平成23年9月10日発行
1.JA全農が総代会、新会長に中野氏、22年度農機取扱高は1224億円
JA全農の第35回通常総代会で任期満了に伴う経営管理委員の選任を行い、新会長に中野吉實氏(佐賀県農協会長)を選任した。また、平成22年度事業報告などを審議し了承。22年度の取扱高は4兆8259億円で、前年比101%、うち農機は1224億円、同92%となった。
生産資材事業では、生産コスト抑制の取り組みとして、JAグループ独自型式農機等の取り扱いを、前年の1011台から2156台に拡大した。農機レンタルについては、前年8県17JAから9県22JAに拡大した。また、事業効率化の一環として、農機センターのJAとの一体運営を、前年の16県69JAから16県72JAに拡大した。平成23年1月から西日本部品センターを稼働し、4県へ農機部品の供給を開始している。
2.生研センターがたまねぎ調製装置を公開
佐賀県杵島郡白石町で「平成23年度たまねぎ調製装置に関する現地検討会」を開催し、生研センターとクボタ、松山が共同開発している「たまねぎ調製装置」を公開した。同装置は、人力作業の3〜4倍に省力化できるもので、府県産の乾燥たまねぎを対象とし、たまねぎの玉以外の部位の自動切除に必要な技術を開発している。能率は1秒間に1個程度、2名作業で1日約300ケース(20kg箱)処理できる。
装置に投入した玉の向きを自動的に揃える整列部を設け、葉を搬送ロールで把握して根切り部で根切り、最後に葉切り部で葉を約2cm残す処理をする。
3.ヤンマーが野菜作機械3機種を発表
移植機では汎用野菜移植機PH1シリーズと、慣行たまねぎ苗移植機PH2(W)シリーズ、収穫機は人参収穫機HN100。移植機はいずれも操作レバーの手元集中、株間ゲージ、開孔器上部停止機構、きれいな植付け機構などを採用、操作性や取扱性の向上を図っている。また人参収穫機はフレコン収納体系への対応を図った。
汎用野菜移植機PH1シリーズの主な特徴は、
- ハンドルワンタッチ上下機構=作業に合わせてハンドル高さを4段階に調整できる。最適位置にすることで、長時間作業時の疲労を軽減。また旋回時、ハンドルを上側にセットすることで、楽な姿勢で軽く前輪を持ち上げ旋回することができる。
- 操作レバーの手元集中化。
- 開孔器上部停止機構=植付クラッチを切った時、開孔器が上部で停止する機構を採用。開孔器が下がったまま旋回し、うねを崩したり、マルチを破る心配がない。
―など。
慣行たまねぎ苗移植機PH2(W)シリーズの主な特徴は、1人作業、2人作業どちらでもできる32連装ロータリーポットを採用など。
人参収穫機HN100(フレコン仕様)の主な特徴は、フレコン収納に対応し、最大200kg積載が可能、側面L形2連サブソイラ・エンジン馬力のアップ・残葉処理部の改良により、作業速度を向上など。
4.松山が畦塗機をフルモデルチェンジ
全シリーズをフルモデルチェンジし新たに「02シリーズ」として発売した。発売したのは、オフセットタイプがSZ02シリーズ1型式(適応トラクタ11〜17PS)とAUZ02シリーズ7型式(25〜55PS)、リターンタイプがSZR02シリーズ4型式(16〜25PS)、DZR02シリーズ4型式(25〜34PS)およびLZR02シリーズ2型式(34〜60PS)の18型式。新型スパイラルローラーの採用で段差とラセンで土を締め込み、あぜ上部がより硬く崩れにくくした。
5.「食と農林漁業の再生実現会議」(議長:菅直人総理大臣(当時))が中間提言
農林漁業再生のために、農業では競争力・体質強化として、
- 攻めの担い手実現、農地集積
- 6次産業化・成長産業化
- 流通効率化と、エネルギー生産への農山漁村の資源の活用
―などをあげ、「木材自給率50%を目指し、森林・林業再生プランを推進する」、「震災に強い農林水産インフラを構築する」「原子力災害対策に正面から取り組む」を加えて、7つの戦略を示した。
規模拡大では、平地で20〜30ha、中山間地域で10〜20haの規模の経営体が大宗を占める構造を目指し、そのために担い手、農地、生産対策、関連組織等に関する仕組みを見直し、一体的に改革するとした。
6.クボタが介護事業に参入
地方都市・農村地域を主な対象とし、9月より事業を開始する。園芸や農作業を組み入れた特色のある介護施設を運営する介護事業会社「株式会社クボタライフ九州」を九州・熊本県に設立。現在、介護事業を行うクボタの農機販売会社・中九州クボタの介護部門の事業を継承し、新たな事業を付加する形で事業運営を開始する。
新会社の概要は、介護施設名がデイサービスライフ上熊本(仮称)、定員は40名で所在地は熊本県熊本市花園。事業内容は通所介護(デイサービス)、訪問介護(ホームヘルプ)、ケアマネジメント、福祉用具レンタル・販売など。
7.金子農機が大型色彩選別機を発表
金子農機と安西製作所が共同開発した、10インチ籾すり機対応の大型色彩選別機「AK-G7200DU」、並びに近赤外線LED照明を採用したトリプルソーター2機種(「AK-G1800T」「AK-G7200TU」)。従来のセンサーに比べて観察能力を2倍以上にした新型観察素子「イーグルアイ・プラス」搭載している。
AK-G7200DUの特徴は、
- 処理量は、玄米で毎時7200kg(異物混入率0.5%未満)の最大能力を発揮できるため、毎時5000kgの10インチ籾すり機でも余裕の選別を実現、大型乾燥施設に最適。
- 新型観察素子「イーグルアイ・プラス」を搭載。極小黒点米なども的確に除去でき、等級格上げ選別ができる。
- 耐久性抜群のツインLED光源を搭載。従来機の10倍に及ぶ耐久性があり、しかも暖機運転不要で環境に配慮した省エネタイプ、常に最良の選別が行える。
―など。
AK-G7200TU、AK-G1800Tの特徴は、トリプルLED照明を採用した高機能タイプで、ガラスなど同色異物除去に威力を発揮する。
8.ホンダが小型と中型除雪機を発売
ロータリー式の小型除雪機シリーズ2モデルおよび中型除雪機シリーズ4モデルを一部改良して除雪性能や操作性をさらに高めるとともに、小型ハイブリッド除雪機に、より除雪幅の大きい81cm仕様の新たなモデルを追加設定した。小型はHSS970n(J)とHSS1170n(J)、中型がHSM1380i(JN)、同(JR)、HSM1390i(JN)、同(JR)、および小型ハイブリッドのHSS1180i(J)。
主な改良点は、小型シリーズではバネ鋼ブロア(投雪部)の採用(HSS970n)、ブロア回転数の調整(HSS1170n)により最大投雪距離を拡大。中型ハイブリッドシリーズでは新型汎用エンジンの搭載により排気量を大幅向上。従来モデルと比較して最大除雪量を約12%向上した(HSM1380i)。操作面では、中型ハイブリッドは、作業負荷に応じて自動減速する機構が、新搭載のiGXエンジンとの連動により、さらに進化。エンジン回転数を一定に保つことで投雪距離を一定に保持。作業中の投雪距離の調整を減らし、除雪操作を簡易化(HSM1380i)したことや、作業負荷にあわせて、オート、パワー、手動の3つの除雪作業モードをダイヤルで簡単に選べるモード切り替え機能を搭載―など。
9.タカキタが自走ロールベーラを発売
新型自走ロールベーラ・SR1010は、稲ワラの収集作業にオールラウンドに対応する。福島第1原発事故により大幅な稲ワラの供給不足が予想され、国産稲ワラの需要が急激に高まっていることから、投入するもの。作業幅145cmのワイドピックで、長ワラはもとより切りワラ、立ちワラも効率的に収集できる。キャビン仕様のためオペレータは夏の炎天下でも、冬の寒冷時でも快適。後方確認のためのバックモニターを装備。稲ワラの梱包サイズは直径100×高さ100cm。走行部はクローラを装着し、低接地圧で機体バランスが良く、軟弱地でも作業性が良い。
10.サタケがマジックライスを一新
今回のリニューアルでは、「食べやすさ」と「美味しさ」をさらに追求。調理時に注水量を変えることによって1つの商品でごはんと雑炊の2通りの食べ方が選べる「食べ方2通り」を提案した。また、一般のメニューとしても人気のある「牛飯」と「炒飯」の2アイテムを新たに追加。従来の「えびピラフ」のえびをより大きなサイズに変更するなど、美味しさをアップした。
全9アイテムとワイドな品揃えを実現しており、内容量100gのタイプが「保存食 牛飯」、「保存食 炒飯」、「保存食 白飯」、「保存食 五目ご飯」、「保存食 ドライカレー」、「保存食 えびピラフ」、「保存食 しそわかめご飯」の7種、内容量77gのタイプが「食べきり えびピラフ」、「食べきり しそわかめご飯」の2種。
11.筑水キャニコムが「おでかけですカー」を輸出
原付電動四輪バイク「おでかけですカー」がアメリカへ輸出され、海外展開が始まった。同機は、モーター定格出力249W、最高時速22km。大瓶ビールケースや20kgコンナナが入る上フタ付き収納ボックスを装備している。海外市場向けには、機体の塗装を従来のツートンカラーのほかに、イエローとグリーン2色のカラーリングを加えた。
海外市場へのデビューにあたり包行社長は「カナダのジャスパーを訪れ、美しい自然環境に触れ電気車両開発の思いを強くした。2005年にジャスパー製品をスタートさせ、開発に着手して3年でようやく世界に戦略的に展開できる、“おでかけですカー”が完成した」と挨拶した。
12.田中産業が新型グレンバッグを発売
特殊織でムレにくい、投入口全開式の「グレンバッグ・かばちゃん」と専用ホルダー。「グレンバッグ・かばちゃん」には、ライスセンター用(ピット及び籾受けホッパーへの排出用)として1300RC(750kg)と1700RC(1000kg)があり、一般用(乾燥機への直接排出用)として800(450kg)と1300(750kg)がある。主な特徴は、
- 投入口はファスナーで全開でき、コンバインからの籾・麦の投入作業がより簡単になった。
- 吊り部を強化、作業をより軽減できる。
- 排出量はハイランドロックで調節できる。
―など。
同製品を支える専用ホルダーとして「かばちゃんホルダー」も同時に発売。アルミ製で錆びにくく、軽量なため組立て・持ち運びが簡単なほか、充填後の袋(吊りロープ)の取り外しはクイックモーション方式で簡単にできる。
13.ササキコーポレーションが電動オフセットモア2型式を投入
電動e―スタイルオフセットモアの標準3P直装仕様をモデルチェンジした「KZX―3シリーズ」。型式はKZX123Dおよび同143D。オフセット幅と適応トラクター(馬力帯)を拡大するとともに、一層の使い易さを追求した無線通信ジョイスティックのワンレバー操作を装備した。KZX123Dはミッションケースをベルトケースの外側に配置することでオフセット幅を拡大した。143Dは、性能アップを図りつつも同クラス従来機種と比べて小売価格を6万円ダウン(税抜き)、より求めやすくした。草刈り部は進行方向、傾斜方向の凹凸に追従して刈り残しを防ぐ独自のWフローティング機構を採用している。
14.除塩作業にスガノ農機の作業機が有効
同社の営農土木チームでは、東日本大震災の津波により塩害の被害を受けた農家の支援を積極的に行い、「圃場除塩作業」においてサブソイラやスタブルカルチなどを活用し、効果を上げたことから、その内容を発表したもの。「圃場除塩作業」の基本施工となるのは、「サブソイラによる心土破砕」と「スタブルカルチによる粗耕起」。一部の圃場のみテスト的にサブソイラ施工後、1cmほど堆積したヘドロごとプラウで反転し、レーザーレベラーで整地・均平作業を行った。
作業後に入水し、落水口を止め、丸2日間湛水させてから、落水口を開けて落水。水が抜けきったらEC濃度を測定し、0.5mS/cm程度になるまで、湛水、落水を繰り返した。
その結果、ほぼ全ての水田で目標とするEC濃度0.5mS/cm程度となり、5月25日から6月11日までに通常通りに代かきと田植えを行うことができた。
15.やまびこが中期経営計画を策定
平成24年3月期・第1四半期の連結業績と併せて発表したもので、平成26年3月期までの3カ年を次なる成長フェイズに向けた体制整備と位置付け、世界市場において高い占有率を誇る欧州メーカー2社に次ぐ地位の確立を目指すとしている。
その重点課題として、
- 「ECHO」「shindaiwa」「KIORITZ」の3つのブランド力を最大限に活かしながら、グローバルなマーケッティング戦略を展開する。
- 小型エンジンの製品ラインアップをより拡充する。
- 原価低減を図る。
- 経営資源の充実とリスク管理体制の拡充を図る。
- より強固な財務体質と安定した収益基盤の構築を図る。
―としている