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農業機械関連ニュース

農業機械業界短信
平成25年7月10日発行

1)業界短信-新製品7月

1.クボタがスペシャル機としてトラクターと乗用田植機投入

「未来へつなごう!元氣農業キャンペーン」の一環として、投資コストの抑制と営農意欲の向上につながる求めやすい価格のスペシャル機。トラクター、ブルスターエクストラシリーズ (17馬力)、キングブルエクストラシリーズ(21馬力)、キングウェルRシリーズ(27・28・31馬力)など3機種9型式、乗用田植機が、ウエルスターシリーズ4条植えで、いずれも標準機に対してメーカー希望小売価格で5万円〜20万円引き下げた価格設定としている。
 投入した「ブルスターエクストラシリーズ」B17Xは、倍速ターン、パワステ、水平制御のモンロー、耕深制御のクッションオートなど、「あんしん」「らくらく」のための充実した機能を搭載。その上で、標準のブルスターエクストラシリーズに対して、メーカー希望小売価格で5万円(税抜き)引き下げた。
 キングブルエクストラシリーズB21X・ B21X―PCは、耕うん精度が向上するカバーダンパ、作業に応じてロータリカバーの角度を変更できるニューフラップカバー、耕深制御のクッションオートなどを搭載。更に、新しい駆動構造・ラグパターンの第2世代パワクロも採用。標準のキングブルエクストラシリーズに対して、メーカー希望小売価格で8万円(税抜き)引き下げた。
 キングウェルRシリーズのL27R(H)、L31R(H)、L28R―PC、L31R―PCは、中核層向けトラクタとして好評の、27・28・31馬力の主力レンジのキャビン仕様にスペシャル機を採用。標準のキングウェルRシリーズに対して、メーカー希望小売価格で20万円(税抜き)を引き下げた。
 「ウエルスターシリーズ」P450は、ウエルスターポップSPU450Pに対して、メーカー希望小売価格で7万円(税抜き)引き下げた。

2.サタケが精米選別ユニット「ソフィア」を新発売

米の複数銘柄を製造する際の切り替え時間を大幅に短縮できる精米選別ユニット。竪型精米機、ドラム式粒選別機、光選別機から構成されるユニットで、8月1日より出荷開始の予定。竪型精米機(バーチミル=2モデル)およびドラム式粒選別機(クアッドセパレーター)は、それぞれ単体での販売も行われる。
 精米選別ユニット「ソフィア」は、銘柄切り替えに要する時間を約5分間と同社従来比で約4分の1に大幅短縮した。また、「ソフィア」は精米機、粒選別機、光選別機を1つのユニットに集約しており、作業動線が短く、据付工事の期間が短縮できるのも特徴。
 竪型精米機バーチミルの特徴は、

  1. 機内残粒米を短時間で排出。
  2. 研削バイパス精米に切り替え可能。
  3. 分かりやすい操作パネル

―など。
 ドラム式粒選別機クアッドセパレーターの特徴は、

  1. メンテナンスが容易
  2. 機内残留を短時間で排出

―など。

3.金子農機が大型遠赤外線乾燥機を追加

「RKH」シリーズに、55石の「RKH550」と65石の「同650」を追加、新発売した。また、従来のRVFタイプ(70〜100石)を、RKC・RKHタイプと同様の機能と外観を搭載した「RKF700」(70石)、「同800」(80石)、「同1000」(100石)とし、新たに「RKF」シリーズ化した。RKFの3型式は、除塵性能を大幅にアップさせたのが特徴。また、大容量遠赤外線乾燥機(RKH700=70石まで)は業界唯一の2kW契約でも使用できる省エネ仕様とした。
 主な特徴は、

  1. 遠赤外線の効果に加え同社独自の全粒照射方式と横がけ8層交差流下方式でムラなし、安心の高品質仕上がり。
  2. 速い乾燥。乾減率上限は毎時1.2%。
  3. 灯油消費量は約15%減、消費電力は約40%減(同社熱風型比)。
  4. 斜流ファンで静か。

―など。

4.クボタがフルキャビンの乗用管理機を新発売

発売型式はKBSA―650Cが4型式、同―950C1型式。主な特徴は、

  1. フルキャビンがオペレーターを農薬被曝から守る。エアコンを標準装備しているので、フルシーズン快適に作業することができる。
  2. 新型スプレーナビを採用。7インチのカラー液晶パネルにより文字が大きく見やすく、操作もタッチパネルで簡単に行うことができる。
  3. 10a当たりの散布量を設定することで、速度を気にせず精密散布をすることができる。「GPSガイダンス機能」や「バックモニター機能」をオプションで準備。
  4. ミッドタンクレイアウト。重量変化が大きい薬剤タンクを機体のほぼ中央に配置。前輪・後輪にかかる重量バランスが常に一定となるので、湿田でも安定した走行性能を発揮する。

―など。

5.タイショーが大容量の穀類搬送機“レザーコンテナ”「パワード25」開発

ポリエステルターポリンを採用した大容量の穀類搬送機で、7月よりピット専用として、本格的な発売を開始する。同機は2本のスクリューWオーガ方式により、毎分最大700kgの高速大量排出を実現。コンテナ満タン量(最新大型コンバイン2回分)を、3分半〜4分でピット内へ排出する。大容量ホッパー(3900L)のため、一度に大量の穀類を搬送可能。また、トラックへの載せ降ろしはフォークリフトで容易に行える。ホッパー部は、折り畳み式で、組み立て・分解が簡単に行える。

6.静岡製機が国際食品工業展でステンレス食品乾燥機の新製品発表会を開催

国際食品工業展FOOMA2013が開催された東京ビッグサイトの会議棟において記者会見行い、6月初旬から本格的な発売を開始したステンレス食品乾燥機“ドラッピー”「DSJーSSシリーズ」を発表した。新型食品乾燥機は、食品や調理器具の乾燥に使用できる消毒機能を付加。最高温度を80℃までの高温に設定でき、乾燥時間が大幅に短縮できる。同社では、多目的電気乾燥庫を、新モデルとして「食品乾燥機」に名称を変更し、順次発表していく方針。席上、鈴木社長は「来年創業100年を迎えるに際して、食品乾燥機をひとつの核として、積極的な拡販を進める」と挨拶した。
 今回、新発売した食品乾燥機は「DSJ―3―1SS」(トレイ枚数3枚)、「DSJ―7―1SS」(トレイ枚数7枚・単相200V)、「同―3SS」(トレイ枚数7枚・三相200V)の2型式3タイプ。加湿と加温のW消毒機能により特定の食中毒菌(黄色ブドウ球菌・大腸菌O157・サルモネラ・腸炎ビブリオ)を殺菌する。
 保温・恒温機能により発酵食品(塩こうじ・醤油こうじ・甘酒など)を手軽に素早く作れる。また、食材・飲料の保温に使える。
 テフロン網とステンレストレイの採用により、乾物のはりつき防止に大きな効果があり、乾燥効率が大幅にアップする。

7.井関農機が25年度下期新製品のトラクターなど発表

「日本、世界の農業を応援」をコンセプトに、9年ぶりにフルモデルチェンジしたトラクター「ジアスNTAシリーズ」8型式をはじめ、シンプル・低コストの「ジアスNTシリーズ」6型式、海外向けのコンパクトトラクター6型式、ユーティリティトラクター6型式、中国の菜種収穫向け汎用コンバインなど15品目45型式を発表した。
 このうち、トラクター「ジアス」NTAシリーズは、乗用車感覚の簡単操作と作業性能の向上を実現し、さらに安心・安全へ配慮した、誰でも快適に扱えるトラクター。主な特徴は、

  1. デュアルクラッチを搭載した新型トランスミッション=主変速8段をクラッチを踏むことなく変速できるので動力遮断が少なくスムーズな変速が行える。主変速レバーをDレンジに入れるとアクセルペダルの踏み込みに応じて自動で増減速するので路上走行は自動車感覚。ブレーキペダルを踏むだけでエンストすることなく停止でき、ペダルを放すだけで発進もスムーズ。
  2. 新ワンタッチ作業切換ダイヤル。
  3. オペレータの疲労を軽減する快適キャビン(CY型)
  4. カラー液晶で見やすい大型マルチアイ。

―など。
また、NTシリーズの主な特徴は、

  1. 「ジアス」ATKシリーズの優れた基本性能を引き継ぎ、マニュアルシフトを採用することで低価格を実現。
  2. 4輪ブレーキ、ハイマウントブレーキランプ、低速車マークなど安心装備。
  3. 作業機を上げるとPTOの回転が停止するアップストップPTO、ハンドルを切るだけで作業機が上昇するオートリフト、前・後進の切り換えをレバー1本・ノークラッチで行えるパワーリニアシフトなどの充実装備。

―など。

8.大竹製作所が超小型もみすり機発売へ

「米(マイ)チェッカー MH―D/MH―A」の販売を、8月から開始する。同機は、農家の要望により開発された新製品で、「収穫適期の見極め」や「被害粒の確認」などが簡単にできる。「MH―D」は、自動車のシガーソケットで運転することができ、生籾でも籾すりが可能。圃場で試し刈りした稲を、その場で「籾すり」することにより、収穫の適期や被害粒の発生状況をその場ですぐに知ることができる。
 また、大学や技術試験場などの研究機関では、品種などの研究において、異品種の混入はあってはならないことなので、運転後、機内には米粒が一粒も残らず、脱ぷファン室の中を簡単に点検することができるため、最適。
 主な特徴は、

  1. 収穫適期を簡単、適切に見分けられる。
  2. 営農の指導をする場合、圃場において、農家に収穫適期や米の品質について説明ができる。
  3. 稲作作業の請負業者の場合、委託者に米の品質を事前に説明できる。
  4. カメムシなど被害の多い圃場を事前に知り、別処理することができる。

―など

2)業界短信7月

1.ヤンマーがヤンマー学生懸賞論文・作文を募集

第24回ヤンマー学生懸賞論文・作文を、10月20日の締め切りで募集を開始した。テーマは「進化する農に対する3つ挑戦」で、進化する「農」を未来につないでゆくため、

  1. 世界で戦える農業への挑戦
  2. 儲かる農業への挑戦
  3. やりがい・生きがいとしての農業への挑戦

ーの3つを掲げた。入賞者は12月下旬に決まり、翌1月下旬、東京で開く発表会で表彰される。
 論文の部の募集内容は、テーマに沿って、21世紀の日本農業の確立をめざした“先駆的挑戦”を内容とした論文を、自然科学、農業経営、農産技術、農芸化学、農業モデル(都会、中山間地、大規模平野、臨海地域)、新規ビジネスモデル、流通、教育、ICTなど、様々な分野から独自の構想で提言し、その実現の過程、手法等を論理的に述べる。
 作文の部は、前記テーマにそって、感じていること、夢や思いを、これまでの体験やその時の情景を描写しながら作文にまとめる。

2.サタケが米・炊飯米品種鑑定サービスの鑑定可能品種を追加

同社の展開する米・炊飯米品種鑑定サービスの鑑定可能品種に新たに45品種を追加、6月1日より291品種に拡充して対応していく。同社は2003年より米・炊飯米品種鑑定(DNA品種鑑定)サービスを開始し、これまで多くの品種鑑定を実施してきた。一方、新たな品種が年々登場してきており、同社ではこれらの新品種に対応するため、鑑定可能品種の拡充に取り組んでいる。
 今回新たにうるち米、もち米など45品種(うるち米26品種、もち米2品種、酒造好適米16品種、飼料米1品種)を加え、鑑定可能品種を291品種に拡充した。

3.近江度量衡が「柑橘次世代選果施設」を施工

JA熊本うきに、温州ミカンと不知火ミカン(デコポン)を同一ラインで選果し、正確に全量検査できる世界初の「柑橘次世代選果施設」を施工した。製品率・歩留まり率・棚持ちの向上、人件費・経費の削減だけでなく、生産者や園地ごとの等階級データも明確にすることで果樹生産への情報フィードバック、生産性向上への貢献もできる。
 品質検査では、外部品質センサーと内部品質センサーで糖度、酸度を計測。生キズセンサーが人の目では見つけられない生キズも発見し、内部品質センサーは果実内のタネ、ス上がり、浮き皮などの内部の異常も発見する。次いで、果実1個ごと計量し、積算箱詰めを行う。重量調整を1個のみに抑えて、歩留まりを高めている。

4.三菱農機の24年度決算は増収達成

24年度の売上高(単独ベース)は、前年度より32億4000万円(10.1%)増え、353億4000万円となった。事業区分別では国内農機事業が264億1500万円(前年度比99.6%)、施設事業が24億9500万円(同200.6%)、海外事業が64億3000万円(同167.3%)。発表に当たり島﨑社長は、国内農機事業では下期における新製品投入効果をあげ、なかでも小型汎用コンバイン「VCH650」はOEM供給先含め当初計画の2倍強に達し、施設事業では放射性セシウムを高速で測定する放射能検査装置(単価約2000万円)が27台の実績を確保したほか、宮城県亘理町のイチゴハウスなどで倍増し、海外事業は北米向けOEMのトラクターが前年比2倍の7200台となったことなどを明らかにした。

5.筑水キャニコムがカタログをコミュニケーションツールに

カタログや広告はコミュニケーション活動のツールと捉え直し、2013年度総合カタログの表紙に、途上国では同社商材の運搬車や草刈機のライバルとなる動物達を載せて、同社広報室は“このカタログを見られた方は、「何だろう?」と思われたでしょう。そう思っていただけたなら、弊社の狙いは達せられました”という。
 また、乗用草刈機“Hey MASAO”のカタログは、表紙を砂漠にした。「地球上の緑を美しく残さなければならない(美残刈)。環境破壊による地球の砂漠化を避けなければならない。そのために月よりの使者“Hey MASAO”が登場した」という趣旨を表した。

6.ヤンマーが平成25年度3月期決算を発表、増収増益に

売上高は前期比4.7%増(260億円増)の5771億円。営業利益は同50.1%増の338億円、経常利益は同61.7%増の359億円、当期純利益は同70.9%増の208億円。農業機械、建設機械、ガスヒートポンプ・発電機により構成される産業用機械事業の売上高は前期比9.0%増の3376億円、売上高全体の58.5%を占めた。産業用エンジン並びに関連機器により構成される内燃機関及び関連機器事業は前期比0.6%減の2283億円となった。
 農業機械の国内市場は、震災の影響からの回復や米価取引額の高値推移、また戸別所得補償制度の定着などを背景として売上高は前年を上回った。海外市場においても、タイでの政府による米買取政策、政府系農業銀行による積極投資や、インドネシアでも高い経済成長率を背景に販売数が好調に推移し、海外市場全体の売上高も前期を上回った。

7.IHIスターの新社長に青栁氏

6月21日開催の定時株主総会および取締役会において、代表取締役社長に青栁稔氏(前社長補佐)を、取締役に西村隆志氏(IHI小型原動機統括室主幹)を、監査役に大槻研一氏(前IHIシバウラ社長補佐)をそれぞれ選任し、新体制が決定した。前代表取締役社長の細倉雄二氏は、引き続き同社の非常勤取締役に就任し、IHIシバウラの取締役会において常務取締役に就任。取締役の平野博幸氏と監査役の武井厚氏は、定時株主総会の終結をもって退任した。
 青栁稔(あおやぎ・みのる)新社長は、昭和34年11月20日生まれ。昭和62年3月慶應義塾大学大学院理工学研究科修了後、4月に石川島播磨重工業(現IHI)技術本部技術研究所エンジン開発部に入社。
 機械事業本部車両過給機事業部開発部開発グループ担当課長や機械事業本部車両過給機事業部開発部性能グループ担当部長を歴任。平成18年10月江蘇石川島増圧器有限公司総経理、平成21年7月無錫石播増圧器有限公司総経理・董事、平成25年1月IHI車両過給機セクター技術統括センター実験評価部次長を経て、4月にIHIスターの社長補佐に就いていた。

8.サタケがベトナム精米最大手のAGPPS社と覚書締結

ベトナム精米最大手のAn Giang Plant Protection Joint Stock Company(本社=ベトナム・アンザン省、Huynh Van Thon会長、以下AGPPS社)と米の乾燥・精米、分析・品質管理および付加価値米に関する技術協力についての覚書で、サタケがAGPPS社に対し、米の乾燥機、米の分析・品質管理、精米機・研米機、付加価値米などの技術供与や製品提供―を行い、AGPPS社が生産・販売している米の品質向上を目指すもの。
 今後実施予定の具体例として、AGPPS社の精米工場(もみ乾燥から精米までを行う)で使用する新型乾燥機の自社生産、GABAライスの製造などを視野に入れている。

9.本田技研工業が環境取組み説明会を開催し、環境年次レポートなど発表

冒頭挨拶した伊東社長は、ホンダの環境・安全ビジョンを「自由な移動の喜び」と「豊かで持続可能な社会」を両立させることとしたうえで、社長就任と同時に環境会議の議長に就き、まずホンダ製品が排出するCO2総量把握からはじめたことなどを披露しながら、「誰よりも早くCO2対策、環境対応を取り入れることで、パーソナルモビリティのおもしろさ、楽しさを残したい」との心情を披瀝した。
 環境レポートでは、2020年のCO2低減目標(2000年比30%低減)に対して、達成状況は4輪が15.7%(g/km当たり)、2輪が27.4%(同)、汎用が14.7%(kg/1時間当たり)であるとしている。
 また、日本の里山再生のために、ホンダ・ロボティクスの知能化技術を応用し、山中の自動走行などを実現する丸太運搬車「里丸(さとまる)」の研究開発を進めていることを明らかにした。