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農業機械関連ニュース

平成29年9月11日発行

<業界短信-新製品9月>

1.クボタがトラクタ、田植機など新製品発表

新製品のトラクタ「ジェネストシリーズ」5型式、田植機「ワールドシリーズ」ディーゼル5条植え、田植機アタッチメント「土なかくん」、全自動野菜移植機「ベジータ」を記者会見にて発表。
 大型トラクタの「ジェネストシリーズ」は、フラッグシップトラクタ「M7シリーズ」と親和性を強調するフロントマスクとし、キャビン内にスポットライトを新採用、夜間作業時の視認性や作業性を向上させた。
 主な特徴は、

  1. 国内特自排ガス4次規制対応エンジン「V3800」、「V6108」を搭載
  2. フロントマスクを一新し、新デザインのボンネットを採用。作業灯はすべてLEDを標準装備、キャビン内にはスポットライトを採用し、夜間作業時の視認性や作業性を向上
  3. 前後進24段変速の「NEWi-シフト」
  4. エンジン始動の際、パスワード認証が求められる電子メーターを採用

-など。

田植機「ワールドシリーズ」ディーゼル5条植えは、ワールドの名にふさわしいグローバル戦略機で、スケールメリットによる優れたコストパフォーマンスを実現し、「業界最安値の5条ディーゼル」とした。
 主な特徴は、

  1. 環境に優しく、経済的で、粘り強く湿田や深田で余裕の作業が可能な高出力ディーゼルエンジンを搭載
  2. 補助者の枕地ならしが不要な「ゆう優ロータ」
  3. レバー1本で簡単操作「ポンパレバー」
  4. 安定した走行性「4輪独立サスペンション」

-など。

田植機アタッチメント「土なかくん」は、4条鉄コーティング直播専用機「EP4-TC」に装着可能な直播同時殺虫殺菌剤施薬機。薬剤メーカーとの共同研究により種籾の真下の土中に施薬する。
 主な特徴は、

  1. 播種同時施薬なので煩わしい手間、人手、作業時間が軽減できる。手散布で発生する過剰散布や散布ムラがなく薬剤を節約
  2. 鉄籾直下の土中施薬なので薬剤の効果が安定。他の栽培物へのこぼれや飛散がない
  3. ホッパ容量は7.3kgあるので小区画圃場では薬剤を無補給で作業できる

-など。

全自動野菜移植機「ベジータ」は、苗取り精度を向上した新形状の苗取り出し爪を採用。また、爪の摩耗が少ない構造へ変更したことにより、耐久性が向上した。植付速度は高精度の植付機構により業界最速0.55m/秒を実現。
 主な特徴は、

  1. 新形状の苗取り出し爪の採用により従来以上にきれいな植付
  2. 操作レバーを手元の使いやすい位置に集中配置したことにより、運転操作や植付調整を楽な姿勢で素早く行える

-など。

2.IHIスターが折りたたみ式作業機発売

全面簡易耕起・有機物混和作業機「スーパーソイル(エコプラ)FDSS131、同131F」を発売した。ロータリ耕に比べ約3倍の高速作業によって、作業時間短縮・燃費の低減につながる。3分割折りたたみ式とし、コンパクトでスムーズな移動が可能。作業幅は4200mm、10a当たりの作業能率は2~6分。80~135PSのトラクタに適応する。
 主な特徴は、

  1. 爪を13本として作業幅を広げ、大規模な圃場での作業効率をアップ
  2. 枕地での耕起作業も少なくなり、奇数ナイフの配列によって優れた直進性を発揮
  3. 耕深は2.5cm間隔で11段階に調整が可能
  4. 左右の各3本の爪が折りたためるため、機体幅をコンパクトにでき、スムーズに移動。折りたたんだ7本爪の状態でも作業できる
  5. ゲージホイールの装備で耕深が安定

-など。

<業界短信9月>

1.農林水産省がスマート農業フォーラム

7月27日(木)、千代田区の一橋大学一橋講堂で「スマート農業推進フォーラム」が行われ、ICT(情報通信技術)やロボット技術等について、実際に活用している農業者や先進的な取り組みを行っている自治体からの取り組み紹介や課題意識の共有、メーカーからの情報提供等を行った。講演は、生産現場におけるICT導入事例の紹介として「ICTを活用した大規模経営稲作複合経営について」(フクハラファーム代表取締役・福原昭一氏)や「岩見沢地域におけるICT利活用について」(西谷内農場代表取締役・西谷内智治氏などの4講演が行われた。
 また、会場にはクボタ、ヤンマー、井関農機、三菱マヒンドラ農機など農機メーカーなどがポスターセッションで参加し、ロボットトラクタや自動走行技術、アシストスーツ、ドローンなどスマート農業に貢献する最新技術を紹介した。会場内は活況を呈し、関係者の関心の高さがうかがえた。

2.クボタが29年12月期第2四半期連結決算発表

平成29年12月期第2四半期(29年1月1日~6月30日)の連結業績を発表した。第2四半期の売上高は8460億円(前年同期比6.3%増)、営業利益1006億円(同4.7%減)、同社株主に帰属する純利益は704億円(同13.0%増)で、営業利益は減益ながら最終損益は大幅な増益を達成した。機械部門は9.7%増え6924億円となり売上高全体の81.8%を占めた。農機・エンジンの売上高は5566億円(同9.7%増)、うち国内は1207億円(同4.6%増)となった。
 通期業績予想は前回の2月発表と同じく売上高1兆6800億円、営業利益1980億円、税引前純当期利益2050億円、当社株主に帰属する当期純利益は1380億円とした。
 国内農機部門の状況については、1~6月の売上げ実績はトラクタ、コンバインなどの本機が前年同期比98.4%、インプルメントと野菜作機械が好調だった関連商品が103.6%、合計100.4%。下期計画は本機100%、関連商品102.9%、合計101.1%とし、通期では本機99.8%、関連商品103.3%、合計100.7%とした。

3.クボタが堺製造所の新研究開発施設披露

同社としては23年ぶりの建設となる、大阪府堺市・同社堺製造所内に新設した研究開発棟を報道陣に披露した。設備投資額は約37億円。今回の新研究開発棟は世界中のコアの拠点となるもの。
 戦略製品の新規開発を担うほか、基幹技術(エンジン、トランスミッション、油圧機器、電子制御機器)、先端技術(自動運転技術、ICT/IoTを利用した精密農業関連技術など)の開発、さらに製品開発のプロセス改革(製品開発のリードタイムを3年間で30%程度短縮する)に取り組む。
 新研究開発棟のコンセプトは[1]清新性の演出[2]品質性の確保[3]クボタブランドの発信[4]機密性の確保の4点で、外観は最先端の研究施設にふさわしい等間隔にストライプの外壁を置き、5~6階はガラス張りと樹木で清新なイメージを演出し、都市景観にも配慮している。

4.井関農機が福島・京都で夢ある農業女子応援プロジェクト

7月27日(木)に福島県郡山市のJA全農福島農業技術センターで、8月8日(火)にヰセキ関西京都支社でそれぞれ夢ある農業女子応援プロジェクトを開催。福島で行うのは初。  福島で行った「夢ある農業女子応援プロジェクト・イン・東北(福島)」には福島県の女性農業者ら22名が参加した。農機の取り扱いセミナーでは座学で管理機・耕うん機の安全講習を受けた後、圃場で同応援プロジェクトによって誕生した農業女子プロ仕様のトラクタ「しろプチ」、ミニ耕うん機「ちょこプチ」の実演・試乗、さらに管理機・耕うん機で実習を行った。
 京都で行った農業機械の取り扱いセミナー「夢ある“農業女子”応援プロジェクト・イン・近畿(京都)」は、井関農機とヰセキ関西の共同開催。農業女子プロジェクトに関する取り組みの紹介や、耕うん機の実演、メンテナンスが催され、府内を中心に女性農業者ら12名が参加した。座学では、最初にISEKIアグリ企画推進部・藤本正人部長が耕うん機と管理機についてのセミナーを行い、機械の種類や選び方などを説明。屋外でミニ耕うん機のメンテナンスや実演など作業実習や野菜移植機の紹介が行われた。

5.日農工が29年上半期農機輸出入実績発表

平成29年上半期(1~6月)の農業機械輸出入実績(財務省通関統計)を取りまとめた。それによると、1~6月の輸出金額は累計1123億8844万円で、前年同期比92.3%に減少した。また、1~6月の輸入金額は424億2007万円となり、同115.2%と2桁増になった。
 累計輸出実績を機種別にみると、乗用トラクタは台数が4万2905台で前年比79.9%、金額は675億7223万円で同89.6%に減少した。歩行トラクタは、2万94台で同90.2%、金額が11億8836万円で同100.5%。播種機、植付機、移植機は、7759台で86.0%、金額は72億3883万円で103.9%と微増。コンバインは台数が1203台で59.9%、金額は39億2726万円で65.4%と大幅に減った。
 一方、機種別の累計輸入実績では、乗用トラクタが台数が1550台で135.8%、金額は118億8364万円で132.7%に増えるなど多くの機種で増加した。

6.JA全農の新会長に長澤豊氏

都内のANAインターコンチネンタルホテル東京で第41回通常総代会ならびに経営管理委員会を開き、任期満了に伴う役員の改選を行い、新会長に長澤豊氏(山形県本部会長)を選任した。副会長には大澤憲一(群馬県本部会長)、菅野幸雄(愛媛県本部会長)の両氏が就任した。理事長には神出元一氏が就任。また、生産資材部長を務めた安田忠孝氏が常務理事に選任された。平成28年度の取扱高は4兆5981億円、前年比98%、うち農機は1273億円、同98%となった。
 就任後の記者会見に臨んだ長澤会長は[1]すべては組合員のためにの姿勢を貫くこと[2]全農自己改革を完遂すること[3]全農の経営基盤の強化[4]元気な活力ある職場風土を築く人づくりを強化すること-を方針にあげ、「新生全農の創造に挑む」と意気込みを語った。

7.井関農機が29年第2四半期連結業績を発表

平成29年12月期第2四半期連結業績を発表した。売上高は前年同期比8億7200万円(1.1%)減の801億7500万円、営業利益は同10億8900万円(62.2%)増の28億4000万円、経常利益は同21億1100万円(167.0%)増の33億7500万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は同16億4200万円(296.8%)増の21億9500万円となった。国内売上高は、農機製品全体では前年並みとなったが、トラクタが好調に推移し、作業機・補修用部品・修理収入や施設工事の増加などにより、前年同期比14億5500万円増加の627億6300万円(2.4%増)となった。
 また、通期業績予想では、売上高を1605億円と2月の当初予想(1615億円)から下方修正したが、損益面では営業利益40億円、経常利益41億円、親会社株主に帰属する当期純利益は29億円と、いずれも上方修正した。

8.日農工が29年上期の動態統計まとめる

経済産業省生産動態統計に基づく農業機械生産出荷実績の平成29年1~6月分を取りまとめた。それによると、29年上半期の累計生産金額は2304億1600万円で前年同期比118.0%、累計出荷金額は2040億5800万円で同98.2%となり、生産額が2桁増になった。
 機種別で29年上半期の累計出荷実績をみると、トラクタは6万1029台で前年同期比88.8%、金額は1229億5400万円で同96.1%となった。動力耕うん機は9万253台(前年同期比106.8%)で97億600万円(同103.3%)。田植機は1万5932台(同102.4%)で225億3800万円(同104.5%)。コンバインは5652台(同94.2%)で264億6900万円(同98.6%)。
 防除機は4万8223台(同95.5%)で21億5800万円(同100.3%)となり、台数は減ったものの、金額は前年を維持。刈払機は37万1498台(同100.8%)で73億1400万円(同102.4%)に微増した。籾すり機は3843台(同94.8%)で24億5200万円(同99.2%)に減った。乾燥機は6417台(同100.5%)で69億4800万円(同101.3%)に落ち込んだ。精米麦機は7516台(同96.8%)で35億1900万円(同102.9%)になった。

9.日本農業法人協会が次世代農業サミット開く

8月17日(木)~18日(金)、都内有明の東京ビッグサイトにて「第2回次世代農業サミット~集まれ!ニッポンの次世代農業者たち」を開催。農業経営の発展に意欲ある若手の次世代農業者を集めて先進的な農業の発表や講演、グループ討議を行い、課題解決を探るもので、1日目は「地域農業のグループ化」、2日目は「異業種からの農業参入と経営」をテーマに議論を深めた。
 初日の冒頭、山田会長は「全国の農業経営の生の情報を自分のものにして活用してほしい」と挨拶した。来賓祝辞では農林水産省の奥原正明事務次官が「農業経営者の自覚を持ち、日本農業の新しい時代を作ってもらいたい」と期待を込めた。
 続いて、(株)鈴生代表取締役.鈴木貴博氏が良い作物を作るには良い人づくりから~おいしさを求めて」と題して基調講演。静岡県でレタスなど露地野菜の契約栽培を営む同社の取り組みを紹介した。

10.JA全農が営業開発部を新設

新たな営業拠点として「営業開発部」を9月1日より設置。販売事業年次計画で実需者への直販事業を拡大するために、全農の販売事業、全農グループ販売6社の機能を融合し、全農におけるバリューチェーンを構築する目的で新設される。
 新たに設置される営業開発部では、量販店、生協に加え、コンビニ、外食、中食、ネット通販、ドラッグストア等への新規取引先の開発や既存取引先への取り扱い品目の拡大を進める。取引先に対する営業を行う中で、取引先のニーズを正確に把握し、産地側にフィードバックするマーケットイン型事業を展開。こうした取り組みの中で、必要とされるインフラの整備、投資や出資を行うとともに、新たな販売チャネルとしてのeコマース戦略の構築や物流合理化のためのロジスティック戦略を構築する。
 また、販売情報.取引先情報.産地情報を共有化することで、JA役職員に対する販売相談機能を持ち、JAグループ全体のマーケティング力向上に貢献していく。機構としては[1]営業企画課[2]精米営業課[3]青果営業課の3課を設置。[1]は品目横断的営業企画、全農コーポレートブランドの構築、eコマース戦略の構築、ロジスティック戦略の構築。[2]は精米の直接販売の拡大、[3]は青果の直接販売の拡大を担う。

11.農業データ連携基盤協議会が設立

内閣府.戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)が進める農業データ連携基盤の設計や開発、運営、普及等を担う「農業データ連携基盤協議会(WAGRI)」が設立。
 農業データ連携基盤は、農業ICTにおける様々なデータの連携や共有、提供などの機能を有し、生産者が誰でも身近にデータを使って生産性の向上や経営改善に挑戦できる環境を生み出すデータプラットフォームで、29年中に構築される予定。
 現在システム間の相互連携がなく、データが散在している農業ICTについて、[1]ベンダーやメーカーの壁を超えて様々な異なるデータを連携する機能[2]一定のルールの下でのデータ共有機能[3]土壌や気象をはじめとした公的機関や民間企業によるデータ提供機能-を提示することにより、農家に役立つ新たなサービスの開発.提供を促進する。様々な情報をプラットフォーム上に集約し、整備.提供可能としており、個々人のデータにおいても本人が望めば共有可能となり、お互いの比較もできる。同基盤の活用により、農業関係データの利活用の拡大を目指す。
 8月22日現在のWAGRI会員は、(株)クボタ、ヤンマー(株)、井関農機(株)、農研機構、JA全農などの農業関係機関を含めた24社・団体。今後も会員を募集する。

12.井関農機が第5回「もの育」を開催

8月5日(土)、愛媛県松山市の井関松山製造所で、ISEKI「もの育(ものづくり教育)」が開催された。これは、将来を担う子どもたちにものづくりの大変さや楽しさを理解してもらい、ものづくりへの関心を高めてもらうことを目的にしたもので、毎年小学生の夏休み期間に実施し、今回で5回目。当日は愛媛県内の小学生20名と保護者等25名、総勢45名が参加した。
 開会に当たって井関松山製造所の鈴木俊一社長は、「今日のものづくり体験を通して、ものづくりの大変さや楽しさを感じてもらうとともに食や農業への関心を高めてもらいたい」と挨拶した。
 「もの育」の内容は、

  1. ペン立て作り
  2. 工場見学
  3. アメフトロボット操作体験(松山工業高校主催)
  4. ISEKIドリームギャラリー見学
  5. 大型トラクタ(78馬力と120馬力)、乗用管理機「愛さいか」の試乗体験
  6. 記念撮影

-など。

最後に修了証書と、ものづくり体験で作ったペン立て、記念品としてトラクタのミニチュア模型が贈られた。