1 農作業を安全に行い、農作業事故を防止することは、農業生産の振興や農業経営の安定を図る上で、更には農業の持続的な発展と農村の振興を図り、将来にわたり食料の安定供給及び多面的機能の発揮を確保していく上で、基本的かつ重要な事項である。このため、これまでも、農機具型式検査や安全鑑定の実施を通じた安全な農業機械の供給、農作業安全に関する普及・啓発、指導者の育成等の対策を進めてきたところである。
しかしながら、近年、農業従事者の高齢化等に伴い、農作業事故により毎年400人前後の人が亡くなられており、農作業安全対策の一層の徹底が求められている。
このような状況を踏まえ、農作業に従事する者に起因する事故を防止するため、学識経験者等の協力を得て、農作業安全対策を担当する関係行政機関、研修機関、農業者団体等において農業者等を指導する統一的な指針として「農作業安全のための指針」をとりまとめたものである。
2 この指針は、農作業を安全に行う上で農業者等が留意すべき事項等についてとりまとめたものであり、T基本事項、U機種グループ別事項の2部構成となっている。
(1) 基本事項は、農作業安全一般に関する事項、安全管理体制の整備に関する事項、危険箇所での作業及び危険箇所の整備に関する事項、安全で快適な作業環境に関する事項、機械や資材の利用、管理等に関する事項等、農作業に従事する者が安全に農作業を行うために農業者及び関係機関等が留意すべき共通事項について記述したものである。
(2) 機種別グループ別事項は、乗用型機械、歩行型機械、定置機械、携帯式機械、遠隔操作機械、無人走行機械といった農業機械の主要なグループごとに、農業者がそれぞれを使用する際の留意事項について記述したものである。
(3) なお、農業用トラクター、コンバイン等の個別機種ごとの作業上の留意事項については、この指針の参考資料として順次整備することとしている。 TOPへ▲
(1)安全に農作業を行うための基本事項
ア 農作業に従事する者は、自己及び他人に危害が生じないよう、日頃から安全意識を持って、農業用機械・器具の日常点検や適正な操作等を通じ安全な作業の実施に心がけるとともに、周辺環境にも配慮すること。
イ 農業者が農作業に従事させるために雇用を行った場合には、雇用主として、被雇用者に対する安全性を確保するとともに、周辺環境にも配慮すること。
ウ 農作業に従事する者及び雇用主は、農作業の安全に関する研修・講習会等への積極的な参加を通じ、安全意識の高揚に努めるとともに、労働基準法、労働安全衛生法、農薬取締法、道路運送車両法、道路交通法等の関係法令を遵守し、安全な農作業に努めること。
(2)農作業に従事する者の制限
次のアからキまでに掲げる者は、機械作業、高所作業等危険を伴う作業に従事しない又はさせないこと。また、それ以外の作業にあっても、必要に応じて作業の内容を制限すること。
ア 飲酒し、酒気を帯びている者
イ 薬剤を服用し、作業に支障がある者
ウ 病気、負傷、過労等により、正常な作業が困難な者
エ 妊娠中及び産後一年を経過していない女性(特に、当該作業により、妊娠又は出産に係る機能障害等健康状態に悪影響を及ぼすと考えられる者。)(以下「妊産婦」という。)
オ 年少者
カ 作業の未熟練者(熟練作業者の指導の下で行う場合を除く。)
キ 機械操作や化学物質等を取り扱う作業において、必要な資格を有していない者
2農作業を行う際の配慮事項
(1)日常的な配慮
ア計画的な作業の実施
(ア) 一日の作業に入る前には準備運動を、作業後には整理運動を行い、体調を整えること。また、その日の気候条件や作業者の体調に勘案して、無理のない作業を行うこと。複数で作業を行う場合には、事前にその日の作業について打合せを行うこと。
(イ)気象条件やほ場条件等により、作業が順調に進まないと無理が生じ、結果的に事故の要因となる可能性があることから、余裕をもって無理のない作業計画を立てること。
(ウ)一日の作業時間が8時間を超えないよう努めるとともに、疲労が蓄積しないよう定期的に休憩を取るように努めること。
イ健康管理
農作業に従事する者は、適当な休養をとり、定期的に健康診断を受ける等、日頃から健康管理に努めること。
疾病がある場合には、医師等健康管理の専門家に相談し、健康状態によっては作業を休むか、作業の手順や分担を見直す等、事故発生につながらないように配慮すること。
ウ農作業の点検・改善
(ア) 日頃から作業手順、作業環境や危険箇所についてチェックを行い、作業方法の見直しや作業現場の改善、危険箇所の表示等安全で効率的な農作業を行うための対応を行っておくこと。
(イ) 危険性の高い作業を行う場合には、作業者の負担の軽減や早期に危険な状況を知らせる補助者を配置する等、一人での作業はできる限り行わないようにすること。
やむを得ず一人での作業を行う場合には、作業内容や作業場所を家族等に明確に伝えておく等、事故が発生した場合の早期発見のために必要な措置を行っておくこと。
(ウ) 作業の受委託を行う場合には、委託者は受託者に対して危険箇所や注意事項等について事前に説明し、事故防止に努めること。
エ女性、年少者及び高齢者への配慮
(ア) 妊産婦及び年少者に重量物の取扱い、高所作業、著しい振動環境下にある作業等危険性の高い作業、及び薬剤の扱いを行わせないこと。また、妊産婦及び年少者に深夜作業を行わせないこと。
(イ) 今後、女性農業者が農業機械操作を行う機会が一層多くなることが予想されることから、機械操作の知識や農作業安全への意識の向上を図る講習会を開催する等、女性農業者に対する配慮に努めること。
(ウ) 高齢者については、加齢により心身機能が変化することを踏まえ、日頃の健康管理を含めた総合的な安全講習の実施を通じ、特に高齢者自身及びその周囲の者の安全意識の向上に努め、作業分担、作業方法等について配慮すること。また、必要に応じて、高齢者の行っている作業について、農作業委託等への誘導を検討すること。
作業現場は、できる限り誰にでも安全で快適に利用しやすいようにバリアフリー化に努めるとともに、作業機械の選定に当たっては、高齢者等の利用に配慮すること。
(2)服装及び保護具
農作業に際しては、機械に頭髪や衣類等が巻き込まれることがない各作業に適した作業帽・服装や事故防止に必要な保護具を着用し、気象状況にも留意すること。
(3)機械・器具等の点検
機械・器具を用いる作業を行う場合には、必ず事前に安全装置や防護カバー等の安全装備を含めて点検を行い、操作、装着の方法等についても事前に確認を行っておくこと。
機械・器具及び安全装備等に異常がある場合には、調整又は修理を受ける等の必要な措置を必ず行うこと。
(4)周辺への配慮
ア 周辺者への配慮
作業時には、他の作業者や周辺にいる人に与える危険性を考慮に入れ、安全性が十分確保されているかどうか注意を払って行うこと。
子供が周辺にいる場合には、稼働中の機械に近づかないように事前に注意しておくこと。
イ 周辺環境等への配慮
農業機械作業に起因する騒音、振動、粉塵、悪臭、薬剤の飛散等により、周辺の住民や環境に影響が生じることがないように、作業機械の機種の選定や気象条件等を十分考慮する等の必要な措置を講ずること。
(5)農作業事故への備え
ア 作業開始前に当該作業に関わる危険性を予測して、対応策を考えるような習慣を身につけること。
イ 万一の事故に備え、緊急時の連絡体制を確認するとともに、応急処置の知識を身につける等、普段から事故を最小限に止めるための対応を行っておくこと。
(6)労災保険等への加入
農作業事故が発生した場合に備え労災保険(労働者災害補償保険)に加入し、必要に応じて傷害共済等各種の任意保険にも加入しておくこと。
乗用型トラクターをはじめとする農耕作業用小型特殊自動車については、自動車損害賠償責任保険及び自動車損害賠償責任共済(以下「自賠責保険」という。)への加入義務はないが、路上等で万一事故が発生した場合には自己責任となることから、極力任意保険に加入すること。
また、上記以外の大型特殊自動車及び小型特殊自動車については、自賠責保険への加入義務があるが、これらに加えて極力任意保険にも加入すること。
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第2安全管理体制の整備に関する事項

農作業事故の防止を図るためには、関係者の連携の下、地域の実態に即した総合的な安全対策を推進する必要があることから、地域の関係機関等をもって、農作業安全対策を推進する主体(以下「農作業安全推進協議会等」という。)を設置し、具体的な安全確保への取組に努めること。

1地域の安全管理体制の整備
具体的な農作業安全対策を推進するため、都道府県、地域段階ごとに、以下のような構成をもって農作業安全推進協議会等を設置する等、体制の整備を図ること。
(都道府県段階)
行政、普及組織、試験研究及び研修の機関、農協系統組織、農業機械士会等の農業者団体、警察・消防組織、公衆衛生組織、農業機械の製造・販売の業者、学識経験者等
(地域段階)
構成員については都道府県段階に準じることとするが、農業者と密着した推進体制を構築することが重要なことから、地域の農業機械士、指導農業機械士や女性農業者、高齢農業者の代表、地域のリーダー等を含めた農業者の代表を加えること。
2農作業安全推進協議会等の役割及び実施事項
(1)役割
ア 都道府県段階の農作業安全推進協議会等は、管内の農作業安全対策の推進を図るため、安全対策の基本事項及び総合的な取組事項を定め、その推進を図るための計画(以下「推進計画」という。)を策定し、実施を図るとともに、地域段階の農作業安全推進協議会等に対し必要な助言、指導等を行うこと。
イ 地域段階の農作業安全推進協議会等は、都道府県の推進計画と整合性を図りながら、地域の農作業事故の特徴や農業者の作業実態に即したより具体的な推進計画を策定し、これに基づいた取組を実施するよう努めること。
(2)推進計画等の策定・実施
ア 推進計画は、農作業安全確保のための基本的な事項を定めるとともに、地域の事故実態、女性・高齢農業者、担い手等の作業実態を踏まえ、これらに対応した具体的な事故防止策を盛り込むこと。
イ 一定期間ごとに推進計画の評価を行って推進計画を見直し、農作業安全対策に反映させること。
(3)具体的な取組事項
次のアからサまでに掲げる取組を参考として農作業安全対策の推進に努めること。
ア 農作業事故調査(農作業事故防止対策の検討に必要な農作業事故の件数及び態様等の調査)
イ 農作業の実態調査(農作業安全に必要な農作業中の危険体験等の調査)
ウ 安全啓発活動(パンフレット等の啓発資材の作成配布、講演会の開催等)
エ 安全講習会の開催(安全に関する知識と実技の習得を図るための研修会、講習会の開催)
オ 農作業環境診断(危険箇所等の調査)
カ 農作業環境改善設備の設置(危険箇所表示図(マップ)の作成配布、危険箇所標示板の設置等)
キ 農業機械利用技能向上研修の開催
ク 指導者育成(農作業安全を地域で推進する指導者の育成)
ケ 緊急時の地域体制整備(事故発生時の連絡体制の整備、応急処置、救急救命法の講習会等)
コ 各経営体に対する指導
サ 労災保険等の加入促進
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第3危険箇所での作業及び危険箇所の整備に関する事項

地域内の危険箇所のマップ作成や標示板設置等を行い、事故が発生しやすい危険箇所の周知徹底を図り、迂回路の表示や危険箇所の改善を行う等の対策を実施すること。
また、危険箇所で作業を行う場合には、補助者を配置する等できる限り複数で作業を行うように努めること。

1転落・転倒事故の危険性が高い箇所
(1)農道
ア トラクター等を運転する際には、左右独立のブレーキペダルを有するものは事前に連結を行い、幅員の狭い農道や曲がり角では特に速度を落として走行すること。また、路肩に寄り過ぎないように注意すること。
イ 安全に通行できる道路幅を確保し、路肩の標示やすれ違い場所・回行場所の設定を行い、作業の状況に応じては一方通行についても検討すること。
ウ 曲がり角は隅切にし、路肩は分りやすくするため草刈りを行い、軟弱な場合は補強すること。路面の轍、水溜り、侵食されてできた溝等は平らにすること。
(2)ほ場
ア ほ場に出入りする場合には傾斜方向に対して、車体が斜めに入らないようにし、ほ場脇に水路等がある場合には端に寄り過ぎないこと。畦畔を乗り越える場合には、車体が畦畔に対して直角になるように行い、段差が大きな場合には歩み板を使用すること。
なお、ほ場の出入り、けい畔の乗り越え時の機械の進入方向(前後)は取扱説明書に従うこと。
イ ほ場の出入口については、傾斜を緩く、幅を広くし、軟弱な部分は補強して、機械の出入りを容易にする等の対応を行うこと。
(3)登坂、降坂
ア 傾斜地や坂道では低速走行を心がけ、左右独立のブレーキペダルを有するものは事前に連結を行い、作業機を下げ重心を低くし、作業方向や旋回方向についても配慮すること。
イ 傾斜地での作業の際には、車輪が浮かないようにバランス・ウエイトを取り付けること。
傾斜地で等高線方向への走行を行う場合には、分担荷重が大きい側をなるべく山側にすること。
傾斜地のほ場や坂道で操向クラッチを操作すると、車体が平地での操作とは逆の方向に旋回することがあるので注意すること。
ウ 急な下り坂では、必ずエンジンブレーキを用いること。また、途中で走行クラッチの操作を行わないこと。登坂方向へ発進する際には、前輪が浮き上がりやすいので注意すること。
(4)高所
ア 高所作業を行う場合には、ヘルメット、安全帯や命綱を必ず使用し、靴は滑りにくいものをはき、泥を落としてから作業をすること。
イ 高所と地上の共同作業では、お互いによく連絡を取り合い、落下物の防止に注意して行うこと。
ウ 足場、階段やリフター等の昇降設備を設けるとともに、滑り止めや手すりを設置すること。足場板、柱、ロープ類は十分な強度のものを使用し、定期的に点検すること。
滑りやすい場所やスレートぶき屋根等踏み抜きの恐れがある場所では、踏み板を使う等十分注意すること。
エ 昇降は、荷物を背中に背負う等、極力両手が自由な状態で行うこと。
オ 強風時には、作業を中止して未然の事故防止に努めること。
2挟まれ事故の危険性が高い箇所
(1) 機械と柱や壁、樹木との間に挟まれないよう、これらとの間に必要な間隔を取って作業を行うこと。ハウスや倉庫等の屋内では十分な作業スペースを設けること。
狭い場所で自走式機械を使用して複数の者が作業を行う場合には、合図を定め、互いに安全を確認しながら行うこと。
(2) 樹園地等では、作業に危険な樹木の枝等は切り、支線には目印を付けること。
3酸欠等の危険性がある閉鎖空間
(1) 酸欠等の危険性のある閉鎖空間で作業を行う場合には、作業場所、作業時間を家族等に事前に知らせおくこと。
(2) 入室する前には、十分に換気を行うこと。作業中に酸素濃度の低下等の可能性がある場合には、酸素濃度等を確認しながら作業を行うこと。また、外部に人を配置し、関係者以外が立ち入らないように危険標示をする等の処置を行うこと。
危険なガスが発生する可能性のある場合には、対応した防毒マスクを装着すること。
糞尿タンク、サイロ等では、すぐ脱出できるように安全帯を着用し、梯子等を掛けてから入ること。
作業中は、時折互いに声を掛け合い、安全確認を行うこと。
4倒壊等の可能性がある箇所
重量物を積み上げる作業や積荷の上での作業は、倒壊、転落、埋没の危険があるので十分に気をつけて行うこと。
箱や袋等は、倒壊しないように、適切に組んで積み、積み過ぎ、荷物の中抜きはしないこと。
5その他
(1) 交通事故の危険性が高い道路については、警察、道路管理者等と協議を行い、危険回避のための予告板標識やカーブミラーの設置等の対策を行うこと。
(2) 送配電線の周辺で地上高の高い機械の操作や高所作業等を行う場合は感電の危険があるので、送配電線の位置に注意して、十分な距離をとって作業を行うこと。運搬車等に荷物を積む場合には、積荷の高さにも注意すること。
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1適正な服装、保護具の着用
(1)頭部の傷害防止
転倒、転落、落下物、飛散物等の危険性がある作業や道路走行の際には、ヘルメット等の頭部の保護具を用いること。
(2)顔面の傷害防止
飛散物が顔面に当たる危険性がある作業では、保護めがね、フェイスシールド等の保護具を用いること。
(3)巻き込まれ防止
回転部分のカバーができない機械を使用する場合には、袖口や裾が締った服装をし、頭髪は短くまとめて帽子やヘルメットをかぶり、手ぬぐい等の巻き込まれやすいものを身に付けず、手袋はしないこと。
(4)手の傷害防止
刃物、鋭い突起物等に手で触れる作業の際には、作業に適した保護手袋を用いること。
(5)足の傷害及び転倒の防止
重量物の落下、飛散物、釘等の踏み抜きの恐れがある作業を行う場合には、安全靴、すね当て等適切な履物や保護具を用いること。また、滑らない履物を選択すること。
2作業環境への対
(1)暑熱環境
夏場等の暑熱環境下での作業は、熱中症(熱射病、熱けいれん、熱まひ)を生じる恐れがあるので、次の事項に留意すること。
ア 日中の気温の高い時間帯を外して作業を行うとともに、休憩をこまめにとり、作業時間を短くする等作業時間の工夫を行うこと。水分をこまめに摂取し、汗で失われた水分を十分に補給すること。
イ 帽子の着用や、汗を発散しやすい服装をすること。
作業場所には日よけを設ける等できるだけ日陰で作業するように努めること。
ウ屋内では遮光や断熱材の施工等により、作業施設内の温度が著しく上がらないようにするとともに、風通しをよくし、室内の換気に努めること。
作業施設内に熱源がある場合には、熱源と作業者との間隔を空けるか断熱材で隔離し、加熱された空気は屋外に排気すること。
(2)寒冷環境
冬場等の気温の低い環境下での作業は、体が冷えて血行障害を起こすことや、体がこわばって動作がぎこちなくなり思わぬミスにより事故を起こすことがあるので、次の事項に配慮すること。
ア 朝夕の気温の低い時間帯を外して作業を行うとともに、こまめに休憩を取って体を温め、寒い場所での作業時間を短くする等の工夫を行うこと。
防寒着、防寒手袋を着用し、体温が著しく失われないように努めること。
イ 手足が冷えてしまった場合には、直接温めて血行を回復させて、よく動くことを確認してから作業を再開すること。
ウ 急激な温度変化にさらされると、体温調節や血圧に悪影響を及ぼす恐れがあるので、衣類等で適切に調節すること。
(3)粉塵
粉塵が発生する作業を行う際には、防塵めがね、防塵マスクを着用し、室内の場合には、発生源をカーテン等で囲い込むか、ダクト付き吸引ファンで吸引、捕集し、屋外の場合には、風上に立って作業すること。
また、浮遊粉塵が周辺の住民や環境へ悪影響を与えないように十分に注意すること。
(4)騒音
ア 著しい騒音は、作業者間の連絡や警報の認知を妨げ、農作業事故の発生原因となることがあるほか、難聴や身体機能の障害につながる場合もあるので、周辺に及ぼす影響についても考慮して適切な対策を行うこと。
イ 機械の導入に当たっては、事前に機械の騒音の程度を確認し、できる限り騒音の少ない機械の選定に配慮すること。
ウ 施設内では、天井や壁に吸音材を施工し、屋内外の騒音低減に努めること。
エ 作業者側の対応としては、耳栓又はイヤーマフを着用すること。この場合、危険を防止するために、作業に必要な合図を決めておくこと。また、適当な間隔で休憩、交替を行い、著しい騒音が生じる作業現場での連続作業はできるだけ避けること。
(5)振動
ア 振動に長時間にさらされると、事故や身体機能の障害につながる場合があるので、適当な間隔で休憩、交替を行い、著しい振動が生じる作業現場での連続作業はできるだけ避ける等適切な対策を行うこと。
イ 機械の導入に当たっては、事前に振動の程度を確認し、できる限り振動の少ない機械の選定に配慮すること。
ウ 機械を操作する場合には、振動が大きくなる走行速度や回転速度帯をできるだけ避けること。
振動の大きい動力刈払機等については、防振手袋を着用し作業を行うこと。
(6)照度
ア 視力の衰えや目の疲れが生じないように、照明により作業場所を適度な明るさに保つこと。
イ 暗い場所で作業を行う場合には、適切な明るさの光源を用意し、視界を確保し、足元まで照らすようにすること。
ウ 明るすぎる場所で作業を行う場合には、サングラスや遮光カーテン等により適切な明るさに調整すること。
(7)夜間作業の対策
ア やむを得ず夜間作業を行う場合には、十分な照明を用意し、ヘルメットや作業服にも反射テープや反射シールを貼って目立ちやすくし、音や光による合図を考えること。
イ 転落、転倒、追突等の危険性が高い箇所には、反射板、反射テープ、反射シール等を貼ったガードレール、標識、杭等を設置するか、街灯を整備すること。
(8)危険な動物への対応
農作業の際には、地域や季節によっては、蜂等の昆虫、へびやくま等により危害を被る危険性があるので、こうした危険な動物への対応法及び被害にあった際の応急処置については、最寄りの関係機関に問い合わせる等適切な対応をとること。
(9)その他
落雷等の悪天候の際には、速やかに安全な場所に避難すること。
3作業姿勢、重量物取扱いへの配慮
著しく腰を曲げる等のきつい姿勢をとる作業や長時間にわたり同じ姿勢を続ける作業では、首、肩、腰等へ疲れが集中し、肩こり、腰痛等の原因となり、また、事故の要因ともなるので、作業台や棚の高さや配置の工夫、作業工程の変更等により作業姿勢を改善するとともに、体操や休憩により疲労の回復に努めること。
また、重い荷物の運搬は、転倒や腰痛等の原因となることがあるので、荷物の分割、複数での運搬、運搬台車の利用等により、なるべく負担を少なくするように努めること。
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1機械の導入
(1)機械の導入に当たっては、価格や性能だけでなく、安全性も選択の基準とすること。その際、一定水準以上の安全性を有する機械であることを示す型式検査合格証票又は安全鑑定証票の有無を参考とすること。
中古機械を導入する場合は、安全装備の状態、取扱説明書の有無等を確認し、適切な整備を行っているものを購入するか、又は適切な整備を行うこと。
(2)引渡し時には、機械の操作、安全装備等について十分に説明を受けること。
2機械の利用
(1) 取扱説明書の熟読、保管等
取扱説明書を熟読し、機械の機能、使用上の注意事項、安全装置の使用方法、使用時の危険回避方法等について理解すること。併せて機械に貼付してある安全標識を確認しておくこと。
また、取扱説明書は、保管場所を決め、いつでも取り出して読めるようにすること。
(2) 目的外使用と改造の禁止
本来の目的以外に使用しないこと。
改造しないこと。特に、安全装備を取り外さないこと。

(3) 点検、整備
使用前後には必ず点検を行い、異常がある場合は整備するまで使用しないこと。
指定された定期交換部品は必ず交換すること。
3機械の管理
(1)管理のための記録等
運転日誌、点検・整備日誌等を作成し、記録に基づき適正な管理を行うこと。
法律に基づく点検は必ず受け、法律の規定がなくとも、年に1回は認定整備施設(「農業機械整備施設設置基準」昭和44年5月31日付け44農政第2285号農林水産事務次官依命通知)等で整備すること。

(2)格納庫の整備
出入口の高さや幅、天井の高さ、床面積は余裕を持たせ、点検・整備の際のジャッキアップも考慮して、床面を舗装すること。また、出入口は目立つ色で塗装し、道路に面している場合は、出入口にカーブミラーを設置すること。
内部は十分な明るさが得られるように電灯を設置し、換気窓や換気扇等を設置して換気をよくすること。

(3)機械の保管
昇降部を下げ、キーを抜いておくこと。
搭載式やけん引式の作業機では、格納時に機体を安定させるためのスタンド等が付属している場合は必ず使用すること。これ以外の作業機でも、着脱や格納庫内での整理を安全に行うため、キャスター付きパレットに載せることが望ましい。
作業後は機械を清掃し、作物の屑、泥、埃等を取り除くこと。
(4)機械を貸与する場合
機械を貸与する際には、適切な整備を行い、機械の使用方法、安全上の注意を十分に説明するとともに、取扱説明書の熟読を指示すること。
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第6燃料、農薬等の管理に関する事項
燃料、農薬、塗料等は、引火、発火、爆発、中毒等の危険があるため、取扱いを適正にする必要がある。
1燃料
農業で多く使用されているガソリン、軽油、灯油は第4類危険物として、貯蔵施設、取扱資格等が法令で規制されている。詳しくは、法令、研修テキスト等を参照すること。
(1)保管、管理
ア 容器には適正なものを使用し、専用の場所に保管すること。保管場所では、消火器を備え、火気を厳禁するとともに、関係者以外が立入らないように鍵をかけること。
イ こぼれた燃料が河川や周囲の環境を汚さないように、貯蔵場所の周囲に防油堤や溝を設置すること。室温で気化するガソリンを保管する場合は、気化ガスが滞留しないように常に換気すること。
(2)使用
ア 給油は、必ず機械を停止させて冷えた状態で行うこと。
配管の接続部からの漏れ、注入口からのあふれに注意し、こぼれたり、あふれたりした燃料は、すぐにふき取ること。
イ 燃料のそばでは、裸火や火花を発する機械、工具を使用しないこと。静電気が発生しやすい服装をしないこと。また、掃除をして周囲の不必要な可燃物を取り除くこと。
ウ 燃料は長期間保管すると変質することがあり、このような燃料を使用した場合、機械の不具合の原因となることがあるので使用しないこと。
2農薬
(1)購入、保管、管理
ア 極力保管量を少なくするため、1回当たりの購入量を必要最小限にし、有効期限内に使用すること。
イ 農薬取扱者を決めて管理し、保管は直接日光の当たらない、冷涼・乾燥した場所に保管庫を設けて行い、関係者以外が使用できないように鍵をかけること。
ウ 危険物に指定されている農薬を管理する場合は、法令に従って管理すること。
(2)使用前
ア 使用前に農薬容器のラベル、取扱説明書をよく読み、正しく使用すること。必要に応じ、農薬の取扱い、使用法について、各都道府県病害虫防除所、試験場等へ問い合わせること。毒物劇物の取扱いについては、各都道府県の保健部・薬務課等へ問い合わせること。
また、万一中毒事故が発生した場合に備え、救急救命法についての講習を受けること。
イ 国家検定に合格し、かつ、農薬の形態、成分に対応した適切なマスクを用意すること。
ウ 体調が悪い場合は作業を中止すること。
(3)調製時、散布前
ア 防除機具の点検・整備を事前に行うとともに、専用の作業衣、保護具を着用すること。その際、マスクは農薬の種類に適した保証期限内のものを使用すること。また、農薬の吸入を防ぐため、顔とマスクとの密着具合についても確認すること。
イ 運搬時には、農薬の袋、ビンの破損や荷崩れ等により、農薬がこぼれないように注意すること。
ウ 調製時に、飲料水源、生物を飼育している湖沼から直接給水しないこと。
誤飲事故の原因になるので、牛乳やジュース等の容器への移しかえは絶対に行わないこと。計量容器は専用のものを使用し、“農薬専用”と注意書きすること。
(4)散布作業
ア 子供、妊娠中の人を近づけないようにすること。
イ ほ場外に農薬が飛散して周辺への環境に影響を及ぼすことがないように、風向きや周囲に注意し、作業はできるだけ風のない時間帯に行うこと。少量散布用の農薬は、散布濃度が高いので、特に注意すること。
水田では、農薬が流出しないように水じり(排水口)を閉めておくこと。
ウ 作業者自身への散布農薬の付着を回避するため、風向き、風の強さなどに注意し、状況に応じて作業方法を工夫すること。
エ 連続作業はせずに、休憩をはさみ、作業中の喫煙・飲食は避けること。
目や皮膚に付着した農薬を除去するために、清潔なタオル、水をビニール袋等に入れて現場に持参すること。オ 体に異常を感じたときには、直ちに医師の手当を受けること。
(5)散布作業後
ア残った農薬は、散布むらの補正の使用等により極力使いきり確実に処理すること。空容器はほ場周辺にそのまま放置しないで、適切に処分すること。
イ作業終了後、身体をきれいに洗い、うがいを行い、当日は飲酒をひかえて早く就寝すること。
ウ保護具を清掃し、所定の保管場所に保管すること。取り替え式マスクのフィルター等は、捕集効果がなくなったもの、汚れたもの、臭いが付いたものは忘れずに交換しておくこと。また、使い捨てマスクの使用は1回とすること。
農薬で汚れた作業衣は、他の衣類、特に乳幼児の衣類等と区別して、単独で洗うようにすること。
防除機械を冬季間保管する場合は、凍結する恐れがあるので、配管内の水を抜くこと。
3その他
(1)使用前にラベル、取扱説明書をよく読んで、適正に使用すること。
(2)塗料に使用される有機溶剤は、中毒の恐れがあるので、使用時は十分換気すること。
(3)バッテリーを充電する際は、急速充電を避け、各セルの蓋をゆるめて行うこと。また、有毒ガスや可燃ガスが発生するので、十分に換気すること。バッテリー液の希硫酸には直接触れないこと。 TOPへ▲

第7道具の安全使用
1共通事項
(1) 加工・改造や目的外使用を行わないこと。
(2) 使用前に取扱説明書を熟読するとともに、熟練者から指導を受けること。
使用前に点検し、変形、異常があった場合は使用を中止すること。
(3) 必要に応じて、手袋やヘルメット等の適切な保護具を使用し、使用時に飛散物が発生する場合は必ず保護めがねを着用すること。
2脚立、梯子
(1)基本
使用最大荷重の範囲内で使用し、また、飛び降りはしないこと。
(2)転倒防止
ア 風雨の中や風の強い場所では使用しないこと。
イ 安定しない場所には設置しないこと。特に台や箱の上に載せて使用しないこと。また、足元や周囲がはっきり見えない暗がり、通行者と衝突する恐れがある出入口の前では使用しないこと。
ウ 開き止め等の固定金具は、確実にロックしてから使用し、折りたたんだままの使用や、水平にしての使用は行わないこと。
梯子を掛ける場合は、正面から見て垂直で、壁面に対して適正な傾斜角度にすること。また、曲面に踏桟が直接当たると、横滑りして梯子
不安定になるので、電柱や木等には極力立て掛けないこと。
エ 複数の者が同時に上がらないこと。作業中、壁や物を無理に押したり、引いたりしないこと。
(3)転落防止
ア 運動靴等の滑りにくい履物とヘルメットを着用するとともに、引っかかりや裾の踏みつけがない適切な服装で作業を行うこと。
イ 踏桟にグリース、油、泥、雪、ペンキ等滑りやすいものが付いている場合は、きれいにふき取ること。
ウ 脚立や梯子を背にしたり、荷物で両手がふさがれた状態で昇降したりしないこと。
また、脚立の天板の上に立って作業を行わないこと。
エ つなぎ目が折れる恐れがあるので、脚にパイプや木等をつながないこと。
(4)その他
運搬時や設置時には、送配電線等に触れることのないように注意すること。
3 包丁、鉈、鎌、槌、フォーク、鋤、鍬等農具
(1) 使用しないときには、刃部へカバーをし、目につきやすい場所に置くこと。
(2) 柄から刃物等が抜けないよう、がたつきを点検すること。
(3) 切子等が人のいる方向へ飛散したり、器具が周囲の人に接触したりしないように作業位置、方向を工夫すること。必要であれば、対象物を固定する治具や作業台を併せて使用すること。
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U機種グループ別事項
第1乗用型機械
1適用範囲
作業者が乗車して走行移動しながら運転操作する機械(作業機を装着するものを含む。)に適用する。
ここでは、乗用型のトラクター、田植機、管理機、コンバイン、運搬車、野菜用収穫機、牧草収穫機、高所作業車等を想定している(乗用単軌条運搬機を除く。)。
2 一般事項
(1) 基本
ア 緊急時に備えて、家族や作業者全員が作業機の動力遮断方法、エンジンの停止方法を確認しておくこと。
イ 座席位置、ハンドル位置、座席のサスペンションを体格に合わせて最適位置に調整すること。チルトハンドルの場合、ハンドル調節時以外にはコラムを固定すること。
ウ パワーステアリング付きの機械は、ハンドルが軽いため、回しすぎてふらつくことがあるので、道路走行時には慎重に操作すること。
クローラー式機械は、旋回方式によって、旋回半径、旋回中心位置が変わるのを理解して使用すること。
(2) 安全フレーム、安全キャブ、シートベルトの装
機械の転倒、転落による事故が多発しているので、トラクター等安全フレーム又は安全キャブを装着可能な機械は極力装着し、併せてシートベルトも着用すること。
(3) 点検、整備
平成9年1月から、道路運送車両法施行規則の改正(小型特殊自動車の規格改正)に伴い、それまで大型特殊自動車に該当していた、いわゆる乗用型トラクター、コンバイン、スピードスプレヤー等で、最高速度が35km/時未満のものが小型特殊自動車に区分され、併せて車検、定期点検の義務が免除されたが、一日一回の運行開始前に日常点検整備を必ず行うとともに、整備不良は重大な事故を招く恐れがあるため、自主的に点検整備を行うこと。
(4) 必要な手続き等
ア 小型特殊自動車、大型特殊自動車に該当するものは、車両としての必要な手続きを行うこと。
また、運転には道路走行に必要な運転免許、作業に必要な講習、免許(労働安全衛生法による)を取得すること。
なお、道路交通法で規定される大型特殊自動車(全長4.7m、全幅1.7m、全高2m、最高速度15km/時、又は総排気量1.5Lのいずれかを超えるもの)を運転するには、大型特殊免許が必要なことに留意すること。
ただし、農業用薬剤散布車(スピードスプレヤー等)を道路で運転する際は、普通免許が必要であることに留意すること。
イ 農耕作業用小型特殊自動車(いわゆる乗用トラクター、コンバイン、スピードスプレヤー等で最高速度が35km/時未満のもの)は、自賠責保険への加入義務はないが、路上等で万一事故が発生した場合には、自己責任となるので、極力任意保険に加入すること。
道路を走行するその他の大型特殊自動車並びにホイルローダー及びフォークリフト等の小型特殊自動車は、自賠責保険の契約が義務づけられているので加入すること。
3作業前
(1)基本
ア 機械を始動、運転するときには、前後左右をよく確認し、付近に人を近づけないこと。
エンジンの始動は、必ず運転席に座り、変速レバー、PTO変速レバー、各種操作レバーが中立位置にあり、駐車ブレーキがかかっていることを確認した上で行うこと。
イ ブレーキやクラッチの操作ができなくなる恐れがあるので、運転席の足元に物を置かないこと。
ウ自動化装置は、使用方法を理解してから使用すること。
(2)移動走行
ア 重量のある直装式の作業機を後部装着して走行する場合は、前輪にかかる荷重が減少して操舵しにくくなるので、速度を下げて走行し、必要に応じてバランス・ウエイトを装着すること。
左右独立ブレーキの付いた機械では、走行、登降坂、畔越え時には、左右のブレーキペダルを連結すること。
イ 本機と作業機の幅や高さの違いに注意し、防除機のブーム、代かきローター等の幅が広いものは折りたたむこと。
ウ 暴走する恐れがあるので、急な下り坂では、走行クラッチを切ったり、変速を中立にする等、惰性で走行しないこと。
(3)道路走行
ア 作業灯を消灯し、ディファレンシャル装置のロックを解除するとともに、昇降部落下防止装置を固定にした上で、交通ルールを遵守して走行すること。
左右独立ブレーキの付いた機械は、左右のブレーキペダルを連結すること。
イ 一般の自動車との速度差が事故につながることがあるので、低速車であることを表示するマーク(低速車マーク)や反射テープ等で目立つようにし、機体幅も反射マークや反射テープの貼付等により認識されやすくすること。
ウ 道路運送車両法で規定する保安基準に適合しない機械は道路を走行できないので、トラック等で運搬すること。
(4)作業機の着脱
ア 作業機の取扱説明書についても使用前に熟読すること。また、保管場所を決めて、いつでも取り出して読めるようにすること。
イ 着脱の際には、作業機と本機の間や作業機の下に入らず、作業機にスタンド等が付いている場合は、必ずスタンド等を使用して機械を安定させた上で行うこと。
PTO伝導軸は適切な長さのものを使用し、防護カバーの回り止めチェーンも確実に固定すること。また、作業機の装着によって機体の重量バランスが大きく崩れる場合には、バランス・ウエイトを装着すること。
4作業中
(1)基本
ア 補助作業者を使う機械作業では、作業者の体格、体力を考慮して、作業負担が過重とならないように作業速度等を調節すること。
イ 作業部、PTOのクラッチは、補助作業者に合図して確認した後に入れること。
ウ 機械から離れるときには、作業機を下げ、エンジンを止め、駐車ブレーキをかけ、キーを抜くこと。
エ あぜ塗り機、振動サブソイラー等振動が大きい機械で作業を行う場合には、腰痛等健康への影響を抑えるため、随時休憩をとること。
オ 排気ガスによる一酸化炭素中毒の恐れがあるので、室内やビニールハウス内では十分換気しながら、暖機運転や作業を行うこと。
(2)転倒、転落、機械からの転落防止
ア 機械への乗り降りは、原則として、機械を背にして行わないこと。ステップを踏み外さないよう注意すること。ステップの泥はこまめに取り除くこと。
イ 必ず運転席に座って運転し、座席や乗車位置以外のところに人を乗せないこと。補助作業者が乗車する場合には、転落防止ガードやチェーンをかけて作業すること。
ウ 急旋回、急発進、急停止はしないこと。また、作業中に飛び乗り、飛び降りをしないこと。クローラーは滑りやすいので、足を掛けて乗り降りしないこと。
エ 最大積載重量を超えないようにすること。
コンテナを積載している場合には、コンテナがずれて落下しないように十分注意しながら作業すること。収穫作業では、荷台等に積載された収穫物が増えてくると、機体の重量バランスが変化するので、十分注意しながら作業すること。
(3)衝突、挟まれ、巻き込まれ防止
ア 機械の通路に、機体や安全キャブ・フレームに当たる障害物がないか確認すること。
イ トラック等伴走車との組作業を行う機械では、合図を決めておき、協調性をもって作業できるようにすること。
収穫物等の運搬車への移し替えの際には、衝突や人の挟まれ等に注意しながら行うこと。大型の作業機や積載した荷物によって周囲が見にくい場合には、誘導者を決め誘導に従うこと。
ウ 作業機への巻き付き、詰まり等を除去する際には、エンジンを停止し、作業部の停止を確認した上で行うこと。また、油圧式の昇降部を上げている場合は、一般的に時間とともに下がってくることが多いので、必ず昇降部落下防止装置を固定にしておくこと。
(4)資材等の取扱い
薬液タンク等に液体を入れて移動する場合は、重心が移動して機械が不安定になりやすいので、低速で行うこと。
牧草、堆肥等は、水分によって比重等の物理性が大きく異なることを念頭に置いて、梱包、運搬作業を行うこと。
5作業後
点検、整備は、機械を平坦で広い場所に置き、エンジンを止め、駐車ブレーキをかけ、昇降部の落下防止装置を固定にした上で行うこと。ジャッキアップを行う場合は、平坦で固い床面上で行い、機械の所定位置にジャッキをかけ、安定を確認しながら行うこと。
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1適用範囲
歩行する作業者によって運転操作される自走移動式機械に適用する。
ここでは、歩行型のトラクター、運搬車、野菜移植機等を想定している。
2一般事項
(1)緊急時に備えて、家族や作業者全員がエンジンの停止方法、運転操作方法を確認しておくこと。
(2)主クラッチの入り切り等の操作方法が機種によって異なる場合があるので、よく理解してから使用すること。
(3)道路上の移動走行は極力避け、トラック等に積載して運搬すること。
3作業前
トラック等への積み下ろしの際には、水田車輪や耕うん爪、尾輪等を歩み板や周囲に引っかけないように注意すること。
4作業中
(1)基本
ア 挟まれ、巻き込まれ防止
(ア) エンジンの始動は、各操作レバーを中立又は切の位置にした上で行うこと。
(イ) 不用意にロータリーや植付部の下に足を入れたりしないこと。また、作業機を回転させたままで移動走行しないこと。
(ウ) 後進時には、転倒して作業機に巻き込まれる危険性や、物と機械の間に挟まれる危険性が高いので、路面状態や後方の障害物に注意すること。
トラクターでは、後進の発進時にハンドルが持ち上がりやすいので、エンジン回転速度を下げ、しっかり押さえながらゆっくり主クラッチをつなぐこと。
(エ) ハウスや小屋の中、果樹園等、障害物がある場所では、周囲をよく確認しながら作業を行うこと。壁際での旋回は、壁と反対側の広い方向にハンドルを回すようにすること。
イ転倒、転落防止
(ア) 坂道、傾斜地では、操向クラッチを極力使わず、ハンドル操作によって旋回すること。
(イ) ディファレンシャル装置によって旋回するトラクターでは、坂道、傾斜地では装置をロックしておくこと。
(ウ) ハンドルの向きが変わる機械では、移動時はハンドルを正規の位置に確実に固定すること。
ウその他
長時間歩行すると疲労しやすいので、休憩を多めにとり疲労の蓄積を少なくすること。
(2) トラクターへのトレーラー装着
ア 操向クラッチ操作を極力行わず、ハンドル操作で旋回すること。また、ジャックナイフ現象を起こして転倒する恐れがあるので、急なハンドル操作をしないこと。
イ ブレーキ操作を妨げるような物をフートプレートの上に置かないこと。
ウ追突されないようにトレーラーに反射シールや反射マークを貼ること。
エトレーラーの鳥居部分に過大な荷重をかけると折れて押し潰される恐れがあるので、長大物等を多量にもたれかけさせて積載しないこと。
(3) トラクターによる定置作業
PTO軸にベルトをかけて動力を取り出す作業では、エンジンを回しながらベルト掛けをしないこと。ベルトに巻きこまれないように周囲に柵等を設置すること。
5作業後
PTO軸を使用しない時には、PTO軸にカバーを付けておくこと。
輪距調節や作業機着脱を行うときには、機体を支える台やスタンドを使用すること。
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1適用範囲
固定的に設置した状態で運転操作される機械に適用する。
ここでは、乾燥機、もみすり機、農用さい断機等を想定している。
2一般事項
(1)基本
緊急時に備えて、家族や作業者全員が機械停止方法を確認しておくこと。
(2)バーナーを有する機械
ア 排ガスによる中毒の恐れがあるので、換気しながら利用すること。煙突を有するものにあっては、接続が外れていると排ガスが室内に漏れて危険なので、運転前に点検すること。
イ 消火器を常備すること。使用期限を過ぎたものは交換すること。
ウ 異常燃焼等の原因になるので、指定以外の燃料、購入後長期間経過し変質した燃料や水が混入した燃料を使用しないこと。
(3) エンジン式機械
屋内では、排ガスによる中毒の恐れがあるので、換気しながら使用すること。
燃料補給はエンジンが冷えているときに火気に注意して行い、こぼれた燃料はよくふき取っておくこと。
(4)電動式機械
コンセント、電源プラグ、電源コード、アース線、スイッチボックスの破損、腐食、断線等を見つけたらすぐ修理すること。
防水部分以外の電気系統に水がかからないようにすること。
3据付
(1)基本
据付は、平坦で十分な強度のある場所に行うこと。据付及び移設は、専門的知識を有する者に依頼すること。
可動部がむき出しにならないよう、カバーを付けるか、あるいは防護柵を設置すること。加工物等が飛散又は落下して傷害を起こす可能性がある場合も同様とする。
(2)バーナーを有する機械、エンジン式機械
ア燃料タンクは適正なものを使用し、燃料タンクから機械への配管は燃料の漏れがないよう確実に接続すること。
イ不完全燃焼や排ガスによる中毒を防止するため、閉鎖空間で使用する場合は必ず空気取入れ口を設けるほか、屋内で使用する場合は換気を十分考慮すること。
ウ発生する熱が周囲に影響を及ぼさないよう、機械の周りに空間を十分に確保すること。
(3)電動式機械
ア 制御盤は、水、埃のかからない場所に設置すること。
イ 機械に必要な種類の電源、容量を確保すること。また、漏電防止のために、アースをとるとともに、漏電ブレーカーも設置すること。
ウ 電源コードは、発熱するので束ねず、また、引っ張られないように余裕をもって取りまわし、水や油気のある所、高温部の付近、鋭い角の上等を避けて配線すること。踏みつけによる切断がないように、通路を避けて配線するか、カバーする他、ねずみ等による被害が懸念される場所では金属パイプ等でカバーすること。
4作業前
(1)バーナーを有する機械、エンジン式機械
ア 運転前には必ず配管の損傷、燃料漏れ、給気筒・給気口の状況、煙突の接続等について点検すること。なお、高温になる部分の掃除、点検は、運転前、常温に冷めた状態で行うこと。
バーナーやエンジンの周辺に可燃物を置かないこと。
イ 給油は、機械の運転前に行い、給油中はその場から離れず、燃料がこぼれたらきれいにふき取ること。また、周囲では、裸火は使用しないこと。
(2)空圧式機械
空気タンクが錆びて強度が低下していないか、定期的に点検・整備すること。
運転開始時にリリーフバルブの動作確認を行うこと。
5作業中
(1)基本
ア 機械の始動、停止、点検及び整備は作業者全員に分かるよう合図をし、確認した上で行うこと。
イ 指定された回転速度以上で作業をしないこと。
ウ 作業服は袖や裾が締まるものを着用し、手袋は使用しないで、コンベヤ、チェーン、供給装置等に巻き込まれないように注意すること。また、送風機に体や衣服が吸い込まれないよう注意すること。
ベルトの掛け外し、点検・整備、供給部等の巻き付き及び詰まりの除去は、機械を停止してから行うこと。
エ 飛散物のある機械では、傷害の恐れがあるので、関係者以外は機械周辺に近寄らせないようにすること。
(2)バーナーを有する機械
ア 不完全燃焼にならないように燃焼状態を定期的に点検すること。異常を感じた場合は、すぐに消火して専門的知識を有する者に修理を依頼すること。
イ 安全装置が作動して機械が停止したときには、いったん主電源を切り、停止の要因を解除してから安全を確認した上で再起動すること。
(3)電動式機械
ア 点検調整は、電源プラグを抜くか、電源ボックスのスイッチを切った状態で行うこと。
イ 感電の恐れがあるので、主電源を入れた後には、電源ボックス内等通電部分に触れないこと。また、濡れた手で電源プラグやスイッチに触れないこと。
ウ 停電時には、いったん電源スイッチを切り、電源プラグを抜くこと。復帰後、改めて電源プラグを接続し、安全を確認した上でスイッチを入れること。
(4)空圧式機械
機械の仕様にあった圧力で使用すること。空気圧を抜いたときに、アクチュエーター等の自然落下に注意すること。
6作業後
(1)電動式機械
ア 電源プラグをコンセントに長期間接続したままにすると、ほこりが溜まって絶縁が悪くなり火災の危険性があるので、接続部分を掃除すること。
イ 電線をねずみにかじられないよう、餌となる穀物等を掃除し、侵入口をふさいでおくこと。
(2)空圧式機械
エアコンプレッサを使用するものでは、空気タンク内の空気とたまった水を抜いておくこと。
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1適用範囲
作業者が機械を手で保持し、肩に掛け、又は背負って操作する機械に適用する。
ここでは、刈払機、動力摘採機、ヘッジトリマー、背負式動力噴霧機、背負式動力散粉機、チェーンソー等を想定している。
2一般事項
ア 緊急時に備えて、家族や作業者全員が機械停止方法を確認しておくこと。
イ 防護カバーを取り外したまま使用しないこと。
ウ 身に付ける機械では、緊急時に備えて、普段から機体を体から離す訓練をしておくこと。
エ 肩掛けバンドやハンドル位置を調整して重量バランスをとっておくこと。
オ 刈刃等の刃部を取り扱うときには、厚手の手袋を着用し、刈刃は確実に固定すること。
3作業前
ア 各部のネジの緩み、破損、亀裂、磨耗等がないか確認するとともに、電源コードの損傷、スイッチの作動不良等がないか点検すること。
イ 背負式の場合、背負ったとき、背負バンドと操作レバーがもつれないようにすること。
ウ 作業現場の異物(石、空き缶、杭等)を除去するか、除去できないものは目印を付すこと。
4作業中
(1)基本
ア 部外者や動物を遠ざけ、周囲を確認しながら作業を行うこと。複数で作業を行う場合、機械の始動、作業の開始は、合図をし、安全を確認した上で行うこと。
イ 資材の補給、点検、調整時や機械を地面に置くときには、可動部分を停止させること。
また、移動時には、可動部分を停止させ、刈刃等の刃部にカバーを付けること。
ウ 飛散物が発生する機械では、防護めがね等の適切な保護具を着用すること。
(2)エンジン式機械
ア 適正なエンジン回転速度で作業を行い、スロットルレバーを針金等で固定しないこと。感電の恐れがあるので、プラグキャップや高圧コードに触れないこと。
イ ハンドル振動対策、騒音対策として、防振手袋、耳栓、イヤーマフを使用すること。ハンドル振動、騒音の影響を最小限とするため、こまめに休憩をとること。寒冷作業時や気温の低い早朝時等では振動障害、凍傷の危険性が高まるので、手を十分に温めること。
ウ 作業者に連絡をとる場合には、前方に回って遠くから呼びかける等、騒音で作業者が他者の接近に気づかない恐れがあることを考慮した安全な方法によること。
エ ハウス内で使用する場合は、排気ガスによる中毒の恐れがあるので、換気をしながら、極力短時間に作業を行うこと。
(3)電動式機械
ア 電線コードは接続部が引っ張られないように余裕を持たせるとともに、コードでのつまずきや、切断することがないように、取り回しに注意するとともに作業方法についても検討すること。
イ コンセントに電源プラグを差し込む際には、電源スイッチが切になっていることを確認した上で行うこと。また、電源プラグの抜き差しで電源の入り切りを行わないこと。感電の恐れがあるので、濡れた手では取り扱わないこと。
5作業後
格納する場合は、火気がなく、直接日光が当たらない乾燥した場所に保管すること。長期間格納する場合には、エンジン式機械では燃料を抜き取っておくこと。
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1遠隔操作機械
(1)適用範囲
機械本体と操縦装置が分離され、距離を隔てて操縦装置から信号を送って運転操作するものについて適用する。
ここでは、無線操縦式ヘリコプター、無線操縦式草刈り機等を想定している。
(2)一般事項
ア作業に適した気象条件下で作業を行うこと。
イ事前にモニター用受信機で発信しようとする周波数の電波を聴取の上、使用されていないことを確認すること。
ウ無線操縦式ヘリコプターにより、空中散布等を行う場合には、「無人ヘリコプター利用技術指導指針」(平成3年4月22日付け3農蚕第1974号、農蚕園芸局長通知)に基づき実施するとともに、「産業用無人ヘリコプターによる病害虫防除実施者のための手引き」((社)農林水産航空協会)を参考にすること。
(3)作業前
ア 現場の状況がよく分かる地図を用意するとともに、作業区域の状況(地形、障害物)を予め調査し、作業経路等の計画を作業者全員で打ち合わせておくこと。
イ 作業区域、障害物等が操縦者から容易に識別できるように事前に標識を設置すること。
ウ 機械本体、作業機等を事前に十分点検調整し、操縦装置は充電しておくこと。
エ 定期的に点検を受けること。操縦に不具合が発生したら必ず、点検・整備を受けること。
(4)作業中
ア 基本
(ア) 関係者以外が近づかないように、必要な措置を講ずること。
(イ) 操縦者、誘導者は、ヘルメット等を着用すること。操縦者は、操縦装置のつりバンドを必ず首にかけて操作すること。
(ウ) 必要以上に急激な操作や大きな操作を行わないこと。
方向転換しながら操作する場合には、機械の前後左右の入れ替わりを十分確認しながら行うこと。
(エ) 操縦者は、機械と補助者や自分の位置関係を確認しながら移動し、機械を人のいる方向に向けないこと。
操縦者は、足場の良いところを移動すること。足場が不安定な場所では、機体を止めてから移動すること。
(オ) 操縦に不具合が発生した場合には、機械が停止するまで操縦装置の緊急停止ボタンを押し続ける等して、暴走を防ぐこと。無線操縦式ヘリコプターでは速やかに安全な場所に降下させること。
(カ) 車両の場合、遠隔操縦時には人を乗車させないこと。傾斜地で遠隔操縦する場合は、転倒等の際に巻き込まれないよう、人が機械の下方に位置しないよう配慮すること。
(キ) 遠隔操作と有人運転(機械本体の運転装置で直接運転操作すること。)の切替操作は正しく行うこと。
イ飛行操縦
(ア) 操縦者は、操縦技術に習熟し、かつ無線操縦式ヘリコプターを用いた農薬等の散布技術を習得していること。
(イ) 機体等は、空中散布等の作業に適した性能を有したものであること。
(ウ) 空中散布等は、気流の安定した時間帯に、かつ、風速3m/秒以下の場合に実施すること。
(エ) 離着陸位置及びその周囲の地上状況について安全を十分に確認し、操作は安全に行うこと。電波障害が生じるので鉄道、高圧線、発電所、変電所等と十分な距離を取って飛行させること。
人や建物、障害物、太陽等に向けて飛行させないこと。
(オ) 作業に当たっては、必ず誘導者を決め誘導すること。誘導者は、機械を通行人や車等に近づけないよう、これらの接近を操縦者に連絡すること。
(カ) 同一地区に2機以上同時に飛行させる場合は、混信を起こさないよう離れた周波数を使用し、相互に200m以上距離を取って作業すること。
(5)作業後
ア 機械本体の水洗いをする時には、電気系統に水がかからないようにすること。
イ 内部のマイクロコンピューターが故障する恐れがあるので、機械本体の制御装置の近くでは電気溶接を行わないこと。
ウ 無線操縦ヘリコプターにあっては、機体本体、操縦装置及び散布装置は別々に倉庫等に施錠して保管する等厳重な保管管理に努めること。
2無人走行機械
(1)適用範囲
無人で自動走行する機械、あるいは有人であっても走行操作の自動運転が可能な機械について適用する。
ここでは、無人単軌条運搬機、無人スピードスプレーヤ、自動摘採機等を想定している。
(2)一般事項
ア 緊急時に備えて、家族や作業者全員が機械停止方法を確認しておくこと。
イ 取扱説明書や手引きをよく読んで取扱方法を理解しておくこと。無人運転、有人運転、遠隔操作等の切り替えは、決められた手順どおりに行うこと。
ウ 作業範囲は監視者が緊急停止できる範囲にすること。
エ 機械を使用する場所の周辺で、誤作動の原因となる電気溶接機や無線送信機等を使用しないこと。また、高圧線、鉄道の付近を避けて使用すること。
オ 操縦に不具合が発生したら、必ず点検・整備を受けること。
(3)経路の敷設、設定
ア 経路の敷設は専門的知識を有する者に依頼して行うこと。
イ 経路は、十分な強度、幅員、安全な勾配、曲率半径等を有するものとし、経路の端部は道路への暴走を防止する装置(ストッパー)を備えること。
ウ 作業経路上及び周囲に、関係者以外が立ち入らないように、防護柵や監視者を設置する等の処置を行うか、人が接近した場合は機体が自動停止する構造にすること。
経路が道路に連絡している場合、作業道・耕作道の上を横断している場合は、運転中であることが明瞭にわかる標識をつけ通行する者に注意を促すこと。また、必要に応じて、通行する者が避難できる場所を確保し、これを表示すること。
(4)作業前
ア経路の保全
(ア) 支柱の沈下や傾き、浮き上がり、取り付け部の緩み、磨耗等の異常がないことを確認すること。
(イ) 経路分岐器の作動を確認するともに、経路に設けたストッパーの破損がないか確認すること。また、誘導電線の断線、ショートの有無を点検すること。
(ウ) 有人運転のことも考慮して、経路に障害物がないように環境整備をしておくこと。
イ本機、台車の点検
(ア) 機体の点検整備、清掃は、必ずエンジンを停止し平坦な場所で行うこと。
(イ) 安全装置、バッテリー等の日常保守点検を必ず行うこと。
制動装置の作動を確認するとともに、発進・停止レバー、停止センサー等の動作を確認すること。
けん引台車付きの場合には、連結装置に変形、磨耗、ひび割れ等が生じていないか点検を行うこと。連結装置は、主装置が外れた場合の安全にチェーン等の補助装置を加えて二重にしておくこと。
(ウ) 電気系統、センサー等に異常があった場合は、必ず点検整備を受けること。
(エ) 非常停止及び緊急停止後は、正常動作を確認してから運転を再開すること。なお、単軌条運搬機の緊急ブレーキは、機種によっては数回の作動で破損する可能性があるので、異常がないか確認すること。
ウ起動時
機械の周囲に人がいないか、また、不意に飛び出す恐れがないか確認し、合図を行い、安全を確認してから起動すること。
(5)作業中
ア基本
(ア)緊急停止装置、走行時衝突防止装置、暴走防止装置、速度制御装置、接近検出装置、接触検出装置等に異常が発生していないか監視すること。
(イ)無人運転専用に作られている機械に絶対に乗車しないこと。
(ウ)走行中に積み降ろし、積み替えをしないこと。無人運転時の荷役作業では、機械の停止、発進を確実に操作し確認しながら行うこと。
(エ)誤って意図しない方向に走行したり、分岐点で脱線したりすることのないように経路分岐点の切り替えは確実に行うこと。
(オ)運転中に万一制御不能が発生した場合には、緊急停止ボタン等を操作して停止させ、機械が完全に停止したことを確認すること。
イ有人運転時
(ア)乗車位置以外には乗らないこと。飛び乗り、飛び降りしをないこと。
(イ)衝突や転落の恐れがあるので、ヘルメットを着用すること。また、経路周辺の障害物に注意すること。
(ウ)非常停止装置が作動して運転停止した場合、非常停止の要因を確認して解除した後、いったん主電源を切り、安全を確認してから再度起動し運転すること。
(6)作業後
ア カバーを開けて水洗いするときには、電気系統に水がかからないようにすること。
イ 定期的に経路、各安全装置、電気系統、警報装置、バッテリー、ブレーキ、誘導用制御機器等の点検を行うこと。点検、修理の際は、機械の進行方向に極力立たず、歯止め等の暴走防止策を施してから行うこと。
ウ 異常を認めたときは、直ちに点検等必要な措置を講ずること。修理は、専門知識を有する者に依頼して行うこと。
エ 内部のマイクロコンピューターが故障する恐れがあるので、制御装置の近くでの電気溶接や、雷発生時の運転等は行わないこと。
オ 屋外で保管する機械については、施錠する等厳重な管理に努めること。 TOPへ▲
農業現場で使われることの多いフォークリフト、ホイルローダー、スキッドステアローダー、クレーン、移動式クレーン等については、労働安全衛生法等の関係法令に従って、技能講習を受講し、道路を走行する大型特殊自動車及び小型特殊自動車にあっては自賠責保険に加入するとともに、必要な免許等を取得するなど、適正に使用すること。 TOPへ▲