経営構造対策事業としては、277億7100万円、農業経営IT活用対策では7億8500万円が予算要求額である。 経営構造対策では、新規で水田農業経営構造確立緊急対策事業を要求、経営構造対策推進事業、経営構造対策事業、アグリ・チャレンジャー支援事業、販路開拓緊急対策事業では拡充の要求をしている。 経営構造対策推進事業は、経営構造対策事業の円滑な実施を図るため、全国、都道府県、市町村のそれぞれの段階で、数値目標の設定、事業の評価などへ支援を行う事業で、16年度の拡充の内容は、都道府県推進事業について、事業コスト抑制事例の調査・紹介や、経営構造コンダクターによる数値目標の達成阻害要因の分析などの指導強化活動を新たに創設する。 経営構造対策事業では、消費者の望む地域農産物の高付加価値化や「地域水田農業ビジョン」を策定し水田農業の構造改革に取り組む地域に対して優先配慮するとともに、農業経営基盤強化促進法の改正の趣旨を踏まえ、特定農業団体の育成や農業生産法人の経営の多角化等を支援するための拡充を行う。 このうち、中山間地域や担い手育成緊急地域など条件不利地域で、特定農業法人および特定農業団体の育成が急務であることから、土地を集積しやすくするための条件整備として、特定農業法人および特定農業団体に対して整理合理化通知の適用を除外し、自脱型コンバインなどの導入を支援する。 また、特定農業団体等が地区内の農業用機械施設を買い上げ、農地の利用集積のために有効利用する取り組みを支援する「経営継承円滑化支援施設」について、買い取りの対象を「離農者等が有する機械・施設」から「法人等の地区内農家が有する機械・施設」とし、法人等に利用集積するに当たり、不要となる機械・施設の買い上げやその修理等の経費に対して、特定農業法人・特定農業団体等が自らが使用する場合も含めてこれを補助する。 さらに、農業法人の経営の多角化等を支援するためリース事業を拡充し、リースの事業主体に農業生産法人を加え、分社化、のれん分け、新規就農者の就農開始時のリースなどができるようにする。 新規に実施する「水田農業経営構造確立緊急対策事業」は、担い手への農地集積に関するより高い目標(マニュフェスト)を立て、実行しようとする地域が、目標を実現するために必要な機械・施設を、国のメニューではなく、地域独自の提案に基づいて導入することを支援する。 対象地区の必要条件は、@整備済み水田が50ha以上集団的に存在する地区A農地流動化地域総合推進事業、農地保有合理化担い手育成地域推進事業、農業構造転換地域連携事業などの農地流動化施策の実施地区B目標年度(事業実施から3年後)までに水田の60%以上を担い手(認定農業者、特定農業団体等)に利用集積する地区。採択要件として、目標年度までの担い手への集積面積(ha)と集積率増加分(%)を乗じたポイント(集積目標ポイント)の高い地区から順に採択することとしている。補助事業内容は、地区選択メニューと地区提案事業とがあり、地区独自の提案による担い手への農地の利用集積に必要となる機械・施設整備等を補助対象とする。 農業生産を核に、加工・流通・販売などの分野に取り組む農業法人等の支援を行うアグリ・チャレンジャー支援事業では、特定農業団体の育成や農業生産法人のアグリビジネスへの取り組みによる経営の多角化等への支援を強化するため、リース事業や経営継承円滑化支援施設の創設、条件不利地域における農業機械・施設の導入支援などを拡充し、この事業の充実を図る。この事業でも、中山間地など条件不利地域の特定農業団体、特定農業法人への自脱型コンバイン等の導入を支援する。 地域の農産物の安定的な供給体制の確立に向けた取り組み等を支援する販路開拓緊急対策事業の拡充部分も、中山間地域など条件不利地域における特定農業団体への自脱型コンバイン等の導入の支援、リース事業の拡充、経営継承円滑化支援施設の拡充など。 また、特別会計で、「経営構造改革緊急加速リース支援事業」を新規で要求している。これは、経営構造確立構想策定地区において、家畜排せつ物法令に基づく家畜排せつ物処理施設の緊急的な整備等と合わせて、一層の農業経営の規模拡大等を図る経営体に対して、都道府県公社等が機械・施設をリースする事業を支援するもの。対象機械・施設は、@家畜排せつ物の素ぼり貯留または野積みの改善に資するための機械装置等A農業経営の規模拡大等に必要となる機械・施設等、となっている。 農業経営IT活用対策では、経営支援情報化施設整備事業と農業経営IT活用支援推進事業とがあり、施設整備事業では水田営農構造改革型を新たに設ける。ITを活用して、既存の農地情報システム(GIS)を基盤に衛星画像解析(リモートセンシング)による品質解析や生育予測などの情報を付加し、これを水田営農の指導や収穫期の品質解析による仕分け集荷などに活用するなどの、情報拠点施設の整備を促進する。 |