トラクターのノークラッチ変速操作 |
まず最初にトラクタ。トラクタは、最も使用され、稼働時間が長い機械だが、各社とも新製品の発表の際には「よりスピーディーに、より簡単に」といったキャッチコピーの使用が多く見受けられる。
そのスピーディー、簡単にを実現するために、どんな機能を装備しているのか。最近では、ノークラッチ変速操作(ボタン式、レバー式、オート変速)、旋回の自動化(ハンドル操作だけでオートリフト、オートブレーキ、前輪増速等が自動で機能)、作業機着脱のワンタッチ(クイック3P、クイック4P、クイック5P)、液晶画面による情報確認(液晶パネルの大型化、表示内容の拡大)といった機能が多く盛り込まれてきている。これ以外にも作業機の姿勢制御やエンジン回転数を一定に保つなどの研究も進められているが、本日はこの中で、ノークラッチ変速操作と作業機着脱のワンタッチ化について説明する。
まず、ノークラッチ変速について。トラクタを「より簡単にオペレーティングする」というのはおそらく今後も永遠の課題だろうと思われる。ノークラッチで作業するという機能について、いろいろな方式があるなかで、当社は「ATシフト」というものを提案している。
トラクタは走行系に加え、作業機系など数多くのレバーがあるのが自動車等との違いであるが、そのなかでメーカーは、1本でもレバーを少なくする努力をしている。当社の「ATシフト」は、1本のレバーで作業速と走行速を選べるもの。この機能の目的は、路上走行時は、アクセルを踏むだけで自動で増減速するという車感覚のアクセル変速操作。もうひとつは、副変速を操作するだけで前の主変速位置を再現する「メモリー変速機能」。各レンジで8速の作業速を得られるが、自分の希望するロータリ速なり旋回速度などにたどりつくまでにボタン操作が数多ければ、操作がかえってわずらわしくなってしまう。それを勘案して、前の作業で1番長く作業していたレンジを機械が覚えていているというもの。圃場間で移動したあと、走行速から作業速に切り替えると、前にやっていた作業、たとえばロータリ作業だったら1km前後の作業速をトラクタが自動的に選んでくれるので、スムーズに作業に入れるというもので、使いやすさを追及した機能である。 |
作業機着脱のワンタッチ化 |
作業機着脱のワンタッチ化について。これは、3P(3点リンク)から4P(PTOジョイント)へ、さらにロータリだと、耕深制御のためのワイヤーハーネスが組み込まれ5Pへと進化してきたが、今やこれらが完全にワンタッチ化され、作業機の格納や移動に便利なように、作業機にキャスターが付く仕組みに発展してきている。
コンバインに対する最近のニーズは、より効率よく、誰もが簡単に、一定の精度で作業できるということ。具体的には、HSTによる走行の無段変速、滑らかな旋回と急旋回、籾ハンドリングの効率化、安心して行える遠隔操作、液晶パネルによる情報確認、自動化装置など。本日は、籾ハンドリングと遠隔操作について説明したい。
コンバインにとって、稲を刈るのに加えて籾を排出するのも重要な作業。この作業の効率化が求められているが、とくに、トラックへの籾排出の効率化を目指したズームオーガが普及している。最近では、ただコンテナに排出するのではなく、コンテナに均一に排出したいというニーズから、先端部が左右に50度ずつ動くスイングオーガというものが開発され、ズームで位置決め、スイングで山をならしながら排出するという「ズーム&スイング」機能が搭載されている。さらに籾の排出作業は、コンバインの運転席側と後部にあたるコンテナ側と意思疎通を図りながら行うというわずらわしさなどがあり、これをリモコン操作で行える機能を搭載した。リモコンにより、トラック側から安心してオーガの操作ができるようになった。 |
田植機 |
田植機については、代かき後の水田という最も過酷な条件のなかで、作業の如何が収穫にまでつながるため、非常に重要で精度を要求される機種といえる。そこで、誰でもがその操作をこなせるようにということで、ノーブレーキ旋回(ハンドルを切るだけの自動旋回)、使いやすい前後進ノークラッチHST機能(前後進ギア変速の必要なし)、簡単にできる田植え同時側条施肥機能(簡単な施肥量の調節、残量排出。工具なしの簡単メンテナンス)などがかなり普及してきている。さらに自動直進など、いろいろな場面で田植機は進化してきている。
田植え作業において、圃場内で旋回後に条合わせを行うことが重要なファクターであるが、これを行う際、片ブレーキ操作をして小回りを助けていたが、これがポンピングブレーキ操作などかなり熟練技術が要求された。しかし最近では、ハンドルを切るだけで旋回できる機能が搭載され、これによってオペレータは、旋回する際に条合わせに集中して作業できるようになる。HSTは、とくに旋回時に煩わしかった主変速の入れ替えがいらなくなることで作業効率がアップする。さらにHSTレバーに付いているボタンで、植付部の上げ下げがワンタッチ操作できるようになっている。
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