平成23年3月10日発行
- 井関農機の疎植田植機がフードアクションニッポン・アワードの優秀賞
- クボタがコンバインなど多彩なグローバル戦略機を発表
- タカキタがPTO連動のブロードキャスタを発売
- ヤンマーがトラクターなど7機種の新製品発表
- ヤンマー学生懸賞論文の大賞に信州大学大学院の武馬寛さん
- サタケが創業115周年迎える
- オーレックが管理機生誕50周年でキャンペーン
- 22年の作業機出荷は347億円
- 東京農業大学が第6回農業労災対策シンポジウムを開催
- 三菱農機が23年度上期新商品としてトラクターなど発表
- 生研センターと新農機が緊プロ機5機種を公開
- ヤンマーの「ヤン坊マー坊」の新ブランド発表
- 全農機商連が総会・23年度事業で農作業安全など推進
- 小橋工業が中耕ディスクの新シリーズ
- 本田技研工業が刈払機を改良し発売
- 筑水キャニコムが4月からフレックスタイム採用
1.井関農機の疎植田植機がフードアクションニッポン・アワードの優秀賞
研究開発・新技術部門優秀賞に選ばれた。疎植田植機は、労働時間の短縮にもつながり、現有の育苗施設・労働力で規模拡大が可能となることから、低コスト農業が実現でき、ひいては食料自給率の向上につながるものと評価された。
2.クボタがコンバインなど多彩なグローバル戦略機を発表
国内外共通設計で低価格化したグローバル戦略機として発表したのは、トラクター、コンバイン、田植機、乗用モアの4機種。トラクタでは約3割の低価格を実現するなど国内農家の低価格ニーズに対応している。
トラクターは「Grandom WORLD(グランダム ワールド)」M108W(108馬力)。
- 主な特徴は、
- 環境にもやさしいV3800大排気量コモンレールエンジン搭載。国内特殊自動車排ガス2次規制に対応し、低燃費、低振動・低騒音、力強いトルクを実現。
- 快適な作業空間、広幅ワイドキャビン。
- 最適な作業速度を即座に選べるデュアルスピード仕様。
—など。
- 主な特徴は、
- 最高出力60馬力の高出力を実現した低燃費、クリーンな排ガスで環境にやさしいV2403大排気量エンジンを搭載。
- 高能力脱こく機構「大径ロングこぎ胴」&「ワイド揺動板」を搭載=4条刈最大級の、こぎ胴長900mmの「大径ロングこぎ胴」と、「ワイド揺動板」で、高い脱こく能力とロスなくきれいな選別を可能にする。
—など。
3.タカキタがPTO連動のブロードキャスタを発売
トラクターのPTO回転の「入・切」に連動して散布口シャッタが自動開閉するPTO連動モードの新型で、電動開閉シャッタ仕様のBC2000D、BC3500Dと、手動開閉シャッタ仕様のBC2000、BC3500。ホッパ容量は200Lと350L。電動開閉シャッタ仕様は、トラクタPTO回転の「入・切」に連動して散布口シャッタが自動開閉する独自の「PTO入切連動開閉シャッタ」(特許申請中)を採用した。また、デジタルコントロールボックスを搭載、散布量調整をデジタル表示のコントローラで行い、散布口シャッタの開閉を手元で簡単操作できる。その他、飛散距離を抑制し、散布精度を上げるためにゴム板規制板を装備した。
4.ヤンマーがトラクターなど7機種の新製品発表
トラクターは、I—HMT無段変速搭載で好評のエコトラEG300/EG400シリーズのコンパクト仕様4型式・ナロー仕様9型式。クローラトラクターのCT1350。コンバインは、小型2条刈Ee—Wシリーズ、中型3条刈と大型4条刈のAEシリーズ。
- エコトラのコンパクト仕様は、
- 狭いハウス内でも快適作業(K・KW仕様)=標準機と比べてハンドル・フェンダー・シート高さを低くすることでハウスの出入りをスムーズに。また全長を短くすることでハウス内での旋回もスムーズ。
- 幅狭1.4mのロータリでも快適作業(A仕様)。
- ナロートレッドで水田裏作から畑作まで活躍(S仕様)。
—などの特徴がある。 コンバインの小型2条刈は、刈取スライドを採用した全面2条刈で、全面刈はもとよりまわり刈りも行える。中型3条刈、大型4条刈は湿田走破性を向上したアスリートジャスティの進化版で、丸ハンドルFDSがさらに使い易くなった「リングカム式丸ハンドルFDS」を採用している。
5.ヤンマー学生懸賞論文の大賞に信州大学大学院の武馬寛さん
第21回ヤンマー学生懸賞論文・作文入選発表会で、全国68の大学、農業大学校から寄せられた論文84、作文369の中から、それぞれ13編の入賞作品を選び、表彰した。論文の部の大賞には信州大学大学院食料生産科学専攻修士課程2年の武馬寛さんの「不揃いの野菜たち」、作文の部の金賞には鹿児島県立農業大学校養豚科養成課程1年の井上一成さんの「次世代につなぐ命のバトンリレー〜豚にかける想い〜」が選ばれた。
6.サタケが創業115周年迎える
同社は、明治29年(1896年)、創業者の佐竹利市翁が我が国で初めて動力精米機を考案し生産したことに始まり、以来、2代・利彦氏、3代・覚氏、そして当代の利子代表の4代にわたって穀物加工技術の研究開発を重ね、今日では国内はもとより世界140カ国以上の国々で幅広い知名度を背景に製品を普及、事業を拡大。近年では、食の「安全・安心・美味・健康」をコンセプトに「精米のサタケ」から「精米と選別のサタケ」へと展開、ピカ選やピカ選GRANDに代表される最新鋭の光選別機などを市場に投入している。同社では、115周年の記念ポスター、記念ロゴ(和文・英文)を作成、感謝の気持ちを示すとともに「これからもお客様のお役に立ち、喜ばれる製品の研究開発を積極的に進め、独自技術で微力ながら世界の食文化に貢献してまいりたい」とコメントしている。
7.オーレックが管理機生誕50周年でキャンペーン
同社製管理機の生誕50周年を記念して、6月30日までサンクスキャンペーンを行っている。同社の管理作業機全製品を対象として期間中、成約した顧客に、もれなく「極上温泉セット」をプレゼントする。セットの内訳は、加齢臭などの体臭に効果的な柿渋エキスを配合した石鹸と100%オーガニックコットンの体に優しい高級ハンドタオル。キャンペーンの対象となる管理作業機には、ミニ耕うん機スーパーフレッシュ・ピコシリーズと管理機作業機エースローターシリーズなどがある。
8.22年の作業機出荷は347億円
日農工作業機部会(鈴木康夫部会長)がまとめた平成22年1〜12月の作業機の生産・出荷・輸出入実績によると、生産は312億8903万円(前年比は報告メーカーが異なるため参考となるが、92.5%)、出荷は国内向けが346億9138万円(同97.7%)、輸出向けは9億6040万円(同48.3%)となった。輸入は59億628万円(同95.4%)。作業機のうち、乗用トラクター用は生産が286億7508万円(同94.3%)、出荷は国内向けが318億6039万円(同100.4%)、輸出向けが8億9143万円(同46.5%)。耕起用や施肥用、運搬用の作業機が増加した。
9.東京農業大学が第6回農業労災対策シンポジウムを開催
「農作業事故の予防と労災補償対策—地域農業のリスクアセスメント—」を掲げて開かれたシンポジウムでは、曽我部亮氏(農林水産省生産局生産支援課企画調整係長)が「農作業事故調査結果と問題点」と題して、農作業事故の現状などを説明。また、「労災事故は、なぜ、どうして起きるのか—地域農業のリスクアセスメントによる防止対策—」と題した三廻部眞己氏の講演では、「農作業事故防止は個人だけではもうできず、地域の問題となっている。
- 主な事故要因は
- 経営者の安全管理の欠陥により、
- 労働者の不安全行動が起こり、
- 作業現場の不安全状態が生じ、
- 欠陥機械が運転され、
こうした要因が絡み合って起きている。安全管理の責任はトップにあり、事故要因をJAや経営者が取り除いていく必要がある。危険予知のために地域ぐるみのリスクアセスメントを導入すべき」と述べた。
10.三菱農機が23年度上期新商品としてトラクターなど発表
トラクターは「GO/GOKシリーズ」「GX/GXKシリーズ」(Kはハーフクローラ仕様)、コンバインは「VR6108」、管理機の「マイボーイシリーズ」。また、農研機構と共同開発した「スーパーeスレッシャー」をコンバインの2条刈から6条刈までラインナップし、シリーズに追加した。
トラクターGO/GOKシリーズの特徴は、
- フロントマスクを赤基調とし、外観デザインをパワフルなイメージにした。GO/GOKにサイドグリルを追加。
- さらに見やすくなったマックビジョン(BM仕様除く)。
- 新形状「主変速スイッチ」を採用(GO/GOKはV仕様)。1本のレバーで主変速、副変速ができるeシフトがさらに使いやすくなった。変速はマイコン制御でショックが少なく快適。 —など。
コンバインVR6108は、
- 108馬力3769ccの高トルク・低燃費エンジン搭載。従来機と比べ全回転域でトルクアップ、さらに燃料消費率を5%改善。
- 排ガス中の有毒物質である窒素酸化物(NOx)低減を目的にクールドEGRシステム採用。
- コノミーモードランプで最適な作業速度に調整。 —などが特徴。
11.生研センターと新農機が緊プロ機5機種を公開
公開したのは、イチゴ収穫ロボット、高精度てん菜播種機、高機動型果樹用作業台車、果樹用農薬飛散制御型防除機、高精度高速施肥機。平成20年度(一部18年度)から3年間の第4次緊プロ事業でメーカー、試験研究機関と共同で開発したもの。新農機株式会社の実用化促進事業を経て23年度に販売開始される予定。このうち、果樹用農薬飛散制御型防除機は丸山製作所など、高精度高速施肥機は、IHIスター、ササキコーポレーションが参画した。
12.ヤンマーの「ヤン坊マー坊」の新ブランド発表
新ブランド「Y&M(ワイアンドエム)」を立ち上げるとともに、広くキャラクター使用のライセンスを開放し、新たなビジネスを展開していく。これまでの「可愛い、元気」というイメージのヤン坊マー坊に、さらに高い年齢層の共感が得られるデザインのグッズを加え、あらゆる世代に愛され続けるキャラクターとして広範に浸透させていく。デニムパンツ、シャツ、帽子、Tシャツなどがすでに商品化されている。
13.全農機商連が総会・23年度事業で農作業安全など推進
23年度事業として、行政との連携強化のための情報交換、魅力ある組織作りと活動の展開、組合組織の強化と福利厚生関係事業の拡充、ブロック推進委員のリーダーシップによる共同購買事業の計画的推進、整備事業の付加価値の向上、整備技能士会活動の活性化に向けた支援の強化、農作業事故防止運動の推進、新鮮で有用な情報の迅速な提供—に取り組む。行政の連携強化としては、農業者戸別所得補償制度実施への対応や、全国農作業安全確認運動への積極的参画、省エネ型農業機械等普及推進への対応などに取り組む。
14.小橋工業が中耕ディスクの新シリーズ
生研センターと同社が緊プロ事業で共同開発した「コバシ中耕ディスク DC301シリーズ」に、2連タイプ「DC201シリーズ」を新たに追加し、5月から受注生産を開始する。またDC301にトラクターへの装着方法が日農工特殊3PのB型も追加した。同機は、土を練らないディスク式のため水分の多い湿った土壌でも作業でき、しかも土を反転する作用が強いことから除草防除効果に優れるのが特徴。しかも作業速度が時速4〜6kmとロータリー式の約2倍の高速で、トラクターの燃料消費量も大幅に軽減する。
15.本田技研工業が刈払機を改良し発売
世界最軽量の360度自在傾斜4ストロークエンジンを搭載した刈払機シリーズを一部改良した。新型刈払機シリーズは、ホンダ4ストロークエンジン搭載による優れた燃費・環境性能はそのままに、新形状の大型ディフレクター(飛散防護カバー)を採用することで、作業中の草詰まりを大幅に軽減。また、作業者の防護エリアを拡大しながらも作業者からの刈刃視認性を高めるなど使いやすさを向上した。また、ホンダ刈払機シリーズ全機種は、生研センターが平成22年4月1日付けで改正した最新の安全鑑定証票を取得。全機種取得は「業界初」としている。
16.筑水キャニコムが4月からフレックスタイム採用
4月1日より海外営業・国内営業・サービス・パーツ部門にフレックスタイムを導入し、始業は午前6時58分、終業は午後3時58分とする。早朝に仕事をする農家のニーズに応え、機械トラブルや製品の発注、内容確認などに迅速に対応するために、営業窓口の時間帯を広げて「朝めし前営業」を行うこととした。また海外の顧客、取引先へのサービスを向上させるために、早朝より夜までのフレックスタイム制とした。