都市農業の取り組み〜「舞岡ふるさと村」
(横浜市)

2日目の研修は、神奈川県横浜市舞岡地区の「舞岡ふるさと村」を訪問し、総合案内所「虹の家」で、都市農業の取り組みについて話を聞いた。
 舞岡ふるさと村は、平成2年に指定・設置された。市営地下鉄舞岡駅を中心に、周囲を大規模住宅に囲まれながらも、田園景観豊かな農業地域を形成している。ここで、市民が農業・自然・農村文化等を利用し親しむことができる機会と場を提供し、農業者と市民の幅広い交流を通じて、長期にわたる農業の振興と保全を図ることを目的とした様々な活動が行われている。その取り組みは、平成13年度の農林水産祭むらづくり部門で農林水産大臣賞を受賞している。
「虹の家」には農業に関する各種の展示が行われている

マンション建設ラッシュのなか、農業を守る

村の運営主体である舞岡ふるさと村推進協議会の増田昭二会長は「舞岡は、横浜市の南西部に位置し藤沢市、鎌倉市に隣接している。戸塚区は横浜の副都心で、最近、急激に人口が増えており、それに伴いマンションの建設も増加している。最近は、新宿に直行する電車が通り、東京駅を経由しなくても新宿方面に行けるようになり、交通の便もより良くなったことなどもマンション増加の理由だろう。こうした状況のなかで、舞岡の農業を守っていこうと努力している。舞岡地区の農業形態は、山もあり田もありで恵まれた土地であり、農地35・2ha、山林24ha。盆地であるため、気候は夏暑く冬寒い」などと地区の概況を説明した。
 「舞岡ふるさと村設置事業」は、昭和63年、横浜市によって構想された。地区の面積は約100haで、主に野菜やナシ、養豚、酪農経営が55戸によって行われている。
 整備事業は@土地基盤整備A近代化施設整備B地域環境整備Cふるさと村施設整備の4つの事業で構成される。土地基盤整備は、圃場や灌漑排水、竹林、ナシ狩り、芋掘りなど観光農業を行うための基盤を整備。土地改良事業は平成4年から現在も継続中。近代化施設整備は、トマト温室、観光養鶏施設、農畜産物加工施設、集出荷施設(直売所含む)など、地域ブランドを育成し、さらに市民が農業体験できる場を整備している。地域環境整備は、森の散策路(1286m)、休憩施設(376u)、景観整備等を行い、市民へ緑豊かな森や自然に触れ合う場を提供するとともに、地域アメニティーに貢献。平成13年4月に「ふるさとの森」としてオープンしている。ふるさと村施設整備は、総合案内書「虹の家」、多目的広場(4187u)など都市住民と農業の交流拠点としての施設整備を行っている。
舞岡ふるさと村を紹介する増田氏

地場産品の直販所が人気
 事業で整備された主な施設は、農畜産物集出荷貯蔵施設・直売所「舞岡や」、農畜産物処理加工施設「ハム工房まいおか」、管理休養施設(「舞岡や」に併設)、体験温室(8055u、トマト栽培10棟、花き栽培1棟)、堆肥供給施設(160u)、総合案内所「虹の家」。「舞岡や」では、地場産の野菜約120品目、花約20品目、果物約6品目、鶏卵、漬物などを販売。「ハム工房まいおか」では、舞岡で生産された豚を材料としたハム、ソーセージ、豚肉、各種ギフトセットなどを販売している。また、体験温室では毎年5月に「トマトもぎ」(有料)が行われるなど、市民と直結した農業を展開している。「虹の家」には、舞岡ふるさと村の自然や農業、農村文化を紹介する展示コーナーのほか、講習会や料理教室のできる研修室、料理実習室などがあり、ウインナー作り教室やそば打ち教室が開かれている。

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