農業機械化情報研究会から

地域で活躍する農業法人

先月号で紹介した通り、本会は2月18日、14年度第4回目農業機械化情報研究会を開催した。研究会では「農業法人の現状と今後の動向について」を社団法人日本農業法人協会参事・栗毛野伸一氏が、「韓国における農業用トラクターの動向について」を全国農業協同組合連合会生産資材部農機第一課調査役・藤間則和氏が講演した。
 栗毛野氏は、農業法人協会の概要を紹介。「農業法人協会は、お互いが連携して我が国の農業・農村の発展に寄与しようと、平成11年6月28日に発足した。事業の内容は、@農業法人に関する経営情報の収集・提供及び調査・研究A調査・研究等を踏まえた農業経営政策等に関する提言B農業法人の経営改善に関する研修及び教育C農業・農業法人の人材確保及び育成D農業分野における技術・技能・知識に関する外国人研修E一般国民に対する啓発・普及などで、今全国で1580法人が加入しており、毎年参加が増えている」と述べ、次いで農業法人について次のように語った。
 「農業法人がどういうものなのかというと、一般的に農業に関わる広い意味での法人を農業法人といっており、それに対して農業生産法人というのは農地を持って農業生産を行う法人で、農地法2条に規定されており、有限会社など会社法人と、農協法による農事組合法人(2号法人)とがある。農業生産法人は、14年度、農事組合法人が1582で24.2%、有限会社が4920、75.1%、合資会社が22、合名会社が6,株式会社も認められたので17法人あり、合計6547ある」。
 また、農業法人の農業政策上の位置づけについて、13年の経営政策大綱の中でも農業経営の法人化の推進が明確にされ、今回の米政策改革大綱の中にも集落営農についても法人化が前提であるとされ、法人化の流れとなっていると指摘。同協会で調査した結果などから、農業法人は少数派であるが、近年は着実に増加し、全国の農業法人数が約1万3000、農業生産法人は6547となり、その規模は農林水産省の調査によると平均経営面積は27ha、などと説明。
 また、会員の経営内容について、8割の農業法人が農産物の直売や加工・販売を行っていること、そうであるが、一般の中小企業などに比べるとまだまだで、12年度で黒字は43%であることなどから、@農業法人の社会的認知・ステータス向上A農業法人の経営確立・発展B会員間交流など「人的ネットワーク」の強化の3点が課題だとした。
 最後に、本協会ホームページ内で会員法人に情報提供を行う「アグリ・サポート倶楽部」を設置したことを紹介し、この会員には同協会会員との交流・農業法人に関する情報の提供などが行われるので、ご参加を検討してほしいと要望した。


安全装備は不十分な韓国製トラクタ

全農の藤間氏は、全農で、韓国からトラクターを輸入し販売しようとした取り組みの経緯を語った。
 韓国でトラクターを生産・販売しているメーカーについては5社あり、販売実績は8923億ウォン、およそ910億円で、800億円が国内、110億円が輸出となっていること、輸出は、アメリカが34%を占め、その他、ヨーロッパ、中国などにも輸出されていること、台数でみると、合計で1万8700台あり、このうち国内が1万3000台、輸出が5700台となっていることなどを説明。
 次いで、全農の取り組み経過について次のように紹介した。
 「近年、農業資材店舗「しんしん」が韓国製トラクターの販売を行っており、JAや農家から韓国製トラクターのJAグループでの取り扱いに関する問い合わせが増えてきた。このため、長野県本部で確認試験のために輸入することとなり、県本部に協力して韓国製トラクターの技術・性能等の検査・試験を行った。
 その結果、@道路運送車両法の保安装備基準の範囲外となっている事項があるA安全フレームは作業者の安全域確保ができない可能性があるBエンジン性能については『作業時の粘り』が不足した――などが明らかになった。
 こうしたことから、今回試験した機械については、道路走行時の保安基準への一部不適合や、部品・アフタサービス体制に不安があると思われ、更に、輸入のための諸費用等を考慮すれば価格優位性に乏しく、積極的に位置付けるのは困難である、と結論した。
 しかし、「低価格であれば使いたい」の意見もあるので、農家に対して低価格機械の提供を実現する立場から、韓国メーカーによる機械の改善が前提になるが、部品供給・国内アフターサービス体制等の取り扱い課題も含め、一つの選択肢としての可能性を追求していくことにした」。