農業機械関係ニュース

平成11年10月


  1. 農機上半期出荷実績は微増
  2. 21世紀の先端技術に農機も期待
  3. タイショーが肥料散布機9型式発売
  4. 大竹製作所は新しい揚穀機と保冷庫
  5. 生研機構の理事長に堤氏
  6. サタケ・マジックソーターを発表
  7. 本田技研が中型除雪機
  8. 環境機器事業へ井関農機が本格参入
  9. 飼料イネ収穫システムをタカキタ開発
  10. 共立は生ゴミ高速処理装置を発売
  11. 静岡製機が小型の米品質判定機を発表
  12. 野菜安定供給対策研究会が機械化の定着など中間報告

1.農機上半期出荷実績は微増
 日農工がまとめたところによると,ことし1〜6月の農機生産出荷実績は,生産が前年を3.6%下回る2551億6200万円,出荷は1.7%上回る2483億1000万円となった。この結果,出荷実績から輸出を引き,輸入を加えた11年上期の内需を試算すると,10年実績を1.1%,21億円下回る1825億5500万円となる。
 機種別に出荷をみると,乗用型トラクター(4.3%増),動力耕うん機(12.0%増),動力噴霧機(13.0%増),刈払機(7.0%増),自脱型コンバイン(3.8%増)などが前年を上回って推移している。
2.21世紀の先端技術に農機も期待
 農林水産省農林水産技術会議事務局は第五回先端技術産業化懇談会を開催し「二十一世紀に向けた先端技術の産業化の展望と今後の方向―先端技術産業化ビジョン」の了承を得た。
 同ビジョンは,バイオテクノロジーやライフサイエンスなどの先端技術を産業化していくため,産学官の連携を強化して取り組むこととし,補助金などの国の支援の下に技術開発,普及を推進するなどの方策を示したもの。そのための展望として「未来型生物基盤産業」を提案している。
「未来型生物基盤産業」の展望では,@超多収・高品質化農林水産業A生産支援技術産業B機能性食品産業C生物新素材産業D限界環境克服・利用産業E生物エネルギー産業F生物環境産業G生体機能・情報応用産業――があげられ,農機関連としても,生産支援技術産業で,今後の取り組みとして「農業機械のインテリジェント化など,農林水産業経営の支援や環境負荷の低減に資する画期的な機械・システムを,育種,栽培,土壌などの分野や情報処理,メカトロニクスといった工学的分野と連携して開発する」と述べ,ロボット開発などに期待している。
3.タイショーが肥料散布機9型式発売
 トラクター用肥料散布機“グランドソワー”の新タイプ,ASシリーズのフロント散布用,ロータリーの後散布用,ロータリーの前散布用で,いずれの型式もトラクタバッテリーを利用し,モーターを駆動。プラスチック製ロールの回転により,定量で均一な散布が行える。肥料の散布量の調節はダイヤル方式で手元で行え,シャッター機構で播き分けが楽にでき,あぜ際など残ったところの散布も容易に行える。また,防錆対策が施してあるため,いつまでもきれいな状態で散布作業ができる。ホッパー・ロール及びロートの着脱が簡単で清掃もしやすい。
4.大竹製作所は新しい揚穀機と保冷庫
 揚穀機は毎時1500?の揚穀能力をもつ「グレナップ」GS−1がた,白米保冷庫は収納量23kgの「ほれいこ」RC23と15kgのRC15型。
 グレナップは,揚穀能力に優れたバケットタイプのゴム製羽根を採用,米に優しく高能率で,従来の2分の1の低速回転のため穀粒の損傷がなく,玄米のほか白米でも安心して揚穀ができる。このほか,@35Wの小型モーターで省エネタイプAホッパー位置が低いのでいろいろな機械に連結できるB米の出口に切り替え装置が付き,連続作業時の袋替えに便利。出口管も衝撃の少ない直下形状なので米に優しい――などの特徴をもつ。
 一方,保冷庫は従来の31型に追加したもので,精米後の米の鮮度を保つと好評を得ている。
5.生研機構の理事長に堤氏
 9月1日付の人事異動で,生物系特定産業技術研究推進機構の理事長に堤英隆氏が就任した。堤氏は農林水産省の経済局長,大臣官房長,食糧庁長官を歴任した。
6.サタケ・マジックソーターを発表
 佐竹製作所の'99新商品の第8弾として,ニューマルチソーターも併せて発表した。高性能色彩選別機マジックソーターはサタケのハイテク技術である画像処理技術及び従来の5倍の超高感度CCDセンサーと近赤外線センサーの組み合わせにより,選別精度を飛躍的に高めている。業界初の画像処理技術により穀物を1粒1粒識別し,さらに混入異物の中心部分を正確に狙って除去することができる。その結果,選別率は95%以上に,不良品混入率(不良品口の不良品濃度)は90%以上に向上。また,コンプレッサーの消費電力は従来機の3分の2以下とし,省エネも実現している。
 着色粒はもちろんのこと,透明な異物や米と同じような色をした石,ガラス片,プラスチック片等,どんな異物も極めて精度よく選別できる。
7.本田技研が中型除雪機
 11月15日から中型除雪機「スノーファイターHS2411ZJ」を発売することを明らかにした。同機は油圧無段変速機や故障自己診断機構などを装備し,使い勝手を向上するとともに,大型ガソリンタンクを採用し4時間の連続運転を可能としている。また,クリーンな排出ガスや抜群な経済性,信頼性と容易なメンテナンスや始動性を併せもったホンダVツインエンジン「GX670」(24馬力)を搭載し,パワフルな除雪能力を発揮する。
8.環境機器事業へ井関農機が本格参入
 かねてより研究開発を進めていた「業務用生ゴミ処理機」を完成,これを契機に「農業廃棄物の有機肥料化を含めた環境機器事業に本格参入。環境の時代といわれる21世紀において貢献をすべく新たに事業を拡大していく」と発表した。
 今回新発売した業務用生ゴミ処理機「Bioケスラー」は,微生物の働きで生ゴミを水と炭酸ガス等に分解する消滅タイプ(超減容型)で,コンパクトなワンボックスタイプから大容量処理が可能なセパレートタイプまで7型式ある。
9.飼料イネ収穫システムをタカキタ開発
 三重県農業技術センターと開発しているもので,飼料イネのホールクロップサイレージを行うもの。コンバインの刈取部とロールベーラを合体した収穫梱包作業機「ホールクロップ用カッティングロールベーラ」で稲の刈り取り・ロールベールを行ったあと,これに追従して作業する自走ラッピングマシーンでラップしてサイレージ化する。収穫梱包機が排出したロールをダイレクトにアームで受け取ることができ,水田での濡れや土砂混入を防止する。
10.共立は生ゴミ高速処理装置を発売
 同社・環境システム部では株式会社環境工学研究所と生ゴミ分解高速処理装置「YTコムポスト」を製造・販売することで業務提携し,一斉発売に踏み切った。1日当たりの処理能力50kg,100kg,200kgモデルを主体に生産を行い,食品工場,給食センター,ホテル,ゴルフ場などを対象に販売していく。  共立YTコムポストは,有機質を豊富に含んだ生ゴミ類は短時間で堆肥化,窒素含有量の少ない植物系廃棄物は熱分解処理で即施用できる土壌改良剤に仕上げる,2つの機能をもっている。
11.静岡製機が小型の米品質判定機を発表
 本機重量約3.7kgのコンパクト設計で,持ち運びが容易なため,生産現場,流通現場に持ち込んで品質判定することができる。  玄米・精米ともに使用でき,うるち玄米で6分類,精米では5分類に判定する。1粒ごとに光を両面から照射し,内蔵コンピューターがセンサーからのデータをもとに外観品質を判定,測定粒数,整粒割合,茶系粒率,死米率,胴割粒率などを表示する。
12.野菜安定供給対策研究会が機械化の定着など中間報告
 農林水産省の同研究会では「今後の野菜対策の基本方向と検討課題」について中間取りまとめを行い,生産対策では,@大規模産地における機械化一貫体系の定着A物流効率化のための機械化一貫体系B全自動収穫機の普及,園芸施設の標準仕様の作成――など野菜作機械化の推進に重点を置いた。
 また,新技術等の開発・普及,環境衛生問題への対応として,このほか土づくりや輪作体系等による化学肥料等の使用の低減など自然循環機能の維持増進やIPM(総合的病害虫管理)の導入等による安定的な野菜生産,HACCP方式の導入や,野菜くず等食品残渣の堆肥化等の取り組みの推進も盛り込んでいる。