平成23年8月10日発行
- 井関農機がトラクター・ジアスATK300など23年度下期新商品11品目29型式を発表
- 農林水産省が除塩作業のマニュアルを作成
- ヤンマーがハーフクローラトラクターなど新商品8品目44型式を発表
- 小橋工業が小型畦塗機を一新
- クボタが第2世代となるSGパワクロを拡充
- 農林水産省が23年農業動態統計調査を発表、農業経営体は161万5000に
- 齋藤農機製作所の新社長に齋藤博紀氏
- サタケは今年「ピカ選」3000台が目標
- 本田技研工業がコージェネを提案
- 静岡製機がプロ農家向け遠赤乾燥機を発売
- 筑水キャニコムが「デザインの森 博多」を開設
- スガノ農機相談役の菅野祥孝氏が死去
- 三菱農機がシンプル仕様の4〜5条コンバインなど発売
1.井関農機がトラクター・ジアスATK300など23年度下期新商品11品目29型式を発表
発表したのは、トラクター「TQ17」(愛称トラQ)、同「ジアスATK300」、田植機さなえPZ3シリーズ「PZ53〜83」(5、6、7、8条植)、車軸管理機「KM37/47」、ミニ耕うん機「KCR500/600/650」、全自動野菜移植機「ナウエルハナ」の「PVC1―60LG」、農産物保冷庫「ファームストッカ」のFSJシリーズ/FSVシリーズ計12型式、コインもみすり精米機「CPH410」、にんじん選別機「VSC212WL」など。
トラクター「TQ17」は、小規模農家向けに「安全・安心」「使いやすい」をコンセプトにした小型トラクターで、主な特徴は
- 夜間作業が安全な「サイドビューライト」
- 視認性向上の「ハイマウントウインカ」
- 格納時も簡単な「可変式安全フレーム」
- 取回しが簡単なコンパクトボディ ―など。
「ジアスATK300」の主な特徴は、
- 高機能のジアスATシリーズ・トラクター「AT310SPQ」(31馬力)と比較し、約18%の低価格化を実現した
- 1647ccの大排気量エンジン搭載
- ワンタッチ作業切替ダイヤル
- パワーリニアシフト搭載 ―など。
田植機「PZ3シリーズ」の主な特徴は、
- 電動さなえZ苗レール=苗枠がスイッチひとつでフラットなレール形状に早変わり、オペレーター・補助者ともに苗の補給が楽に行える。
- ニューさなえZシフト=レバー1本で主変速と植付部の操作が行える。電気式オートアクセル機能の採用で使い勝手が向上。
- ニューさなえZロータ=ヰセキオリジナルの2段ロータの駆動方式・形状を改良し、さらに性能が向上。 ―など。
2.農林水産省が除塩作業のマニュアルを作成
農林水産省はこのほど、東日本大震災の被災地で除塩が順調に進められるよう技術的な留意点、作業手順などを整理した除塩マニュアルを作成した。また、東北農政局では宮城県と連携し、6月27日から同県名取市館腰地内と亘理町長瀞地内で、このマニュアルに基づいた除塩の実証試験を行い、その結果を今後活用していく方針。マニュアルでは、
- 農地の塩害のメカニズム
- 除塩の方法と基本的な考え方
- 現地調査の留意点
- 施工上の留意点と作業手順
- 除塩の施工事例
―などをまとめている。
http://www.maff.go.jp/j/press/nousin/sekkei/110624.html(農水省HP)
3.ヤンマーがハーフクローラトラクターなど新商品8品目44型式を発表
ハーフクローラトラクターは「エコトラデルタ」EG97、EG105。無段変速とハーフクローラを組み合わせ、高能率、高精度、省エネ作業を提供する。主な特徴は、
- 高効率無段変速IーHMTトランスミッション搭載=0.1km/h単位で車速の設定ができるので、作業に最適な速度が選択でき高能率・高精度な作業ができる。アクセルを踏み込むとエンジン回転に比例して自動的に変速比も変わるアクセル連動ペダル変速(副変速2速のみ)とノークラッチブレーキ停止で乗用車感覚の操作ができる。
- 無段変速とハーフクローラを組み合わせたエコトラデルタ(C仕様)=低接地圧のため圃場を踏み固めず、作物にやさしい作業ができる。また軟弱地や湿田での走破性にも優れ適期作業が行える。
- クリーンな排気と高出力を実現したコモンレールエンジン搭載。
- 省エネ作業と作業の省力化・精度アップを実現する「eーCONTROL」=「エコモード」では作業負荷が小さいとエンジン回転が自動で下がり燃料消費を最大20%削減、省エネ作業で燃料代を節減できる。
- 作業に便利な充実機能=多機能主変速レバーを採用。主変速レバーにワンタッチ昇降スイッチ・チョイ上げチョイ下げスイッチなどを配置し操作が簡単。エンジン上限回転数と最高速度を作業にあわせて2通り設定できるので、オペレーターが替わっても高能率・高精度・省エネ作業ができる。
―など。
4.小橋工業が小型畦塗機を一新
新シリーズのコバシアゼローター「ダイナーリバースRS751シリーズ」で、9月から発売する。コバシ独自のクイックリバース機構をさらに洗練し、より軽快な機構とした。手動式のオフセットではクラス初の2段階オフセット機構を採用。無段階の電動式も揃え、後進作業位置から前進作業位置までワンアクッションで移動が行えるうえ、手動式では機体がセンター位置に来てもレバーを握ったままだと、そのまま前進位置まで移動できる。その他、
- しっかりとした天場を成形する天場処理ローターを装備。あぜ上部の巣穴や凸凹、雑草などを処理し、しっかりとした天場を形成する
- チェーン駆動&シャーボルト。クラッチを廃止し、常時動力を伝達でき耐久性にも定評のあるチェーン駆動方式を採用。
- 電動タイプではわずか15秒で反転作業が終わる。
5.クボタが第2世代となるSGパワクロを拡充
19、21、22.5馬力の「キングブルエクストラシリーズSGパワクロ仕様」、55、65、75馬力の「ニューシナジーシリーズSGパワクロ仕様」、95馬力の「ニュースーパーシナジーシリーズSGパワクロ後輪可変トレッド仕様」の全19型式で、クローラ各部の金属の接触を抑えた新駆動構造、上下振動を低減する新ラグパターン、フレームへの泥浸入を抑制する新クローラを採用。これにより振動・騒音が低減し、よりオペレーターや周囲の人に更に優しく、また圃場からの泥の持ち出し量も低減。耐久性の向上によりランニングコストの低減も実現した。
このうち、キングブルエクストラシリーズでは、クローラ部の転輪・遊輪を、従来の片持ち構造から両持ち構造に進化させ、最適な走行バランスを実現。これにより湿田走破性と耐久性が向上したほか、前輪のトレッドとタイヤの切れ角を最適化することにより、旋回性能が向上。小規模・中山間地や湿田においても軽快に作業できる。
6.農林水産省が23年農業動態統計調査を発表、農業経営体は161万5000に
農林水産省が公表した「平成23年農業構造動態統計調査結果」によると、平成23年2月1日現在の全国の農業経営体数は161万5000経営体で、前年に比べて6万4000経営体(3.8%)減少した。そのうち、販売農家数は156万1000戸で、前年に比べ7万戸(4.3%)減った。販売農家の内訳は、主業農家が35万6000戸、準主業農家が36万3000戸、副業的農家が84万3000戸となり、前年に比べそれぞれ4000戸(1.1%)、2万6000戸(6.7%)、4万戸(4.5%)減少した。また、販売農家の1戸当たりの経営耕地面積は2.02haで、前年に比べ0.06ha(3.1%)拡大した。うち北海道は22ha(同2.4%増)、都府県は1.46ha(同2.8%増)。
7.齋藤農機製作所の新社長に齋藤博紀氏
7月1日付で役員の人事異動を行い、新社長に副社長の齋藤博紀氏が就任した。これまで社長を務めていた齋藤成徳氏は代表取締役会長に就任した。
齋藤博紀氏は昭和34年6月30日生まれ、52歳。57年法政大学・経営学部を卒業後、2年間他社で研修。その後、同社の製造部、技術部、シートメタル工場、営業部と全ての部門を経験。平成12年常務取締役営業部長、同19年副社長就任。日農工・カッター部会長を務めている。
8.サタケは今年「ピカ選」3000台が目標
調製機事業本部長の増川氏が明らかにした。増川氏は「ピカ選は、2009年8月の発売以来、順調なセールスを続け累計で2500台を超える受注をいただいた。私どもには、農家の皆さんに儲けていただきたいという思いがり、それ代表するのが『ピカ選』であり、市場にマッチングしたのだと考えている。天候条件などで米の品質が悪い時は等級が下がり売価も低くなるが、ピカ選を使って等級を上げれば利益につながる。昨年はまさにその事例が随所で見受けられた。その意味で、ピカ選は時宜を得た製品であった」とし、「年間3000台の販売を目標にしていますが、お客様あってのメーカーであり、気を緩めることなくお客様に真心のこもった対応をさせていただきます」と語った。
9.本田技研工業がコージェネを提案
高膨張比エンジン「EXlink」(エクスリンク)を搭載した「新型家庭用ガスエンジンコージェネレーションユニット」をはじめ、CIGS薄膜太陽電池パネルなど低炭素社会の実現に向けた取り組みについて、説明・取材会を開いた。挨拶した山田琢二取締役汎用事業本部長は、第3世代のガスコージェネ、CIGS薄膜太陽電池を採用したソーラーシステムは「家産・家消」=エネルギーを家庭で創り家庭で消費することで、低炭素社会実現に貢献したいとする汎用事業の強い思いを具現したと強調し、強力に推進していきたいと述べた。
10.静岡製機がプロ農家向け遠赤乾燥機を発売
「ドライゴン」の新型プロ農家仕様大型遠赤外線乾燥機「SACーE750」(75石)と「同ーE850」(85石)の2型式。いずれも型式も張込量を毎時20tと大幅に向上。また、排出量も毎時15tと高能率を実現した。新機能のドライ・コントロールシステムの採用により、最適な熱風温度をコントロール。乾燥の進み過ぎや、遅れを抑制し、安心した作業で高品質な穀物に仕上げる。保守性も向上。中段排風路の脱着が可能で、中段スノコが外せて穀物層の掃除が容易になり、大型の排風機室掃除口を設け、点検を容易化した。堅牢で耐久性のある乾燥機本体や、より大きく見やすい操作パネル、専用ダイヤルによる穀物量と水分設定など、使い勝手を向上させている。また、水分測定モードに「そば」を追加し、そば乾燥も可能。
11.筑水キャニコムが「デザインの森 博多」を開設
福岡市の中心街に、デザインおよび海外戦略の拠点「デザインの森 博多」を設け7月12日に開所式を行った。開所式で同拠点責任者の包行良光常務は「世界100カ国取引、1000億円企業が我々の目標であり、そのゲートウェイとして、デザインを世界レベルに高めるために、この場所を選んだ」と述べ、包行均社長は「グローバル化に向かって、やっぱり人材が大きな鍵を握る。福岡市に出た方がいいと判断した。デザイン、ネーミング、ブランドを中心に据えた経営を行い差別化したい。今後、上海ほか海外にも設けたい」と抱負を述べた。
12.スガノ農機相談役の菅野祥孝氏が死去
菅野祥孝氏(すがの・しょうこう、スガノ農機相談役)は、病気療養中のところ、7月15日午前1時40分死去した。78歳。菅野氏はスガノ農機をプラウのトップメーカーに育て上げたほか、「土づくり」に注力。昭和53年に北海道の篤農家を中心に「北海道土を考える会」を結成し、毎年技術交流会・農機実演会を開催するなど、その運営に尽力した。
13.三菱農機がシンプル仕様の4〜5条コンバインなど発売
大規模農家向けコンバイン「VY463ET」(4条刈)、「VG563ET」(5条刈)を8月から、4条植田植機「LC40」(D)を10月から新発売する。コンバインは需要が拡大する4〜5条刈市場に、ハイスペック仕様と同等の刈取・脱穀システムを搭載した高能率・シンプル仕様を追加したもの。三菱独自の「スーパーeスレッシャー」(=撥水加工揺動板+送塵量自動調節機能)で稼働時間の拡大と低燃費作業を実現した。これまで穀物の水分割合が高いため避けていた朝夕の収穫作業が可能となり、1日のコンバイン稼働時間時間が拡大。刈取適期に収穫可能な面積の拡大が図れ、穀物生産の低コストと高品質化を期待できる。
田植機は「クラス最大」の6.3馬力エンジンを搭載し、通常植えから枕地植えまで、きれいな植え付けができる「スマイルワンフロート」を採用した。手での枕地均しが不要で、フロート後端が短いので曲線植えでもキレイに植え付ける。そのほか、軽トラに載せられる機体寸法、AZレバー&AZアームで圃場の出入りもラクラク―などの特徴がある。