高知・愛媛の機械展から

四国農業を機械化で応援─愛媛、高知で農業機械展示会

新製品など多数


愛媛県会場   高知県会場

四国農業を機械化で応援する県単位の農業機械展示会が10月、愛媛、高知両県で相次いで開催された。

愛媛では「平成21年度愛媛農林水産参観デー協賛農機展」(愛媛県主催、県農機具協会協賛)が10月1、2の両日、松山市上難波の県農林水産研究所と同市伊台町の同研究所果樹研究センターで開かれ、農林水産研究所には約5500人、同果樹研究センターには6370人が来場。

高知では「第18回高知県農業振興フェア・農機具まつり」(高知県、県農業機械協会主催)が10月9、10の両日、南国市廿枝の県農業技術センターで開かれ、約3600人の来場者で賑わった。両展示会では多彩な農機具や関連資材を一堂に集めて展示や実演などが行われ、会場に詰めかけた大勢の農家や県民が最新の製品情報や技術を満喫。また特産野菜に関連した地域色あふれる機械も多数展示されていた。



さといも収穫機(右)と青枯病を熱で防ぐ赤シソ収穫機

1工程さといも収穫機―愛媛展

愛媛農林水産参観デーでは、研究所本館の玄関前に、さといもの掘り取りから芋の分離、コンテナへの収納まで1工程で行える「1工程さといも収穫機」と、県特産作物である「赤シソ」の青枯病を熱で防止する装置の試作機がパネルとともに展示され、来場者の関心を集めていた。

さといも収穫機は、収穫・調製作業の省力化・軽作業化を図るため同研究所が井関農機、文明農機の協力を得て開発したもの。

さといもは主に県内の宇摩地方で栽培されている、県の重要野菜のひとつだが、収穫作業に多大な労力を要する。掘り取った芋株の重さは20kg程度にもなるなど大変重く、さらに器具などにぶつけて親芋から子芋、孫芋を分離するため生産者に大きな負担となっている。

研究所ではこれまで、トラクタ直装式のさといも分離機を試作してきたが、芋株の移動を人力で行わなければならないなど改善を望む声が強く、農機具メーカー2社の協力を得て1工程収穫機を開発した。

展示された試作機は全長約3.5m、重さ約985kgで、作業効率は手作業の3〜5倍。2人作業で10aを約7時間で収穫できるという。芋を効率的に拾いあげるためにコンベアの傾斜を緩くしたり、走行に問題がないことから走行用エンジンを6馬力から4馬力に変更したりするなどの改良点がパネルで紹介されていた。

また赤シソの青枯病を熱で防ぐ収穫機の試作機は、刈刃を熱で加熱することで2次伝染を防ぐ仕組み。赤シソの青枯病は、収穫機の刈刃に病原菌が付着し、それが健全な株にも次々と2次伝染することで甚大な被害を及ぼしている。そこで同研究所では、刈刃を熱で高温に加熱することで2次伝染を防止できる収穫機の開発を進めているという。

また協賛農機展会場では最新型のトラクタや管理機のほか、香川県農業試験場の開発商品である「野菜用半自動移植機」(3条植え用・4条植え用)やマルチ敷設機などの実演が行われ注目を集めていた。果樹研究センター会場では、園芸用はさみ、刃物など多種多様な小物類とともに、最新型モノレールをはじめ自動選果機や糖度計、コンテナーリフターやチッパー、各種防除機など果樹関連製品が多く出品され、多くの果樹農家でにぎわった。

高知展会場で注目を集めたショウガ収穫機

ショウガ収穫機も注目―高知展

一方、高知県農業振興フェア会場では、最新鋭のトラクタやコンバイン、乗用田植機などプロ用大型農機から家庭菜園用小型機まで大小さまざまな機械を幅広く展示。特に園芸県ならではの多彩な野菜作関連機械が数多く出品されていた。

会場には耕うん、畝立て、溝掘りなど野菜作を応援する各種管理機やトラクタ用整形器をはじめさまざまな園芸用施設・資材が多数並べられ、「野菜類袋詰め機」や「蒸気除草機」など特徴ある機械が目立った。ハウス関連製品では施設園芸用ヒートポンプや木質ペレット加温機など各種設備やハウス用部材、点滴チューブ関連製品などが豊富に展示されていた。

また県特産のショウガに関する機械が目を引いた。ショウガを確実に引き抜き、茎葉を切断するショウガ収穫機が複数の小間から出展されていたが、いずれも高い関心を呼んでいた。