研修連絡協議会が総会、研究会では3課題で講演

 本会が事務局を務める全国農業機械化研修連絡協議会の第36回通常総会と担当者研究会が6月23日、都内の馬事畜産会館で開かれた。総会では新役員を選出するとともに、研修内容の充実を図るとした15年度事業計画などを了承。研究会では最近の農業機械の動向、低速車マークの普及などについて認識を深めた。

功労者9名を表彰

 総会では最初に菅野滋樹会長に代わり、篠川憲一副会長があいさつ。「農業情勢が大きく変わる中、技能者の養成、農作業事故の防止などに貢献している各県の研修部門は、本年度の国の予算が変わったことにより体制が様変わりしている。これは大きな問題ではあるが、機械化研修連絡協議会としては、各県の研修業務が円滑に実施できるよう、お互いに知恵を出し合って、様々な角度から検討していくことが必要だと考えている。本日の総会を機会にそれぞれの研修業務が活発に行われ、研修機関から我が国の農業を支える人材が多く養成され、輩出できるよう期待する」と語った。
 また、来賓として農林水産省・生産資材課の横田敏恭生産資材調整官が最近の農業情勢を紹介しつつ、機械化は持続的農業の発展と食料の安定供給に大きく寄与し、農業の構造改革を進めていると指摘。そして「15年度の農作業安全対策関係予算については、こういう厳しい情勢の中で財務当局に認めてもらえず、農業機械の研修については、極力各県の皆様方において、必要な経費の確保をお願いするとともに様々な検討を行って頂いた。この間の皆様のご協力に感謝申し上げる。今後は、各農政局等を通じて、各県との連絡体制の強化を図り支援していきたい」と語った。また、7月1日からの農林水産省の組織変更について説明した。
 農林水産省農業技術研修館の副島伸一館長は、農業行政に携わる職員が機械の研修に対して「機械なんて」と言い、「機械が使えても農作物はできない」と言って平気であることは問題だと語り、実技の重要性を訴えた。また、研修に対して、「評価される仕事をしなくてはならない」とし、座学でなく、実際に機械を扱ってわかること、基本をマスターする重要性を指摘。役に立つ、貢献できる研修をして頂きたいと期待を寄せた。
 続いて、第30回農業機械化技能者養成関係功労者表彰が行われ、篠川副会長から表彰状と記念品が手渡された。
 今回表彰の栄に輝いたのは、特別表彰状が、森健一氏(宮城県農業実践大学校技師)、大口善博氏(奈良県農業大学校副主幹)。表彰状が、山本敬治氏(滋賀県農業総合センター農業大学校嘱託)、中西敬司氏(兵庫県立農林水産技術総合センター農業大学校農業教育専門員)、野沢弘志氏(宮崎県立農業大学校技術員)。感謝状が、黒丸隆太郎氏(北海道十勝中部地区農業改良普及センター主査)、山口啓二氏(長野県佐久農業改良普及センター普及員)、水流賢志氏(鹿児島県肝属農業改良普及センター技術主査)、小窪實幸氏(前鹿児島県農業試験場大隈支場総務研修課)。

新会長に日小田氏(大分農業大学校長)

この後、篠川副会長を議長に議事に入り、第1号議案「平成14年度事業報告並びに収支決算承認について」、第2号議案「平成15年度事業計画並びに収支予算案承認について」、第3号議案「平成16年度会員会費の額並びに徴収方法について」、第4号議案「平成15年度役員選出について」を審議した。
 このうち、15年度の事業計画としては、農業機械化技能者養成関係功労者表彰の実施、農業機械化研修対策の検討(農業機械化研修担当者研究会の開催、情報交換、16年度予算対策)、県農業機械士組織育成対策の推進、農業機械利用技能者の養成(研修用テキストの改定検討)、研修テキスト・農作業安全ポスターの企画、ブロック会議の開催――を予定。
 重点事項として、@研修内容の充実(テキストの作成)、A各道府県研修体制の維持強化に対する取り組み、をあげ、@では、作業機の操作、農業機械操作入門、果樹用農業機械のテキストを作成することとした。
 また、15年度の役員は次のように決まった(敬称略)。
 P会長=日小田浩三(大分県立農業大学校長)
 P副会長=児玉正敏(福島県立農業短期大学校長)、杉本正之(山梨県立農業大学校長)
 P理事=中出伝一(石川県農林水産部農畜産課長)、村井智子(愛知県立農業大学校長)、宇杉興一(和歌山県農業大学校長)、古谷扶美枝(山口県立農業大学校長)、小川一貴(学識経験者・事務局長、本会専務理事)
 P監事=山本一男(埼玉県農業大学校長)、篠川憲一(栃木県農業大学校長)
 日小田会長就任に当たり、大分県立農業大学校副校長の水海博徳氏が代理であいさつ。これからの農業の発展課題は効率的な農業をいかに展開できるかであり、そのためには機械の効率利用が必要だとして、「私どもが担っている農業機械化研修はその意味で日本農業を支える重要な仕事である」と語り、協力を要請した。 最後に、小川理事が15年度の研修について各県を対象に実施したアンケートの結果を説明。34県から回答があり、研修体制については、現状維持が20県、補助の研修をやめたりするところが9県。県単独の研修も縮小・取りやめが3県あった。これについて、それぞれ工夫しその後も対応を進めており、事務局としても努力を続ける旨語った。