農業機械の発展過程と現状 |
●農業機械化行政組織と活動 ●農業機械の生産と輸出入 ●農業機械の普及・利用形態 ●農業機械化のための農村金融・資金調達 |
(1) 農業機械化行政組織と活動 機械化行政は、農業畜産省農業局のもと国営農場(試験場・種子農場)において展示・実演による普及・教育、農地支援開発局(Agrarian Service and Development)は、営農集団・協同組合育成の中で農業機械による作業請負をサービスすることで普及を図ってきた。地方試験場・国営種子農場は農地支援開発局の作業請負事業とともにスリランカ機械化営農の普及の大きな柱となっている。 北中部州の州都アヌラダプラから約1時間南下したマハ イルパラマ (Maha Illuppallama)に農業局傘下の農業機械研究センター
(Farm Machinery Research Center:FMRC)があり、現在では水田用播種機・歩行型コンバイン(中国のコピー)等を中心に現地に適応する農業機械・農具の研究開発・普及が行われている。アヌダラプラ市内には収穫後処理技術センターがあり、アヌダラプラ地域は農業機械化研究の中心となっている。 |
写真2 農 具 | 写真3 播種機 |
(2) 農業機械の生産と輸出入 |
機 種 | No | メーカー名 | 所 在 |
トレーラー・水田車輪メーカー | 1 | Amara Motors | Akressa |
2 | Asiri Motors | Hambantota | |
3 | Farmers (PVT) Ltd | Colombo | |
4 | Gunatillake Motors | Anuradhapura | |
5 | Nihal de Silva & Co | Boralesgamuwa | |
6 | Seneviratne Motors | Amapara | |
7 | Shiran Tractor Engineers | Divulapitiya | |
8 | Tharanga Motors | Kantalai | |
9 | Upali Engineering Works | Chilaw | |
10 | Wimala Engineers | Divulapitiya | |
ポンプ | 1 | Agro Consolidated (PVT) Ltd | |
2 | Hayleys Engineering Ltd | ||
3 | Singer (Sri Lanka) Ltd | ||
4 | Solex Engineering Enterprise | ||
噴霧機 | 1 | Baur & Company Ltd | |
2 | Hayleys Ltd |
No | 会 社 名 |
1 | Brown & Co Ltd |
2 | Freudenberg & Co. Ceylon Ltd |
3 | M T Motors |
4 | Chandima Trade Center |
5 | Ranatunga Motors |
出典:財務省通関統計
年 | 輸入台数 |
1998 | 8,595 |
1999 | 11,754 |
2000 | 12,929 |
2001 | 7,940 |
2002* | 9,464 |
2002*: 1月〜10月の台数 出典:財務省通関統計
No | 会 社 名 | 国名/メーカー |
1 | Brown & Co. Ltd | 英国 / ファーガソン |
トルコ / ファーガソン | ||
インド/ TAFE・Eichor | ||
2 | Freudenberg & Co (Cey) Ltd | 日本 / クボタ |
中国 / Ginma | ||
3 | Diesel & Motor Engineering Co. Ltd | インド/ Mahendran |
4 | Mackwoods Ltd | インド/ Swaraja |
5 | Deve (Pvt) Ltd | USA / John Deer |
6 | Lanka Tractors Ltd | インド/ Taffe・Farmtrac |
7 | Farmers | ユーゴスラビア / IMT |
8 | Harvard Holdings | 米国 / フォード |
日本 / ヰセキ |
出典:2003年1月 聞き取り調査
スリランカのみならずアジアの稲作農家は、増産より生産コストの低減による収入増と多作化による収入の安定を目指しており、政府もこの方向で支援している。スリランカは、兼業農家(海外出稼ぎも含む)の急増や若者の農業離れで農業労働力は激減しており、農業機械の導入が進んでいる。 |
(4) 農業機械化のための農村金融・資金調達 スリランカの農村では15人以上のメンバーにより営農集団(Farmers Organization)が設立できる。現在、農地支援開発局の指導で約13,000組合が組織されている。またまだ数は少ないが農業会社が4・5社設立されている。農家や営農集団は、農地支援開発局系のサムルディ銀行(Samurdhi Bank)があり、年利10.5 %を3〜4ヶ月で返済する仕組みである。民間ではサヌス銀行等があり、農業機械・農業資材の購入や農村工業への融資が受けられる。 兼業の収入により農家の経済は良くなりつつあるが、都市近郊では農地の値上りで農地を売渡す農家も増えている。稲作より収入の良い花卉・果実等園芸作物の生産に移る農家も多く、こうした営農資金への融資も多い。 1998年ではRs 1,537百万の融資がサムルディ銀行からされており、目的別協同組合の融資比率の推移を表5に示す。 |
目 的 | 1994 | 1995 | 1996 | 1997 | 1998 |
農業 | 11.40% | 13.70% | 13.70% | 13.70% | 11.60% |
畜産 | 2.80% | 2.90% | 2.00% | 2.50% | 3.20% |
小規模工業 | 7.80% | 8.40% | 5.20% | 5.60% | 8.20% |
住居・電気 | − | 10.30% | 9.50% | 10.10% | 19.00% |
プロジェクト・売買資金 | 68.80% | 54.30% | 4.60% | 4.80% | 24.80% |
その他 | 9.20% | 10.40% | 65.10% | 63.30% | 33.20% |