ホーム >> 農業機械化関連 >> 農業機械化ニュース メニュー >>  2023年6月12日発行 メルマガ6月号
農業機械関連ニュース

2023年6月12日発行

<業界短信-新製品6月>

  1. オーレックが自走式の栗収穫機を発表
  2. ヤンマーアグリがトラクター装着用のワイナリー向け静電ブームを発売
  3. タカキタが低床式マニアスプレッダ4型式やeボートを新発売
  4. クボタが新製品発表、GSトラクターや乗用管理機、移植機など
  5. ヤンマーアグリが直進機能搭載のトラクターを発売

<業界短信6月>

  1. クボタが次世代電池材料市場に参入
  2. クボタのウェブコンテンツがCSSデザイン賞
  3. 三菱マヒンドラ農機が全国でペースト一発肥料の水稲生育試験
  4. G7宮崎農相会合で3社が電動トラクター披露
  5. 小橋HDが坂ノ途中と業務提携し有機農業の課題解決
  6. オーレックが岩手県紫波町と包括連携協定
  7. クボタが2023年12月期第1四半期連結業績を発表
  8. 井関農機が日本政策投資銀行の最高ランクの「DBJ環境格付」を取得
  9. タカキタが2023年3月期決算を発表
  10. オーレックのスイカ生産用花粉が日田天領西瓜で授粉開始
  11. JA全中が全国大会開く
  12. クボタ、JA全農、BASFが営農支援システム連携の実証試験
  13. クボタと国立環境研究所が廃棄物の資源循環システム構築で共同研究
  14. 井関農機が2023年12月期第1四半期連結業績を発表
  15. 三菱マヒンドラ農機が6月30日付新執行体制を決定
  16. 本田技研工業が2022年度決算を発表
  17. 本田技研工業がバッテリーでGSユアサと合弁
  18. やまびこが2023年12月第1四半期決算
  19. 三菱マヒンドラ農機がグループ平均4%の賃上げ
  20. キャニコムが超草刈りの実演会で性能披露
  21. 日本農業機械工業会が第62回従業員功労者で20社28名を表彰
  22. ビコンジャパン創業者の石川亨氏が逝去

<業界短信-新製品6月>

1.オーレックが自走式の栗収穫機を発表

茨城県農業総合センターが開催したクリ収穫の機械化に向けた実演会に、新製品「バーディーマロンピッカー(BX800/M8-MP750)」を出品、今後の普及に大きな手応えを得た。
 同県との共同開発になる同機は、作業時間を手収穫の3分の1に短縮するなどのデータを得ており、栗収穫作業の労働負担軽減という新たな市場を切り拓く期待機種。ベースマシンにアタッチメントを取り付ける形で、茨城県との共同試験を経て栗収穫アタッチメントの完成に至った。2022年度の実証試験では、手作業と比較して作業時間を65%以上削減するデータが得られ、いがの収穫率はほぼ100%、実のみでも70~80%となった。
 実演圃場および説明会で同機の機能などを解説したオーレックの前田武志関東営業グループ所長は、栗栽培ではこれまで草刈機で貢献してきており、これから収穫機を発売することによって、栗栽培の内容を変えていく基点になれると、今後の展開に意欲を示した。実演会では、購入を検討する声が聞かれ、実演後の説明会では県担当者が助成措置を紹介。発売は7月下旬だが、早くも普及に期待が寄せられている。

2.ヤンマーアグリがトラクター装着用の
 ワイナリー向け静電ブームを発売

トラクター装着用のワイナリー(垣根栽培)向け静電ブーム「WS300」を新発売した。エアアシスト・2段散布方式と静電ノズルで周囲への農薬の飛散を減らし、環境負荷、資材費の低減、安心・快適作業の実現に貢献する。トラクターの適用馬力は21~33馬力。
 主な特徴は、

  1. 従来専用機で行っていた散布作業がトラクターで可能に。トラクターでは散布以外にも摘心機やモアなどに付け替えることで幅広い作業に対応でき、ワイナリーの管理作業の効率化を実現
  2. 左右調整式ノズルにより垣根幅2.3~2.6mの作付体系に適応し、エアアシスト・2段散布で効果的な散布が行える
  3. 静電ノズルの採用により、薬液をマイナスに帯電して噴霧し、茎葉の混み入ったところにも薬液を付着させることができる。周囲への農薬の飛散を減らし、環境に優しく、ムダな散布が少ないためコスト低減にも貢献
  4. キャビン付トラクターであれば農薬による被ばくを防ぎ、エアコンで暑い夏場の作業も快適に行える

-など。

3.タカキタが低床式マニアスプレッダ4型式やeボートを新発売

マニアスプレッダ「DL1500(W)/2000(W)」4型式とそのゲートアタッチ「DL-G」、及び水田用除草剤散布機「EB-500」電動バッテリー仕様のeボートを新発売した。マニアスプレッダは、堆肥の積み込みがしやすい低床式を採用。作業能率は10a当たり7~13分(横2段ビータ仕様)、3~6分(縦型ビータ仕様)。マニアスプレッダは、床の桟とビータ側板に溶融亜鉛メッキを採用、高い耐久性を実現した。 eボートは充電式リチウムイオンバッテリー3個を標準装備、連続稼働時間は10分(バッテリー1個当たり)、充電時間は120分(100%充電)。eボートは、ラジコン操作で除草剤散布の省力化を狙ったもので、新たに電動バッテリー仕様を投入した。水深5cmから使用でき、環境に優しい。
 マニアスプレッダの主な特徴は、

  1. 床コンベアチェーンの駆動スプロケット歯数を6Tから8Tにすることで摩耗を軽減し耐久性が向上した
  2. 2Pけん引式で小回りが効き、狭い圃場や農道でも作業・走行が楽
  3. コントロールボックスでコンベア送り速度を5段階に調節可能
  4. ゲートアタッチDL-Gは堆肥運搬中のこぼれを防止。コントロールボックスで手元から操作可能

-など。


 eボートの主な特徴は、

  1. 船体はポリエチレン製で衝撃に強く耐久性もある
  2. 船底にストライプを採用し、さらにジャイロ機能を搭載することで、従来機よりも直進時の安定性が向上
  3. 電動ポンプによって薬剤散布を行うため、安定した散布量で作業ができる

-など。

4.クボタが新製品発表、GSトラクターや乗用管理機、移植機など

新商品としてGS仕様(直進アシスト機能)のトラクター「レクシアシリーズ」(型式はMR600HGS・MR650HGS・MR700HGS)、乗用管理機ナビライダー(NR17FM・NR23FM)、乗用半自動たまねぎ移植機「KP-403T」を発表した。発売時期は「レクシア」が2023年7月、ナビライダーと乗用半自動たまねぎ移植機が9月。
 トラクター「レクシアGS仕様」の主な特徴は、

  1. 直進アシスト機能で直進時のハンドルが自動制御され、事前に設定した基準線と平行にまっすぐな作業が行える
  2. 方位角を活用して基準線を簡単に設定できる「基準線入力モード」を採用。始点A・終点Bを登録して基準線を設定する他、始点A・終点Bを登録せず方位角を直接入力して基準線を設定できる
  3. 過去のGS走行の情報を記憶し活用できる「GSリンク」を採用

-など。


 乗用管理機「ナビライダー」の主な特徴は、

  1. 様々な栽培体系に適合する本格乗用管理機。通常の作業や移動走行で使用する前輪操舵に加え、長距離のバック走行に便利な後輪操舵など4つの操舵モードを搭載
  2. 作業に合わせて操舵モードを切り替える自動モードを採用
  3. ズームトレッドとタイヤ左右の入れ替えの組み合わせにより、トレッドを1145~1505mmまで8段階に設定することができる
  4. 標準3点リンク搭載により、ロータリカルチやディスクカルチ等、対応インプルメントが豊富

-など。

5.ヤンマーアグリが直進機能搭載のトラクターを発売

YTトラクターのフラッグシップモデル「YT4R/5Rシリーズ」4型式(88~114馬力)と、コンパクトでパワフルなトラクター「YT2Aシリーズ」3型式(23~33馬力)にICT技術を活用し、農作業の効率化・高精度化を実現する直進アシスト機能を搭載したモデルを追加。YTトラクターのフラッグシップモデルである「YT4R/5Rシリーズ」に直進アシスト機能を搭載し、熟練のオペレータの作業負担を軽減するとともに、操作に不慣れな人でも高精度な直進作業を可能にした。
 YT4R/5Rシリーズの主な特徴は、

  1. 直進アシスト機能。D-GNSS方式の自動操舵システムを採用し、事前に基準線のA点・B点を登録することで、基準線と平行に正確な作業を行う
  2. RTKアップグレードキットによる高精度化を実現(オプション)。時間が経過しても位置のずれが少なく、特に高精度な作業が求められる溝掘り作業や播種作業に適している
  3. 作業を効率化させる無段変速トランスミッション「I-HMT」により、作業内容や圃場条件に合わせて最も効率の良い最適な速度で作業を行うことができる
  4. 油圧シリンダボア径を拡大し、大型インプルメントを余裕で持ち上げられる最大油圧揚力4500kgfを実現した(YT5114ホイル/デルタ仕様/ズーム仕様のみ)

-など。

<業界短信6月>

1.クボタが次世代電池材料市場に参入

リチウムイオン二次電池の負極材料として使用するチタンニオブ複合酸化物の量産を2024年末に開始し、電池材料市場に参入する。自動車をはじめとする電動化の流れに伴いリチウムイオン二次電池の性能向上への期待が高まる中で、次世代電池材料の生産を通じて、カーボンニュートラル社会の実現に貢献していく。
 リチウムイオン二次電池の負極材料として用いられる黒鉛と比べて、チタンニオブ複合酸化物は、電池の長寿命化や優れた急速充電性を実現しうる材料。トラックやバスを含むEVをはじめ、電動化需要への貢献が期待される。同社はこれまでにチタン酸化合物の量産実用化における過程で培った様々な固有技術やノウハウを用いて、リチウムイオン二次電池用負極材料であるチタンニオブ複合酸化物の合成技術及び製造プロセス技術を開発した。2024年末に量産を開始し、月間生産能力を50tから段階的に引き上げていく予定。

2.クボタのウェブコンテンツがCSSデザイン賞

公開している事業紹介ウェブコンテンツ「KUBOTA FUTURE CUBE」が世界3大ウェブデザインアワードの一つ「CSS Design Awards」にて、「Website of the Year」の8位に入賞し、「Best Innovation賞」を受賞したと発表した。
 2010年に始まったCSS Design Awardsは、「FWA(Favorite Website Awards)」、「Awwwards」と並ぶウェブデザインの世界3大アワードの一つ。同社によると、2022年に公開されたウェブサイトの中でも特に革新的である点が高く評価されたもので、「日本企業では初めての受賞」となる。同社では、「この度の受賞を励みとし、今後も『食料・水・環境』分野における当社の企業姿勢や社会課題の解決に向けた取り組みについてステークホルダーの皆さまから共感と参画を得ることができるような情報発信をめざしてまいります」としている。

3.三菱マヒンドラ農機が全国でペースト一発肥料の水稲生育試験

ペースト一発肥料を使用した水稲の生育試験を、本年度は青森から鹿児島まで全国37府県、計54カ所の圃場で実施する。昨年度は新潟県長岡市、岡山市などで行い、玄米収量が各県平均に対して11~24%の増量となり、食味スコアについてもすべて「良」(80以上)と良好な結果が出た。これによりペースト一発施肥による田植えは、粒状一発肥料の課題であるプラスチック被覆殻の流出と無縁であるだけでなく、水稲の生産性においても平均を上回る成果を上げることが示された。
 本年度は同試験を全国規模で実施することで、各地域でペースト一発肥料の有効性を確認し、その結果を地元の農家や農業関連団体と共有することで、さらなる理解の促進と浸透を図っていく。生育結果の発表は、令和6年初めを予定している。栽培試験データは、今後の営農情報の提供にも活用する。

4.G7宮崎農相会合で3社が電動トラクター披露

G7農相会合が4月22、23の両日、宮崎県宮崎市で開かれ、持続可能な農業および食料システムの構築、ロシアに侵略されたウクライナへの支援、さらなるイノベーションの推進などを盛り込んだ共同声明、宮崎アクションを採択し幕を閉じた。
 会期中は、わが国の持続可能な農業実現への取り組みのPRとして電動農機やスマート農業技術などの展示、実演が行われ、各国農相は、井関農機、クボタ、ヤンマーアグリの電動トラクターなどを見学。走行実演の視察、あるいは実際に乗り心地を試し日本農機メーカーの技術力に触れた。会場で農相らを出迎えた井関農機の冨安司郎社長は、電動モアやアイガモロボに関心を持っていただけたとし、持続的な農業を続けていくために、有機農業拡大、脱炭素化に向けた開発・販売に力を入れ、今後も貢献していきたいと話した。各社のスマート農業の実演が行われた。ヤンマーアグリは「SMART PILOT(スマートパイロット)」シリーズのロボットトラクターの実演を行い、無人運転による省力化、農業生産性の向上をアピールした。

5.小橋HDが坂ノ途中と業務提携し有機農業の課題解決

KOBASHI HOLDINGSは、坂ノ途中への出資を行うとともに、業務提携について合意した。坂ノ途中は、今後に勃興が予測される有機農業の世界における新たなサプライチェーンとバリューチェーンを創造する企業。業務提携は「〝地球を耕す〟を理念とするKOBASHI HOLDINGSおよび〝100年先もつづく、農業を〟というメッセージを掲げる坂ノ途中が本質的に呼応し、化学反応が起きるだろう」という両社社長の握手から始まった。
 同社は提供できる技術の価値として以下の2点をあげている。

  1. 漏水を防ぐ強固なあぜ作りへの貢献=同社の製品を利用すると、耕うん部の横回転構造により、ドラムによる上面と側面に加え下層からの漏水を防ぎ、圃場の四隅まで前進で作業することが可能。また作業深さが安定し、漏水しやすい「あぜの繋ぎ目」を無くすことができる
  2. 高低差を無くす高精度の代掻き作業=レベリングアイコンの活用で圃場の高低差を改善し、「タイヤ跡消しプレート」と「タイヤ跡消し爪」の相乗効果で作業後のタイヤ跡を消す。また電動エプロン加圧により、表層の鎮圧効果によって水持ちを高めることができる

今後、両社は有機農業の課題を解決し、環境負荷の少ない農業を広げる取り組みを始める。有機農業が抱える技術的な課題を更に解像度高く理解することからはじめ、そこからKOBASHI HOLDINGSの作業機技術をベースに、適期かつ高効率な圃場作業の実現を目指す。

6.オーレックが岩手県紫波町と包括連携協定

岩手県紫波町及び紫波フルーツパークと、3者間での「包括連携協定」を締結したと発表した。目的は、協働で農業教育高度化に向けた取り組みを実施することで、未来の農業を牽引する人材を育て、持続可能な農業の実現を目指す。紫波フルーツパークのブドウ生産から加工、ワインの製造までを行う事業環境と、オーレックが製造販売する草刈機及び、草生栽培(雑草を活用して農地の土壌を管理する方法)の考え方を、岩手県紫波町の農業教育へ提供する。
 同社の今村社長は「農家の皆様を支援し、農業分野の次世代発展につながる働きを行う企業でありたいという想いから協定締結に至った。紫波町の発展と未来のため、農業機械、草生栽培の分野で連携し貢献したい」と話した。また、紫波フルーツパーク・藤原会長は「これを機に、より魅力的なブドウを栽培し、よりおいしいワインが醸造できることを地域住民や子どもたちに伝え、未来を担う農業者の育成につなげたい」と語った。

7.クボタが2023年12月期第1四半期連結業績を発表

2023年12月期第1四半期連結業績(IFRS=国際財務報告基準)を発表した。それによると、第1四半期(2023年1月1日~3月31日)の売上高は前年同期比1888億円(31.8%)増加して7816億円となった。国内は機械部門、水・環境部門が増収となり、前年同期比67億円(4.3%)増の1636億円。海外も機械部門、水・環境部門ともに増収となり、前年同期比1821億円(41.8%)増の6180億円となった。農機・エンジン部門は1324億円(33.4%)増加し5293億円、うち国内は66億円(10.4%)増加し、702億円となった。
 国内の機械部門は主に農業機械及び農業関連商品の増加により増収となった。同社では「農機は前年並みの市場が続くが、シェアアップや高馬力帯が伸びたことにより増」としている。海外売上高は、北米の物流混雑緩和もありディーラー在庫充足が進んだことに加え、建設機械では住宅建設のバックログと政府のインフラ開発需要により増収となった。欧州では建設機械、エンジンは工事需要に支えられ堅調に推移し、トラクターも在庫不足緩和により販売が増加した。アジアは、タイでは畑作向けトラクターは堅調だったが、稲作向け農業機械は市場の回復が鈍く苦戦した。

8.井関農機が日本政策投資銀行の最高ランクの
 「DBJ環境格付」を取得

日本政策投資銀行(DBJ)の「DBJ環境格付」において、17回連続で最高ランクの格付「環境への配慮に対する取り組みが特に先進的」と評価され、「DBJ環境格付」に基づく融資を受けたことを明らかにした。
 今回の格付では、環境ビジョンの策定に合わせて従来の環境中長期目標を見直し、その実現に向けた設備投資計画を策定したほか、各職場でSDGs勉強会や生産工程で発生したコスト・削減効果の見える化を図るMFCA活動等を通じて社員の環境意識啓発に努めるなど、自社における環境負荷低減に向けグループ一体で取り組みを進めていることや、「エコ商品認定制度」を導入し、認定製品の対象拡大・販売担当者への教育等を通じた拡販を継続的に進めるともに、取引先に対するCSRアンケートの結果を活用しながら必要に応じてサプライヤーの環境・CSRマネジメントの構築をフォローするなどサプライチェーンを通じた環境貢献を実現しているなどが高く評価された。また、同社は5月1日付人事を行い、開発製造本部開発製造業務部ヰセキ・テクニカル・トレーニングセンター長に竹内教子氏が就任した。

9.タカキタが2023年3月期決算を発表

2023年3月期決算(日本基準、非連結)を発表した。それによると、売上高は77億3000万円(前年同期比10.0%増)、営業利益6億900万円(同15.0%増)、経常利益6億7300万円(同13.5%増)、当期純利益4億7600万円(同19.0%増)の大幅増収増益となった。農機事業においては、農家経営における肥料価格高騰等の影響による機械投資意欲の低下から、肥料散布機等の土づくり関連作業機の売上が減少したものの、国の畜産クラスター事業の採択が進み、高品質な国産飼料増産と食料自給率の向上に貢献する細断型シリーズや牧草梱包作業機の可変径ロールベーラを中心としたエサづくり関連作業機の売上が伸張したことに加え、除雪作業機スノーブロワの早期受注活動が売上に寄与し、国内売上高は増収となった。また、海外売上高は、オンライン展示会の活用効果による新規市場(北米、中南米等)への売上や、合弁会社からのロイヤリティ収入により増収となった。
 役員人事では新任取締役に藤原康弘執行役員製造開発本部開発部長が内定、沖篤義専務(管理本部担当)、松村篤樹取締役(常勤監査等委員)は退任し、沖氏は新任監査等委員である取締役に内定した。

10.オーレックのスイカ生産用花粉が日田天領西瓜で授粉開始

同社が製造販売を手がける、種ごと食べられるスイカ生産用花粉「TANEFREE」が、大分県日田市の「日田天領西瓜」で授粉が開始されたと発表した。同花粉を使用しての生産は今年で2回目だという。同社の広報は、「希少性が高くブランドスイカとして知られている日田天領西瓜に、種ごと食べられ、甘みが増すなどの付加価値が追加できる点と、雄花の花粉や蜂の働きが十分ではない時期に人工授粉であれば確実に着果できる点が評価」されたと導入の経緯を説明した。また、日田天領西瓜部会・秋山大輔部会長は「タネフリーを使用すると白く薄い種になるので、種周りの変化が少なくなる。そのため、スイカの皮目近くまで完熟に育てることができ、より甘みの増した状態で収穫、出荷することができる」とコメント。加えて蜂が働かない4月に受粉できる利便性も評価した。
 授粉したスイカの生産予定数は約200玉で、6月中旬ごろ収穫し、タネフリーラベルを付け、直販や福岡、大分県内の小売店などで販売予定。

11.JA全中が全国大会開く

全国農業者農政運動組織連盟とともに都内のベルサール半蔵門で、令和5年度食料・農業・地域政策推進全国大会を開き、食料・農業・農村基本法の見直しおよび令和5年度食料・農業・地域政策の推進に向けたJAグループの政策提案を確認した。
 大会では冒頭、中家会長が政策提案を行った。提案の内容は、食料・農業・農村基本法の見直しについては、「食料安全保障の強化」に向けて、「平時」を含む「食料安全保障の強化」を基本法の目的として明確に位置づける。国産への切替え・安定供給に向けた措置を講じることを基本法に明記すること。主食である米は、現行備蓄水準を堅持するとともに、他の穀物の食料備蓄を強化すること。「再生産に配慮した適正な価格形成の実現と国民理解の醸成・行動変容」については、食料が再生産に配慮した適正な価格で供給されるよう、事業者の責務を基本法に明記し、再生産に配慮した適正な価格形成の仕組みを早急に具体化すること。「農業の持続的な発展に関する施策」については、農地の受け皿となる経営体を育成するとともに、地域計画に位置付けられた「中小・家族経営」などの多様な経営体を基本法に位置づけ、その育成・確保に向けた施策を講じること。資材高騰など生産コストの変動に対しても経営の影響緩和を図る対策を講じる旨、基本法に明記すること。日本型直接支払いを基本法に位置付けること-などとしている。

12.クボタ、JA全農、BASFが営農支援システム連携の実証試験

クボタ、JA全農、BASFデジタルファーミング社(ドイツ)およびBASFジャパンは、JA全農とBASFが国内において開発・推進する栽培管理支援システム「xarvio FIELD MANAGER」(ザルビオ フィールドマネージャー)と、クボタが開発・推進する営農・サービス支援システム「KSAS(クボタスマートアグリシステム)」のシステム連携の実証試験を開始したと発表した。
 この実証試験では、人工衛星センシング画像からザルビオ フィールドマネージャーが作成した可変施肥マップのデータを、KSAS経由で取り込んだクボタ製田植機で施肥作業を行い、システム機能や操作性を確認する。この連携により、ザルビオ フィールドマネージャーの可変施肥マップを用いたKSAS対応田植機での可変施肥作業をシームレスに行うことが可能になる。また、KSASにおいて可変施肥マップ作成時に参考とする作物生育状況や前年の収穫結果等のデータが揃わない圃場でも、ザルビオ フィールドマネージャーの人工衛星センシング画像から作成した可変施肥マップを使用することで、手軽に可変施肥を始めることができ、作業内容を自動でKSAS上の日誌に記録することも可能になる。2023年度は連携機能の開発や実証試験を行い、正式リリースは2024年春を予定している。

13.クボタと国立環境研究所が
  廃棄物の資源循環システム構築で共同研究

廃棄物の資源循環システムの構築に向けた共同研究を開始した。各種廃棄物処理の現状調査や廃棄物に含まれる資源の調査、実証プラントでの廃棄物からの有価金属やリンなどの回収テストなど、「地域循環共生圏」を担う廃棄物の有効利用・資源循環の仕組みづくりに向けた共同研究を進める。共同研究の名称は「自立溶融分離技術を中核とした複層的な資源循環システムの構築」、期間は2023年4月~2026年3月。
 研究概要は、

  1. 各種廃棄物処理の現状調査
  2. 廃棄物に含まれる資源の調査
  3. 実証プラントでの廃棄物からの有価金属やリンなどの回収テスト
  4. 地域循環共生圏構築を担う資源循環の仕組みの検討

-など。

今後、両者は埋立廃棄物ゼロ、廃棄物からの有価金属(処理物が下水汚泥の場合はリンを含む)のより効率的な回収と利用をめざして、共同研究を進め、日本の廃棄物処理システムを抜本的に見直し、地域循環共生圏構築を担う資源循環の仕組みづくりに向けた調査、実証を進めていく。

14.井関農機が2023年12月期第1四半期連結業績を発表

オンラインで会見し2023年12月期第1四半期(2023年1月1日~3月31日)の連結業績(連結対象子会社は国内16社、海外4社)を発表した。売上高は458億8500万円(前年同期比18.3%増)、営業利益は16億9000万円(前年同期は2億3000万円の営業損失)、経常利益は13億200万円(同7200万円)、親会社株主に帰属する4半期純利益は7億1300万円(同138.9%増)の大幅増収増益だった。2016年に決算月を12月期に変更してから第1四半期としては過去最高売上げ。2023年12月期の連結業績予想は2月14日に公表した予想を据え置いた。
 冨安社長はポイントとして「第1四半期は前年比増収増益、営業利益黒字でのスタート」とし、国内は資材価格高騰などによる農機需要への懸念はあるものの、ウィズコロナ展示会の開催など営業活動の推進により4月からの価格改定への駆け込み需要を捉え、農機製品および作業機が増加となった。また、収支構造改革の柱である補修部品及び修理整備等のメンテナンス収入も伸長した。海外売上高は、北米はコンパクトトラクター市場の調整局面が継続し7億円の減収。アジアでは前年同期にあった韓国での排出ガス規制に伴う出荷前寄せの剥落により13億円の減収となった。

15.三菱マヒンドラ農機が6月30日付新執行体制を決定

取締役会で、次期グループ役員(執行役員含む)を内定した。6月30日開催予定の同社定時株主総会並びにグループ各社の定時株主総会で正式に選任。6月30日付グループ役員体制は、三菱マヒンドラ農機はCEO取締役社長に齋藤徹氏、CFO取締役副社長にマニッシュ クマール グプタ氏、CTO取締役に行木稔氏、取締役(非常勤)に末松正之氏、小椋和朗氏、飯沼和宏氏、ラジェシュ ジェジュリカール氏、ヘマント シッカ氏、バラット ゴエンカ氏。リョーノーファクトリーは代表取締役社長に佐藤潔氏、取締役副社長に金塚巧氏、取締役(非常勤)に行岡正恭氏。三菱農機販売は代表取締役社長に吉田康二氏、取締役に山本晴一氏、同(非常勤)に小野祐司氏など。

16.本田技研工業が2022年度決算を発表

2022年度決算および2023年度通期業績見通しを発表した。2022年度の売上収益は二輪事業における増加や為替換算による増加影響などにより、16兆9077億円(前年同期比16.2%増収)であった。営業利益は四輪車生産・販売台数の減少、製造コスト上昇などがあったものの、二輪車販売台数の増加、為替の影響などにより8393億円となった(同3.7%減益)。税引前利益は9382億円(同12.3%減益)、親会社の所有者に帰属する当期利益は6953億円(同1.7%減益)。パワープロダクツ事業及びその他の事業の売上収益は4764億3200万円(同13.0%増)で、営業利益は228億3200万円(同322億円増)となった。同事業の販売台数については、564万5000台(同9.0%減)となった。
 2023年度の同社の見通しは、これまで構築してきた事業体質をさらに改善させるとともに、半導体の安定調達など、サプライチェーンの強化にも取り組み、工場の稼働率を改善させ、営業利益は過去最高の1兆円を計画している。

17.本田技研工業がバッテリーでGSユアサと合弁

両社は高容量・高出力なリチウムイオンバッテリーに関する協業に向けた基本合意を締結し、EV搭載用を中心とした高容量・高出力なリチウムイオンバッテリーに関する協業に向けて具体的な協議を進め、このたび新会社設立に関する合弁契約を締結した。両社の合弁による新会社「株式会社Honda・GS Yuasa EV Battery R&D」は、急速に拡大するバッテリー需要に対応するため、グローバルレベルで高い競争力を持つリチウムイオンバッテリーとその製造方法を研究開発するとともに、主要原材料のサプライチェーンや効率的な生産システムを構築することを目指す。新会社は、2023年中の設立および事業開始を予定している。
 新会社の社長に就任予定の山本康一氏は「HondaとGSユアサの共通目標であるカーボンニュートラルの実現に向け、新たな節目となる合弁契約の締結に至ったことを大変嬉しく思います。新会社では、両社が持つ互いの強みを最大限に活かし、急速に拡大するバッテリー市場に於いて、高いプレゼンスを発揮していきます」とコメントしている。

18.やまびこが2023年12月第1四半期決算

2023年12月第1四半期決算(日本基準、連結)を発表した。それによると、第1四半期連結業績(2023年1月1日~3月31日)の売上高は、388億6100万円、前年同期に比べ9.9%増加、営業利益60億2600万円(前年同期比102.9%増)、経常利益59億1300万円(同66.9%増)の増収増益となった。親会社株主に帰属する四半期純利益は38億3100万円(同36.9%増)。うち、海外売上高が前年同期比17.6%増の289億6500万円となり、全売上高の74.5%とほぼ4分の3を占めている。
 市場環境について同社では、グループの主力である海外小型屋外作業機械(OPE)の北米市場及び欧州市場における販売が堅調に推移したこと、また、北米市場においては建設、エンターテイメント需要の増加により発電機の強い需要が続いており、一般産業用機械の販売が引き続き高い伸びを示していることなどを指摘。一方、国内市場においては、肥料・燃料価格の高騰による購買意欲の減退の影響や製品改修に伴う販売中止や新製品の発売遅延の影響などにより販売が減少した、としている。

19.三菱マヒンドラ農機がグループ平均4%の賃上げ

国内の急速なインフレの進行から社員の生活を守り、優秀な人材を確保し、社員のモチベーションを高めるため、今年度春季からグループ平均約4%となる賃金の引上げを決めた。今回の賃金引上げでは特に給与水準の低い若手社員の待遇を改善し、初任給は最大4万5000円の引き上げを行う。また2年連続でベースアップを行い、過去30年で最高水準となる人材への投資拡充を行う、としている。あわせて新卒、既卒を問わず若手採用を強化する。新卒一括採用は通年採用に切り替える。 同社グループでは「事業を推進していくにあたり、今後も働きやすい環境を整え、従業員のワークライフバランスを改善させるとともに、それに見合った成長をすべく事業活動を推進してまいります」としている。
 なお、近年の同社の取組事例では、テレワーク制度の導入や社内教育制度の拡充-階層別教育の強化、英語教育補助等、年次有給休暇を取得しやすい風土に変えるため、消化率70%の目標を設定、未就学児を養育する社員の短時間勤務・時間外労働免除制度を整備、介護休業可能日数を最大で186日に拡大-などをあげている。

20.キャニコムが超草刈りの実演会で性能披露

「キャニコム超草刈実演会」と題した草刈機の安全講習会を兵庫県加古川市の河川敷で実施した。同社の製品紹介と実演を行い、農機販売会店や造園会社のスタッフなど多数が参加した。実演会は西村峰利取締役副社長の挨拶で幕を開け「最初の草刈機を開発してから約30年。その間に、気象などの作業条件は大幅に変わり、安全面での苦労が絶えない。弊社は、それらを軽減するため『安全、安心、楽しく、はやく』をモットーに製品開発に取り組んでいる。今年4月に発売したラジコン草刈機『アラフォー傾子』を参加の皆様に操作していただき、ぜひ感想や要望などを伺いたい」と積極的な参加を呼び掛けた。
 その後は、アラフォー傾子をはじめ、「荒野の用心棒ジョージ」、「ブッシュカッター・ジョージJr.草なぎ」など、同社スタッフによる製品説明があり、それらを雑草が伸びた河川敷の法面などで使用し、草刈り実演を行った。イベントの最後は試乗会となり、参加者が思い思いの製品を実際に操作し、その使用感を試した。今後の実演会は、関東や東北など、各地域を巡回し開催する予定。

21.日本農業機械工業会が第62回従業員功労者で20社28名を表彰

第62回従業員功労表彰受賞20社28名を発表した。6月1日、都内の八芳園で開かれた総会後に、表彰式が行われた。
 受賞者の一部をみると、製造部門は丸山奈緒(有光工業質保証部品質保証課)、原田太祐(三陽機器精造部グループリーダ)、東野幸造(太陽製造部鍛圧課課長)、平松利浩(太陽製造部調質課課長)、一條閑睦(タカキタ製造開発本部製造部札幌工場生産課課長)、三上喜弘(タカキタ製造開発本部製造部札幌工場生産管理課課長)、北村正彦(松山製造部副部長兼設備課長兼技術課長)、今野等(山本製作所製造部組立グループ)-の各氏となっている。

22.ビコンジャパン創業者の石川亨氏が逝去

創業者で現相談役、元代表取締役会長・社長の石川亨氏(いしかわ・とおる)は5月18日午後3時40分に死去した。享年81歳。通夜は5月26日午後6時より、告別式は27日午前11時より、それぞれ埼玉県さいたま市大宮区三橋1の1504の1のやすらぎホール大宮で、石川家とビコンジャパンの合同葬にて執り行われた。喪主は妻の洋子(ようこ)さん、葬儀委員長は同社代表取締役社長の古田森氏。