平成28年9月12日発行
<業界短信-新製品9月>
- 松山が「ニプロ溝切機MK152シリーズ」を発売
- サタケが米品種鑑定サービスを拡充
- ヤンマーが奥山デザインの7馬力ミニ耕うん機を発売
- クボタがM7トラクターの12月発売を発表
- 諸岡が樹木粉砕機とゴムクローラフォークリフトを発表
- 静岡製機が乾燥機の遠隔モニタリングシステムを完成
- オーレックがミニ除雪機スノークリーンのセル仕様発表
<業界短信9月>
<業界短信-新製品9月>
1.松山が「ニプロ溝切機MK152シリーズ」を発売
同機は、稲刈り後の圃場に溝切作業を行うことで春の雪解けを促進する。独自形状の溝切刃が強制駆動で溝を切る。このために低馬力のトラクターでも溝切作業が可能。強制駆動することでコンバイン等の排出ワラも切断するので、機械へのワラのつまりも少なく、快適な作業ができる。
適応トラクターは20~60馬力でトラクター質量が900~2200kg。車速2~8km/時の高速作業が可能。
日農工標準オートヒッチ0・Ⅰ形兼用の4S/3S/0S及び日農工標準オートヒッチⅠ・Ⅱ形兼用の0L及び標準3点リンク直装の1Sを用意している。また特殊3点リンクへの対応としては、日農工特殊オートヒッチA1/A2/Bを用意して、様々なトラクターに対応可能となっている。
http://www.niplo.co.jp/kousei2015/products/cat-1/product-01.php?c=b040&id=213
2.サタケが米品種鑑定サービスを拡充
米・炊飯米品種鑑定サービスの鑑定可能品種に新たに「新之助」(新潟)など5品目を加え325品種に拡充させた。
同社は2003年より米・炊飯米品種鑑定(DNA品種鑑定)サービスを開始し、これまで多くの品種鑑定を実施するとともに年々登場する新品種へ対応するため鑑定可能品種の拡充に積極的に取り組んでいる。
今回新たに5品種(うるち米4品種、酒造好適米1品種)を鑑定対象に加え、鑑定可能品種を325品種に拡充したもの。これにより「新之助(新潟)」「実りつくし(福岡)」など、作付面積の拡大が見込まれる注目の新品種の鑑定が可能となった。
3.ヤンマーが奥山デザインの7馬力ミニ耕うん機を発売
「YK750MR」で「ALL-IN-ONE」を商品開発コンセプトにしている。製品タイプとして、中央の爪が逆回転することで、しっかり耕うんすることができ、硬い圃場でのダッシュを軽減する一軸正逆転タイプと、2WAY簡易うね立て器とがある。うね立て器は、外盛りうね立てでは30cm幅の広溝うね立てができ、内盛りうね立てでは往復作業で3つのうね立てができる。
主な特徴は、
- フルカバーデザイン=所有する喜びを与える洗練されたデザイン。操作性を追求したスリムなデザインは、機械の圧迫感を感じさせず、広い視野で軽快に作業ができる。また機体全体を覆うカバーは、機械に不慣れなアグリライファーや女性にも安心感を与え、手入れの簡単さを提供する。
- 安心旋回レバー=レバーを「旋回」に入れると爪の回転が止まり安心して旋回できる。またレバーを「直進」に入れると誰でも簡単にまっすぐな作業が行える。
- ハンドル上下レバー=手元のレバーを握るだけで、体格や作業に合わせてハンドルの高さを4段階に調節できる。
- 作業が楽しくなる滑らかな操作性=流れるような作業を可能にするために、操作レバーやスイッチ類を手元に配置。主変速レバーは従来機より100mm手元に近付け、滑らかな操作性を実現。
-など。
https://www.yanmar.com/jp/agri/products/cultivator/minicultivator/yk450mr_yk650mr/
4.クボタがM7トラクターの12月発売を発表
フランスに新設した畑作用大型トラクター工場で昨年から量産を開始したM7トラクターの国内向け仕様を発売するもので、国内の安全鑑定、型式認定を取得するとともに、片ブレーキ防止装置も装備した。
また、ファームパイロットの第2弾としてM7ではオートステアリング機能を内蔵した仕様も採用。農業の高能率化、高精度化、省力化に寄与することで大型農家をサポートする。
主な特徴は、
- 国内特自排ガス規制適合エンジン「クボタV6108」搭載。また最大20馬力のパワーブースト装備(M7-171は5馬力のパワーブースト)。
- 前後進39段のパワーシフトと無段変速(KVT)の2種類のトランスミッションを採用。
- シンプル機能のスタンダード仕様(S仕様)、高機能のプレミアム仕様(P仕様)、高機能かつ無段変速ミッションのプレミアムハイ(KVT)仕様(H仕様)の3つのグレードをそれぞれの型式に採用。
- オートステアリング機能を内蔵(P・H仕様)。
- オールインワンターミナル(P・H仕様)。ISOBUSにも対応。
- P・H仕様にはマルチファンクションレバーを採用。
-など。
5.諸岡が樹木粉砕機とゴムクローラフォークリフトを発表
発表したのは、チッパーとシュレッダーナイフ方式で樹木・竹・剪定枝などを粉砕処理する小型チッパー「MC-140GHB」(最大処理径13cm)と「MC-300D」(同20cm)の新製品と、リニュアルを図ったゴムクローラフォークリフト「MFD-20」。
「MC-140GHB」は2枚のチッパーナイフが回転して、樹木・竹をチップ化し、また、シュレッダーナイフにより粉砕効率が高まり、さらにチップを細かくする。
主な特徴は、
- 標準モードと小枝モードの切り替えが可能で、小枝モードではエンジン速度2800回転で直径5cmの小枝を、また、エンジン回転数を3200回転まで上げることにより、中枝モードに切り替わり直径10cmまでの処理が省エネ運転で行える。
- チップの排出は、ブロワ空気搬送式による上部排出。排出ダクトの角度や方向は可変式で自由に変えることができるため、軽トラックの荷台やフレコンバックへのそのまま排出できる(安全ガードを付け替えることにより、下部からの排出も可能)。
- ローター上部・下部・投入口カバーは、工具不要で開閉でき、日常点検やナイフ交換が簡単に行える。
-など。
ゴムクローラフォークリフト「MFD-20」は、最大積載量2000kg。ゴムクローラのため、不整地の荷役作業に最適。同社独自のシンプルな操作性で、簡便作業ができる。
6.静岡製機が乾燥機の遠隔モニタリングシステムを完成
シズオカ・スマート・ドライヤー・モニタリングシステム(SSDM)で、循環型乾燥機“ドライゴン”「SSEシリーズ」(9~100石)に対応し、スマートフォンやパソコンがインターネットに接続できる環境であれば、刈取中の圃場からでも、ライスセンターの管理室からでも、いつでも、どこからでも、乾燥機の状態が確認できる。
確認できるのは、水分値・熱風温度・乾燥残り時間・異常停止・張込終了・乾燥終了など。「乾燥終了」「エラー通知」「張込完了」「任意の水分値を切った時」「排出終了」は乾燥機からメールにより連絡が入る。
システムは、乾燥機に取り付ける無線機とレンタルのWi-Fiルーターなどで構成される。
7.オーレックがミニ除雪機スノークリーンのセル仕様発表
型式はSGW802S。11月から発売する予定で、予約受付を開始した。
作業幅800mmのブレードで雪を押して除雪する。ブレードは上下左右の調整をワンタッチで行うことができる。路面の環境に応じた高さ調整を行った上で、ブレード高が固定できるので、地面との摩耗を防ぐ。また、手元のレバー操作により、ブレード角度は左右角度0度から30度まで5段階に調整でき、雪のかき分けを容易にする。
始動にセルスタートが追加されることで、より快適に作業できる。少量の雪から本格的な雪まで幅広く除雪する。
<業界短信9月>
1.井関農機が新潟で「夢ある“農業女子”応援プロジェクト」
新潟の開催は昨年5月に続き2回目で、全国開催数は14回目。新潟県内の20~40代の女性農業者18名が参加し、現在県が推し進めている園芸振興方策について学んだほか、座学と圃場実習による農機セミナーなど、充実した内容となった。
座学では、トラクターの種類、構造、安全講習、管理機・耕うん機の選び方などを学び、実習ではトラクターの操作方法、機能紹介、耕うん実習。管理機・耕うん機では操作方法、耕うん・畝立てなどを行い、野菜移植機では作業の実習などを行った。
また、農林水産省、新潟県の担当者より行政の支援等についてのセミナーを行った。
2.革新工学センターと新農機が大豆用高速畝立て播種機で現地検討会
宮城県大崎市の宮城県古川農業試験場で開催した。同播種機は、平成26~28年度、緊プロ事業の一環として、革新工学センターとアグリテクノ矢崎、小橋工業が開発しているもので、梅雨時の作業が多い大豆の湿害を回避するため、湿った圃場でも作業が可能で、従来機の2倍以上の速度で播種が可能な機械の開発を目指している。当日はあいにくの悪天候のため実演は行われず、実機を展示しての説明となった。
開発機の構造と性能について講演した革新工学センター土地利用型システム研究領域・重松健太主任研究員によると、播種は2条、適応トラクターは40~60PS。作業速度は時速6kmと従来機の2倍以上で、トラクターが入れる程度の圃場であれば湿っていても作業が可能。ユニットを付け替えることで、中耕除草作業が行える。オプションで施肥ユニットも付き、同時作業が行える。
3.クボタの28年12月期の第2四半期売上高が7961億円に
第2四半期累計の売上高は、前年同期比578億円(6.8%)減少して7961億円となった。国内売上高は建機やポンプなどの減少により全部門で減収となり、前年同期比131億円(4.4%)減の2822億円、海外売上高は、建機が伸長したものの、為替の悪化により機械部門が減収となったほか、ダクタイル鉄管や素形材などの減少により、全体では前年同期比447億円(8.0%)減の5139億円となった。
営業利益は、円高の影響を原材料費や販売費の減少などで補いきれず、前年同期比97億円(8.4%)減の1056億円だった。
機械部門の売上高は、前年同期比5.9%減少して6314億円となり、売上高全体の79.3%を占めた。国内売上高は5.2%減の1434億円となり、前期のエンジン排ガス規制強化に伴う需要の反動などにより、農機や建機が減少した。
4.ヤンマーとヤマハが米国のROV事業で提携
2016年12月からヤマハROV(リクリエーショナル・オフ-ハイウエイ・ビークル)のマルチパーパスモデル「VIKING(バイキング)」及び「VIKING Ⅵ(バイキング シックス)」(いずれもヤマハ名)をヤンマーにOEM供給し、ヤンマーは米国での農家向け販売網を活用して2017年1月から同製品の販売を行う。
今回の業務提携の目的は、ヤマハの技術力・製造ノウハウと、ヤンマーの米国での農家向け販売網という両社の強みを生かし、拡大する米国ROV市場での販売を拡大すること。両社は、ものづくりを通して市場を創造、開拓するという同じ価値観を共有し、これまでにも、産業用無人ヘリ、発電機・除雪機での取引実績がある。
このたびヤマハからヤンマーにOEM供給されるこれらの2機種のROVは、カラーリングやグラフィックなどの外装デザインをヤンマー仕様として一新し、ガソリンエンジン搭載の新製品としてヤンマーのブランド、モデル名で販売する。
5.井関農機の28年12月期第2四半期の売上高は810億円
第2四半期連結累計期間の売上高は810億4700万円で、前年同期比47億円(6.2%)増加した。
うち国内売上高は613億円で12億円(2.0%)増加した。農機製品は9億円の減となったものの、農機関連の作業機、部品、修理収入の増加により農機関連全体では6億円増。施設工事14億円増、その他が8億円減。
商品別の売り上げ状況は、整地用機械(トラクタ、乗用管理機等)は158億8100万円、栽培用機械(田植機、野菜移植機)は63億2200万円、収穫調製用機械(コンバイン等)は59億4700万円、作業機・補修用部品、修理収入は196億4400万円、その他農業関連(施設工事など)は135億1000万円となった。
6.井関農機が愛媛で小学生に「もの育」
井関松山製造所でISEKI「もの育(ものづくり教育)」を開催した。これは将来を担う子どもたちにものづくりの大変さや楽しさを理解してもらい、ものづくりへの関心を高めてもらうことを目的に開催したもので今回で4回目。毎年夏休み期間に実施し、愛媛県教育委員会、松山市教育委員会が後援。
当日は、県内の小学1~6年生36名と保護者等三十数名が参加した。参加者は4班に分かれ砂型鋳造キーホルダーの作成、工場見学、大型トラクターへの試乗等を行った。また、松山工業高校が製作したアメフトロボットの操作体験を行い、子どもたちが操縦して試合を行った。
ヰセキ自慢のISEKIドリームギャラリー見学では、3D映像によるコンバインの刈取速さに驚きの声が上がった。
7.サタケが韓国に初の支店を開設
韓国・テジョン市に開設した。駐在人員は4名、販売、アフターサービス、市場動向・政府投資情報の把握などを行う。
同社は、1980年代より韓国市場に市場に進出し主に精米設備の販売を行ってきた。その後、製粉設備や炊飯設備など、より幅広い分野のへの事業を展開してきたが、これまで韓国内には事業拠点はなく、営業活動やアフターサービスについては必要に応じて日本からサタケ社員が出張するなどして対応してきた。
今後は、新たな支店を拠点としてきめ細かな営業活動を展開し顧客のニーズや市場動向等の情報をいち早く把握することで、さらなる事業拡大につなげるとともに迅速なアフターサービス体制を構築することで顧客満足度の向上につなげていく考えだ。
8.革新工学センターと新農機が小型幹周草刈機の現地検討会開く
「樹園地用小型幹周草刈機」は、革新工学センターとクボタが農業機械等緊急開発事業において共同で開発。開発中の機種は、歩行型法面用草刈機をベースに、果樹園用に改良した草刈機。わい化リンゴ園などの樹冠下の草刈り作業を楽な姿勢で効率よく行うことができる。車体の片側にキャスタを付け、旋回動作が容易に行える「キャスタ式」と、草刈機本体の主草刈部の他に車体側方に草刈部を追加し、追加部が幹などの障害物に衝突すると、車体側へ避ける機構を備えた「オフセット式」の2方式がある。
これらについて、長野県農業試験場の技術館と長野県果樹試験場の試験圃場で現地検討会を開催。機械の紹介や試験結果の発表の後、試験圃場で実演を行った。
9.ヤンマーのバイオイノベーションセンター倉敷ラボが完成
新しい研究開発拠点で、倉敷市船穂町柳井原2303に建設した。敷地面積は2.5ha。設計は、KOD(ケン・オクヤマ・デザイン)が監修。施設は工期を3期に分けて建設し、今回は第1期として研究棟、試験棟、実証棟が完成した。今後17年度までに要素試験用小型ハウス、エネルギーマネジメントハウスなどを建設する予定。総投資額は約20億円。スタッフは現在17名で、18年までに30名に増員する。
設立の目的は、グループ会社間連携として、ヤンマーが培ってきた農業関連技術、商品やエネルギー関連技術などを融合させ、新たなソリューションを創出する取り組みを行うとともに、ベンチャー企業や大学、研究機関など社外との連携によるオープンイノベーションの強化によってIoTを活用した栽培技術の確立や、福祉・医療分野において農業がもたらす地域経済への貢献や健康への影響についての実証など多様な研究開発を行い、ヤンマーが目指す「持続可能な資源循環型の食料サプライチェーン」を構築する、としている。