平成25年3月10日発行
<新製品ニュース>
- クボタが新たな「フラッグシップモデル」、及び「ワールドシリーズ」をさらに拡充
- ヤンマーが25年上期新商品として、101馬力フルクローラトラクターなど発表
- 三菱が25年度新商品としてコンバイン、田植機など発表
- 本田技研工業がガスパワー耕うん機「サ・ラ・ダCG FFV300」を発表
- エム・エス・ケー農業機械が新型トラクターMF7600EF/EX D6シリーズを発売
- ササキコーポレーションが「小型有機ミキシングソワーRMS203」を発売
<業界ニュース>
- 筑水キャニコムが創業65周年記念式典を開催
- IHIスターが札幌市に漫画家・画家のおおば比呂司氏の原画を寄贈し、感謝状受ける
- ヤンマー学生懸賞論文・作文の入選発表会を開催
- 日農工の除雪機安全協議会が事故の防止のため、再度の注意喚起
- サタケが都内に「おむすびのGABA」を今春オープン
- モノレール工業協会が新年総会
- クボタが機構改革し戦略本部、調達本部など設置
- ニッカリの「キャリレール」が、国土交通省の新技術情報提供システムNETISに登録
- 加工・業務用野菜大型機械化等推進大会でキャベツ収穫機を実演
- 生研センターが「トラクタ後輪用の除泥装置を開発」と「ナガイモの種イモ高速切断の開発に
道筋」を発表 - 日農工・技術安全対策委員会が農地除染に関する講演会開く
- 山本製作所が遠赤乾燥機「ウィンディネックス」新型3シリーズの出荷式
<新製品ニュース>
1.クボタが新たな「フラッグシップモデル」、及び「ワールドシリーズ」をさらに拡充
同社の技術の粋を集め開発したのがフラッグシップモデル3機種で、トラクターはディーゼル特殊自動車の75〜130kWクラスの排出ガス規制に適合する最新ディーゼルエンジンV3800型(3.8L)又はV6108型(6.1L)を搭載。燃料噴射をコンピューターで細かく制御するコモンレールシステムや、クールドEGRシステム、ディーゼル・パティキュレート・フィルター(DPF)などを採用して、コンパクトな設計という特長を維持しながら規制をクリアすると共に、出力向上や低騒音化など性能向上を図る。シリーズ・型式名称は未定。
コンバインは、トラクターと同じく最新のV3800型ディーゼルエンジンを搭載。大径ロングこぎ胴のダイナミックスレッシャーにより、高精度な脱こくを実現する。シリーズ・型式名称は未定。
田植機はEP8Dで、21馬力の高出力ディーゼルエンジンを搭載し、きれいに速い田植えを実現した。
また、「ワールドシリーズ」では、新たに72馬力トラクター「M72W」及び田植機で初となるディーゼルエンジン搭載6条植え「WP60D」を商品化。ワールド田植機には、稲作の低コスト・省力化に寄与する新技術「鉄コーティング直播栽培」用で業界初となる直播専用機(WP60D―TC)も追加投入する予定。
2.ヤンマーが25年上期新商品として、101馬力フルクローラトラクターなど発表
25年上期の新商品のうち、トラクターでは、フルクローラトラクターの新型「CT1010シリーズ(101馬力)」を発表。圧倒的な牽引力と抜群の低接地圧を実現するフルクローラで、湿田での多連プラウ等の重牽引作業も余裕でこなす。また、接地面が広く、低接地圧のため、トラクターの沈み込みが少なく、湿田走破性に優れている。フルクローラでありながら抜群の作業性を誇る丸ハンドルFDSにより、軟弱地でも圃場の荒れが少なく、高精度な作業が行える。
また、高出力・高効率・クリーンな排気を実現する新型エンジンを搭載した大型のジョンディアトラクター「6Rシリーズ」(105〜210PS、9型式)は、高出力・高効率・クリーンな排気を実現するパワーテックPVXエンジンにより、高効率でランニングコストを抑え、低燃費を実現。排気フィルターの採用で、国内特殊自動車3次排ガス規制相当(欧州排ガス規制StageⅢB)をクリアしたクリーンな排気を実現している。
さらには、作業機を本機中央に装着して精度の高い作業が行える「ミッドマウント式管理作業車MD20」を発表した。同機は大豆や野菜などの中耕・除草・培土などの管理作業を行う乗用作業車で、最低地上高が高いため、生長した作物の管理作業も行える。
3.三菱が25年度新商品としてコンバイン、田植機など発表
25年度新商品は、ASUMAブランドはコンバインが「VS329・334/VY434/VY463R(ET)/VG563RET/VG570R(ET)の6型式、田植機が「LE4/5」の2型式。それに管理機「マイボーイMMR88A」。
コンバインVS329・334/VY434の特徴は、小型特殊免許で公道走行が可能なコンパクトボディーに高出力エンジン搭載。下降位置を基準にする水平制御に加え、上昇位置を基準にする水平制御を標準装備。またハイクリアランス設計と合わせ湿田でも安定した高精度作業ができる。三菱独自のコア技術を搭載、増速ツインこぎ胴、選別性の優れたスーパーeスレッシャー(E仕様除く)など独自機能で、優れた脱こく・選別性能を発揮する。
また、従来モデルVY・VGシリーズに、新たに70馬力仕様を投入し、それに伴い従来モデルにも新機能を搭載し、モデルチェンジした。
乗用田植機LE4(4条植・最大出力10馬力)は、高出力化を図りながら、全長は従来と同サイズに抑え、湿田でスリップしてもハンドルを戻すことなく4輪に動力を伝えることができるパワーターンペダルを装備。バックアップ機能を標準装備し、後進時には自動で植付部が上昇するため、植付部の上げ忘れの心配がない。また、転倒警報、疎植仕様を標準装備し、苗に優しく手植え感覚の独自のニューダブルアクション、疎植植付でも綺麗に仕上がる。
4.本田技研工業がガスパワー耕うん機「サ・ラ・ダCG FFV300」を発表
同機は、平成21年3月に発売した「ピアンタFV200」に続くガスパワー耕うん機の第2弾。中規模(30〜100坪)の畑で野菜づくりを楽しむ家庭菜園愛好家に向けて開発。家庭菜園のエントリーモデル「ピアンタFV200」の上位モデルとして、FF300の優れた耕うん性能および操作性能はそのままに、使用燃料に購入・使用・保管が容易なカセットコンロ用のブタンガスを採用することで、エンジン始動や燃料の充填が簡単に行えるとともに、燃料の管理や長期保管もしやすくした。ホンダ独自の同軸・同時正逆転ロータリを機体前方に配置することで初心者でも簡単に深く耕せる。また、工具なしでハンドルを折りたたむことができコンパクトに収納できる。
5.エム・エス・ケー農業機械が新型トラクターMF7600EF/EX D6シリーズを発売
発売するのは、MF7618EFD6/7618EXD6/7620EFD6/7620EXD6/7622EXD6/7624EFD6で、定格165馬力から220馬力までの4機種6型式。国内排気ガス規制の新基準移行により現在販売しているMF6400シリーズトラクタの高馬力帯(162馬力以上)の後継機種として投入する。また、年々高馬力化する市場の需要に応えるため、現行では最大182馬力までだった馬力レンジを220馬力まで広げた。
エンジンは、AGCOシスパワーエンジンを搭載、排ガス後処理システムは従来のSCR(NOxを浄化する選択的触媒還元技術)に加えて、排ガス酸化触媒を用いたシステム(DOC)を併用している。これにより燃料消費率を低減、低燃費で最大のトルクを得られ、低回転でも大きな馬力とパフォーマンスを発揮する。1系統、2系統目には電磁式フィンガーチップ操作式油圧を標準装備(EXクラスは3系統目、4系統目も電磁式、EFクラスは3系統目機械式)、ISO―BUS付きデータトロニックⅣをEXクラスに標準装備(EFクラスはメーカーオプシ ョン)している。
6.ササキコーポレーションが「小型有機ミキシングソワーRMS203」を発売
有機・化成の混合・定幅散布が可能で、20PSクラスのトラクターから装着できる。Wオーガを採用することにより、肥料の混合性に優れ、含水率40%以下の有機肥料の散布にも対応する。独自のW落下方式で左右の均一散布(散布幅1.3m)を実現。オーガ部にはフローティングスクレーパを装備、肥料の残量を大幅に軽減し、また、作業後の掃除をサポートする大口シャッターも装備している。操作は、トラクターに乗ったまま開閉はもちろん、20段階の散布量調整(ダイヤル調整)ができ、タンクやシャッターは腐食に強いステンレス製。
<業界ニュース>
1.筑水キャニコムが創業65周年記念式典を開催
式典では包行良人名誉会長が同社の歴史を振り返り、父親から35坪の敷地を譲り受け刀鍛冶18代目として草刈鎌の生産を始めた創業時から回顧し「人生七転び八起きと言うが、七転び八転びだった。しかし、昭和25年に商品化したカルチベータを皮切りに、お客様が本当に喜ぶ商品を開発し続けたことにより、お客様に助けていただいた。従業員も一生懸命働いたおかげで今日があると感謝する。1日でも早く100か国取引を達成して、世界へ飛躍してほしい」と更なる奮起を促した。
包行均会長はこれを受け、「毎年、すばらしい新商品を出していく力がキャニコムにある。超一流のグローバルな、グローカルな中小企業を目指す」と述べ、包行義郎社長も「100周年に向け経営を伸ばし、ものづくりは演歌の心を次世代に伝える」と新たな誓いを宣言した。
2.IHIスターが札幌市に漫画家・画家のおおば比呂司氏の原画を寄贈し、感謝状受ける
漫画家・画家のおおば比呂司氏の没後25周年を迎えるにあたって、北海道札幌市へ「おおば比呂司原画39点」を寄贈。それに対して、札幌市役所において「感謝状授与式」が行われた。
同社では、1951年当時、北海道新聞社に在籍し新聞挿絵などを描いていた若き日のおおば氏と知り合い、同社(豊平農機製作所、スター農機)が依頼し、1966年頃まで農業雑誌の広告カットやカレンダーの原画などを描いてもらった。これを「2013年STARカレンダー」をはじめ、2001年よりカレンダーに使用してきた。同社では、おおば氏没後25周年を迎えるにあたって、多くの人に広く絵を見てもらいたいと考えて、今回札幌市に寄贈した。
3.ヤンマー学生懸賞論文・作文の入選発表会を開催
都内のメルパルク東京で、「第23回ヤンマー学生懸賞論文・作文入選発表会」を開催し、それぞれ13編の入選作品の学生を表彰した。論文の部大賞には愛媛大学農学部4年の中本英里さん、作文の部金賞には群馬県立農林大学校農林部1年の藤江将大さんが選出された。
第23回となる今回の学生懸賞論文・作文は、『進化する農へ挑戦〜「進化する農」に対する3つの挑戦〜1.世界で戦える農業への挑戦、2.儲かる農業への挑戦、3.やりがい・生きがいとしての農業への挑戦』をテーマとして、全国の大学、農業大学校などから論文74編、作文499編が集まった。これまでの累計総数は、それぞれ2346編、5528編と膨大な数にのぼっている。
4.日農工の除雪機安全協議会が事故の防止のため、再度の注意喚起
この冬、除雪機を使用する機会が増加したため、これに関係する事故が例年に比べて増加傾向にあることから、「安全で円滑な除雪作業を行っていただくために」と題したお知らせとチラシを関係機関に送付し、事故の防止のため、再度の注意喚起を行った。チラシは、除雪機の安全使用に向け、除雪機利用中の3大事故と事故原因や、主な安全機構としてデッドマンクラッチや緊急停止バーなどを紹介し、「安全機構が正しく作動しない状態では絶対使用しない」ことを呼びかけている。
5.サタケが都内に「おむすびのGABA」を今春オープン
GABAライスは、「お米の力で元気な人を創る」というコンセプトに基づき開発した、美味しく健康に役立つお米で、そのGABAライスを使った手作りおむすびの販売店「おむすびのGABA」を、サタケ東京本社1階にオープンする。
新店舗は、東広島店と同様にGABAライスを使ったおむすびや各種サイドメニューをテイクアウトとイートインで販売する予定。
新店舗のオープンに当たり、同社では昨年開業し大きな注目を集めている丸の内タニタ食堂をプロデュースするなど、外食産業に新風を吹き込んでいる株式会社きちりと業務提携し、GABAライスのさらなる認知・普及活動を展開することで合意した。
6.モノレール工業協会が新年総会
新年総会では、平成24年度事業報告、平成25年度見通しなどを議題に話し合った。今年の需要見通しとしては、政権が交代して公共事業関係の仕事が増えると予想されることに加えて、電動モノレールに注目が集まるなど、良い要因が見られることから、昨年と比較して8%程度アップを予測。レンタルの需要としては、レジャーやダムでの仕事が伸びるとみている。
講演では、生研センターの宮崎昌宏園芸工学研究部長が「最近の果樹機械情勢について」をテーマに話した。
7.クボタが機構改革し戦略本部、調達本部など設置
4月1日付の機構改革と役員異動を発令し、機構改革では「戦略事業本部」を新設。戦略企画室を「戦略企画部」、海外事業推進部を「戦略事業推進部」に改称し、同本部の管轄下に置く。戦略事業本部長には富田哲司代表取締役副社長執行役員が就任した。
また「調達本部」を新設。機械調達部、機械グローバル調達部、水・環境購買部を同本部の管轄下に置き、機械調達本部を廃止する。調達本部長には木股昌俊取締役専務執行役員が就任した。
8.ニッカリの「キャリレール」が、国土交通省の新技術情報提供システムNETISに登録
キャリレール」は、橋梁などに使う床版施工用資材の運搬工法。果樹園に導入されているモノレールの技術を利用することで、低コスト化と、縦断・横断勾配が大きく曲線半径の小さな複雑な線形への対応を実現した。橋梁の床版工事において、施工場所の条件によって資材の荷揚げや運搬に制限がある場合などに使われる。安全面でも、駆動部がラック&オピニオンによる噛み合い式のため逸脱の危険性がなく、4段階のブレーキ構造を有するなど十分な配慮がなされている。
9.加工・業務用野菜大型機械化等推進大会でキャベツ収穫機を実演
野菜ビジネス協議会主催の「加工・業務用野菜大型機械化等推進大会」が鹿児島県大崎町で開かれ、キャベツ機械化一貫体系の視察では、生研センターとヤンマーが共同開発し来年度から発売されるキャベツ収穫機が披露された。
キャベツ機械化一貫体系の実演は、実証試験を行ってきた農業生産法人有田農産のキャベツ生産圃場で行われ、ヤンマー・農機事業本部が今年度から発売する畦立同時施肥成形機(2畦タイプ)、乗用型全自動野菜移植機、ミッドマウント管理作業車、キャベツ収穫機(25馬力、41馬力)のコンセプトの説明と実演が行われた。
10.生研センターが「トラクタ後輪用の除泥装置を開発」と「ナガイモの種イモ高速切断の開発に道筋」を発表
トラクタの除泥装置は、トラクタが圃場から土を持ち出し、それが道路を汚したり、交通の妨げになる場合があることから、持ち出しを最小限に抑えるため、開発したもの。トラクタの作業機取り付け部(オートヒッチ)のフレームに後付けすることができ、後輪に付いた泥をスクレーパー方式で掻き落とす。
ナガイモの種イモ高速切断は、現状として人手に頼っている種イモの生産を機械化することで、省力・合理化しようとするもので、慣行に近い形状に切断する。切断する部位の重量基準値をあらかじめ入力しておくと、まず、ナガイモの計測で、外径とイモ長を測り、構築した統計モデルに合わせ、ナガイモの形状と重量を予測し、基準値に沿った切片重量となるように切断位置を決定し、多数の切断刃で一気に切断する。
http://www.naro.affrc.go.jp/publicity_report/press/laboratory/brain/045513.html
http://www.naro.affrc.go.jp/publicity_report/press/laboratory/brain/045514.html
11.日農工・技術安全対策委員会が農地除染に関する講演会開く
講演会では、農研機構中央農業総合研究センター作業技術研究領域契約研究員の小林恭氏が「農地除染の現状と農業機械を利用した除染」について講演した。東日本大震災に伴う福島第一原発事故以降、農地除染のために開発された技術を総括するとともに、現在も進んでいる研究開発について説明した。講演では、表土除去法、水による土壌撹拌による除染効果や作業効率、シールドキャビントラクタ3機種の特徴など、この間の研究成果が報告された。
12.山本製作所が遠赤乾燥機「ウィンディネックス」新型3シリーズの出荷式
昨年に引き続き「ウインディネックスシリーズ」第2弾の出荷式として、新型機4台を送り出した。昨年市場投入した「ウィンディネックスARシリーズ」は、「省エネ性の向上」「さらなる使い易さ」「低価格」をコンセプトに開発した新規機種で、同社の乾燥機実績の伸びに大きく寄与した。今回、これにMR・MRS、AR2、NRの各シリーズを加えたことにより、「ウィンディネックス」は19〜65石のラインアップとなり、今年はより大きな実績アップが見込まれている。今年の販売増加の願いを込めて社員が見守る中、新型機4台が岡山県に向け旅立った。