紙マルチ田植機による有機栽培の取組み
山形県 たかはた四季便りの会 金子 吉孝氏


たかはた四季便りの会は、有機農業を実践している山形県高畠町の11戸の農家と関東・関西を中心とした消費者130数グループの集まりです。私は田が170a、畑30a、リンゴを120aと母豚が3頭で、これをほとんど産直で販売しています。
有機農業で、人並みに暮らせるよう収入を得ようと考え、たかはた四季便りの会を立ち上げて今日があるのですが、単純に計算すると、3町歩ほど作って1000万円ほどの売り上げがあればなんとかそこそこ暮らせるのではないかとやってきました。水稲は最初は機械で植えてきたのですが、除草するのに畝間はとれるんですが、株間が取れない。それで正条植えをするために手植えに変えました。手植えでは1人で7aぐらいしかできません。
あと10年後を考えると、これではどうしても続かない。今はやれても、将来的に拡大して5町歩、6町歩をやろうとするとできないと、非常に悩みました。そう悩んでいるときに三菱の紙マルチ田植機と出会いました。2年ほどテストで植えてもらい、これはいけると思い仲間で3台導入しました。
しかし、思ったよりうまくはいきませんでした。紙で遮蔽するので、今までの米作りでは通用しません。最初は紙を田に密着させるために水を干さないといけないといわれてやっていたんですが、苗が枯れてしまう。それを、最初から水をかけて、活着するまで水をかけておくということが着眼点となり、今までは何とか反当たり9俵ぐらいまで穫れるようになりました。
また、「わき」をどういうふうに止めていくのか、農薬も化学肥料も使わないわけですから、どういうふうな方法で稲を作っていくのかということが問題になりました。
基本的な考え方は、坪当たり60株、植え株数が2〜3本、基肥は使わない、できるだけ疎植にしてできるだけ緩やかに育てて後で追っていくという、そういう手法を使いました。ある程度のところまで稲が穫れるようになってきたというのが現実です。紙マルチ田植機は入れたからすぐにやれるという機械ではないのかもしれません。ただ、ある程度マニュアルができたので、三菱の人たちとも相談しながら、こういう方法がいいのではないかと考えている最中です。