3 播種・育苗・定植の機械化 |
1)播種機・施肥機 整列播種機(ヤンマー)、トラクタ用播種マルチ(矢崎)、トラクタ用播種機(同)、整地シーダー(三菱)、畦立同時ペースト施肥機(同)、畑用灌注ペースト施肥機(同)、ロータリーシーダー(ヰセキ)が実演された。 整列播種機は、これまで手まきに頼っていたウリ科種子も播種可能で、長辺単辺方向を整列させて播種できるセル苗用播種機である。しかも、従来から課題であった欠粒をセンサー検知でゼロにできるというように作業性能・能率の向上が図られた。トラクタ用の播種機では、穴あきマルチ張り作業と一体化し、マルチ穴に確実に播種する機構が装備され、ダイコンなどの大規模栽培に適応性が高まった。整地シーダーやロータリーシーダーは、1点1粒まきが可能で、1行程で整地・播種・鎮圧の複合作業が行える、超省力作業機でありながら、ハウス内作業が可能な小回りの利く管理機装着タイプである。ペースト施肥機は、局所施肥により施肥量の削減がはかられ、環境にやさしい栽培方式として定着してきているが、野菜栽培ではナス、アスパラガス等の長期栽培の追肥用に重要で、灌水を制限して追肥だけ根に届くように行いたいトマトにも威力を発揮する。畑用灌注ペースト施肥機は10aを50〜60分で作業できるとされ、かなりのハイスピードであるが、よりコンパクトで使い回しの良いタイプも上市予定とのことである。 |
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トラクタ用播種マルチ | 畑用灌注ペースト施肥機 | |
2)移植(定植)機 半自動カンショ移植機(ヰセキ)、半自動タマネギレタス兼用移植機(同)、全自動野菜移植機(クボタ)、半自動タマネギ移植機(同)、乗用長ネギ移植機(サークル)、乗用移植機(マメトラ)、甘藷移植機(同)、全自動白ネギ移植機(みのる)、軟弱野菜移植機(同)、全自動野菜移植機(同、ヤンマー)、ジャガイモ移植機(ヤンマー)、全自動ネギ移植機(同)が実演された。 半自動カンショ移植機は慣行のつる苗をマルチフィルムの上から植え穴を切りながら植え付けていくことができる。半自動タマネギレタス兼用移植機と甘藷移植機は、1人または2人の立ち作業で行う方式で、活着促進のための灌水装置が標準装備され使い勝手が良くなっている。半自動タマネギ移植機は、簡易乗用型2人乗りで片側2条往復4条をマルチフィルム上から植え付けていくことができる。乗用移植機はホッパー横開きで大小の苗を植え付けでき、足回りにはクローラを採用し軟弱地でも安定作業が可能になっている。全自動白ネギ移植機、軟弱野菜移植機、全自動野菜移植機、全自動ネギ移植機は、セル成型苗対応により1人で高能率な作業が可能である。 移植機(定植機)は、半自動タイプと全自動タイプに大きく分けることができる。半自動タイプは作業に人手が1人または2人以上と多くかかり、作業能率が全自動タイプよりはやや劣るものの、苗はほとんど慣行育苗の苗を用いることができ、新たな設備投資や技術的な課題は少ないため導入しやすい。一方、全自動タイプは、半自動タイプよりはやや高額で、機械定植に対応したセル成型苗づくりが求められ、慣行の栽培体系に若干の修正が必要であるが、能率は各段に高く規模拡大や大規模経営の大きな力になる。それぞれの特長を活かした使い方が望まれる。現在の移植機(定植機)は、細かな機能の改善が図られ、使い勝手も良くなっており、中小型機械として田植機並にほぼ完成の域に達している作業機となっている。 |
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半自動カンショ移植機 | 半自動タマネギ・レタス兼用移植機 | |
軟弱宇野菜移植機 |