宮ちゃんの会員さん訪問記
 有光工業株式会社
大阪市東成区に防除機で知られる有光工業株式会社を訪ねました。大阪市営地下鉄中央線の深江橋で降りるとすぐ近くに本社ビルがありました。
有光工業株式会社は、大阪湾沿いの大阪市西区阿波座で大正12年に創業された有光製作所が始まりで、創業時には循環式精米機、揚水ポンプ、消防ポンプの製造販売をしていました。現在の社長さんである有光幸紀氏は創業者の有光幸茂翁から数えて三代目に当たります。


有光幸紀社長さんと
昭和3年にはわが国で初めての3連式高圧プランジャーポンプを完成させて、果樹園芸の防除や自動車、戦車等の洗車に利用されました。その後は高熱蒸気消毒器や共同防除用大型動力噴霧器などを手がけ、戦争中は軍需にも対応したし、戦災で工場も焼失したりしましたが、戦後は循環精米機、手廻散粉機、動力噴霧機で生産を再開しました。昭和20年に有光農機鰍設立し、27年には軽量小型石油発動機の生産を始め、28年にはワンマンスプレー、ジェットスプレーを発売しています。36年には洗浄機の製造を開始しました。
ハウススプレー
現在では、農業部門として、主力とする高圧ポンプを利用したセット動噴・自走ラジコン・高圧洗浄機をはじめ、粉剤、肥料を散布する動力散布機、そして施設関係の無人散布と、特長ある製品を製造・販売しており、食品、自動車、造船、製鉄、製紙等の他部門にも進出しています。



自走式ラジコン動憤 走行式ロボット防除機(静電ノズル仕様)
客先のニーズをつかむことが重要とお話しして下さった社長さんですが、現在、手掛けているのは一般産業分野の大型洗浄機が中心で、農業分野は3分の1程度とのことで、洗浄分野のパイオニアで唯一の洗浄機の総合メーカーとして重工業分野における鉄材の洗浄などで活躍されています。環境問題にどう挑戦するかがポイントであり、これからは当然、環境にも優しく、作業者にとっても、安全、安心をともに享受できるような状況を、何とか蓄積した技術で社会に提供して貢献したいと言うことでした。

農業分野では防除機を中心とした展開ですが、昨年の平成17年にはこれまでの常温煙霧機に加え、特にハウス内作業用に、新たに"静電付加・誘導帯電方式"として開発した動噴用静電ノズルを使った散布機を装備した走行式無人防除機を発売し、順調に販売が行われているようです。農薬を少なく、より効果的に散布する研究が重要で、静電散布技術がどういう方向に進んでいくのか興味深く見守りたいとのことでした。
本社近くにある同社の大阪センターの技術部に行ってみると、クロルピクリンに代わる新しい臭化メチル代替剤の散布(土壌注入)機の開発が行われていました。環境問題から使用できなくなったクロルピクリンに代わるキルパー(有効成分はカーバムナトリウム塩)を適正に土壌注入する方法を全農はもとより、トラクターメーカーとも一緒になって開発を進めているようです。
土壌消毒剤注入機 注入機の細部(液剤の動きの確認部分)

また、室内には"泡"を使って効率的に洗浄を行う装置があり、農業分野では通いコンテナの普及につながる技術の開発が行われていました。通いコンテナを使うことにより資源の有効活用が計られるとともに、コストの低減にもつながつながるだろうと期待をしているとのことです。
泡を使った洗浄装置
ポンプ技術を核とした各種の技術開発が進められている有光工業ですが、社長さんとのお話しでは、「都会に住む皆さんは公園緑化を望みつつ、環境問題から薬剤散布を避ける傾向があり、かつ、毛虫などの害虫の発生には苦情が殺到するという状況の中で、どのように環境問題に取り組んでいくのか、そこで泡を使った新しい技術が開発できないかな」、という発想からの展望を拝聴したことが強く印象に残りました。

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