宮ちゃんの会員さん訪問記・番外編
サイアムクボタ/ヤンマー農機タイ

今回は番外編です。タイのバンコクにあるサイアムクボタの本社とヤンマー農機タイの本社を3月初めに訪問しました。
私は昨年5月までタイ王国農業協同組合省の政策アドバイザーとして3年間バンコクに居ましたので、里帰りの気分でした。でもどちらの会社も訪問したのは初めてです。

タイの首都バンコクの中心部から北に50kmのところにサイアムクボタの本社があります。また、東に30kmのところにはヤンマー農機タイの本社があります。名前が示すとおり日本のクボタとヤンマー農機がそれぞれ出資する現地法人です。社長はいずれもタイ人ですが副社長は日本人です。駐在する日本人の数は多くはありませんが中枢を担っています。
サイアムクボタ本社にて サイアムクボタ社のデモンストレーション

3月7日火曜日にサイアムクボタ社を訪ねました。取締役の川勝さんが出迎えてくれました。サイアムクボタ社の歴史は古く、1978年7月に会社を設立し、耕耘機に搭載する横型水冷エンジンを中心に生産を行っています。最近は乗用トラクターの売れ行きが順調で、昭和40年代の日本のような形相を呈してきているようです。タイの経済発展に伴って農村部から出稼ぎに来ていた人たちが都市部に定職を持って定着を始めたことからも、農村部の人手不足が深刻化してきています。耕耘機のエンジン(横型水冷エンジン)はほとんどタイで国内生産ができるようになってきています。
翌日の8日にはヤンマー農機タイ社を訪ねました。社長のタニックさんが迎えてくれました。こちらは新しく建設中の新国際空港の近くに会社がありました。横型水冷エンジンの工場は近くの工業団地内に別の会社(ヤンマーSP社、こちらの前身のヤンマータイ社も1978年7月の設立)があって、やはり国内生産部品を使って1981年から横型水冷エンジンを製造しています。ヤンマー農機タイ社は一昨年にヤンマー農機が出資して現地企業と合弁で会社を興し、乗用トラクターの日本からの輸入販売を始めています。タイの物価から考えると非常に高価な乗用トラクターですが、順調に販売台数を伸ばしています。
ヤンマー農機タイ本社でタニック社長と ヤンマー農機タイ社の試乗会
世界市場で小型乗用トラクターの生産の中心となっている日本企業が、タイにおいても農業の機械化の推進役となって技術を競っています。中型の乗用トラクターではヨーロッパ製のものがあったり、耕耘機では若干の中国製があったりしますが、大部分は日本製の乗用トラクターや日本企業の技術による耕耘機です。元々は日本の中古乗用トラクターの輸入が多かったのですが、一昨年あたりから新品の乗用トラクターの需要が急速に膨らんできており、日本企業に熱い期待が寄せられています。
作業機ではタイの企業が頑張っており、まだ日本の作業機メーカーの本格的な進出には至っていないようです。精米部門ではサタケがバンコクの北に大型精米機の現地生産工場を持っており、タイ国内はもとより、同社の世界市場を見据えた生産拠点となっています。
自動車産業ではタイが東南アジアでの生産拠点になって大きな飛躍を続けていることからも、今後は、タイの工場で作られた日本企業の農業機械が東南アジアを中心とした地域に輸出され、各国の農業の機械化の推進と地域経済の発展に貢献するとともに、これが日本の国際的な貢献にもつながるものと期待されています。
今回の会社訪問ではタイでの乗用トラクターの販売状況についてお話を伺うことと、今年11月から来年1月末までタイ北部の古都、チェンマイで開催される花博覧会(ロイヤルフローラ・ラチャプルック2006)に出展をお願いする目的がありました。
屋内展示
屋内展示外観 花博会場の場所
ロイヤルフローラはタイ王国のプミポン国王の生誕80周年、即位60周年をお祝いする催しで、「国王閣下に捧げる国際園芸博覧会」として「人類愛の表現」をテーマにしています。タイでは6月のお祝いの行事を中心にして数々の行事が計画されています。各国からの国賓の訪問も活発で、日本からは天皇陛下がお祝いに訪問されるようです。
会場のマスタープラン 会場プランの遠景
博覧会は国際園芸家協会及び国際博覧会事務局の認定を受けており、世界中から30カ国の参加、200万人の入場が予想されています。開催時期は11月1日から1月31日までに92日間で、全体の会場の敷地面積は80haあります。タイは世界でも有数の蘭の生産国であり、苗生産で日本の生産者との連携もあることから、我が国の関係者の注目を浴びているところです。
日本政府は博覧会の中心となる約2,000uの屋内展示施設に250uの日本ブースを出展します。その展示コーナーに農業機械メーカーの現地法人の出展を要請されています。日本からの出展は財団法人日本花普及センターが準備を進めております。一昨年に日タイ経済連携協定(JTEPA)が話し合われる中で日本政府の出展が決められた今回の博覧会は両国の協力の象徴的な意味も持っています。
企業庭園 国王の庭
国際庭園
タイの観光は11月から2月がベストだといわれておりますので、この時期にタイ旅行を検討される方は是非訪問して欲しいイベントです。これを機会に初めての方も足を伸ばして行ってみては・・ 大都会のバンコクとはまた違ったタイの社会が楽しめることでしょう。
(来月号の機械化広報でタイを中心に東南アジアの様子をお伝えしていきたいと考えています。)


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