宮ちゃんの会員さん訪問記
-株式会社サタケ-
広島県東広島市にある精米機で知られる株式会社サタケを訪問しました。私は大学で農産機械学を専攻し、恩師が農業機械学会元会長の山下律也先生だったこともあって、サタケの製品は教材としてテンパリング乾燥機やワンパス精米機には親しんでいましたが、農水省在籍当時も伺ったことが無く、今回が初めての会社訪問となりました。
本社クリスタル・ビルで
山陽新幹線で広島駅まで行き、在来線で30分あまり岡山方面に上った西条駅近くに「サタケ」の本社がありました。
玄関のオブジェ
十年前に建てられてとは思えない本社ビル「クリスタル・ビル」に案内されると、エントランスホールの正面には白米と精米機をモチーフにしたと思われる大きなガラスのモニュメントが目につきます。左側に目をやるとそこには椰子・ソテツの木が生い茂る温室がありました。
その温室は、2代目社長の佐竹利彦氏の研究と故人を偲ぶもので、氏は椰子の研究家として世界的権威者であり、小学館の百科事典には氏の詳細な椰子の説明と直筆スケッチが掲載されており、リュウキュウヤエヤマヤシの学名「サタケンチャ・リュウキュウエンシス」にも名を残されています。また、石垣島には佐竹利彦椰子記念館が設立されています。今年甲子園をわかせた八重山商工高校の甲子園出場記念の品が本社ビル1階の椰子資料室にも展示してありました。
そして温室の隣にはVIP応接室があります。そこで、佐竹利子代表、福森武副社長、増川和義調製機事業部長にお目にかかりました。

左から佐竹代表、福森副社長、増川事業部長
サタケの歴史と技術
サタケは1896年(明治29年)に創業者佐竹利市翁が日本で最初に動力精米機を考案し、製造したことに始まっています。以来、1世紀以上にわたりポストハーベスト(収穫以降)の穀類(米、麦、とうもろこし)加工技術の分野における世界のトップ企業として活躍されています。技術を重視する社風があるようで、独自の技術で製品を完成させるという基本理念は長年関係者に知れ渡っています。
懐かしいワンパス精米機
これまでにサタケが切り開いた技術をあげると、創業時の動力精米機に始まり、農家用のワンパス精米機、大型施設用のコンパス精米機、循環式のテンパリング乾燥機、農家用米選機のライスグレーダー、揺動選別方式の籾摺機、食味を数値化した食味計、すぐに炊飯できる無洗米用の精米機など枚挙にいとまがありません。今日では海外7カ国に販売拠点や工場を建設し、精米機や光選別機などを世界約140カ国に供給しています。先月の本会メルマガ(平成18年7月号)に掲載した「タイでみたこと感じたこと」にもSATAKEThailandの工場の写真を取り上げました。
こうした職場環境の中で、経営者にあっても研究者として農学博士や工学博士の学位を持った人が数多くおられ、2代目社長(佐竹利彦氏)は近代精米技術に関する研究で、3代目社長(佐竹覚氏)は高性能分光選別機の研究で、4代目代表(佐竹利子氏)は高機能性米の研究でそれぞれ博士号(Ph.D.)を取得されています。社業に直結した技術分野での研究の成果がここにも現れています。
小麦製粉の分野への進出
最近では小麦製粉の分野にも進出し、英国を中心に、世界中の製粉業界にも進出しています。精米の技術を製粉の世界に導入し、小麦の外皮を取り除いてから製粉するという手法で、ヨーロッパの高級パンメーカーからも高い評価を得ているようです。

世界の穀物をターゲットに
食事バランスのボード
佐竹代表は創業者である利市翁のお孫さんであり、2代目経営者利彦氏の娘として、3代目経営者覚氏の妻として、常にサタケの発展と共に歩んで来られた方ですが、お話を伺う中で、トータルで日本人の健康、食生活を考え直そうと力説されたのが印象に残りました。日本人の健康な身体を維持する機能性食品としての米をもっと大切にし、もっと食べてもらうために、美味しい米(ご飯)を消費者に提供できるような提案を、そして、それにつながるような技術改革を行っていきたいとのことでした。"お米の学校"などを通じて食育にも取り組んでおられ、マジックライス(お湯を注ぐだけで食べられるふっくらご飯)も米のおいしさを、より認識してもらおうと取り組み、10年の年月を経て、評価が高まってきています。

食味向上への提案
米の色彩選別機 揺動選別方式の籾摺り機
また、日本酒の原料である酒米から心白をとりだすための研米機(研削式精米機等)の開発などがあります。研米機の開発がなければ左党が喜ぶ研米歩留り30%の純米大吟醸のお酒も飲めなかったかもしれません。
これからも、身近なところで"サタケ製が関わる美味しいお米"に期待したいと思います。

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