1. 稲作生産の推移と動向

東南アジアの稲作は、内乱の終結・復興・アジア経済危機の終焉等の影響で増産の傾向がある。インドネシアの籾生産は、2000年に51.9百万トンに達し、フィリピンは2001年には13百万トン、ヴィエトナムは2000年に32.5百万トン、ラオス2.2百万トン、カンボデイア2001年に4.1百万トン、2001年にはインド132百万トン、スリランカ2.9百万トン、タイ25.2百万トンと過去最高の生産高を記録した。近年の各国の籾生産高推移を図1-1に示す。
 単位収量は、インドネシア:4.2〜4.4 トン/ha、タイ:2.4〜2.6で横ばい傾向、ヴィエトナム:3.9〜4.3トン/ha、スリランカ3.3〜3.5トン/ha、ミャンマー:3.1〜3.4トン/ha、フィリピン:2.7〜3.2トン/ha、インド:2.9〜3.0トン/ha、ラオス:2.7〜3.1トン/ha、カンボジア:1.8〜2.1トン/haと増産傾向にある。
  化学肥料・除草剤・病害虫防除用農薬の使用量は、増加している。有機肥料に対する農家の認識も広まっているが、堆肥製造技術・施肥量・運搬手段等の情報が少ない。ラオス・カンボジア・ミャンマーの乾燥地帯や貧困地帯において、圃場の片隅に化学肥料と同量のわずかな堆肥が運搬されて、圃場へ鋤き込まれる風景が随所で見られた。
東南アジアの米生産は量(増産)から品質(銘柄米)へ移っており、食味の悪い米は、仲買人が購入せず売れ残り現象が起きている。稲作の国は、それぞれ各国独自の米文化と食味に対する嗜好があることを理解する必要がある。