平成23年4月10日発行
1.農林水産省が高温適応技術でレポート
昨年夏の高温被害を踏まえ、新たに「平成22年度 高温適応技術レポート」をまとめた。水稲では、高温被害が軽減された対応として、たい肥の施用、15cm以上の深耕等、早期落水の防止、高温耐性品種の導入などをあげ、今後の技術指導に生かしていく必要性を指摘している。稲の栄養が不足すると品質低下を助長するとし、追肥を抑制した地域で、稲の活力低下から登熟後期に栄養不足を招き、周辺地域に比べて品質低下を助長した事例が見られた。近年は良食味志向から施肥量を抑制する傾向があるが、高温下でも栄養不足を招かないよう、生育診断に基づく追肥等により稲の活力維持に努めることが重要とした。遅植えについては北陸地方を中心に効果が限られたとし、9月の高温に備え、高温耐性品種、施肥管理等を組み合わせた総合的な対応が求められるとした。このほか、小麦は登熟期間が短縮され減収、大豆は落花・落莢等の発生や害虫が多発、野菜では遮光資材や地温抑制マルチ等は一定の効果にとどまったとしている。
2.タカキタの新社長に松本充生氏
4月1日付で若山東男社長が取締役会長に退き、松本充生常務取締役が代表取締役社長に就任した。異動の理由は、「経営陣の若返りを図り、新事業年度の事業計画の達成をはじめとする各種経営課題に新体制で取り組むため」としている。新社長の松本氏は昭和31年1月生まれ。三重県伊賀上野市出身。立命館大学理工学部卒。昭和53年タカキタに入社。平成16年営業部長、19年取締役技術部、貿易部担当兼営業部長、20年常務取締役農機事業部担当兼営業部長、22年常務取締役農機事業部担当。
3.フーデックスで米粉製粉機をPR
米粉パビリオンが設置され、サタケ、静岡製機などが米粉製粉機を出品した。サタケは、最小200gから米粉が製造できる、処理能力・毎時5kgの小型製粉機と、処理能力・同1t超クラスの大型米粉製造システムを展示。静岡製機は、昨年7月に発売したサイクロンミルSM―150(処理能力・毎時15kg)を展示。同機は米だけではなく麦、大豆、そば、茶など様々なものを微粉砕できる。
4.サタケが新技術・食品開発賞を受賞
パックご飯「楽メシ」が日本食糧新聞社の平成22年度(第24回)「新技術・食品開発賞」を受賞した。「楽メシ」は、サタケの独自技術である「加圧マイクロ波加熱製法」で炊飯したレトルト米飯(パックご飯)で、製造装置とともに2009年8月に販売を開始した。現在、赤飯、カレーピラフ、炊き込みご飯、ちらし寿司がラインアップされ好評を博している。これまで実現が難しかった粒感やもっちり感のある美味しいご飯となる。また、具入り米飯も美味しく仕上がるため、新たなパックご飯の市場開拓が期待できる製品となっていることなどが評価された。
5.三菱農機がダイヤモンドフェアを開催
春の恒例行事である「三菱ダイヤモンドフェア」が2〜3月、埼玉県久喜市の東日本三菱農機販売・関東甲信越支社、西日本三菱農機販売・九州支社(福岡県朝倉市のサンライズ杷木特設会場)、同・西日本支社(岡山県和気町の和気ドーム特設会場)で開催された。三菱農機ではこれを「三菱農機誕生30周年ありがとうキャンペーン」の総仕上げを図るイベントとして位置づけ、今年の商戦勝利へスタートダッシュをかけた。会場には、新商品のトラクター「GO/GXシリーズ」、「スーパーeスレッシャー」をラインアップしたコンバインなどを展示、需要拡大に努めた。
6.次期緊プロ開発機に7機種を決定
農林水産省が開催した農業生産資材審議会農業機械化分科会で、①高性能農業機械等の試験研究、実用化の促進及び導入に関する基本方針の一部改正について②平成23年度において型式検査を行う農機具の種類について③型式検査の主要な実施方法及び基準の改正―について諮問。次期緊プロ事業における新たな開発機種として、①高能率水稲等種子消毒装置②ラッカセイ収穫機③いちごパック詰めロボット④ブームスプレーヤのブーム振動制御装置⑤微生物環境制御型脱臭システム⑥乗用型トラクターの片ブレーキ防止装置⑦自脱コンバインの手こぎ部の緊急即時停止装置の7機種を決定した。
7.ヤンマーがタイにトラクターの新工場完成
昨年末、タイの現地法人Yanmar S.P.社(バンコク市)の敷地内にトラクター生産工場を完成、本年2月1日より本格生産を開始した。新工場の敷地面積は1万2800平方mで生産能力は年間1万5000台。初年度は35馬力、45馬力の2型式を4500台生産する。タイのみならず食料の増産が進むベトナムやカンボジアなど近隣国にも輸出するほか、将来的にはトラクターだけでなく農業機械のトータル・ソリューションビジネスを幅広く展開していくとしている。
8.東日本大震災で工場、営業拠点に被害
3月11日午後2時46分頃に発生した東北地方太平洋沖地震は、大津波とともに東北・関東の太平洋側を中心に大きな被害をもたらした。被害は北は北海道から南は神奈川までと広範囲にわたった。その後、被災した福島原子力発電所でのトラブルや停止などもあり、計画停電が実施され、直接の震災に見舞われなかった所でも、工場の生産停止や物流の停滞など、影響が出ている。被害の大きかった岩手、宮城、福島では、農機メーカーの営業拠点などが被害を受けたほか、物流の停滞で工場の操業ができないところも出ている。
9.IHIスターがGPSナビキャスタ発表
「GPSナビキャスタ MGCシリーズ」は、生研センターの第4次緊プロ事業で開発された「高精度高速施肥機」。広範囲な肥料散布ができて高速作業が可能な中型ブロードキャスタをベースに、肥料の流れやすさを表す値(肥料流動測定値)と面積当たりの肥料散布量をスイッチボックスから入力すると、トラクター天井上部に取り付けたGPS受信機より得た速度情報に基づいて、均一に肥料散布を行うことができる(GPS車速連動仕様)。さらに、GPS受信機からの位置情報を利用して、ディスプレーからの視覚面、ブザー音の聴覚面の両方から走行を導くことができる経路誘導装置も搭載した機種(GPS車速連動+経路誘導仕様)もある。
10.全農機商連が22年下期実績と23年上期予測の調査を発表
傘下組合員224社を対象に聞いたもの。22年下期の販売実績は、「増加」30%(前年比17ポイント減)、「変わらない」10%(同変わらず)、「減少」60%(同17ポイント増)。前年を100とする総売上高率は96.9%となった。特によく売れた3機種を聞いたところ、①管理機②コンバイン③トラクター④田植機⑤刈払機・草刈機―となった。
23年の予測は、大震災前のものであるが、「増加する」は6%(前年比3ポイント減)、「変わらない」39%(同12ポイント減)、「減少する」55%(同15ポイント増)となり、前年よりさらに慎重な見方となっている。販売の増加理由については、管理機・ホビー需要の増加や更新需要、戸別所得補償制度に期待などをあげている。
11.帯広の国際農機展を中止
東日本大震災により、出展を見合わせる意向の企業があることから、今年7月に予定していた「第32回国際農業機械展in帯広」を中止することとした。同展示会は、昨年開催の予定であったが、口蹄疫の発生で1年延期していた。次回は2014年に第33回の国際農業機械展を開催する。
12.クボタが機構改革で機械調達本部を新
4月1日付で人事異動と機構改革を行い、機械事業本部関係では、「機械調達本部」を新設した。機械調達本部長には岩名勝行常務執行役員・機械製造本部長が兼務で就いた。管轄下に「機械調達部」「グローバル調達部」を新設し、「機械購買部」は廃止。またトラクタ事業部に「北米汎用技術部」を新設。機械海外本部の「機械海外業務部」を「機械ロジスティックスソリューション部」に改称した。
13.筑水キャニコムが乗用草刈機「FIまさお」デラックスを発売
アップ・ダウンのある所でも草刈りを一定の高さで行える。チャージポンプ式HSTのデラックス装備でCM252(2駆)とCMX253(AWD)がある。主な特徴は、
- 電動刈刃昇降&スライド=刈高さ0〜120mmの任意の高さに、また、右に300mm刈刃がスライドする。刈刃スライドにより、車体が入らない数十センチの低い枝下でも刈刃カバーが入る高さがあれば草刈りができる。
- サーフィンマンタ55=スライドした刈刃は、上に25度、または下に30度と、上下に55度の傾斜路面を自動追従する。これにより、果樹園の盛り土部分や畦の斜面部分なども刈り高さを一定に保って草を刈り取る。特にアンジュレーションが多い地形では、土を削ったりすることなくスピーディーに作業ができる。
- デュエットハーモニー36=2連の刈刃は、常に同一刈高さで36mm重なっている。左右の刈刃を、常に90度の間隔を保って回転させることが可能なため、刈り跡がムラなく綺麗に仕上がる。