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コントラクター発展の経緯 |
畜産関係では今、規模拡大と環境の問題に対応を迫られています。規模拡大して頭数を増やすと、飼養管理に手が取られ、飼料を収穫するとか畑を耕すのに個別では難しくなってきます。共同での作業も、かつては集落に仲間が何人かいてグループでできましたが、戸数が減るとこれも難しくなってきました。 畜産では現在も家族経営が中心ですので、飼養頭数が増えると、すべてには手が回らなくなり、飼養管理を充実させるためには、他の作業、飼料の収穫ですとかがきつい。それを請け負う組織としてできてきたのがコントラクターです。 そのスタートは、昭和40年代で、畜産振興ということで開拓地で酪農が行われるようになりました。そこで飼料作を自給しようということになり、機械を導入して作業を請け負うようになりました。その後、機械の共同利用などを行ってきましたが、平成に入った頃、単なる共同利用では難しいということと、飼料生産と家畜の飼養を同時並行で進めるのは難しいという状況になり、オランダやイギリス、ドイツなどでは農業機械銀行と合わせてそうした農作業を専門に請け負う組織ができてきたという情報が入ってきまして、日本でもそれを進めようということになり、平成6年からそういう組織を立ち上げて、それを支援してスタートしたのが始まりです。 平成12年から「水田農業経営確立対策」が行われ、その中で稲発酵粗飼料が大々的に取りあげられました。その作る方、栽培管理は稲作農家が持っている機械が使えます。ところが、収穫作業については、水田ですからそこに通常の牧草用の機械を入れても、湿田の場合もあったりしてなかなかうまくいきません。そういうこともあって、急遽、稲発酵粗飼料収穫の専用機と、合わせてラッピングマシンが開発されました。この転作のための対応が契機になって、一気にコントラクターが増えました。稲発酵粗飼料の生産は14年度現在で5300ha程度で、倍々で伸びてきました。今年は米政策も変わって、補助金も減って、制度が変わったということで若干、伸びが落ちるとみています。▲TOP |
コントラクターの現状 |
現在、コントラクターがどのくらいあるかというと、全国に267組織あります。完全に作業を受託するだけの組織だけではなく、共同利用をしながら一部、他の人の作業を請け負うというのも入っています。このうち、北海道が107、都府県が160で、都府県では九州や東北が多くなっています。 コントラクターの利用農家は1万4900戸、作業受託面積が約15万haです。受託作業の内訳をみると、飼料収穫関係が51.7%と多いのですが、最近は稲わら等の収集、堆肥の運搬、散布作業なども増えてきています。 組織的には、営農集団によるものが多く、数戸で畜産農家が中心となったり、そこに稲作農家が入って連携するところなどいろいろあります。稲作集団の方で飼料稲関係のコントラクターをやっているところもあります。公社では草地の更新を請け負っているケースもありますし、市町村とJAと農業者で第3セクターのような形態で、地域に耕作放棄地が増えているというようなこともあり、それを何とかしなくではということで、有限会社を設立して対応するというのも出てきています。 一方、経営的には厳しいのが実態です。北海道など基盤整備の進んでいるところ、あるいは作業量が年間通じて一定量まとまっているところは割合よいのですが、特に都府県で畜産農家が点在する、あるいは実際作業する圃場が点在する、作る作物もバラバラで、機械を移動する時間が長いと、対策が難しいのが実態です。 こうしたことから最近の例では、北海道などで畜産農家が複数戸集まって、集落全体の土地を、所有権はそのままにして、利用権を全部まとめてしまい、コントラクターがただ作業を請け負うだけでなく、作付けからすべてやってしまうというところもあります。肥料も資材も一括購入して、飼料もTMRとして、できた飼料と濃厚飼料などと混合し、それを農家に配達するというものも一部に出てきています。 コントラクターの経営形態では、株式会社も2社あります。10年ほど前は、北海道には何社かあったのですが、株式会社ですと補助金が出ないので、なかなか採算的に合わないということでこれだけになっています。▲TOP |
コントラクターのメリットと発展方向 |
コントラクターのメリットとしては、畜産農家にとっては、飼養頭数が増えてきて飼養管理で忙しくなる。草も作らなくてはならない。そういう時期にコントラクターの方で夏場の一番厳しい作業をやってもらえる。牧草の収穫が最盛期になると1週間も2週間も作業が続き、どうしても労働過重になってしまい、そのために家畜が事故を起こすということもあります。酪農は365日休みがありませんので、いくらヘルパーを使うといっても、そう簡単には休めないということで、コントラクターに担ってもらえれば、重労働から解放されます。もう一つは、コストが下がるということがあります。コントラクターの方が高性能な機械を持っている場合が多く、作業も高能率で、品質も良いものを作ってもらえます。 コントラクターとして一番多いのは、共同利用でやっていた方が、余力で近隣の機械のないところを請け負うというので、これが営農集団の代表です。 農事組合法人という形態の例では、千葉県の「八万石」というのがあり、これは稲作農家の集団です。転作に組織で対応してコントラクターとしてやっています。 公社としての例では、稲発酵粗飼料を増やそうということで、宮城県農業公社が機械を買って収穫・調製を受託しています。 このほか、県なり市町村、JA、それと農業者がお互い出資して公社を作るという例もあります。北海道の滝上町農業振興公社は、町とJAと農業者で有限会社として組織化し、牧草やトウモロコシの収穫、堆肥散布などいろいろな事業をやっています。 農協では、平成6年にコントラクターの事業を始めるときに農協の利用組合が取り組みましたので、そうした例がいくつかあります。それから、農業機械銀行から取り組んだのが都城農協の例で、平成7年に営農支援センターが農作業の受託に取り組み、13年からは農協の100%出資で有限会社アグリセンター都城に組織変更し、幅広く農作業の受託をしています。 このように、地域の農畜産業を振興していく上で、コントラクターの果たす役割は今後とも増していくと考えています。▲TOP |
コントラクター支援の施策 |
コントラクターにはいろいろな支援事業があります。平成6〜8年度には「飼料生産外部化拡大緊急対策事業」をやっています。これを受けて、9年〜11年は「飼料生産受託組織育成特別対策事業」を行ってきて、12年度からは「飼料増産受託システム確立対策事業」となっています。 この事業には、ソフトの「飼料増産受託システム確立推進」と、コントラクター、いわゆる飼料生産作業を請け負う組織に対して、補助を行う「飼料増産受託システム確立対策」とがあります。 例えば、飼料収穫作業であれば1ha当たり1年目が2万7000円、2年目と3年目が1万7500円。1つの作業に対して3年間補助金が出ます。対象作業はこのほか、堆肥散布作業、耕起等作業、堆肥利用作業、稲わら収穫作業、草地更新作業、液状きゅう肥散布作業、TMR調製供給作業があり、16年度からは、堆肥処理・利用作業が新しく加わりました。これには、堆肥の切り返し作業、堆肥運搬作業、堆肥散布作業の3つがあり、これを別々でも、セットでも受けることができます。これまであった堆肥散布作業、堆肥利用作業と重複していますが、従来のものは継続事業実施者限りの適用となります。また、過去に堆肥散布作業、堆肥利用作業で補助を受けていても、対象となります。 コントラクターの機械導入に関する補助では「総合コントラクター育成対策事業」があります。この事業は1億6600万円の予算で、関係機関のソフト的な経費と、機械、施設の導入整備にも補助するものです。▲TOP |
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