成

かねてより本社敷地内に建設を進めてきた新しい研究開発棟が完成、業務を開始した。この研究開発棟には、試作工場を移設するとともに、最新鋭の分析計測器、耐久試験装置、設計支援設備を導入した。
 同社では、昨年新設したテストコースと併せて分析測定技術やコア技術を蓄積して、高品質で高付加価値商品を創り出し、さらなる製品ラインアップの充実に努めていく、としている。新研究開発棟は、本社敷地の南東の一角に建設した。着工は今年3月13日。建築面積は約6,600平米。構造は鉄筋・鉄骨3階建てで、1階が試作室、2階が設計室等となっている。

13.本田技研工業がパワープロダクツ事業の営業体制を強化

日本国内におけるパワープロダクツ事業の再構築及び営業体制のさらなる強化を目指し、現在パワープロダクツの販売を担っているオールホンダ販売会社に営業機能を業務移管したとともに、10月より会社名を「㈱ホンダパワープロダクツジャパン」に変更した。
 4月1日よりパワープロダクツ事業本部長に就任した奥田克久氏と、10月1日よりホンダパワープロダクツジャパンの代表取締役社長に就任した関原彰氏及び営業部長となる宮田昭氏が会見を行い、今後の展開や意欲を述べた。
 同社は、パワープロダクツの営業機能を「ホンダパワープロダクツジャパン」に移管。新販社設立にあたり関原社長は、「現場に近い働き方を進めていく。ホンダの商品を使っていただいているお客様に喜んでもらえる形をとり、取り扱い販売店の満足感を高めていく。地域会を開催し、各地の販売店と意見交換を行った。厳しい意見も出てきたが、我々の思いや今後していきたいことをお話しし、基本的な考え方は理解していただけたと思う」と語り、今後の具体的な施策が注目される。